不動産デベロッパーに数多くの転職実績を有するエリートネットワークが、合格難易度や内定を得る人物の特徴、選考基準などについて、詳しく解説します。
不動産デベロッパー(ディベロッパー)とは、不動産の開発・再開発を行う企業・組合・団体のことです。土地の取得から商業施設やオフィスビル、住宅をはじめとするあらゆる建物の設計・建設、販売、さらには快適な入居環境の維持・運営まで幅広い業務を担っています。
例えば、三井不動産株式会社が「東京ミッドタウン」や「三井アウトレットパーク」といった大規模商業施設を開発する際には、土地の取得から、建物の設計・施工、テナント誘致、さらには竣工後の集客イベントの企画運営まで様々な業務を行います。
また、オフィスビルの場合は、入居企業の誘致や効率的な事務環境の維持、マンション開発においては入居者の様々なニーズに応える企画とプランのみならず、近隣住民への事前説明が求められます。
このように、不動産デベロッパーは、建物が完成するまでの設計・建設だけでなく、その後の運営や集客まで一貫して携わり、社会や経済に影響を与え得る大きなプロジェクトを推進します。
例えば、森ビル株式会社が手掛け、2023年11月24日に東京都港区麻布台で開業した「麻布台ヒルズ」は、1989年に「街づくり協議会」を設立して以降、30年以上という長い年月をかけ、総事業費6,400億円を投じた巨大プロジェクトであります。
その事業規模や長期間に亘って手掛けたプロジェクトが地図に残るという特徴から、やりがいや達成感が大きく、新卒・中途問わず人気が高いのが、デベロッパー業界です。
不動産デベロッパーは、「総合デベロッパー」「専門デベロッパー」に大きく分けられます。それぞれの特徴について説明します。
総合デベロッパーは、商業施設や公共施設、リゾート施設、大型マンション、オフィスビルなど比較的規模が大きな開発事業を手掛けます。
多角的に事業展開しており、1つの建築物に留まらずエリア全体で総合的に開発を行う、いわゆる「街づくり」を行っています。
例えば、三井不動産株式会社は、創業の地の日本橋を舞台に、1990年代のバブル崩壊後に失っていった賑わいを取り戻すべく、官・民・地元と一体となって「日本橋再生計画」を推進しており、歴史と現在が共存する空間を生み出しています。
また、三菱地所株式会社は、明治政府からの要請を受け、1890年に東京の丸の内一帯を取得し、官公民連携でガイドラインを定め、開発を進めてきました。現在では、丸の内仲通りを中心に路面店、商業施設が軒を連ね、通り一帯がひとつのモールのような賑わいを見せています。
総合デベロッパーの代表的な企業としては、三井不動産株式会社、三菱地所株式会社、住友不動産株式会社、野村不動産株式会社などが挙げられます。
各社の直近通期決算(原則 2025年3月期、未上場企業は開示資料・官報公告など)を基に
(株)エリートネットワーク調べ(調査日:2025年5月)
| 企業名 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 三井不動産 | 2兆3,457億円 | 3,422億円 |
| 三菱地所 | 1兆4,508億円 | 2,786億円 |
| 東急不動産ホールディングス | 1兆2,083億円 | 1,150億円 |
| 住友不動産 | 9,936億円 | 2,596億円 |
| 野村不動産 | 8,121億円 | 1,290億円 |
| ヒューリック | 6,280億円 | 1,654億円 |
| 東京建物 | 4,066億円 | 662億円 |
| 森ビル | 3,611億円 | 762億円 |
| 森トラスト | 2,629億300万円 | 538億5,300万円 |
専門デベロッパーは、特定の建造物の開発に特化しています。
例えば、オフィスビルの企画・開発に特化したデベロッパーは「オフィスデベロッパー」、マンションの企画・開発に特化したデベロッパーは「マンションデベロッパー」と呼ばれることもあります。
オフィスビル開発・賃貸に強みを持つ代表的な企業としては、ヒューリック株式会社、森ビル株式会社、森トラスト株式会社、NTT都市開発株式会社、サンフロンティア不動産株式会社などが挙げられます。
各社の直近通期決算(原則 2025年3月期、未上場企業は開示資料・官報公告など)を基に
(株)エリートネットワーク調べ(調査日:2025年5月)
| 企業名 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| ヒューリック | 6,280億円 | 1,654億円 |
| 森ビル | 3,611億円 | 762億円 |
| 日鉄興和不動産 | 2,740億円 | 488億円 |
| 森トラスト | 2,629億300万円 | 538億5300万円 |
| NTT都市開発 | 2,254億円 | 120億円 |
| 中央日本土地建物グループ | 1,348億円 | 262億円 |
| トーセイ | 821億円 | 173億円 |
| 平和不動産 | 524億円 | 130億2,200万円 |
| ダイビル | 465億円 | 108億円 |
| 京阪神ビルディング | 195.8億円 | 49億8,300万円 |
| テーオーシー | 131億円 | 14億円 |
各社の直近通期決算(原則 2025年3月期、未上場企業は開示資料・官報公告など)を基に
(株)エリートネットワーク調べ(調査日:2025年5月)
| 企業名 | マンションブランド名称 |
|---|---|
| 三井不動産レジデンシャル | パークホームズ、パークシティ |
| 住友不動産 | シティタワー、シティハウス |
| 野村不動産 | プラウド |
| 東急不動産 | ブランズ |
| 大京 | THE LIONS(旧:ライオンズマンション) |
| 大和ハウス工業 | プレミスト |
| 積水ハウス | グランドメゾン |
| 東京建物 | ブリリア |
| 三菱地所レジデンス | ザ・パークハウス |
| 伊藤忠都市開発 | クレヴィア |
| 明和地所 | CLIO(クリオ) |
| フージャース | デュオヒルズ、デュオヴェール、デュオアベニューなど |
電鉄系デベロッパーは、主に鉄道事業を中核とする企業グループに属する不動産開発会社です。親会社である鉄道会社が保有する沿線の土地を有効活用し、住宅、商業施設、オフィスビルなどを開発・運営しています。
線路を高架化(地上から橋のように架けられた構造物の上に移すこと)・地下化(トンネルなどによって地下に移設すること)すると、地上に旧線路跡が帯状に残ります。その跡地は鉄道事業者の所有地です。
この、自社グループが持つ鉄道沿線の土地を活用できるため、駅直結または徒歩圏内という利便性の高い立地での開発が可能です。
また、鉄道事業に加え、バス、百貨店、ホテル、レジャー施設など多岐に亘るグループ事業との連携により、複合的な価値を提供できます。
各社の直近通期決算(原則 2025年3月期、未上場企業は開示資料・官報公告など)を基に
(株)エリートネットワーク調べ(調査日:2025年5月)
| 企業名 | 出資会社 |
|---|---|
| 東急不動産ホールディングス | 東急株式会社 ※2019 年4月に「東京急行電鉄株式会社」から商号変更 |
| 小田急不動産 | 小田急電鉄 |
| 京王不動産 | 京王電鉄 |
| 株式会社西武不動産(旧:西武リアルティソリューションズ) | 西武ホールディングス |
| 阪急阪神不動産 | 阪急阪神ホールディングス |
| 京阪電鉄不動産 | 京阪ホールディングス |
| 相鉄不動産 | 相鉄ホールディングス |
| 名鉄都市開発 | 名古屋鉄道 |
| 近鉄不動産 | 近鉄グループホールディングス |
| ジェイアール東日本都市開発 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
| JR西日本不動産開発 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
| ジェイアール東海不動産 | 東海旅客鉄道(JR東海) |
商社系デベロッパーは、総合商社を親会社または主要な株主とする不動産開発会社です。
商社系デベロッパーの強みは、何と言っても総合商社が持つ国内外の幅広い事業ネットワークや他事業で培ってきたノウハウを活かした不動産開発事業を展開出来る点にあります。
戦後の総合商社が資源以外の新規事業を模索する中で、1970~80年代に「不動産部」を設置。その後バブルを機に子会社化・分社化を進め、不動産ビジネスへ本格参入しました。元々、商社本体の分散投資戦略の一翼としてスタートしたため、「資産運用的」「ファンド的」色彩が濃い点が特徴です。
各社の直近通期決算(原則 2025年3月期、未上場企業は開示資料・官報公告など)を基に
(株)エリートネットワーク調べ(調査日:2025年5月)
| 企業名 | 母体となる総合商社 |
|---|---|
| 三菱商事都市開発 | 三菱商事 |
| 住商アーバン開発 | 住友商事 |
| 伊藤忠都市開発 | 伊藤忠商事 |
| 三井物産都市開発 | 三井物産 |
| 丸紅都市開発 | 丸紅 |
| 双日商業開発 | 双日 |
物流不動産とは、倉庫、配送センター、物流拠点などの物流施設を指します。
近年、単なる物流施設づくりではなく、物流施設の周辺に商業施設やレジャー施設などを整備する「物流施設を中心とした街づくり」が盛んです。
例えば、日本GLP株式会社は、現在「大阪市東住吉区矢田南部地域開発プロジェクト」を推進しています。本プロジェクトは、約5万6,000㎡の敷地に、物流施設2棟と地域住民向け商業施設から成る「にぎわいゾーン」、さらに新設の公園やスポーツ施設を中心とした「憩い・うるおい・スポーツゾーン」を一体的に整備する地域活性化計画であり、日本GLPは区画整理事業の主体・施行者として、この開発を牽引しています。
各社の直近通期決算(原則 2025年3月期、未上場企業は開示資料・官報公告など)を基に
(株)エリートネットワーク調べ(調査日:2025年5月)
| 企業名 | 物流施設ブランド名称 |
|---|---|
| シーアールイー | LogiSquare(ロジスクエア) |
| 大和ハウス工業 | DPL(ディープロジェクト・ロジスティクス) | 三井不動産 | MFLP(三井不動産ロジスティクスパーク) |
| 三菱地所 | Logicross(ロジクロス) |
| 日本GLP | ALFALINK(アルファリンク) |
| 野村不動産 | Landport(ランドポート) |
| プロロジス | プロロジスアーバン、プロロジスパーク |
| 住友商事 | SOSiLA(ソシラ) |
| 東京建物 | T-LOGI(ティーロジ) |
| 東急不動産 | LOGI'Q(ロジック) |
都心の大規模開発プロジェクトや、駅前の再開発事業、地方創生など、多岐に亘る事業を展開する不動産デベロッパーは、巨額の資金を動かし都市の景観や地域経済に直接影響を及ぼします。その為、実務経験やスキルだけではなく、「社内外のステークホルダーや周囲を巻き込んで合意形成の上、プロジェクトを推進できるか?」といった視点も重要視される傾向があり、選考基準は高いです。
また、新卒就活での人気も根強く、伝統的に「新卒一括採用+長期育成」が主流で社員の離職率が低く(三井不動産株式会社の2023年度の離職率は0.93%)、そもそもの中途採用枠自体が少ないため、内定を獲得することは狭き門であると言えます。
また、各社で選考基準が全く異なってくる点も大きな特徴です。
不動産業界や建設業界、金融機関の不動産部門で用地取得(アクイジション)やプロパティマネジメント、アセットマネジメント、設計といった不動産関連業務を経験した即戦力のみを採用対象とする企業もあれば、ITスキルに代表される自社プロパー社員が持っていない実務経験や専門知識を保有する異業種出身者の新しい視点を求める企業もございます。
実際に、一見すると親和性が低そうなテレビ局や映画配給会社といった広義のエンターテインメント業界出身者や、中央省庁出身者が大手総合不動産デベロッパーから内定を獲得した事例も多数ございます。
さらに、不動産デベロッパーの選考時期や選考方法も、企業によって大きく異なります。
一年中、応募を受け付けている企業もあれば、特定の時期のみ集中して採用活動を実施する企業もあります。そもそも特定の転職エージェントからの紹介しか受け付けない企業もあり、個人では中途採用を行っているか否か?という情報を入手する事すら難しいケースもあります。
そこで重要になるのが、転職エージェントの活用です。実績の多い人材紹介会社はこうした不動産デベロッパー特有の選考事情に精通しており、豊富なノウハウを蓄積しています。
エリートネットワークは、三井不動産や三菱地所をはじめとする大手不動産デベロッパー各社への決定実績を有し、採用担当者は勿論、各事業部門の方々とも直接コミュニケーションを図ることを大切にしており、選考の流れや好まれる人物像の傾向も詳しく把握しています。
実績豊富な転職カウンセラーが、候補者の強みを最大限に活かすことが出来る企業・求人案件の提案、選考時期や各段階ごとの面接実施方法などの一般的に入手が困難な個別情報の提供、書類添削、対面での面接対策といった丁寧なサポートを行います。
弊社を通じて不動産デベロッパーへの転職を成功なさった方々の『転職体験記』も多数掲載しておりますので、是非ご覧下さい。
【東証プライム上場 日本を代表する財閥系総合デベロッパー】 総合職
【東証プライム上場 鉄道事業会社】 総合職(技術系)
【東証プライム上場 首都圏が地盤の有名ホールディングカンパニー...
【地方公務員(主要都市)】 課長代理 不動産法務・不動産評価領...
【東証プライム上場 日本を代表する財閥系総合デベロッパー】 総合職
【財閥系 信託銀行】 不動産信託部 上場REIT会計業務担当 →不動...
クライアント企業との太いパイプと採用実績・高い定着率で財閥系企業や上場企業を中心に各業界の大手企業各社から評価を頂いており、ハイキャリアの転職支援実績が豊富にございます。
各紹介先企業に精通した専任のカウンセラーが転職活動の各プロセスにおいて、職務経歴書の作成に関する具体的なアドバイス並びに添削、退職にまつわるノウハウも提供し、次の会社への入社に至るまでひとりのカウンセラーが一貫してサポートします。