メガバンクで、発展途上国の資源セクタープロジェクトファイナンス(英文契約)をやり切った東大卒28歳男性。更なる成長を求め、日本最大級のエネルギー会社へ

No.1667
  • 現職

    【東証プライム上場 日本最大級の発電会社】
    財務戦略統括部 ストラクチャードファイナンス担当

  • 前職

    【東証プライム上場 メガバンク】
    首都圏の営業支店 法人営業
    →公的輸出信用機関(出向) 営業部 ファイナンスの組成や期中管理
    →プロジェクトファイナンス営業部(帰任) APAC、CIS(Commonwealth of Independent States:独立国家共同体) 、アフリカ地域のファイナンス等の組成

熊川 竜弘 氏 28歳 / 男性

学歴:栄光学園高等学校 卒
東京大学 経済学部 金融学科 卒
TOEFL 88点
フランス語検定2級
日商簿記検定1級
証券アナリスト(CMA)
Wall Street Prep / Financial Statement Modeling
小型船舶1級免許

掲載日:2025年9月09日
目次
  1. 新卒での就活
  2. 銀行での業務経験
  3. 転職のきっかけ
  4. 転職にあたっての優先順位
  5. 転職活動を通じて学んだ点・反省点
  6. 最後に

① 新卒での就活

大学では経済学部に所属し、コーポレートファイナンスや財務会計、金融法といった金融関係を学びました。
大学入学前から金融に関心はあり、加えて様々な産業に広く興味があった為、お金の流れという視点から産業を横断的に見ることが出来るのでは、という思いで新卒就活時は金融業界を中心に検討し、前職であるメガバンクに入行しました。

② 銀行での業務経験

総合職として入行し、最初は国内支店に配属となりました。銀行窓口、融資事務(ミドルオフィス)でのOJTを経て、中小企業の法人担当や政府系金融機関への出向、外国政府・外国法人や国内大企業への融資等を経験しました。

支店では財務諸表の分析や融資等の与信判断、外為など銀行業務の基礎を身に付けました。
いわゆる法人営業のため大変な部分はありましたが、担当先は海運、造船、管工機材卸、不動産など幅広く、与信判断や社長の方々との対話を通じて各業界について細かく知ることが出来て、「幅広く産業を見る」という思いを叶えられたかと思います。

輸出信用機関へ出向後は、発展途上国を中心とした資源セクターのプロジェクトファイナンスにLenderとして関与しました。
具体的には、例えばあまり一般に馴染みのないような国で、いわゆる資源メジャーや現地国営石油会社等(Sponsor)がLNG(液化天然ガス)などの資源を開発し、本邦事業者等が引き取るといった案件に対するファイナンスのフロント業務を担当しました。他国の政策金融機関と一緒にSponsorと度重なるファイナンス交渉を行い(ロンドンやパリ等で数日に亘って英語で行われる)、ファイナンス条件を固め、合計1,000ページを優に超えるファイナンス関連契約書を作成し、調印するという壮大な案件です。

元々銀行入行時に、国内有数の大規模空港の拡張案件へのプロジェクトファイナンス組成の紹介記事を目にし、こうしたプロジェクトファイナンス業務を希望していたものの、図らずも想定よりかなり早い段階で携わることになりました。
極めて難易度が高く、そもそも日本語でも理解出来ていない資源・ファイナンスのことが英語で議論されるため、当初1年程度はかなり苦労しましたが、「あなたを苦しめた高い壁が、今度はあなたを守る盾になる」という言葉の通り、結果的にここでの実務経験がかなり自分自身の力になったと感じています。

ファイナンス交渉に際しては、毎回数百ページを超えるレポート(英語)を終電まで読み込み、不明な点は参考書を買って調べ、交渉の場ではSponsorである資源メジャーや法律事務所、各種コンサル、他国の政策金融機関の発言に耳を傾け、帰国後は中央省庁等も交えてエネルギー政策の観点からも評価を行うという業務は、見習うところの多い一流の方々に囲まれる大変貴重な経験でした。
また、当時はロシア・ウクライナ戦争に起因してエネルギー安全保障に日本を含む各国で焦点が当たっており、そうした環境下で極めて重要な資源案件に関与し、広く本邦の経済安全保障に貢献出来ることは、深夜までの残業の疲れを補って余りあるものでした。
資源セクターについてのプロジェクトファイナンスの知識をはじめ、「分からないことは入手出来る情報を整理して時間の許す限り愚直に学ぶ」といった姿勢や、政策的意義を考えるという思考、(帰国子女などではないため、ブロークンでも良いので)英語で話して理解してもらう・交渉する胆力みたいなものはここで身に付いたかと思っています。

③ 転職のきっかけ

銀行に帰任後は外国政府・外国法人や国内大企業向けの融資等に携わりました。
帰任した初日から、出向時に担当した案件や接した方々(外銀などの他行も含む)との急激な落差を感じ、出向時の一日と帰任後の一日を比較すると、(20代という年齢もあり)徐々に出社する一日一日が機会損失のように感じ始めてしまいました。

加えて、入行当初から思い描いていた「産業を細かく見る」という仕事からも離れた部署であり、かつ同僚・上司もそうしたことに関心が無いこともあいまって、非常に苦痛に感じておりました。
せめて同種案件に携わる部署への異動を毎回希望しておりましたが、短期での異動は難しく、かつ担当案件を通じて関わりのあった他部署もほぼ大同小異であったことから、これ以上銀行に留まることは自身にとって好ましくないと感じ、退職を決意しました。

④    転職にあたっての優先順位

転職の動機から、優先したのはエネルギーセクターでのキャリア(入社後の中長期的なキャリアパスも含む)であり、ワーク・ライフ・バランスや給与はそこまで重視しておりませんでした。
銀行では産業知見を得るのは難しいという結論に至ったことから、事業会社、それも出向時に大きなやりがいを感じ、かつ活かせる知識も多そうなエネルギーセクターを軸に転職活動を行い、エネルギー企業の希望ポジションで内定を頂くことが出来ました。

⑤   転職活動を通じて学んだ点・反省点

転職活動について、求人案件収集→対象会社の情報収集→応募・webテスト→面接→内定・内定承諾→退職→入社と自分なりにフェーズ分けをして理解しております。
このうち、求人収集と対象会社の情報収集(IR資料などの公開情報や、勤務されている方からのお話など)については、仮に今すぐの転職を考えていなくても、日ごろからやっておくと世の中への感度や解像度が高くなって良いなと思うようになりました。

また、面接では、「なぜ転職をするのか」「なぜ当社なのか」「入社後、何をしたいのか」といった質問を繰り返し受けることになります。
これまで新卒就活時も含めて、人事面接の類に苦手意識がありましたが、面接対策の一環として「自分は何をした時に充実感を得たのか」「何が嫌だったのか」「この担当案件を通じて活かした自分の強みは何か」「逆に顕在化した自分の弱みは何か」といった振り返りを行うことで自分の軸がはっきりし、後半は割と自分の考えを素直に話せるようになったかなと思います。
要はPDCAサイクルですが、日頃から習慣にしておけばと思いました。

⑥    最後に

いわゆる異業種転職となりますが、過去の出向時も異なる環境、異なる業務に苦労しながらも最終的には楽しめたことを思い出し、たゆまず業務に励むことが出来ればと考えています。

また、転職活動にあたっては(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの保坂さんのサポート無しには成り立ちませんでした。
求人についてのスムーズなQ&Aや各種相談という面のみならず、基本的に孤独である転職活動の心理的サポートもして頂いたかと感謝しています。本当にありがとうございました。

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