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地方自治体の行政職、学校法人の海外事業開発マネジャーへ

地方自治体の行政職、学校法人の海外事業開発マネジャーへ

No.1220
  • 現職

    私立学校法人 海外事業開発マネジャー

  • 前職

    地方自治体 行政職

飯野 絵梨 氏 37歳 / 女性

学歴:山口県立 宇部高等学校 卒
慶應義塾大学 環境情報学部 環境情報学科 卒
TOEIC 955点
IELTS Academic 6.0
韓国語能力試験(TOPIK) 6級
漢語⽔平考試(HSK) 6級
日本漢字能力検定準 1級
フランス語検定 2級

◆転職を考えるに至った経緯

新卒時の進路は地方自治体の行政職員を選択し、そこから15年強、経済分野や国際分野をメインに幅広い仕事に携わってきた。外資系企業の誘致や日本企業の海外進出サポート、国際会議の開催や国際交流に加え、海外都市の行政機関で仕事をする機会にも恵まれた。入職時から、海外と関わる仕事で日本の発展に寄与したいと考えており、キャリアの半分くらいは望んでいた分野での仕事に関わらせてもらえたと思う。

就職して10年ほど経ったときから、自分の成長曲線がやや緩やかになり、世界が狭くなってきている感覚が出てきた。ここでやりたかったことは達成できたし、組織に投資してもらった分は自分なりに還元できたと思う。この先ここで成し遂げたい目標も見えづらくなっており、新たな環境にチャレンジしたいと思い始めていた。また、「今を支える仕事」から一歩進んで、「未来を創る仕事」がしたいという思いも芽生えていた。

一方で、チームメンバーの育成や組織運営に関わる仕事も任せてもらえるウェイトが増え、組織の将来を支えていく立場になっていたことには、やりがいを感じていた。
「この先、どういう人生を歩みたいか。私はこのままで良いだろうか。」
目の前の仕事には充実感を感じつつも、少し先へ目線を移したときに時折そんなことを考えながら、数年が経過していった。

そんな中、転機は訪れた。きっかけは、人事異動である。
海外と関わる仕事での継続したキャリア構築を希望していた私に、全く異なる分野への異動が発令された。ジェネラリスト養成を基本とする行政機関では日常的なことで、これまで幾度となく運命として受け入れてきたが、ちょうど上記のようなことを感じ始めていた私にとって、これは大きな転機であった。
このタイミングで、行きたい方向と全く異なる仕事に就くと、キャリアを自分でコントロールすることが今以上に難しくなる。今から数年先の自分の姿を想像し、凄まじい危機感が湧いてきた。このままじっとしていてはいけない。行動しなければ。

◆転職活動開始、(株)エリートネットワークさんとの出会い

実は、過去に2回転職活動をしたことがある。2回とも現職残留が選択肢にある中での活動で、結果どちらも残留を選択していた。それらの選択を通じて感じたことは、「今いる場所では自分の人生の目的が達成できず、それが転職でしか実現できない場合」が自分にとっての転職すべきときだ、ということだ。今回、現職残留は選択肢にない。時は3月末、「6月末までに結果を出す」と決めて活動を始めた。

過去に利用したことのある複数の転職サービスと、そこから派生して10社以上のエージェント会社とコンタクトし、仕事の時間以外はほとんど転職活動に充てた。世界的な感染症の拡大で社会の動きや人々の行動も日々大きく変化し、移動に対する制限も出始めていたが、ペースは落とさず黙々と活動を続けた。

そして、転職情報サイトに掲載されていたひとつの求人案件へ私が関心を示したことがきっかけで、その案件を担当していたエリートネットワークの転職カウンセラーの高橋さんと知り合うことになった。プロフィールを見ると、「人材業界経験25年以上。2,500社以上に訪問し、650名以上の決定実績があります。」とあり、求人に言葉として現れるデジタルな情報のみならず、企業とのすり合わせを重ねて社風や人材に対する考え方などのアナログ情報もストックしていることが感じられる。自己分析や計画に甘さがあることは自身でもどこかで感じており、「経験豊富なプロから指摘されることになりそうだ。サポートも断られるかもしれない。」と思いながら面談当日を迎えた。

初回のZoom面談は1時間超にわたり、高橋さんからは、自己分析、案件応募における戦術、キャリアの見通しと出口戦略、業界分析・企業研究など、多くの面で甘さがあると、もっともな指摘を受けた。予想通り口調は厳しかったが、現実を知らしめるという叱り役を引き受けてくださったのだと思う。転職という「点」ではなく、それによってどのような人生にしていくかということも踏まえた、冷静なアドバイスだと感じた。

◆求人案件の紹介

1週間後に行った2回目のZoom面談では、私の人生について高橋さんからいくつか質問があった。これまでの仕事だけではなく、生い立ちから就学期も含めて、どんな環境で育ったか、どこでどんなことを学んできたか、どういう人たちと関わってきたかを洗い出すプロセスだったと思う。エージェントとのファーストコンタクトでよく行われる、希望職種や業種を聞き取り、それに合う求人を提示するという型にはまった流れは感じなかった。
その上で、高橋さんからは、地方都市にある学校法人の求人案件を紹介された。募集の背景や経営陣の考え、人材に求める条件や必須要件について説明を受け、応募するかは少し考えてお返事することにした。

通常、募集案件には、配属される部署のメンバー構成や任せる仕事、年収レンジ、福利厚生などが記載されたジョブディスクリプションが存在する。応募時にはそれを読んだ上でエントリーする。しかし、このご提案では、高橋さんから口頭で伺った以上の情報がない。また、自分自身が海外で仕事をする姿はイメージできるが、日本国内であれば無意識に首都圏を大前提に考えており、地方での勤務は想定していなかった。

法人のウェブサイトや公開情報など、自分のできる範囲で調べてみたものの、イメージがわかない勤務地や、仕事の内容が詳細に見えないことなど、いろいろともやっとしている。うーん、どうだろう・・・・・。

とはいえ、これまで展開してこなかった新しい分野に挑戦していくという、白紙に絵を描くような仕事には関心がある。具体的にどういう計画があってどんな仕事内容なのか、口頭伝達情報だけでは見えにくい部分もあるので、マッチするかどうかを相互に確認する機会にしたいという思いも含め、選考を受けてみたい旨回答した。

◆面接

ほどなくして、高橋さんから面接案内の連絡をいただいた。Web面接の企業が増えていた時分ではあったが、対面での実施とのことで、県下の学校法人の所在地を訪れた。面接前に学内を散歩し、約束の時間にオフィスを訪ねる。面接は、経営に携わる方々と約2時間にわたって行われたが、過度な緊張はなく、普段の自分で臨むことができた。応募先に対する印象は良かったが、先方が求める水準に私のスキルや経験は到達していないのではないかとも感じた。

翌日、高橋さんとのZoom面談では「ぜひ前向きに考えてほしいとのこと」と回答をいただいた。非常に早く結果のフィードバックをいただいてありがたい限りだが、他社選考が並行していたこともあり、オファーを受けるかどうかについては少し考える時間をいただくことにした。

◆第一志望へ

仕事で何を重視するのか、今一度考えてみる。
・裁量の大きさ
・ワクワクするか、やってみたいと思うか
・自分自身がアクターとなるか、人を束ねるコーディネーターになるか
・大きな組織の中で巨大プロジェクトを支える一員になるか、コンパクトな組織で裁量を持つか
・一緒に働く人たちとビジョンを共有できそうか。目指すものに共感できるか。

今までは、決まったミッションの中で、細分化された役割を与えられることが多かった。しかし、この仕事はそれ以上の裁量と責任を伴い、組織の将来像に関わるもので、単純にワクワク感が大きかった。直接学校経営に関わる人達と近い距離で仕事ができることも、大きな魅力だった。

新たな環境でチャレンジしてみたいという思いを実現する場にしたいと思い、第一志望に前向きに考えさせてほしい旨、回答をした。

◆オファー面談

面接していただいた経営者の方とのオファー面談は、本題以外にいろいろな話をしているとあっという間に4時間近く経過していた。フランクにお話しする初めての場で、かつ、一対一でこれほど長く話が続くのは珍しい。仕事の内容ももちろん重要ではあるが、一緒に働く人のマインドや社風も同じくらい大事だと思う。その点では、波長が合うように感じられ、同じ船に乗って前進したいという気持ちになった。

◆転職先の決定

勤務条件や生活スタイルが異なる場所に行くので、収支が合うかを一度シミュレーションしてみた。並行して、新たに気になることが出てきた際は、内定先と連絡を取りながら解決していった。
そして、居所を移すことに自身が納得できるかという点で、更に1週間考えた。住む場所が変わるということは、活動エリアが大きく変わるということを意味する。それまで築いてきたネットワークや人の繋がり、親しい人たちとの関わり方も変わるだろう。
最初に気になった点は、最後まで気になるポイントとして残り続けるし、うまく適応できない遠因にもなり得ると思う。

この点について内定先の上司にも率直に伝えたところ、夜間にも関わらず1時間ほど電話で話してくださった。その中で私が想像していなかったような回答もあり、つきものが落ちたような感覚がした。この人となら、ぜひ一緒に仕事をしてみたい。そして、こういう人が経営する組織でできる限り多くのことを吸収したいと思った。

過去2回の転職活動では、決断する際に周囲の人に相談をした。様々な意見を聞くことで自分とは異なる視点を得ることができたが、一方で判断に迷うこともあった。その経験を踏まえ、出した決断に自分自身で100%の責任を持てるよう、今回は誰にも相談せずにひとりで結論を出した。

「転職で、一番実現したいことは何か。」
迷ったときは、常にこの問いに立ち返るようにしていた。

◆前職を退職

内定先へ転職すると決断した時点で、入職予定日まで残り1か月半。あまり余裕がない中で、退職準備に入った。人の生活をかたち作る3本柱(仕事、住む場所、生活スタイル)のすべてが同時に変わるという、大きな節目のタイミングである。心身の健康にいつも以上に気を配りながら、準備を進めた。

新卒から15年以上勤めた組織では、人に恵まれ、素晴らしい環境での仕事を経験でき、激励とともに送り出してもらった。尽きない感謝の念は、この先も忘れず持ち続けていくと思う。

◆新たな仕事を始めて

転職先での仕事が始まり、ひと月が経とうとしている。前職での経験が直接的に生きるような仕事はほとんどなく、思考の切り替えを含めてゼロから身につけていくべきことが多いと痛感する毎日である。

大きな組織は体系的に育成機会を提供してくれるので、流れに乗っていれば何となく進めているように感じるが、転職先では自ら機会を見つけて掴みに行かないと成長できないと思う。異業種から転職してきた私を、上司は見守ってくれているが、それに甘えていては進歩できないと思うので、この先は努力の日々になりそうである。1年後、そしてその先の未来に向かって確実に成長階段を昇れるよう、一日一日を大切に生きていきたい。

自身ではたどり着けなかった選択肢を示し、要所でこまめにケアをしてくださった高橋さんには、この場をお借りして改めて御礼を申し上げます。

この転職者を担当したカウンセラーに
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