一流の料亭では、板長がお客様に提供する料理のみならず、仕込みの段階からその素材の産地や鮮度に至る迄、厳しく目を光らせます。また、一般の投資家の貴重な財産を株式市場で運用や投資を行うプロのファンドマネージャーは、投資対象企業の業績見通しや財務内容を自らの責任において克明に事前調査を繰り返すことになります。
これらと同じ考えに則り、私共(株)エリートネットワークでは相談にお越しになる転職希望者の方々に、紹介する全ての企業に対して事前に足を運んで、人事の責任者なり、経営者に直接お会いして、必ず取材し、入念なインタビューを行っております。そして充分検討を加えた上で、ご紹介するに足りると判断できる企業のみを選んで、ファイルし、社内でデータベース化するという手順を踏んでおります。
私共からのこのような一連の審査のプロセスは、反面各企業の側から見れば、甚だ僭越千万な行為と映るかもしれません。しかし、このようなフィルターと言うか、足枷を自ら設ける事で、我々の企業理念の柱である“信頼できる人を、信頼できる企業に!”を実現できるものと確信致しております。
ちなみに、この審査基準のバーは、案外高い所?に設定しているのです。具体的に申しますと、全国の五大新聞の求人欄に載っている企業や有名求人情報サイトに掲載されている企業でも、もしくは、現時点での東証一部上場企業であっても、ご紹介を差し控えることがあると説明させて頂ければ、おおよそのご理解は頂けると思います。
更に、面接という“ハレ”の場では、応募者という立場上、気後れして尋ねにくい事柄、あるいは、限られた一定の面接時間では、突っ込んで質問しづらい項目等についても、私共が転職希望者になり代わって鋭く掘り下げて、聴き込んだ上で、皆様と共有してゆきたいと考えております。
(株)エリートネットワークでは、余程遠方に在住の方(海外に駐在中、もしくは留学中等の方)を除いて、転職希望者の方々に対して、必ず、一度は、私共の銀座のオフィスに足を運んで頂き、直接お会いして、きちんと、ご本人のご要望や今回の転職の背景を承り、充分な擦り合わせを行った上で、各企業への個別の推薦状と共に、ご紹介を始めるという手順を踏んでおります。
(ただし、残念ながら、私共に寄せられる求人案件や当社がお預かりしている求人情報の範囲では、対応しきれず、お役に立てそうにない場合には、無駄足を運んで頂く事になりかねない為、先々、相応の求人案件が見つかった際、改めて、ご案内させて頂く事も、正直言ってございます事、ご賢察下さいませ。)
勿論、事前にお預かりした履歴書や職務経歴書を拝読すれば、転職希望者の方が、どのような実務スキルをお持ちであるか?どれ位の守備範囲の仕事ならお任せ出来るか?という「ご本人と仕事」という観点では、おおよその察しがつきます。
しかし、実際には転職してから高い業績を上げたり、次の企業から求められる働きぶりで期待に沿うには、ご本人の性格や物の考え方、就労観、あるいは今回の転職に対する一種の腹のくくりのようなもの(≒メンタリティー)がすごく重要であると言えます。
ところが、このメンタリティーやご本人のキャラクターやビジネスパーソンとしての勢いというものは、我々転職カウンセラーも実際にお会いして、転職希望者の方々の「息吹き」に触れてみないと、Eメールからだけでは、全て把みきれない訳であります。現に、一次面接以降の選考のどの段階に於ても、常に人事の責任者はそれぞれの転職希望者の方の職業人としての実務能力や直接の業務スキルの優劣のみならず、自社の企業カルチャーに溶け込めるか?社風や組織風土に沿った行動特性や就労観をお持ちであるか?更に言えば、組織の中で、一緒に働いていて心地良いと感じてもらえる人物か?というような多様で、総合的な視点で、観察し、採否をお決めになる訳であります。
ただし、上記のように先方企業のカルチャーや社風に合うと判断されるかどうか、もしくは、一緒に働きたいと思ってもらえるかどうかというような極めて曖昧で、アナログ的な観点は点数やスコアに表われることもありませんし、資格等の明確な基準がある訳でもないのです。だから、如何に有能なビジネスパーソンであっても、自分で自分の姿は「鏡」がなければ、誰しも、当の本人が最も見えないものであります。このような認識に立って、我々、転職カウンセラーは、ストレートに(転職希望者の方がストレートにフィードバックしてもお気を悪くなさらないとおっしゃって頂ければ)「鏡」の役割を買って出て、ご本人の性格や状況把握や各自のメンタリティー等の現状と企業サイドが求めていたり、要望されているそれらの程度とレベルという視点から、皆様の「自己認識」と「他者認識」のズレがあれば、率直にご指摘申し上げたいと考えております。そして、等身大のご自身の性格的側面やメンタリティーに気付いて頂ければ、現時点での真のご自分の姿を正確に認識することにつながり、改善したい点、直したい点等が、自然と各転職希望者の方々の心の中に湧き上がって来る事と推察致します。
当社では、紹介先企業から転職希望者の方が不採用となった場合には、ご本人になぜダメだったのかを極力フィードバックする様に致しております。転職希望者の方が「自我との対話」と私共「転職カウンセラーとの対話」をなさることにより、一連のプロセスを経て、2~3社にトライして頂ければ、その遣り取りによって、自ずと学習効果が生まれ、結果的に、従来のように取り立てて面接(官)を意識しなくとも、企業が本質的に求めているものはこのようなポイントだという事を体得頂け、採りたい人物像に一歩も二歩も近づいておられることと存じます。そうなれば、兵法で言うところの「己を知り、敵(トライする企業)を知らば、百戦危うからず」となる事請け合いです。