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財閥系倉庫会社から、ロジスティクス経験を活かし、近未来のユニコーンへ

財閥系倉庫会社から、ロジスティクス経験を活かし、近未来のユニコーンへ

No.1299
  • 現職

    製造業向け資本100億円の受注代行DXスタートアップ企業 品質管理部門 効率化担当

  • 前職

    一部上場 倉庫業グループ 物流会社 SCM責任者

三川 浩司 氏 33歳 / 男性

学歴:東京理科大学 経営学部 経営学科 卒

1.    学生時代の就職活動

就活売り手市場でバンバン大手企業の内定を獲得していく先輩方。自分たちも同じように何の苦労もなく大手への内定を獲得できると考えていた中でのリーマンショック。2010年入社組の就職活動は、前年までとは打って変わった様相を呈していました。

学生時代の就職活動は、当初、重工業メーカーを軸に活動していましたが、内定を獲得することはできませんでした。失意の日々を送る中、所属していた部活とゼミが企業研究活動が主体だったことから、工場見学ができる国内メーカーを、”就活”という名を借りて興味の赴くまま訪問しておりました。
様々な工場を訪問していくと、工場ごとの規模や特色が異なっていましたが、どの工場でも共通して”物流”という工程が存在していることに気が付きました。製品を製造するのが工場の役割だとしたら、製造された製品を消費者に届け、最終的に価値を生むのが物流だと思いました。

就活していた当時は工場の海外進出が盛んでしたが、日本国内に日本人がいる限り、工場が海外進出しても物流はなくならないということ。そして、当時急激に拡大していたECを支えるのは物流であり、成長産業で力をつけていきたいと考え、物流業界に就活の軸を置き直して活動しました。

その中で、前職であるメーカー子会社の物流企業が目に留まりました。子会社でありながら、親会社の業務は半分以下で、外販に力を入れていることが特色で、強力なベースカーゴを持ちながら外販を進めることができるのはメリットだと思い就活を進め、内定を得ることができました。

2.    新卒入社した会社での業務経験と得たスキル

I. 工場倉庫での勤務開始と社名変更
入社後は、親会社の国内最大規模の工場倉庫での勤務となりました。メーカーの生産計画に合わせて全国の二次拠点への配送手配を主に担当しました。首都圏や関西などの人口が多い地区への物量の多さを肌感覚で感じ取ることができました。また、季節波動の大きい製品を扱っていたため、それに合わせた保管レイアウトを組むなど、物流の基礎を一通り学ぶことができました。

そんな中、親会社の業績不振により会社が買収されることとなり、それに伴うマニュアル作成などにも従事しました。同じ工場の敷地内にありながら社名変更となり、ある一定の時間を過ぎた後の電話応答は新しい会社名での応答となるなど、忘れることができない経験を積むことができました。

II. 国内最大拠点でのSCM・ラストワンマイルの経験
その後、本社兼国内最大の物流センターへ異動し、家電量販店の3PL(サードパーティー・ロジスティクス)業務とメーカーSCM業務に従事しました。国内最大規模の拠点で、2つの業務に従事することができたのは物流経験としては非常に貴重なものとなりました。

① 家電量販店3PL業務
家電量販店約300店舗への共同配送網の維持と運営、再構築に従事しました。
当時は運送会社への値下げ交渉が可能な時期だったこともあり、具体的な削減目標を持ち、運送会社との料金交渉に臨みました。取扱い物量から、当社の業務のみで生計を立てている運送会社も多く、それらの会社に対する料金交渉は非常に心苦しいものでした。単純に値下げしてくれと依頼をしても、簡単に応じることはできないのは理解していたので、配送担当エリアの再調整と積降条件を変更するなど、料金面以外でメリットがでるように調整し、交渉を進めました。結果、運送会社からのハレーションも最小限に抑えつつ、目標数値をクリアすることができました。

② 家電メーカーSCM業務
次のSCM業務においては、初めてのマネジメント経験を積みました。荷主ごとに担当者が配置されており、それぞれの課題や問題点などを集め、日々改善をしていく業務内容です。
その中で、複数荷主の共通課題となっていたのが、寄託されているメーカー在庫を全国の家電量販店物流センターへ配送する業務です。親会社のベースカーゴに積み合わせるスキームの運用でしたが、前述の通り親会社の業績が不振となったこともあり、輸送網の再構築が急務でした。法人営業部と協働して他メーカーに営業活動をかけていくのですが、その際に役立ったのが家電量販店3PL業務の経験でした。全国各地から入荷される家電量販店3PL業務の伝票をめくりながら、どの地域から貨物が来ているのかを調査し、単独、または営業部同行で営業活動を行い、新たなベースカーゴ獲得に向けて活動しました。その結果、新規貨物を受託し、輸送網再構築を進める一手とすることができました。

③ 共通業務
これら両セクションの業務を通して、主に輸配送でのシナジーを創出したことから、その内容をグループ改善コンテストに提出し、優勝を勝ち取ることができました。この改善コンテスト優勝により、現グループ親会社の目に留まり、初の医薬品倉庫立上げプロジェクトに参画することになりました。

III. 初の医薬品専用倉庫の立上げ
初となる医薬品倉庫の立上げにあたり、グループ親会社に出向し、荷主との要件定義から参画することになりました。外資系の医薬品メーカーとの要件定義は、今までの経験とは全く異なり、毎日が勉強となる刺激的なものでした。

医薬品であるため、取扱いに法令や条件などが細かく定義されており、それらの内容を理解し、実作業に落とし込む手順などを作成しました。KPIも毎月報告する必要があり、荷主のグローバル本部からも進捗を細かく確認されました。KPIクリアのためには、ステークホルダー全体で取り組む必要があり、運送会社や荷役会社はもちろん、資材会社や施工会社、社内の情シスや営業とも連携を取りながら改善を進めていき、最終的には荷主のグローバル本部から評価”excellent”を獲得するに至りました。

構築した医薬品物流の基礎は、社内におけるスタンダードとして定着し、他拠点への教育指導も行いました。
新規拠点の立上げにも複数携わり、荷主との要件定義のほか、情シスとの連携によるシステム構築や現場オペレーション・保管レイアウトの策定、ゼネコン・サブコンとの施設設計、事務什器の発注先選定とレイアウト構築など、業務経験を多岐にわたり積むことができました。

IV. これらの経験で得たスキル
これらの経験から、「多方面の実務経験」「良好な関係構築」「打たれ強さと突破力」の3つの強みを獲得することができました。

① 「多方面の実務経験」
工場物流からメーカーのSCM業務、家電量販店への配送と高品質が必須の医薬品配送など、多方面の実務を経験し、現場に即した実効的な企画を立てることができるようになりました。
また、実務を通して得たイレギュラー対応力と即応力にも自信をつけることができました。

② 「良好な関係構築」
実務経験を通して、様々な荷主/輸送業者/荷役業者/商社・資材業者/社内他部署とのコミュニケーションを円滑に進めてきました。必ずしも利害が一致するわけではない状況の中でも、話し合って歩み寄り、最適な解決案を提示し、その後も良好な関係を築きました。

③ 「打たれ強さと突破力」
新規立上げを複数経験し、打たれ強さと突破力について自信がつきました。
新規立上げは、普段と比較にならない労力と多方面とのコミュニケーションが必要になるため、経験する度に鍛えられた実感があります。

3.    転職活動をはじめるきっかけ

大きくきっかけは二つあり、「タイミング」と「キャリアアップ」です。

まず、「タイミング」には大きく3つの理由があります。
一つ目は、グループ親会社に出向し、5年以上が経過していたため、転籍か異動の時期が近付いていたこと。二つ目は、担当業務が落ち着く見込みとなり、大型の新規拠点の竣工が同時に重なり、業務をやり切れそうなタイミングとなったこと。三つ目は、35歳までに一度は転職をしてキャリアアップをしたいと考えており、転職を開始した年に34歳となるためベストな時期であったことです。

もう一つのきっかけとなった「キャリアアップ」ですが、物流事業者として培った経験を他業種でも活かし、その会社の発展に貢献しつつ、自身のキャリアも向上させたいと思ったためです。
特に医薬品荷主の業務担当として荷主の物流業務改善に着手し、一定程度の結果も残してきました。荷主工場の物流改善にも着手したり、荷主仕入れ先との物流会議にも参画したりと、一物流事業者としての範疇を超えた業務を経験してきたとの自負がありました。

しかしながら、それでも我々は3PL業者であり、荷主の課題の本質的な部分までは踏み込むことが難しく、隔靴掻痒の気持ちを抱えながら業務に打ち込んでおりました。それぞれの荷主が抱える課題点は共通しており、多くはその会社内部の構造に本質的な問題がありました。3PL業者として改善が難しいならば内部に入り込んで改善するのが最も効率的、かつ、その中で学ぶことも多いと考え、同時にタイミングも上述の通り重なったため、その勢いで転職活動を開始しました。

4.    転職先選定にあたっての基準

前提として、前職に不満があっての転職活動ではなかったため、満足いく結果でなければ転職をしないと決めて活動を行いました。
転職先の選定は当初、メーカーかコンサルティングの二つに絞っておりました。同業種となる物流事業者では、キャリアアップの目的達成は難しいと考えたためです。そのため、グループ親会社への転籍の話も挙がりましたが、転職の意思を伝え、辞退しました。

メーカーであればそのまま内部からの改善に着手できる、コンサルティングであればメーカーに改善を委託されるため、内部からの改善着手がしやすいと考えておりました。しかし活動を進め、それぞれのご担当者様とお話をし、実際の具体的な業務がイメージされてくるとともに、”本当にこれでいいのか"”自分のやりたいこととキャリアアップに繋がるのだろうか”との思いが生じてきました。

今後の進め方についてエリートネットワークの転職カウンセラーの西堀様に相談をしていく中で、今回転職に至ったスタートアップ企業を紹介され「まずはカジュアル面談から進めては?」とのご提案をいただきました。スタートアップ企業は活動を開始した当初はまったく検討していない企業群でしたが、カジュアル面談なので気軽に、とのことで面談を申し込みました。

面談にあたり企業情報を調べていくうちに、業務内容と成長性に興味がわいてきて、実際にカジュアル面談の際も話が盛り上がり、設定時間を過ぎての面談となりました。その後の面接も、今までと異なる「考えて返答すること」がメインのディベート面接で、難しいながらも縁がありフローを進めることができ、内定獲得まで至りました。

5.    転職活動を経て学んだこと

固定概念を捨てて、様々な会社を見ることが大切だと学びました。

“学生時代の就活とは異なる”との固定概念から、業態や職種をある程度固めて臨もうと当初は考えておりました。しかし、その考えのままでは今回転職を決めた会社に出会うことはなく、満足のいく結果が得られなかったかもしれません。転職は視野を広げキャリアアップをする機会であるため、様々なことにチャレンジすることが大切だと感じました。

また、他企業の方々と面談し、そのフィードバックを得ることで、自身の強みや弱みを改めて知ることができました。同僚やお客様、委託先などのそれぞれ利害が絡む人間関係からでは得ることのできないフィードバックを得られたのは、転職活動の結果に問わず、貴重な経験だったと感じます。

6.    おわりに

転職活動の期間は3カ月弱でしたが、その期間は在職企業の繁忙期も重なり非常に厳しい状態でした。
しかし、そんな状態でも振り返ってみると大きな学びと達成感、そして成長をすることができたと感じております。

転職活動ではエリートネットワークの西堀様に大変お世話になりました。初回面談から電話ではなくWEBによる対面面談で、一時間ほどお時間をかけて学生時代の就活まで遡って詳細にお話を聞いていただきました。正直な話をすると、初回からここまで突っ込んだ話をするとは思っておらず面食らったところもあるのですが、紹介いただいた企業はすべて面談の結果に基づいて選定されていたため、初回に詳細までお話しできてよかったと振り返っております。

面談後のケアや、今後の進め方についても、前職企業の都合で夜間や休日となっても相談に乗っていただき、大変お世話になりました。転職活動は学生時代の就活と違い、短期で決定する必要があるため、フレキシブルで真摯な対応をいただいたことが今回の結果に結びついたと思っております。

現在、転職まで残り2カ月を切り、退職に向けての準備を進めております。先にも述べた通り、前職に不満があっての転職ではないため若干の心残りがないわけではありませんが、それ以上に新たな会社で働き、新しいことにチャレンジしていく期待の方が大きいと感じております。
新しい会社で気分よく働くためにも、しっかりと準備を行い、臨みたいと思います。

これから転職活動を進めていく皆様に、よりよい出会いがあることを祈念いたします。

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