自動車部品や超低温容器の製造現場で、コツコツ資格を習得してきた43歳技術者。プライム上場 グローバルシェアトップ製品を多数有する機械メーカーの品質保証へ

No.1681
  • 現職

    【東証プライム上場 産業機器、ポンプ、航空、医療分野等の専門精密機器メーカー】
    メディカル事業本部 カスタマーサービスグループ 品質保証担当

  • 前職

    【世界最大級の自動車部品サプライヤー】
    生産技術部 ディーゼルエンジン部品(インジェクターボディ)のマシニング加工工程における製造ラインの改善、新規製品の立ち上げ、海外生産拠点との連携
    →FMEA(故障モード影響解析)モデレーター FMEA作成の進捗・レビュー会運営等

    【東証プライム上場企業グループで産業ガス・医療用ガス・医療関連サービス等の提供会社】
    検査グループ 超低温容器製造における工程検査業務

久保田 優司 氏 43歳 / 男性

学歴:北海道立 北見緑稜高等学校 卒
北海道職業能力開発大学校 専門課程 生産技術科 卒
北海道職業能力開発大学校 応用課程 生産機械システム技術科 卒

電気機器組立て技能士 シーケンス制御作業1級
機械保全技能士 電気系保全作業1級
機械検査技能士 機械検査作業1級
機械プラント製図技能士 機械製図CAD作業1級
非破壊試験技術者 浸透探傷試験レベル2
非破壊試験技術者 超音波厚さ測定レベル1
非破壊試験技術者 放射線透過試験レベル2
音波厚さ測定レベル1
高圧ガス製造保安責任者 乙種機械責任者
高圧ガス製造保安責任者 甲種機械責任者

掲載日:2025年11月13日
目次
  1. 学生時代の学び、新卒での就職
  2. 自動車部品サプライヤーでの担当業務
  3. 産業用ガス供給会社での担当業務
  4. 今回転職するに至った理由
  5. 転職活動でのこだわり
  6. 転職活動を通じて気づいた点
  7. 次の職場に賭ける意気込み

① 学生時代の学び、新卒での就職

学生時代は機械加工を専門に学び、日々の実習や研究を通して「淡々と物事をやり遂げることが得意」という自覚を持ちました。同時に、周囲に流されず、自分の軸を大切にできるという長所も認識しました。
特に印象に残っているのが、卒業研究でのチーム活動です。母校では、機械科・電子科・情報科の学生が協力して製作物を完成させる課題がありましたが、例年ハード面の遅れによって発表時に完成品が間に合わないケースが多いと先輩方から聞いていました。そこで私は、機械科としてハード部分をとにかく早く形にし、問題が出てから修正を加える流れを提案しました。
その結果、電子科・情報科のメンバーが十分な作業時間を確保でき、卒業発表時には無事に完成品を披露することができました。チームは表彰を受け、リーダーを務めた私にとって大きな達成感を得た経験でした。もちろん、優秀な仲間に支えられた成果であることも強く実感しています。

進路を考える上で大きかったのは、仲の良い先輩たちからのアドバイスでした。
北海道は製造業において立場が弱く、仕事と生活のバランスが取りにくい環境が多いという話を耳にし、もし地元に留まれば一生を北海道の中だけで過ごしてしまうのではないかという危機感を抱きました。私は自分を “ 北海道の中だけで留まる人間ではない ” と信じ、「就職を機に北海道を離れる」と決意しました。製造業が盛んな関東・関西・中部といった地域で働き、自分を鍛えたいという思いを胸に就職活動に臨みました。

正直に言えば、当時は「これがやりたい」という明確なビジョンはありませんでした。ただ、学生時代に学んだ機械加工の知識や技能を活かせる職種に就きたいというシンプルな考えを持っていました。
最終的に入社を決めたのは自動車部品サプライヤーです。世界的にも大きな企業であり、自分の就職活動の軸であった「製造業の中心地で働く」という条件を満たしていたことが、選択の大きな理由になりました。

② 自動車部品サプライヤーでの担当業務

入社後、最初の配属は旋盤工程の生産ラインでした。品質を守りながら高い生産性を求められる環境で、さらに3組3交代の24時間稼働という勤務体系で仕事をこなすのは、体力的にも精神的にも大変でした。
しかし、この経験を通じて製品に関わる知識や製造環境、工程の全体像を理解することができ、生産プロセスや品質管理の重要性を肌で学びました。また、現場の方々と関わる中で、仕事上のコミュニケーションの基礎を身に付けることができ、後の製造技術グループでの業務にも大いに役立ちました。忍耐力や集中力、現場の感覚を培うこともでき、仕事の基礎をしっかり学ぶ期間となりました。

そんな中、製造技術課長から「製造技術に来ないか」と声をかけていただき、当時の過酷な勤務状況もあり、異動を決断しました。
製造技術グループでは、新規製品の立ち上げ、工数削減、工具費改善、スクラップ削減、品質改善、CADを使用した治具設計、設備改造や新規導入など幅広い業務に携わりました。日々の改善活動を主軸に、国内外拠点とのオンライン・対面ミーティングやFMEA(故障モード影響解析:Failure Mode and Effects Analysis)の進捗管理・レビュー会の実施なども担当し、プロジェクトマネジメント力や調整力、コミュニケーション力も磨かれました。

中でも大きな学びを得たのは、スクラップコスト削減活動です。
ある製品で前年度スクラップコストNo.1となっていた細径深穴加工の「穴曲がり」不良を、発生率0%に改善することができました。当初は加工条件や加工動作、ドリル形状の変更など、いくつかの対策案を打ち出してトライアンドエラーを繰り返しましたが、なかなか結果が出ませんでした。決め手となったのは、ドリルの刃先に一般的に施されているホーニング処理(いわゆる刃殺し処理)をやめてみるというテストでした。このテストを実施すると、まるで嘘のように不良が発生しなくなりました。
日常の当たり前の工程や条件に目を向け、改善に繫げることができ、私自身にとって非常に興味深い体験でした。粘り強く成果を追求した結果、不良率0%を達成できたこの改善は、スクラップコスト削減が出来ただけでなく、工数削減や品質改善にも繋がったので、管理部門のみならず加工現場の方々にも喜んでいただけました。

こうして、製造現場での経験と製造技術の業務を通じて、改善思考や課題解決力、技術知識、CAD設計スキル、プロジェクトマネジメント力、さらには国内外チームとの調整力まで、多くの実務スキルを習得することができました。技術部門と現場の橋渡し役としてスムーズにコミュニケーションを取れる基盤を築けたことも、大きな成果だったと自負しています。

加えて、専門知識を体系的に深めるため、以下の技能検定も取得しました。
•    電気機器組立て技能士(シーケンス制御作業)1級
•    機械保全技能士(電気系保全作業)1級
•    機械検査技能士(機械検査作業)1級
•    機械プラント製図技能士(機械製図CAD作業)1級
技能検定合格に向けた、勉強や実習の時間を定期的に設けることにより、継続的に何かを習得していくという習慣を大切にしていました。

③ 産業用ガス供給会社での担当業務

2社目は産業用ガス供給会社に入社し、超低温容器の製造検査グループに所属しました。製造工程全体の品質を守るという重要な役割を担い、毎日責任を感じながらも充実した業務に取り組みました。

私の主な業務は、製造工程の検査全般、非破壊検査、出荷製品の最終検査、客先提出書類の作成に加え、高圧ガス保安協会への容器検査や特定設備・高圧ガス設備試験の申請書作成、立会検査対応など多岐に亘りました。
検査結果や書類の正確性は後工程や出荷の可否に直結するため、緊張感のある環境での判断力や対応力が求められ、自然と責任感と注意力が磨かれました。

特に印象深かったのは、特定設備申請業務への取り組みです。
事前に高圧ガス保安協会の検査員とコミュニケーションを取り、スムーズに申請を進められるよう調整を行いました。また、設計グループと連携して図面や強度計算書のチェックを行い、極力差し替えのないよう業務を進めた結果、申請書作成前に30箇所以上の書類不備を発見。事前対応により、申請はスムーズに遂行でき、現場や関係各所からも大きな信頼を得ることができました。この経験は、事前準備と関係者との連携、正確性の意識がいかに大切かを体感する貴重な学びとなりました。

また、製造現場との工程調整や協力会社(検査委託先)との日程調整を通じて、社内外の関係者と円滑にコミュニケーションを取る力も養われました。現場感覚を持った品質管理や検査の視点を持つことで、単なる事務作業ではなく、製品と安全を守るプロフェッショナルとしての自覚も芽生えました。

さらに、業務知識を体系的に固めるため、以下の資格も取得しました。
•    非破壊試験技術者 浸透探傷試験レベル2
•    非破壊試験技術者 超音波厚さ測定レベル1
•    非破壊試験技術者 放射線透過試験レベル2
•    高圧ガス製造保安責任者 乙種機械責任者免状
•    高圧ガス製造保安責任者 甲種機械責任者免状

特に「高圧ガス製造保安責任者 甲種機械責任者免状」に関しては、この事業所でこれまで一発合格した人はいませんでしたが、私は一発で合格することができました。努力と知識の積み重ねが自信に変わる、私にとって大きな瞬間でした。
検査業務、改善活動や、資格取得を通じて、技術力、法令遵守の意識、品質管理力、調整力、コミュニケーション力を高めることができました。現場感覚を大切にする検査・品質管理の視点は、今後のキャリアでも大きな財産となっています。そして何より、困難な課題に対して粘り強く取り組む姿勢と、自分の力で成果を出す喜びを実感できたことが、この会社で得た最大の学びだと思っています。

④    今回転職するに至った理由

これまで私は、一社目での製造ライン経験、そして二社目での検査業務を通じて、多くのスキルを身に付けてきました。

一方で、検査グループでは、保守的な業務が中心で、自ら考えて改善に取り組む余地が限られており、徐々にやりがいを感じにくくなってきました。これまで培った実務経験やスキルを、より活かせる環境で働きたいという思いが強くなり、今回2回目の転職を決意しました。

私は、製造技術職での経験をベースに、より上流の視点から製品全体の品質を支える仕事に関わりたいと考えています。製造工程の些細な変化が製品性能に大きく影響することを、現場での実体験から学んだことで、品質業務への関心も一層高まりました。製造工程だけでなく製品全体の信頼性を担う品質保証業務に挑戦することが、次のキャリアステップとして自然な選択でした。

⑤    転職活動でのこだわり

今回の転職活動において、私がこだわった点としては、まず「製造業であること」です。
これまで一貫してものづくりに携わってきた経験を大切にしており、製造業に従事することは譲れない条件でした。また、前職で培った製造技術職としての工数削減・工程改善・品質向上といった経験を活かせる環境を求めました。さらに、新しい部門や役割に挑戦したいという思いも強く、特に品質保証のように製品全体の信頼性を支える仕事に関心を持ちました。
加えて、働く場所や企業風土も重視しました。生活基盤を安定させ、長く健やかに働ける環境であること、そして現場の声が反映され、前向きに改善に取り組む企業風土があることが、自分の力を最大限に発揮する上で不可欠だと考えています。特に「本気でより良い仕事をしていこう」という気概や気風を持つ企業であるかどうかは、私にとって重要な判断基準でした。

こだわりを一時、捨てようとしたのは「年収」です。
私は43歳という年齢を踏まえ、そもそも転職先が見つかること自体が難しいのではないかと考えていました。そのため、「年収は下がっても構わない、働く場所を優先したい」と思っていました。しかし、妻と話し合う中で、「本当は年収を上げたい気持ちがある」ことに気付きました。妻から「心から良いと思える企業じゃなければ転職する意味がない」と言われたことで、自分の思いを再確認し、最終的に年収も含めて満足できる企業に転職することができました。

⑥    転職活動を通じて気づいた点

転職活動を通じて、私は「出会いやご縁はすべて奇跡の積み重ねである」と強く感じました。
活動初期は、大手の転職エージェントに登録して電話面談なども行っていましたが、なかなか気持ちに火がつかず、だらだらとした活動に留まっていました。
そんな中、定食屋さんで偶然お客として来られていた(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの松本さんと出会い、そこからテンポ良く活動が進んでいったことは、まさにご縁の賜物であったと思います。その結果、満足のいく企業からのオファーをいただくことができ、人と人との出会いを大切にすることの重要性を改めて学びました。

また、43歳という年齢で特別な学歴もない私にとって、転職は厳しい挑戦になると考えていましたが、松本さんからの手厚いサポートや、妻との率直な話し合いや叱咤激励があったことで、自信を持って進めることができました。その過程で、「どんな仕事でも、考えを持ち、信念を持って取り組めば、人は何歳になっても成長できる」ということを実感しました。そして、その成長をきちんと評価してくださる企業があることも知り、大きな励みになりました。
今回の転職活動を振り返ると、正に人とのご縁の大切さを学ぶと同時に、自分自身の可能性を信じることの重要性を再認識した期間だったと思います。

⑦    次の職場に賭ける意気込み

次の職場では、まず1日でも早く自立し、即戦力として貢献できるよう全力で取り組みます。定年まで勤め上げられるよう、常に学び続ける姿勢を忘れず、業務に必要な知識やスキルを前向きに吸収していく覚悟です。
また、1歩1歩着実に成長していくことを心がけ、ミスが許されない場面も多々あることを意識し、慎重かつ誠実に職務にあたります。組織の一員として周囲との協力やコミュニケーションを大切にし、将来的には組織をまとめられる人物に成長することを目標としています。

製造現場で培った経験や改善力を品質保証という職務でも活かし、製品の信頼性向上に貢献するとともに、チーム全体の力を引き上げられる存在を目指してまいります。常に前向きな姿勢で挑戦を楽しみ、どんな困難な課題にも積極的に取り組むことで、組織と自分自身の成長に繋げていきたいと考えています。

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