
西武グループは、持株会社である株式会社西武ホールディングスの傘下に、不動産事業、ホテル・レジャー事業、都市交通・沿線事業を始めとして、国内外に計88社(2025年11月1日時点)のグループ会社があります。そして、グループ全体の成長戦略において不動産事業を中核に位置付け、不動産事業のビジネスモデルの変革を進めています。
現在、西武グループの不動産事業は4社体制で推進しています。大規模開発を担う「株式会社西武不動産」、不動産運用において専門性を発揮する「株式会社西武不動産投資顧問」、不動産運営を提供する「株式会社西武不動産プロパティマネジメント」、ビルの施設管理・警備・清掃に特化した「株式会社西武不動産ビルマネジメント」です。
これまでの西武グループでは、大規模な不動産を開発・保有して賃料収入を得るビジネスモデルが主体でした。今後は総合不動産会社として、よりダイナミックに不動産アセットの売買も手掛け、キャピタルリサイクル(保有資産を流動化し、そこで得た資金を戦略的に新たな事業に投資していくこと)を通じて、更なる成長を目指そうとしています。
こうしたグループ戦略に沿って、西武不動産投資顧問は2024年10月1日、株式会社西武ホールディングス 100%出資のグループ会社として設立されました。
弊社の役割は、アセットマネジメント会社として投資家の方々の信任を背負い、良い物件を取得して私募ファンドを組成し、投資家本位で運用アドバイスを重ねていくことになります。対象となるアセットは、西武グループが保有している不動産物件もあれば、外部から取得する物件もあります。
これまで西武グループでは、不動産事業の収益のほとんどがグループが保有する不動産物件の賃料収入でした。今後は賃料収入と不動産物件を売買して得る収益の比率を5対5にすることを意識して売買に取り組み、回収した資金を西武グループの新たな成長投資に向けていこうと考えています。
つまり、投資家のための運用会社であると同時に、西武グループの成長戦略を実現する上でカギを握る運用会社としての役割を担っています。
西武グループでは、持株会社である株式会社西武ホールディングスがグループ全体の経営方針を定め、成長戦略を描いています。西武鉄道も西武不動産も、もちろん当社も皆同列のグループ会社なのです。このような関係性の企業グループにおいては、西武ホールティングスが策定する戦略に沿って、中長期的にブレなく不動産運用事業に取り組んでいくことが可能です。
これに対して、特定の業種が親会社である場合、事業を担う親会社の経営判断等が子会社である運用会社の経営戦略に影響を及ぼし、当初想定と業容拡大ペースが大きく変わることも珍しくありません。株式会社西武ホールディングスは長期戦略等で広く開示し、運用会社である当社の成長戦略に強くコミットしており、西武グループ全体の経営戦略に沿って、一貫したスタンスで不動産運用事業の拡大を目指していける強みがあります。
また、資産運用会社にとって、魅力ある物件のパイプラインがあるかどうかが競争力の源泉であり、持続的成長の基盤となります。西武グループは、都心部やリゾートなどの数多くの良質な不動産を保有しており、その中からグループ戦略に沿ってファンドを組成・運用することができます。
その観点では、西武鉄道を傘下に持つ企業グループの特性として、地域に根を張って成長してきている強みもあります。西武線沿線エリアに強固なネットワークがあり、「西武グループの運用会社であれば」と優良な物件を託して下さるケースもあるでしょう。また、ホテル事業のネットワークで全国の不動産オーナー様から信頼をお寄せ頂くこともあるかと思います。
つまり弊社は、投資家のニーズを踏まえて、優良なアセットの取得が可能となるポテンシャルが高く、この点には私自身も大きな可能性を感じています。
まず、西武グループが保有するオフィスから住宅、ホテル、商業施設まで、幅広いアセットタイプの運用を継続して手掛けられるというメリットがあります。更に当社は、投資家本位の経営スタンスを持ち、グループ外にも目を向けて多様なネットワークを活用、運用対象としての新たな不動産物件の取得を目指しています。
このような環境で専門性を活かして仕事をすることは、運用対象の広がりを楽しみながら、運用者としてわくわくするような仕事に取り組めると言えるのではないでしょうか。多様な経験を通じてプロフェッショナルとしてスキルアップを目指して頂けると考えています。
また、今後の事業成長を前提に、更に報酬面の満足度を高めてまいります。専門性を活かして物件取得に取り組んで頂く人財、プロフェッショナルを支えるミドル・バックオフィス、そして運用を担うアセットマネージャーまで、日系アセットマネジメント業界のトップレベルの報酬水準を目指しております。
先程も少し触れましたが、投資家のための運用会社であることと、西武グループの成長戦略の一翼を担う会社であることの自覚を持った行動が求められると考えています。
投資家のための運用会社とは、すなわちフィデューシャリー・デューティ(Fiduciary Duty:受託者責任)を果たすことや、金融商品取引法に基づくガバナンスを遵守して、規律ある資産運用会社としてビジネスを遂行することを指します。
そして、西武グループの一員として、グループが掲げる「キャピタルリサイクル」を推進するエンジンとしての姿勢も重要になります。社員一人ひとりがプロフェッショナルとしてのマインドを持ち、投資家のための運用会社であり、西武グループの成長戦略を支えるという気概を持って行動することが大切になってきます。
一方、資産運用会社に共通する課題の一つに、プロフェッショナル人財の流動性の高さが挙げられます。当社での実務経験を通じて社内外で通用するプロフェッショナルへと成長して頂くためにも、まずは当社の経営理念に共感した上で入社して頂くことが重要だと考えています。このため、社長を拝命した直後から、西武不動産投資顧問としての経営理念や行動指針等を策定するため、様々な要件を再整理しながら社内で議論を重ねています。
経営理念を言語化することは、当社らしいカルチャーづくりの出発点でもあります。ゆくゆくは、多くのプロフェッショナルが理念共感やカルチャーマッチという判断基準で、当社での新しいキャリアを検討して頂ければと考えています。
基本的には、西武グループのカルチャーに通ずる部分があります。それは、プロフェッショナルとしての行動基準であり、グループ宣言である「誠実であること」「共に歩むこと」「挑戦すること」の3つに集約できます。
「誠実であること」とは、鉄道事業やホテル事業を営む企業グループらしく、安全を基本としてオープンかつフェアであること、お客さまの声や地域の声を大切にすることです。
「共に歩むこと」とは、自然や地球環境ヘの配慮、地域社会と一体となった行動、グループ内外との積極的な連携を意味しています。
「挑戦すること」は、グローバルな視点を持ち、時代を先取りするサービスを提供し、お客さまの生活に新しい感動の提供を目指すことです。
特に「誠実であること」は、当社が資産運用会社として大切にするフィデューシャリー・デューティと重なりますし、投資家本位で共に歩むことにも繋がります。新たに不動産アセットを取得するプロセスでは、不動産鑑定や建築エンジニアリング、会計、法律等の専門家との連携が必須です。私募ファンドの運用・物件の資産価値向上には、プロパティマネジメント会社や修繕工事会社等と協働しながら、共に歩んでいくスタンスが不可欠になります。
そして何より、当社は西武グループにおける初めての金融系戦略子会社です。不動産ファンドという金融プラットフォームを通じて、西武グループに新たな付加価値を提供していかなければなりません。これはまさしく、心が躍るような挑戦でもあります。
多様なネットワークを駆使し、部長級のコアメンバーは既にお迎えしました。今は、現場のフロントラインで活躍して頂く担当クラスの人財との面接を重ねている段階です。
まず、運用経験のあるアセットマネージャーがキャリア採用のボリュームゾーンになっています。また、新規物件の取得(アクイジション業務)ができる人財も必要です。アクイジションから運用フェーズに至る一連のプロセスを、多様な専門知識で支えるミドル・バックオフィスのメンバーにも、ご活躍頂ける場面が数多くあります。
まだ規模の小さな会社ですので、業務フェーズごと、専門分野ごとの分業体制と言うよりも、マルチタスクで案件全体の流れをコントロールする旺盛な意欲のある方を歓迎しています。また、即戦力のプロフェッショナルだけでなく、当社で実務経験を積みながら業界で通用するプロを目指したいといった若手の方々とも、面談等でお話ししたいと考えています。
先程も触れましたが、私たちは投資家から私募ファンド等の運用を受託し、フィデューシャリー・デューティを大切にして日々業務に取り組んでいます。
投資家のための規律ある行動と同時に、西武グループの企業らしいホスピタリティを持った人財が集まる組織でありたいと願っています。
この「おもてなしの心」には、重要なステークホルダーでもある同僚のメンバーを思いやり、同僚のために行動することが含まれています。自身のミッションにそれぞれの専門性を活かして取り組みながら、周囲の同僚たちの状況にも目を向けるスタンスを持っていて欲しいと思います。
プロフェッショナルが集まる組織では、自分の責任範囲のタスクには最大限集中して取り組むけれど、隣の部署が困っていても手を差し伸べないといったことが起こりがちです。このような組織はホスピタリティが足りず、温かみに欠けると言わざるを得ません。
共通のゴールに向けて、西武不動産投資顧問が部署を超えて一つのチームとして力を合わせることが、何よりも重要だと考えています。
1993年に株式会社日本政策投資銀行(DBJ:Development Bank of Japan Inc.)の前身である日本開発銀行に入行し、以降DBJグループでキャリアを積み重ねてきました。DBJでは産業やエネルギーセクター等の多様な企業に向けて投資・融資・アドバイザリーを融合したソリューションの提案を行い、都市開発部門では不動産証券化やアセットファイナンスにも取り組みました。
霞が関への出向も経験し、90年代の終わりには大蔵省(当時)で、DBJの誕生に繋がる政府系金融機関の統合に向けた法案づくりに関与しました。2010年代半ばには、内閣官房で地方創生のための金融支援の枠組みを考える業務等にも携わりました。
DBJに帰任し、2021年から3年間は、資産運用会社であるDBJアセットマネジメント株式会社で取締役執行役員を務めました。職掌はリスク管理や法務・コンプライアンスでしたが、経営層として経営全般を俯瞰しておりました。
政府系金融機関から資産運用会社への出向は、私にとってパラダイムシフトでもありました。自身のプロフェッショナリティに忠実なファンドマネージャーの仕事ぶりを目の当たりにして、優秀かつ多様性に富む同僚を受け入れる幅が広がったように思います。一方で、運用会社がフィデューシャリー・デューティを重視して投資家に対する責任を果たそうとする業務スタンスが、自分にとって非常に心地よく、運用会社で誠実公正に働くことの喜びを発見しました。
そんな時、西武グループで新たに運用会社を設立する動きがあり、設立準備室へ招かれる機会を頂いたのです。
資産運用会社の設立にあたっては、監督する財務局・財務事務所の審査を受けてライセンスを取得する必要があります。私は立ち上げ準備期のコーポレート業務を進めながら、西武グループのキーパーソンと対話を重ねて組織内部のガバナンス体制を一歩ずつ構築しました。これら一連のプロセスでは、DBJでの経験が役立ったこともあり、滞りなくミッションを果たすことができたように思います。
新会社の社長は、西武グループの社員から抜擢されるものと考えていました。ところが、2024年の初秋、「西川さんに社長をお任せしたい」との打診を頂き、大変驚きました。不動産事業の新たな4社体制のうち中核となる当社の経営トップを外部から招聘する点からも、西武グループとして不動産事業のビジネスモデルを革新していこうとする真剣さがひしひしと伝わり、身が引き締まる想いでした。
経営を担うコアメンバーは、西武グループだけではなく、広く外部からも適材適所で有為な人財をお迎えする形で進めてきました。コーポレート部門の中堅・若手メンバーについては、主に西武グループから優秀な人財に集まってもらっています。
私はそれらのメンバーに対して、直接自分の言葉で語ることで理解を得ながら、新しい運用会社の経営を一歩ずつ推進しているところです。
繰り返しますが、西武グループは不動産事業を中核に据えて、今後の成長戦略を策定しています。2025年度以降の成長戦略において、私募ファンドの組成・運用等を通じて6,000億円のAUM(運用資産残高)を目指すことも発表しています。
その成長エンジンとなる当社で、グループの良質な不動産アセットを証券化し、私募ファンドを組成・運用していく業務にコミットして頂けるプロフェッショナルを求めています。同時にグループ外からも、戦略的に新規アセットを取得する取り組みを推進していきます。
現在、不動産ファンドの組成・運用に携わっている方、アクイジション業務や運用業務の全体像を把握しながらそれぞれの業務を遂行してみたい方には、仕事を楽しめるフィールドとして事欠かない運用会社です。
また、鉄道事業やホテル事業等で培われてきた誠実さやホスピタリティをDNAとして持つ社員が在籍し、異なる業界からのキャリア入社の人財を温かく迎え、親切に接する社風があります。私自身がそう感じたように、多くの方々にも充分魅力を感じて頂けるのではと自負しています。
新しいことに挑戦するベンチャースピリットに溢れ、投資家を始めとするステークホルダーと誠実に向き合う人財で構成されたアセットマネジメント会社です。ここで新たな挑戦を始めて頂けるプロフェッショナルと共に、投資家のため、西武グループのために責任を果たしていきたいと思っています。