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国家公務員一般職、キャリアに制限がある現状を打破すべく、大学院進学を経て信託銀行へ

国家公務員一般職、キャリアに制限がある現状を打破すべく、大学院進学を経て信託銀行へ

No.1433
  • 現職

    財閥系 大手信託銀行 HRソリューション部門 経営コンサルタント

  • 前職

    国家公務員 霞が関勤務 一般職(旧・国家Ⅱ種)FTAも担当

野上 航大 氏 27歳 / 男性

学歴:福井県立 武生高等学校 卒
新潟大学 法学部 法学科 卒
東北大学大学院 法学研究科 公共法政策専攻 在学中
TOEIC780点

はじめに

私は地方国立大学を卒業後、国家一般職(旧国家Ⅱ種)試験を経て、本省に採用されました。
その後、4年間の勤務と約1年間の大学院進学に伴う自己啓発休業期間を経て、この度転職が決定しました。
この体験記が、公務員から転職を目指される方、特に、同じく国家一般職で働く方や休職期間を経て転職を検討している方のご参考になれば幸いです。

新卒時の就職活動

学部時代の就活では、漠然と公益に携わる仕事がしたいと考えており、公益の実現は行政、利益の追求は民間、という視野が狭いが故の二元論に基づいて公務員を志望していました。
当時は、国家一般職、国家専門職(国税専門官)、東京特別区、地方上級(地元県庁)と、併願出来る試験を手当たり次第に受験し、幸いにも全ての試験で最終合格することが出来ました。国家一般職試験では、官庁訪問初日に第一志望の官庁を訪問し、無事に内々定をいただきました。
学部4年次の12月まで国家一般職本省と地元県庁のどちらに就職しようか迷っていましたが、ファーストキャリアは敢えてきつい方が良いと考え、本省に入省しました。

入省後の職務経験

入省後は、大学院通学に伴う休職に至るまでの4年間を本省で過ごしましたが、前半の2年間は局の予算担当として、予算編成・執行業務に従事しました。また、この期間には、政府の法案審査機関において、各省庁から提出される法律案の形式的審査業務も経験しました。
後半の2年間は、省内の国際担当として、EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)を所管する部局で、前述の協定に係る国際交渉関連業務に従事しました。

4年間の勤務を経て、民間企業で通用する汎用性のあるスキルを身に付けられたかと問われると返答に窮しますが、特に国際交渉関連業務を通じて、状況が目まぐるしく変わる環境に食らいついていけた経験は、社会人としての一種の自信に繋がりました。
結果として転職することにはなりましたが、入省後から休職に至るまでに責任重大な業務を任せていただいた職場には、今でも感謝しています。

転職理由

転職を決めた理由は、大きく分けて3つあります。
1点目は、自身のキャリアパスに希望を抱けなくなったためです。
国家一般職は国家総合職と比べて、出世の道が限られている点は入省前からある程度理解していましたが、私のいた省庁は、他省庁と比べて総合職技術系職員の数の多さが故に、企画系部署の幹部ポストが総合職職員で占められていました。
管理系部署の幹部ポストも経験豊富な旧国家Ⅲ種採用職員が目立つなどの状況を見て、組織に所属するモチベーションが下がり、次第に前職に留まる意義を見出せなくなりました。

2点目は、市場価値の低下への懸念です。
所属省庁の一般職大卒職員の育成方針として、係長に昇進する入省10年目頃までに本人の要望も考慮しながら、企画系と管理系の部署をそれぞれ経験させ、適性を見出しつつ以後の配属を決めるものと記憶をしています。
しかし、政策の企画立案を担当した次のポストで庶務を担当するなど、脈絡のない人事異動により、専門性の高いスキルを体得出来ない点で、組織に所属していること自体がリスクだと考えるようになりました。

3点目は、中央省庁ならではの労働環境です。
入省1年目から月100時間を超える残業もあった他、時には朝9時から翌朝5時まで働いたこともありました。また、上司から激しい叱責を受けるなど、心身ともに疲弊した状態の時もあり、休職している職員を見て「いつかは自分もこうなるかもしれない」と常に自分事として考えるようになっていました。

こうした経緯で転職を考える傍ら、学部時代に金銭的な理由から断念した大学院への進学意欲もあり、どうせ転職するなら大学院進学を経て転職をしようと決意しました。
合格直後に所属省庁の人事担当職員に、大学院進学に伴い国家公務員の自己啓発等休業制度を利用したい旨を報告する機会がありましたが、その時の人事担当職員の言葉が今でも記憶に残っています。
「あなたが大学院で学んだところで、戻ってきてもその知見を活かせるポストはない。」
この言葉を聞いて絶句しました。合格した大学院は公共政策大学院であり、曲がりなりにも中央省庁で人事を務めている方の発言とは思えませんでした。

このような経緯もあり、入省5年目には、自己啓発等休業制度により大学院に進学し、転職することへの迷いはもはやありませんでした。

転職活動について

休職前からとある転職サイトに登録しており、某外資系コンサルティングファームからのスカウトを頼りに何気なく面接を受けたところ、あえなく一次面接で落選しました。
結果に焦って、コンサルティングファームへの転職に強いと謳うエージェントを通じて複数の求人に応募しましたが、このエージェント経由の求人では、全て書類選考で落選しました。

打つ術がなくなり、在職時から『転職体験記』をかねてより拝読していたご縁から、(株)エリートネットワーク様にすぐにコンタクトを取りました。
ご担当いただいた転職カウンセラーの杉本様からは、コンサルティングファーム以外にも幅広く求人案件をご提案いただき、打率で申し上げると約4割の企業で書類選考を通過することが出来ました。
その後も一次面接での落選が相次ぐなど厳しい状況が続き、自分を必要とする企業はないのでは、と思い悩むこともありました。しかしその時は、選考結果に一喜一憂しつつも、落選した企業に対して、仮に入社が叶ってもスキルのミスマッチから仕事の継続は難しかっただろうと割り切ることで気持ちを切り替えていました。
面接で苦戦しつつも、落選した面接で改善点を見出し、続く面接で改善点を実践することで、最終的に転職先となる企業様から内定をいただくことが出来ました。

転職活動を通じて、杉本様からは、希望企業としてお伝えしていたコンサルティングファームは元より、監査法人や銀行、事業会社に至るまで求人を幅広くご提案いただきました。
転職活動において、自身の希望と先方企業が求める人材像が噛み合っていればよいのですが、必ずしもそうとは限らないと思います。
公務員からの豊富な転職支援実績に基づくエリートネットワーク様の強みは、自身の希望と企業が求める人材像のミスマッチを解消し、求職者と企業のニーズをマッチングさせる点にあると考えています。

おわりに

経歴を見てお分かりの通り、私は華々しいキャリアを歩んできた訳でも、突出したスキルを持ち合わせているわけでもありません。
この『転職体験記』が、国家一般職採用職員を始めとする公務員の皆様に向けて、「一般職だから」という理由で転職活動に踏み切れない方々の後押しになれば幸いです。

最後にはなりますが、良縁を引き寄せてくださったエリートネットワーク様とご担当の杉本様には、感謝の気持ちしかございません。
本当にありがとうございました。

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