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帰国子女の元・幹部海上自衛官、2度の転職を経てメガバンクへ

帰国子女の元・幹部海上自衛官、2度の転職を経てメガバンクへ

No.1383
  • 現職

    メガバンク 本店 システムセキュリティ統括部

  • 前職

    国家公務員 霞が関勤務

安川 洋臣 氏 41歳 / 男性

学歴:米国 アスペン市立高等学校 卒
米国 エルマイラ大学 リベラルアーツ学科 卒
防衛大学校 総合安全保障研究科 国際安全保障コース 前期課程 修了
TOEIC公開テスト980点
中国語検定3級

はじめに

このたび、私自身の転職体験記が少しでも皆様の転職活動の参考になればという想いから寄稿させていただくこととなりました。先ずは以下に示すとおり、私の職務経歴について簡単にご紹介いたします。

海外の大学を卒業後、防衛省・海上自衛隊(以下、海自)に幹部候補生枠で入隊し、当初は水上艦艇幹部として海自キャリアをスタートしました。その後、情報幹部としてキャリアを定着させ、トータルで約15年間勤務しました。
海自を退職後、外資系技術専門商社の営業部門のプロダクトマネジャー(主に顧客と海外サプライヤの間に立って各種交渉・調整を行う)として約1年半勤務しました。
同商社退職後、内閣府某外局事務局にて国際部門担当の参事官補佐として勤務、奇しくも改めて国家公務員として勤務することとなりました。
そして、去る5月下旬頃に自身にとって3度目となる転職・再就職活動を開始し、去る7月に新たにご縁があったとある大手金融機関様から内定をいただき、このたび転職・再就職を成功させることができました。

私自身の転職事例について申せば、過去2回の転職が比較的短期間の勤務期間を経ていることから、決して「典型的な良い転職事例」とは言い難いかもしれません。他方で、私のような短期間の勤務経験を踏まえてもなお、自身と企業側のニーズがマッチすれば、転職・再就職は実現可能であると皆様にお伝えできる実例になるのではないかと考えております。

1 新卒での就職の時の志や志向

大学卒業後の就職活動当時においては、一つの企業や業界というレベルにおいて活躍・貢献したいという想いは低く、社会全体・国全体レベルという視点での活躍・貢献がしたいという想いが強かったことから、民間企業への就職ではなく、自ずと国家公務員としての就職を目指す形となり、最終的に防衛省・自衛隊(当時防衛庁・自衛隊)へ幹部候補生として入隊することとなりました。自身の中においては、結果的にこの決断は間違っていなかったと考えています。

他方で、様々な仕事に従事していく中で様々な実務経験等を経て、その後の志や志向が変化していくということは必ずしも悪いことではなく、寧ろ良い面もあると理解しています。
新卒で入社して初めてその会社や職場の雰囲気がわかるというケースは多々あると思いますし、そこで初めて自分にとってその会社が自身に合っている、合わないということが判明するということもよくある話だと思います。合う場合は良いのですが、合わないと感じたときは早めに行動を起こして、新たな就職先を探すということは結果的には自身にとっても企業側にとってもポジティブな結果をもたらすと考えています。

2 入社した会社でのこれまでの担当業務や実務経験、体得したスキル

自身がいわゆる「帰国子女」に該当していたという背景から、語学力や欧米文化について周知していたこともあり、主に海外部門との各種調整・渉外に携わることが多くありました。そこから、海外における常識と日本における常識の違いを踏まえた上での調整業務、各種交渉のノウハウ等を学ぶことができました。
更に語学力をベースとした専門職域に就くこととなり、諸外国機関との協力関係構築や連携強化のための案件の主担当を任されるようにもなったことで、自身の海外部門とのコミュニケーション力の向上にも繋げることができました。
また、海自在職中に海外駐在や他省庁への出向という経験を経たことで、諸外国機関・部門との調整、他省庁を跨ぐ案件や行事の調整を頻繁に行う業務に従事する機会を得ることができ、調整・交渉能力を培うことができました。

3 今回転職するに至った背景や理由・きっかけ

今回に限った話ではないのですが、私自身としては、ワークライフバランスを保ちつつ、自身が楽しく充実して働ける環境で仕事をしていきたいという想いが強くあり、過去の職場では、結果的に様々な事情により、それが実践できなくなったことから転職を決意するようになりました。
例えば第1回目の転職となったきっかけは、自身が想い描いていたキャリアパスを組織上の要求から諦めざるを得なくなったことでした。無論、自分自身を騙しつつ働き続けることは可能でした。しかしながら、自分自身が楽しいと思えない仕事を続けていくことが後々辛くなるという結果が目に見えていましたし、例えそのような環境で仕事を続けたとしても、充実して働けるということには決してならないという考えに至った結果、当時の職場を去ることとなりました。

そして、今回の転職に至った背景ですが、実は職場に対する大きな不満はなく、寧ろ比較的充実した職場環境で仕事ができていました。
ところが、第1回目の転職時のきっかけであり当時は諦めざるを得なかったキャリアパスを、異業界で叶える求人案件が出てきたことで事態は一変しました。
その求人は滅多に出ることのないある意味かなり「レア」なもので、同求人をご紹介くださった(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの高橋様も「数年に一度出るか出ないかの求人情報」と仰っていました。その時、私の脳裏に「次の転職しようとするタイミングでこの求人が出るとは限らず、またその時にチャンスがあるかどうかさえもわからない。最低でもこの求人に応募しチャレンジしなければ、きっと一生後悔する」という想いが浮かびました。そして、当該求人をご紹介いただいた翌日には高橋様に応募依頼の連絡を入れていました。

4 自身のこだわり、譲れないと考える事柄、逆に、従来のこだわりを捨てた点

上記3項でも述べましたが、可能な限り「ワークライフバランスを保ちながら、自身が楽しく充実して働ける環境で仕事をしていきたい」という想いを追求しています。
これはあくまでも自身の主観ですが、人間という生き物は非常に飽きやすい生き物であり、つまらない仕事を集中して長く続けることは極めて難しいことから、そこで重要なのが、仕事をいかに楽しくできるかという点であると考えています。

また、もう1点私が可能な限りこだわりたいのは「どんな人たちと仕事をするか」という点です。「どんな仕事をするか」という観点も、もちろん重要な要素であるとは考えますが、この世の中で、自分自身だけで全てが完結する仕事とはなかなか無いもので、現存するほぼ全ての仕事は関わり合いの度合いはあれども、多かれ少なかれ「仕事仲間」や「同僚」と呼ばれる方々が存在して成り立っています。
いくら重要でやりがいのある仕事であっても、これを一緒にやる仲間たちと上手くコミュニケーションが取れなかったり、楽しく仕事ができなかったりすると、結果的に仕事自体にも弊害が出てくると考えています。新たな職場で一緒に働く仲間に恵まれるかどうかは正直働いてみるまではわからない部分は多いとは思いますが、どんな人たちと仕事をするかという点は、私自身が極力こだわりたい事柄です。

他方で、これまでのこだわりを捨てたという点において、昔の私は例えば「外資系企業で働きたい」や「誰もが知っている大企業で働きたい」等の特定の企業・分野・業界で仕事をすることについて、なんとなくこだわりを持っていました。
しかし、今となっては自身の力を必要としてくれて活躍の場を与えてくれる職場であれば、企業や分野や業界は問わないというスタンスを取るようになりました。
結果として、この従来のこだわりを捨てたという点では、これまでの転職活動において自身が全く想定していなかった、今回の金融業界への転職に繋がったと考えています。

5 転職活動を通じて、気づいた点や学んだ点、反省点等

「一つの企業や業界に長く居続け、働き続ける」ということは決して悪いことではなく、その企業や業界において確固たるポジションを確立し、専門性を高めていけるのであれば、それに越したことはないと思います。
他方で、自分自身が知っている仕事の世界が、その業界もしくは同業界と関わりのある業界に限られてくるという現状があります。もしも、この世の中で起こっている物事や社会の現状を大局的な立場から見通そうとする場合、自分自身が見えている世界、知っている世界がその企業や業界レベルしかないのだとすれば、それがとても難しくなるというデメリットの側面もあるのではないかと考えています。

私自身、最初に就職した国家公務員(正確には「特別職国家公務員」)職の防衛省・自衛隊という「官の業界」から外へ飛び出し、異業種かつ民間企業に転職し、新たな仕事に従事した際に最初に感じたことは、これまでの自分自身がいかに「井の中の蛙」であったかということでした。「この世には知っていることよりも知らないことの方が多く存在している」という格言が示すように、当時の私は正にこの現実を突きつけられた格好となりました。これは、転職を経なければ絶対に見えてこなかった世界観でもあり、良くも悪くも、このことが私自身を人間として成長させてくれたと強く感じています。
これをきっかけに、私自身の考えも変わり、今後も特定の企業や業界に留まることに対するこだわりはあまり持たず、この世に広がっている様々な業界や世界を視野に入れつつ、自身の興味の変化や機会が得られるのであれば、キャリアアップのためのチャレンジを続けていきたいと思うようになりました。

反省点という観点では、転職エージェントからの情報提供を、ただ単に「口を開けて」待っているのではなく、時には自身からも積極的に情報収集を行い、逆にエージェントに対して「この募集求人について推薦してもらえないか」くらいの気概も必要なのだということを実感させられました。事実、今回転職することとなった企業の求人は、私が見つけてきたものを高橋様に推薦を依頼したことがきっかけでした。
無論、エージェントからの情報提供を否定するわけではありません。
私が過去にお世話になった転職エージェントとの関わりの事例の紹介で恐縮なのですが、とある転職エージェントとの面談を通じて、どうしても細かい点や自身のこだわり等を上手く伝えられなかったことがありました。これ自体はよくあることだと考えています。そして、そこから生じる微妙な「認識のズレ」があるままにしておくと、エージェントから紹介される求人案内にもズレが生じてくる可能性も否定できません。

私の場合、エージェントがこの認識のズレを持ったままの状況で、私からすると若干「畑違い」な求人を紹介してきたことで、このエージェントに対する一種の不信感を抱くようになってしまい、結果的に双方にとっての時間をロスしてしまったということがありました。
したがって、普段からのエージェントとのコミュニケーションを円滑にしておくことが非常に肝要であることも、今回の転職活動を通じて改めて認識させられました。

6 次の職場に賭ける意気込みや覚悟等

次の職場における業務は、防衛省・自衛隊勤務時代に培ったスキルを活かすことができるものです。先述のとおり、私は本来であれば末永く継続していきたかったキャリアパス上の業務を、組織の要求上の理由から断念せざるを得なかったという過去がありました。しかし、ここに来て業界は違いますが、再び自身が望んでいた業務に従事できる日がやってくることに心が高鳴っています。

今回転職する金融業界は自身にとっては未経験の業界であることから、当然のことながら、新たな職場で働くことに対する不安はあります。しかしながら、その不安以上に新たな業界・職場での仕事に対する好奇心や期待感が膨らんでいることから、今は転職先での業務が色々な意味でとにかく楽しみで仕方ありません。更に、あまり不安を抱いていない理由の一つに、私よりも先に民間企業への転職をなさった防衛省・自衛隊時代の先輩から頂戴した、次のような言葉があります。

「いくらその企業における即戦力としての活用を期待されて採用された中途のベテランであっても、その企業にとっては、しばらくの間は『新入社員』と同等である。したがって、『中途採用なのだから、いち早く貢献して結果を出さないといけない』と思って焦る必要はない。かつての私や君のように、公務員というのは、そもそも2~3年サイクルでの異動を命ぜられ、時には全く初めて携わる業種や部署で勤務をし、業務をこなさなければならないという場面を幾度となく経験してきている。見方によっては、これは2~3年毎に『転職』をしてきたといっても過言ではない。君が新たにお世話になる企業に入社した後は、自身の力を発揮できる範囲において業務に大いに励みつつ、その企業の習慣やカルチャーに徐々にアダプトしていく過程で自ずと自分自身の立ち位置が確立していき、そして半年が経った頃にはある程度のことがきちんとこなせるようになっている。」

私は転職のたびにいつもこの言葉を思い出し、自分に言い聞かせてきました。決して転職後の業務を楽観的に捉えるという意味ではなく「自分自身ではコントロールができないものに対して焦って何とかしようとしても時間と労力が勿体ない。それよりも、自分がやるべきこと、自分にしかできないことに対して時間と労力を費やして、それを少しずつでも着実にこなしていくことが重要である。」と解釈しています。
この解釈から、現状は新たな職場に対する「不安」というネガティブな要素以上に「好奇心・期待感」というポジティブな要素が上回っています。

おわりに

以上、長々と私自身の体験等を語ってしまいました。
私の事例がかなり特殊なケースとも言えることから、多くの皆様にとっては、あまりご参考とはならなかったかもしれませんが、上記が少しでも今後の皆様の転職活動に資することになれば幸甚です。

最後になりましたが、ここまでお世話になった高橋寛様に、この場をお借りして心からお礼を申し上げます。
最初の面談時から一切の無駄のない内容のヒアリングをしていただいて以降、これまで私がお世話になってきた他のエージェントと比較しても最短の期間で転職・再就職を成功させることができました。
私のケースにおいては、特に面接後の企業側へのアフターフォロー面で大変ご尽力いただいたと認識しております。これもひとえに高橋様の転職エージェントとしての豊富な知識と経験が成せる業であると感謝しております。
重ね重ねにはなりますが、改めてお礼申し上げます、誠にありがとうございました。

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