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一生働き続けたく敢えて一般職を選んだ2人子育て中の国家公務員女性係長、素材メーカーの法務部へ

一生働き続けたく敢えて一般職を選んだ2人子育て中の国家公務員女性係長、素材メーカーの法務部へ

No.1467
  • 現職

    東証プライム上場 業界最大手素材メーカー 法務部 マネージャー

  • 前職

    国家公務員 霞が関勤務 一般職(係長) 個人情報保護法に関わる法務業務・内部統制業務

佐藤 早葵 氏 39歳 / 女性

学歴:埼玉県立高校 卒
早稲田大学 法学部 卒
TOEIC 805点

① 新卒での就職活動

子どもの頃から国の為に働きたいと考えており、大学は法学部に進み、公共政策を専攻として学びました。
独占禁止法のゼミに所属し、日本や海外のケーススタディを通じて、「独占」の持つ力の強さや影響力が、場合によっては市場経済を歪めてしまうという事実を知りました。当時の私にとって、とても印象的で、衝撃を受けたことを覚えています。

就職先は迷わず国家公務員を選びました。
無事試験を通過して官庁訪問に臨み、国の為に働きたいという想いを今一度深く考え直した結果、国益に寄与するということを自分の就職活動の軸とし、扱う領域の広さに惹かれて前職への就職を決めました。
国家公務員というと花形は総合職であると思いますが、私は一般職での採用でした。

自分のパーソナリティを考えたときに、人の上に立って先導するよりは、裏方仕事を淡々とこなす方が得意であり、ゼネラリストよりはスペシャリスト志向であると思いました。
また、将来は結婚して子どもを持ちながらも定年まで働き続けることを第一優先とした為、総合職の昇任ペースでは自分の能力的にいつか限界がくると考えたからです。
今振り返ると、当時のこの考えは半分位が当たっており、もう半分は当たりませんでしたが、これが今回の転職活動へと繋がっていきます。

この体験記を執筆していて思い出しましたが、実は、入庁後数年して当時の上司から総合職への登用の打診を受けたことがありました。しかし、これまでそういった前例を聞いたことがなく、なんとなく胡散臭いと思い(激務のポジションへの異動の布石なのではないか?)、辞退した経験があります。

② 入庁した役所での担当業務

入庁後は、法務、内部統制関連の業務を3年周期くらいのペースでこなし、いつしかどの部署も2度目の配属という時期に入っていました。
1周目は係員や主任としてがむしゃらに仕事をしていましたが、2周目に入る頃には係長になっており、係員や主任を指導するという役割が加わりつつ、自身もプレーヤーとして最前線で仕事をしました。

③ 今回転職するに至ったきっかけ

係長として業務を行うようになった頃から、自分の中で疑問が湧き出しました。

10年前では考えられない非効率的なロジ(段取り)が組まれたり、幹部職員への根回しを「業務効率化」の名の下に簡素化した為に、かえって案件を通すのに時間がかかったり、手戻りが発生する事態が頻発していました。
中央省庁の働き方がブラックだと知られるようになったからか、就職当時と比べて、一般職の私から見ても、総合職採用の職員の能力や資質が劣化していると思うようになりました。具体例をお示しするのは難しいですが、いじめられっ子のようなおどおどした態度や自信のない仕事ぶりが目につくようになりました。
このことは業務にも影響し、日々増える業務負担の根源なのではないかと感じていました。

今後、この状況が好転するのは難しいと判断し、環境を変える為に転職を決意しました。
せっかく挑戦するならと、一般職ではなく総合職に挑戦してみることにしました。

(株)エリートネットワーク様との面談では、転職理由としてトップダウンで振られる業務が加速度的に増えていることや残業についてお伝えしました。それも事実で、転職理由としてはその方が世の中的には伝わりやすいと思います。
しかし、私にとっては、定年まで働き続けたかったから一般職として就職したのに、時代の変化により定年まで働くという希望が叶わなくなったことの方が理由としては大きく、私の転職理由の特徴だと考えています。

④ 転職活動でこだわった軸

前職は、手厚い身分保障がある一方で、働き方については所属部署や上司の考え方によるところが大きく、誰もがリモートワークや柔軟な勤務時間を設定できる訳ではありませんでした。
さらに、柔軟な働き方をすることで、自分以外の誰かの働き方を制約してしまう側面もありました。

子育て中ということもあり、子どもの病気や学校行事などで仕事を抜ける頻度がそれなりに多いのですが、勤務時間の制度上、有給休暇を使用せざるを得ないことも多く、働きにくさを感じていました。
この為、転職に当たっては、柔軟な働き方が制度上だけでなく実際に運用され、且つ社内の雰囲気として許容されることを譲れない点としました。

業務面では、これまで法務と内部統制関連業務を主に行っており、元々は内部統制を主軸にキャリアを積みたいと考えていました。しかし、官公庁からの転職であれば異業種ではどこへ行っても未経験になると思い、内部統制業務へのこだわりは捨てて、需要のあるポジションに就ければ良いと考えました。

⑤ 転職活動を通じて、気づいた点や反省点

実は、転職活動が上手くいくとはあまり思っていませんでした。
40歳手前という年齢、子持ち、民間企業での職務経験はなく国家公務員としての職務経験のみという要素が転職活動においてポジティブに評価されるとは思えなかったからです。
この為、業界や業種は広めにエントリーしました。

エリートネットワーク様以外のエージェント経由でもいくつかエントリーしており、結果として複数の企業様からご縁をいただくことができました。
書類が全く通らなかった業界、書類は通っても面接では全滅だった業界、書類選考後は全てご縁をいただいた業界など結果も様々でしたが、国家公務員というイメージや雰囲気に近い業界や企業様とのご縁が多かったように思います。

そして、エリートネットワーク様からご紹介いただいた求人は、最初からこの傾向をとらえたものばかりでした。
エントリー前に、ご担当いただいた転職カウンセラーの久井様に「△△(業界)へのエントリーも視野に入れた方が良いのかと考えていたのですが、ご紹介いただいた求人の中にないのは、私の職務経歴などを考慮された為でしょうか」とお伺いしたことがありました。
久井様からいただいたコメントは納得できるものであり、信じて転職活動をした結果、良い意味で予想を裏切るとても嬉しい結果となりました。

自分なりにご縁をいただいた理由を考えますと、経験した職務が広い意味で内部統制業務で一貫している為、専門性が高く見えたこと、世の中的に内部統制への関心が高まっていること、官民共通して組織に必要とされる領域に専門性を持っていたことかなと思います。

反省点としては、転職活動のピーク時期と業務繁忙期を重ならないようにするべきだったと思います。
年齢への焦りから、転職を決意してからすぐに活動を始めましたが、選考のピーク時期が業務の繁忙期と重なってしまいました。体力・メンタルともに非常に辛くなってしまった為、この体験記をご覧の方には、時期を考えて活動されることをおすすめします。

ちなみに、この時期をどのように乗り切ったかと言いますと、開き直って外注できるものは外注しました。
夕食は宅配の作り置き総菜を利用し、夕方から夜間に行われた面接の時間はベビーシッターさんに子どもの送迎などの育児をお任せしました。外注できない学校関係の行事類、洗濯、掃除は夫が全て引き受けてくれました。
おそらく人生で一番栄養ドリンクを飲んだ時期で、近所のコンビニで販売されているものは全種類飲んだと思います。
これらの方法は、従来から業務の繁忙期に活用していた方法でしたので、新たに導入する為の時間的なコスト(手続完了から利用開始までのタイムラグなど)が発生しなかったのは幸いでした。

⑤ 最後に

これまで、どんな環境であっても与えられた環境で全力を尽くすことをモットーにしてきました。
次の職場でも同じ気持ちで、誠実に職務に取り組んでいきたいと思います。

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