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鉄鋼会社のプラントエンジニア、異業界である財閥系製薬メーカーへの転職

鉄鋼会社のプラントエンジニア、異業界である財閥系製薬メーカーへの転職

No.1258
  • 現職

    東証一部上場 財閥系製薬メーカー 工務部 製造設備エンジニア

  • 前職

    東証一部上場 創業100年超 高炉・鉄鋼会社 操業スタッフ

中林 芳樹 氏 31歳 / 男性

学歴:県立高校 理数科 卒
国立大学 工学部 卒
国立大学大学院 工学専攻 修了
危険物取扱者 乙種
エネルギー管理士

●   人生の転機

僕は飲み会やバイトにと奔放に生活する、よくいる一般的な大学生であった。これまで人生で大きな挫折も経験なく、漠然とではあるが、これからものらりくらりと生きていくのだろうと思っていた。

その考え方が変わったのは、大学4年の研究室配属で開催された初めての飲み会でのことだった。先輩から「お前は将来何がしたいのか?どうなりたいのか?」と聞かれた際に全く答えられなかった。非常に悔しく情けない思いをしたことを今でも覚えている。

この出来事が転機となり、常日頃から「自分は何がしたいのか、どうなりたいのか」を考えるようになった。
今振り返るとこの出来事があったからこそ、鉄鋼業界に身を置くことができたし、今回の転職でも納得感のある結果を残すことができたのだと感じる。

●    私のやりたかったこと

私は人とコミュニケーションをとることが好きで、ダイナミックに動く設備にロマンを感じており、また、社会貢献性の高い業務に憧れていたことから、プラントエンジニアになりたいという気持ちが生まれた。新規プラントの企画から立ち上げを一貫して完遂することは、知識だけでなく論理的な考え方や人間的な魅力を持ち合わせていなければ難しく、将来的にそのようなことができる人間になりたいと考えたからでもある。
つまりプラントエンジニアという職種に対し、仕事のやりがいはもちろん、エンジニアや人として自身の成長を図れる機会がたくさんあるだろうという期待感を持っていた。

多くの工場見学や企業説明会に参加し、悩み抜いた末に鉄鋼業界のエンジニアを志望した。鉄鋼業は各地の高炉をはじめ大規模なプラントをたくさん有し、社会貢献性が高い素材を取り扱っているため、自身の考えや思いにぴったりの業界だと感じていた。

●   鉄鋼業界で得られたもの

私は鉄鋼業の上工程の操業スタッフとして、担当設備の日々の操業改善や予算、中期計画の策定、設備投資、品質管理等の業務等を推進した。上工程は設備が大規模であり操業トラブル時のコスト影響が甚大な額となる。加えて現場・研究・協力会社など多くの人と関わり合いながら仕事をする必要があるので、課題発見・解決能力や折衝力を高めることができた。また上工程の操業プロセスは歴史が長いため、操業実績の整理や企画した操業試験の評価などを後世に残すことも大事な仕事の一つである。この業務を通じてプレゼン能力や論理的な資料作成能力も得ることができた。

当然ながら優秀で魅力的な社員の方も多く、業務を通じて仕事の考え方、マインドなど多くのことを学ばせて頂いた。まだまだ未熟な点はあるが、社会を知らないお子様から人並みの社会人にまで私自身を成長させてくれたと感じており、感謝している。

●    転職に至るまでの経緯

6年間の業務を通じて多くのことを学ばせて頂いた一方、現職に対するフラストレーションも募っていった。鉄鋼業は成熟産業であり、過去に行った検討の再評価を行うケースが多い。したがって、新規技術を活用した前向きなプロセス改善や設備投資の案件が少ない。

また「脱炭素」や「設備老朽化」、「環境対策」など、時代の流れと共に製鉄業界を取り巻く環境が厳しくなる中、業績も芳しくなく、コストの切り下げによる場当たり的な設備改造や保全業務の増加が顕著となった。将来を見据えた前向きな検討ができないもどかしさや業界に漂う技術的閉塞感を感じずにはいられなかった。

同じような業務を繰り返す中で仕事に慣れも生じ、将来的に技術者として成長している姿が想像できなくなったため、転職を検討するようになった。

●    転職活動について

当初は、“良い企業とご縁があれば・・・” 程度の軽い気持ちで転職活動をスタートした。右も左もわからず、様々なエージェントに現状の気持ちや考えを相談させて頂いたが、希望する業務内容に沿った求人は少なく、加えて待遇も下がると聞かされていたため、転職活動を諦めかけていた。

そんな中、エリートネットワークの転職カウンセラーである黒澤さんと出会った。黒澤さんは自分自身の転職に対する悩み、迷いに対して、経験を交えながら真摯に答えてくれた。
 私が黒澤さんに惹かれた点は2つ。ひとつは私の「こんなことがやりたい」という思いを汲んで対話を進めてくれたこと。もうひとつは決断を下す各ポイントで不用意に背中を押さず、私自身が決断するまで見守り、待ってくれたことである。
私にとって2つ目のポイントは重要で、やさしい言葉や根拠のない励ましなどはその瞬間は気持ちが楽になるが、その結果後悔するような判断をしてしまったら本末転倒である。判断が迫られたときには、私が落ち着いたうえで自分の思いを言葉にできるようになるまでしっかりと待ってくれたことに好感を覚えた。

対話を通じて、徐々に転職に対するモチベーションが上がっていき、自分の思いや考えも整理されていった。
そのお陰もあり、結果として業界は大きく変えたにも関わらず、待遇を落とすことなく、自身のやりたいことを達成できそうな企業から内定を頂くことができた。

●    さいごに

転職したからといってすべての不満が解消されるわけではないと思うし、これからもつらいことや納得のいかないことは出てくると思う。
しかしながら今回の決断を後悔にしないよう、新天地でも精進していく所存である。

また、転職活動は “辞めようと思ったきっかけ” と “個々人を取り巻く状況” によって進め方が変わってくると思う。私には妻と幼い娘がいるが、私のやりたいことを快諾し、背中を押してくれたことは非常に感謝している。

誰もが自分の想い最優先で物事を決められるとは思わないが、私の『転職体験記』を読んで一歩を踏み出す人が出てくれれば幸いである。

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