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若手エグゼクティブの転職

若手エグゼクティブの転職

No.331
  • 現職

    一部上場 インターネット関連企業
    事業開発責任者

  • 前職

    新興市場 上場企業   取締役

瀬野 裕二 氏 35歳 / 男性

学歴:大阪大学 経済学部 経済学科 卒

プロローグ

私は35歳の年に、人生3度目の転職を決断した。

いわゆるエグゼクティブ求人は、世間一般に思われているよりも遥かに案件数が少ない。
通常のアプローチでは、適職を射止める確率は低いのである。

私の場合、約3ヶ月の期間、100社調査し、30社面接を志望、15社の面接を受け、幸運なことに1社転職先を決めることができた。1/100の確率であった。

私のような若輩者の経験がお役に立てるか分からないが、今回の経験を振り返り、今回の転職活動を通じてお世話になった皆さま、これから転職活動をされる皆さまへ、少しでもお役に立てば幸いである。

3つの声をバランス良く聴く

転職の旅のお供には、3つの声が必須である。一つ目は、論理的かつ屁理屈をこねくり回した結果聴こえてくる、自分の頭の声。二つ目は、転職エージェント、友人、親兄弟、同僚などが教えてくれる他人の声。そして最後は、それとなく直感的に自分が感じる、心の声である。

どの声が重要か、という議論を日本人は好むが、私は、この3つの声の最適化が最も重要と思う。

転職活動を支援する参考書籍やWebサイトでは、転職戦略・戦術、転職先企業や市場の調査・分析など、自分の頭の声を良く聴きなさい、との論調が主流である。
経験の浅いエージェントは早く転職させようとするし、友達・親兄弟・同僚は、貴方は大丈夫だから、と基本的には無責任。あげく、カリスマ経営者などは、自分の心の声に従うべきである、と声高に主張する。

いずれも正しくて、誰も正しくない、のである。その3つの声のそれぞれに、自身の適職に近づくご縁のピースが断片的に散在しており、それを丁寧に集めて最適化し、1枚の適職という青写真を描くことができるのは、転職をする本人以外の何者でもない。

そんな釈迦に説法はご勘弁、と思う方ほど、実は、自己過信だったり自意識過剰であったりする。人間の本質を見誤らず、謙虚かつ大胆に、論理的かつ感情的に決断することが重要と思う。

自分を客観化してくれる声を大切に

若年エグゼクティブ人材は基本的に自信過剰である。でなければ、現職でエグゼクティブになれない。だからこそ私は、自分の市場価値、判断基準を、常に厳しく客観的に評価し、適切なアドバイスを頂ける声=存在を大切にした。

私のケースでは、エージェントの声が最も非情かつ合理的であったと思う。
10名超のエージェントの方とお付き合いさせて頂いた。まずは選り好みせず数をこなし、その中から、自分のその時々の状況にマッチしたエージェントを自己責任で選ぶべきと思う。適職との邂逅が難しいのと同様に、自分に最適なエージェントとの出会いも根気と気合が必要である。

私は幸運にも、2名の素晴らしいエージェントとの出会いがあった。2名に共通している点は、それぞれ得意なスタイルを持っており、感情論も含め、極力客観的に状況を理解し、根気強く私に説明する能力を持っておられたことだ。

自分の得意な領域を伸ばし、社会に貢献する

情報氾濫の時代、好きなことをやるべき、自分の夢をかなえるべき、前向きになれる仕事をすべき、など様々な諸説が流布されている。

私の今回の転職活動及びビジネス経験から思うことは、人は、自分の得意な領域やスタイルで仕事ができ、社会に貢献できることが、最も幸せなのではないかと感じる。

当たり前で甚だ恐縮ではあるが、仕事は、ライバルとの競争に打ち勝ち、お客様がその仕事を成果と認め、適切な対価を払ってもらえて初めて、仕事という存在になれる。

お客様に成果と認めて頂けるだけの仕事ができるのは、自分がその仕事が好き、それが夢であった、情熱をかけられる、といったこと以上に、その仕事があたかも天命のように、なぜか得意である、ということが基礎となっていると思う。

今回の転職活動においても、自分の得意領域の仕事の機会がある会社との面談プロセスは、まるで運命の糸に手繰り寄せられるが如く、異常にスムーズに進む、という不思議な体験を得ることができた。

今回の転職先も同様、逆にうまく進み過ぎて不安になるような段取りで事が進んだ。
決め手はもちろん、自分の得意領域を活かすことができる環境があること。加えて、市場立地に将来性があり、強い成長意欲を持つと同時に慎重な経営陣の存在、事業や組織に課題があり、その解決に自分が貢献できる確率が高いことなど、付帯条件も気に入った。
自分が一緒に働く経営陣とのフィーリングなど、アナログな感性がマッチしたことも大きい。

転職に迷っている若年エグゼクティブへ

私も大いに迷い、惑い、のた打ち回った結果、藁をも掴む思いで転職を決断した。

窮すれば通ず、と一般的に言われるが、出典元の易経には「窮即変、変即通」。窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず、と記述されていることは有名である。

特に若年エグゼクティブの日常は忙しい。しかし、忙しい中でも、常に変化を起こし、小さく動くことで、成果を出してきたはずである。

現職のための仕事ではなくとも、転職活動も立派な仕事である。

迷いのトンネルから戻る意味がなくなっているのであれば、少しでも変化を起こし、得意な領域で勝負されることをお勧めする。


以上

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