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国家公務員、スポーツ事業に携わり続けたく民間企業へ

国家公務員、スポーツ事業に携わり続けたく民間企業へ

No.1268
  • 現職

    東証一部上場 総合インターネットサービス企業 経営企画(アスリートチームも担当)

  • 前職

    霞が関 中央官庁 国家公務員 一般職

大平 智一 氏 36歳 / 男性

学歴:県立 高等学校 卒
国立大学 経済学部 卒
英国大学院 修了
日本漢字能力検定 2級
IELTS 7.0
TOEIC 940点

①    新卒の就職活動時の志向

 学部時代は経済学部に所属していたのですが、当時は3年生にもなると徐々に周りが就職活動を開始し始め、早い人だとインターンシップなどもしている中、自分も「何かしなきゃなー」くらいの受け身的な感覚で就職活動を開始しました。
しかし大量の情報や周りの人間に振り回され、自分にとって何が大事なのかという軸が全く定まらないままに就活を続けてしまい、内定はいただけたもののどこかしっくりこないままに時間が過ぎていきました。

 そんな中、卒論のテーマとして、単純にスポーツが好きだという以上に特に深い理由もなく、スポーツの経済効果について取り上げてみようと考えて関連の書籍を読み始めました。読み進めていく中で、イングランド、オランダ、ドイツなどの西欧各地におけるスポーツを活用した地域活性化事例はモデルケースとして着目されることが多く、そこで「スポーツには経済的側面だけでなく、地域一体化という社会的側面における価値創造のポテンシャルがあり、それが日本においてはまだ発揮されていないのではないか」と考えるようになりました。長くなるので詳細は割愛しますが、日本では良くも悪くも「学校」という場がソフト、ハードの両面からスポーツでは大きな役割を果たしている一方、逆にいうと、そこに依存し過ぎていることが阻害要因になっているように感じたのです(今もその考えは変わりません)。

 学校という場は生かしつつ、それを地域においてもうまく活用できるようにすることで、もっと多くの人がスポーツを楽しめるようになるはず!との思いで、スポーツ行政を所管する文部科学省で働いてみたいと思うようになり、公務員試験を受験するために内定を辞退、1年留年をしたのち一般職区分(当時は国家公務員Ⅱ種。Ⅰ種も受験はしましたが、2次試験で落ちました。苦笑)で文部科学省に入省しました。

②    今日迄の担当業務や実務経験、体得したスキル

 入省後、最初に配属されたのは自らが希望していた地域スポーツ振興を担当している部署で、地域のスポーツクラブの立上げ・運営支援を行う事業や、長年スポーツ振興に携わってこられた方に対する表彰などを担当しました。その後は国立大学や他省庁への出向なども含め、およそ2年ごとに異動しながら様々な経験をさせていただき、その間、イギリスの大学院への留学の機会も与えていただきました。

 所属した部署は多岐にわたりそれぞれ分野は違うものの、多くで共通して要求されたのは、「多方面との調整」というものです。例えば、国の基本計画を見直すにあたり、計画案作成においては関係省庁との協議と与党政党との調整を同時並行で行っていくことが必要な場合もあり、相容れない意見の衝突があったときの調整は容易ではありません。関係省庁の基本計画や過去の国会での答弁、関係議員の発言などをリサーチしながら、落としどころの文案を検討するとともに、誰に対してその落としどころを提案・アプローチするかを模索する日々の連続でした。

 上記の経験を経て、常に自らの組織以外の関係者の立場に立って物事の進め方を検討する視点と、不測の事態が起こることを想定したスケジューリングを前提にして、進捗管理と調整をしていくことが出来るようになりました。

③    転職の理由・きっかけ

 細かいことを挙げればキリがないですが、端的にいえば他律的な業務環境や、先々のキャリアパスに疑問を感じるようになり、一度転職活動をしてみようと思うようになりました。

 役職がついてから相応の時間が過ぎ、気付けば入省してから10年以上が経過していました。そんな中、「中央省庁における業務は国全体に対して広く影響があるものの、省内だけでなく他省庁や立法府である国会や政党との調整にどうしても時間を要してしまい、最適なタイミングでの施策実施が出来ていないことが少なくないのではないか」と考える時間が増えてきました。
 また、中央省庁の職員は2~3年スパンで異動することが多く、ようやく専門的な知識がついてきたと思った頃に異動となり、また一からスタート、ということも少なくないため、目の前の業務を処理するので精一杯になってしまい、中長期的な視点で課題解決を目指す難しさはおそらく多くの省庁職員が感じていることだと思います。

 さらにいえば、業務を通じてスポーツ以外の分野も興味深いものが多かったですが、入省当時から一貫して希望していた「スポーツ振興」への想いはやはり強く、そこになかなか携わる機会が訪れなかったことにもヤキモキしていました。一般職職員の場合、多くは30代後半頃には自身に期待されている専門性や分野が、配属される部署や係によってなんとなく見えてくるのですが、私の場合はそれが自身の希望と明らかにマッチしていませんでした。40代になれば教育委員会や国立大学などの関係機関への出向も多くなるのですが、それより以前にスポーツ庁に配属されないと、その後スポーツ政策に携われる可能性は実質的に非常に低くなります。

 退職直前の4月に私は教育系の部署に異動しました。そこでの主な業務は100億円単位の関係予算の各所との調整という非常に重要な業務であったため、人事課が私に対して相応の期待をしてくださっているのかな、と嬉しく感じた部分もありました。しかしそれ以上に、事前の人事面談で「年齢的なことも考えると、そろそろスポーツ行政にもう一度携わりたい。」と明確に伝えていたにもかかわらず、それが尊重されなかったという落胆の方が大きく、「これはやはり自分で道を切り拓くしかない」と決意を新たにすることになり、このことが転職への最後のひと押しとなりました。 

④    転職活動を通じた気づきや学び

 転職活動をしてみて、結果的に転職をしなかったとしても、自らのビジョンや価値観を再考する機会として、転職活動のそれ自体に大きな意味があった、と思っています。

 転職活動を開始した時点では「スポーツに関わる仕事」以上に希望する条件は明確ではなかったのですが、そもそも、30代後半に差し掛かった民間企業未経験者の自分に対して果たして人材ニーズがあるのか?という点が極めて疑問でした。なので、「まずは民間企業での経験を得ることが第一。とりあえず事務作業の多いポジションであればアピールできる部分も少なくないだろう。」と考え、転職サイトから某ネット銀行の事務本部に応募し、結果として内定をいただくことができたのですが、入社のタイミングが合わず辞退させていただきました。

 ただ、自分にもニーズはあるのだと自信をつけることができたため、「スポーツ関連業務への可能性は念頭に置きながら転職活動を続けよう」と思うようになりました。

 その後、大手の転職エージェントに複数登録したものの、紹介される求人案件はコンサルティングファームが8割以上であり、直接事業をやりたいと考えていた自分の希望とはかけ離れていました。30代後半&民間未経験なので当然といえば当然ですが、現実はなかなか甘くありません。とはいえ、必ずしも自らの希望と全面的に一致してはいなかったものの、企業から見て食指が動きにくい自分がワガママを言っていたら話は進まないだろうと思い、「応募するだけならタダだし」くらいの軽い気持ちで、エージェントに言われるがまま10社以上に片っ端から応募しました。

 書類選考を通過しないことも多かったですが、面接をしてくださった企業の多くは私のどんな部分を評価してくださったかというフィードバックもいただけたので、客観的に自分の強みと弱みを評価することが出来たのはよかったと思っています。

 一方で、上に書いたとおり、大手エージェントからの紹介案件はどうしてもコンサルティングファームに片寄りがちなことに悩んでいたところ、たまたまエリートネットワークさんのHPで自らと似た立場の方の『転職体験記』を目にして、「ここならばコンサル以外も可能性があるかもしれない」と考え即座に登録しました。その後、担当となる転職カウンセラーの篠原さんからご連絡をいただいたのですが、1時間以上にもわたりしっかりと話を聞いていただきました。

 それまでの大手エージェントのご担当者さんとのやり取りは(効率的ではありますが)いかにも型にはまったやり取りが多かったので、どうしても誘導されている感が強かったのですが、篠原さんは私の中長期的な将来のビジョンも踏まえてアドバイスをしてくださり、実際にご紹介いただいた案件も私の希望に近いものが多かったため「この人ならば信頼できる」と安心して色々相談することができました。

 そしてエリートネットワークさんから、IT企業で新規事業立ち上げとプロジェクトの進捗管理を主に担当するポジションをご紹介いただき、そこでは企業が持っているアスリートチームの業務にも携わらせていただけるということだったため、そちらに転職しようと決意しました。

⑤    次の職場に賭ける意気込み

 転職先の企業は、業界も組織文化も全く違い、正直なところ不安はなくはないのですが、業界全体がまだまだ拡大の余地が大きいことに加えて、自らの希望していたスポーツ関連の業務にも携われるチャンスをいただけたことはとても運がいいと感じています。

 官民という違いはあれど、本質的な部分でこれまでの経験を活かせる部分もあるはずなので、自分自身を信じてチャレンジをしていこうと思います!

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