土木技術者38歳技術士。マネジメント業務の比重が高まる環境に葛藤し、転職を決意。関西の大手鉄道会社から、東京のエンジニアリングコンサル会社の法人営業へ

No.1731
  • 現職

    【東証スタンダード上場 老舗エンジニアリングコンサルティング企業】
    東京本社 エンジニアリング営業部
    インフラ企業向け災害対策コンサルティング法人営業

  • 前職

    【東証プライム上場 大手鉄道事業者】
    土木技術センター 施設管理係(在来線の保線・新幹線の構造物維持管理業務)
    →経営企画部 課員(駅周辺まちづくり、バリアフリー化目的の駅改良計画の企画立案)
    →施設部 課員(中長期計画の策定、耐震設計の監理、プロジェクト工程・予算管理)
    →土木技術センター 係長(防災工事・バリアフリー工事プロジェクトの監督責任、部下マネジメント)
    →土木技術センター 助役(自社防災PJ工事、公共事業受託工事等のマネジメント責任、部下育成)
    →施設部 課長代理(道路・河川工事の受託調整業務、国交省・各自治体との連携協議、等)

仁多見 悟 氏 38歳 / 男性

学歴:島根県立 松江北高校 卒
大阪大学 工学部 総合地球工学科 卒
TOEIC 810点
技術士建設部門(鉄道)
1級土木施工管理技士
コンクリート診断士
コンクリート技士

掲載日:2026年7月17日
目次
  1. 楽観的な就活から始まった原点
  2. 挫折を糧に培った調整力と技術マネジメント力
  3. 学び直しで芽生えた新たな挑戦への渇望
  4. 譲れない軸と、現実を見据えて下した決断
  5. 転職活動を通じて気づいたこと
  6. 感謝を胸に新天地へ挑む覚悟

①楽観的な就活から始まった原点

工学部に所属する同級生の大半が大学院まで進む中、私は迷いなく学部卒での就職を決めました。家族が皆、文系で学部卒という環境もあったと思いますが、学業に勤しむことよりも趣味の音楽を通じて人と繋がること、特に大学と無関係の社会人の方々との繋がりを広めることを楽しんでいました。価値観を広げることや、コミュニケーション力を培うことを大事にしていたと思います。

就活では、せっかく土木系の学部に入ったので鉄道駅等のモノづくりに関わりたいという思いに加え、とにかく若くして社会人として一人前になりたいという漠然とした志望動機で関西を基盤とする鉄道事業者に技術職として入社しました。恥ずかしい話ですが、就活はこの1社しか経験していません。学生時代から感じていたことですが、「本気で仕事をしたことも無いのに、自分の得意不得意や、本当にやりたいことを見極めることは出来ない」という気持ちがありました。そのため、「まずは社会に出てみよう、上手くいかなかったとしても次があるし、この会社で学べることはあるはずだ」くらいの楽観的な姿勢で入社したことを覚えています。周囲の就活生からは非難されるかもしれません。ただ、昨今振り返っても、学生の立場で自己分析を適切に出来る人の方が圧倒的に少ないのは事実ではないでしょうか。よく言えば肩に力を入れすぎずに素直に生きたと思います。

②挫折を糧に培った調整力と技術マネジメント力

とはいえ、楽観的に入社したツケは大きく、すぐに周囲とのレベルの違いに挫折感を覚えました。入社して数年は保線や鉄道土木構造物のメンテナンス業務に携わりましたが、大学院卒の同期に比べてOffice系の資料作成やメールの送り方等の基礎スキルが全く備わっておらず、ベテランの先輩から「本当に大卒か?」と言われたこともありました。何より土木技術の知識が乏しく、この時初めて大学院で学ぶ意義を痛感しました。ただ、そんな手痛い洗礼を受けながらも、「辞める」という選択肢は思い浮かびませんでした。不足しているスキルや知識はこの会社で培いながら、とにかく良い仕事が出来る人間になることを大前提とし、「仮に転職する将来があったとしても、まずはこの場所で実績を残そう」と腹を括っていたのだと思います。

その後、念願であった駅改良業務のプロジェクトマネジメントに4年間携わりました。この4年間が私にとって仕事が最も辛く、最も楽しく、最も自己成長を感じられた期間でした。この期間に身に付いたのは「折衝調整力」と「課題設定力」だと思います。鉄道は土木建築だけでなく、電力や通信、車両、そして運行オペレーション等あらゆる専門家集団の集まりです。1つのプロジェクトを成案化する過程では、ある分野にとってはメリットがあっても、デメリットを被る分野も必ず存在します。当初は関係者がそれぞれの都合ばかりを主張すると困り果てていましたが、次第に「組織とはそういうもので、その利害関係をマネジメントすることに仕事の価値がある」という意識に変わっていきました。
たとえ同じ会社でも分野が異なれば最も守るべきものは異なりますし、むしろ各部署が任せられた責任を主張しなくなれば組織は衰退していきます。反対意見や指摘を受ける理由、現場の課題はどこにあるのかといったことを真剣に理解しようとする姿勢を意識し始めてから私の仕事は好転し始めました。その上で、会社全体としての課題設定を明確にし、丁寧に説明することで関係者全体の合意協力を得てプロジェクトを推進出来るようになりました。振り返ると、これは学生時代の多様な価値観やコミュニケーションに対する姿勢が数年掛かって仕事に活きた場面だと思います。

入社10年目を迎えた頃には、部門間の利害を調整する仕事に対する自信と手応えを感じていましたが、一方で「自分には調整力しか取り柄がなく中身が無いのでは?」という懸念を抱くようになりました。このままではいけないと考え、自らの志望により耐震補強等の設計や現場での工事発注等の業務につき、現場力と技術力を身に付けていきました。加えて、この頃から部下を率いる立場にもなりマネジメントも多く経験しました。マネジメントでも学ぶことが多く、気づけば16年もの長きにわたって前職で勤めることになりました。

③学び直しで芽生えた新たな挑戦への渇望

社内の階層の面で着実にステップアップし、年々マネジメント業務の比重が高まるにつれて、仕事に対するモチベーションが徐々に低下していきました。もともと会社内でのポジション、裁量権には興味がなかったので、役職や給料が上がっても、組織運営や人事運用、事務の業務比重が高まることでやりがいを感じられなくなってきました。加えて、設備の老朽化に直面する社会情勢の中、鉄道関係の建設プロジェクトが減少していくことは明白でした。事実、実務の主軸は老朽化設備への対処に向けた効率的なリソース配分や、組織運用・ルール作りへと移行していきます。これらは社会にとって重要な役割ですが、当初の志望動機であった「まちづくり」に関わる機会はもはや得難いと思い、転職に向けて動き出しました。

しかし反省すべきことに、日々の仕事に追われるあまり社外に示せる資格をほぼ持っていませんでした。何より仕事以外で社外の知識を習得する習慣が身に付いていませんでした。そこで、まずは趣味程度で英語の勉強を始めました。英語は大学以来全く触れていなかったので中学レベルすらおぼつかない状態からのスタートでした。とはいえ、英語でTOEICに挑戦する楽しみを覚えたことで、学習する習慣が身に付き、技術士にも挑戦する決心が出来ました。その後、3年以内にTOEIC800点と技術士を取得することを目標に設定し、2年間で達成することが出来ました。仕事という強制力がなくても自ら自己実現のために努力出来る手応えを感じられたことで、転職に対してより前向きになりました。

また、技術士の試験勉強をしていく中で、建設DX等の多様な様々な新技術や新しい価値観に興味が深まり、鉄道以外の分野にも自分の知見を広げていきたいと思うようになりました。更に、せっかく英語がライフワークにもなってきたので、出来ることなら人生で一度は英語を使う仕事をしたいと考えるようになりました。
これらはコロナ禍で自分を見つめ直し、勉強をする時間を確保できたことも影響していたと思います。

④譲れない軸と、現実を見据えて下した決断

転職にあたっては、「価値観を広げられる仕事であること」「その会社自体を好きになれること」「家族との時間を大切に出来ること」の主に3点を意識していました。

まず1つ目の「価値観を広げる」という点として、鉄道・電力・ガス等のインフラ事業者は選択肢から除外しました。たとえ年収が上がったとしても前職同様にやりがい面の課題に直面すると感じたからです。その延長で前職の志望動機だった「まちづくり」の観点も志望動機には入れませんでした。
2つ目の「会社を好きになる」という点としては、その企業の掲げるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や社員への接し方を重視しました。転職先でキャッチアップするのはかなり大変なことだと想像しますが、価値観が好きだと思える会社であれば努力出来ると感じたからです。
最後に「家族との時間」として、あまりにもハードワークな職種はいかに高額な年収であっても除外しました。前職が大規模な企業でワークライフバランスも充実し、家族との時間も大切に出来ていたので180度その生活を変えることは考えませんでした。

一方で諦めたこととしては、「英語×技術で仕事をすること」と「関西に一生留まること」の2点です。あらゆる会社を見ていく中で、当初は海外と関われるプラントエンジニアとして仕事が出来ないかと夢を見ていました。しかし、英語の実務経験だけでなくプラントエンジニアの実務経験もないこと、自身の年齢、そして転勤の連続による家族への負担といった現実を見つめ直した結果、日本を市場としつつ、外国人採用比率が高い会社への入社を決めました。この決断を下すにあたり、一定期間関西を離れて勤務するということも受け入れることになりました。ただ、英語に関しては今後も自分の人生を豊かにしていくライフワークとして続けていきたいと思います。

⑤転職活動を通じて気づいたこと

〇家族の理解
長年転職について妻と会話を重ねてきましたが、子供や親族も含めて家族の理解を得るのは、既婚者なら当然最重視すべきだと思います。私の場合、家族で東京に転居する選択をしたので尚更です。もともと前職でも引っ越しを伴う転勤はあり得たのですが、会社指示でなく私個人の意思で家族に負担をかけることは想像以上に責任を感じることになりました。転校を承諾してくれた子供や、背中を押してくれた妻には本当に感謝しかありません。

〇社会を知り、会社を知ること
転職活動を通じて、いかに自分は前職の小さい社会で世間知らずに生きてきたかを思い知らされました。事業者側にいたから、ということもあるかもしれませんが、世間一般では有名な企業名も知らなかったり、志望する業種を選ぼうにも実際にどのような業種があるのかも分からなかったりと、視野が狭かったと思います。必然的に業界や業種の将来性と自分のスキルを掛け合わせるイメージが出来ず、数回受けた面接において志望動機の深掘りに苦労しました。興味のある技術について面接で語っても、にわか仕込みでは心からの言葉にはなりません。

〇目標設定とスケジュール管理
私の場合、英語×技術という目標を叶えるには動き出すのが遅すぎたと思っています。前職で自分のやりたいことや夢について時間をかけて考えてきましたが、英語を勉強し始めたのは30代半ばでしたので、もっと気合いを入れて英語力を爆発的に伸ばすか、もしくは20代後半頃から学習を始める必要があったと感じています。

⑥感謝を胸に新天地へ挑む覚悟

一般に40代を間近に迎えると部下の育成やマネジメントにシフトしていく傾向にあります。私にもその道があったと思いますが、新しいことへのチャレンジや自分が前線で価値提供することを重視したいと考えた結果、転職という決断に至りました。前職の会社では退職を伝えてから、多くの方々から応援のお言葉を頂きました。社会は繋がっているので、転職後も何らかの形で前職にも貢献出来ると思っています。前職でお世話になった方々との関係性は今後も大事にしていきたいです。

また、転職先の会社は社員との相性面でのマッチングを極めて重視しており、私も内定を頂くまでに何度もフォロー面談をして頂きました。皆様すこぶる仲が良く、且つ会社に愛着を持っておられることや、自社の技術と品質に絶対の自信と誇りを持たれていること、それが私が強く惹かれた理由です。私もその一員となり自信を持って社会貢献出来る人間でありたいと思います。
求人案件の紹介と丁寧なご支援を頂きました(株)エリートネットワーク様にも感謝申し上げます。
一方で、同じく転職を経験した友人が、「あまり気負いすぎないことも大切」と有難いアドバイスをくれました。入社前の私の状況も察したタイミングの言葉でしたので深く胸に響きました。背中を押してくれる家族や周囲の皆様への感謝を忘れず、人生をより豊かにするために、自分らしく一歩ずつ着実に前に進んで行きたいと思います。

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