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33歳弁護士、法律事務所から、特定任期付公務員を経て、企業内弁護士に

33歳弁護士、法律事務所から、特定任期付公務員を経て、企業内弁護士に

No.767
  • 現職

    一部上場 大手チェーンストア本部 法務部 企業内弁護士

  • 前職

    法律事務所    弁護士
    財務省 地方財務局 特定任期付公務員

木田 久美子 氏 33歳 / 女性

学歴:京都大学 法学部 卒
慶應義塾大学 法科大学院 法務研究科 修了
61期 司法修習 修了
弁護士
TOEIC 950点

私は平成19年に司法試験に合格し、司法修習を修了した後、弁護士事務所、任期付公務員を経験し、この度、企業内弁護士として、一部上場企業の法務部において勤務することとなりました。
私が企業内弁護士を目指した理由についてお話します。

第一に、法律事務所での、いわゆる “治療的” 法務に限界を感じたことです。
私は、弁護士登録後、地方の法律事務所で2年ほど勤務しましたが、そこでは主に、離婚、交通事故、債務整理などを経験しました。
勿論、大切な仕事なのですが、たとえば、離婚事件は、残念ながら、相談段階で結果がほぼ確定している (既に妻と別居中の男性の依頼人が、子供の親権を希望しても、子供が幼く、更に、妻と同居している場合、男性の生活に何ら問題がなくても、男性の希望が通ることはまずない等) ことから、弁護士として依頼人の希望に近いかたちで結果を残そうとしても、何もできることがないという経験を何度もしました。
法律事務所の勤務時代には、依頼人の希望にできるだけ近い形で結果を残したいと考えても、実務上その通りにいかない、という経験が多く、歯がゆい思いをしたことが何度もありました。

第二に、組織内弁護士の活動に魅力を感じたことです。
私は、法律事務所勤務後、特定任期付公務員として、いわゆる組織内弁護士を経験しましたが、ここで、“予防” 法務を担当することになりました。
法律事務所での勤務と違い、相談内容は、役所の業務に関する法律問題になり、また、相談者も、行動する前に、「こういうことをしたいと考えているのだが、法律上問題はないか?」 と質問してくれるので、紛争の予防が期待できるようになりました。
法律事務所で勤務していた時は、相談者は何らかのトラブルに巻き込まれてから相談に来ることがほとんどなので、紛争の予防はほとんど期待できないため、大きな変化となりました。

また、法律事務所で勤務していた時は、たとえ複数の弁護士が所属しても、ひとつの事件を担当するのは一人の弁護士でしたが、組織内弁護士になってからは、ひとつの案件を複数の職員と担当することとなったため、一人で事件を担当していた時よりも、当該案件の処理について、様々な視点で議論できるようになったことも、魅力的な変化でした。
ただ、残念なことに、弁護士が公務員として役所に就職する場合、そのほとんどは特定任期付公務員であり、法令等で任期が決まっていることから (しかも、2〜5年程度であり、短い)、任期満了時に退職する必要があります。

そこで、組織内弁護士としての活動を長期間継続して行うことができる、企業内弁護士を目指すことにしました。
とはいえ、私は公務員としての組織内弁護士経験はあっても、企業内での活動経験はなく、また、法律事務所勤務時代に、企業法務をほとんど経験しなかったことから、企業内弁護士は未経験であったため、採用に至るのか、また、採用されたとしても、組織にスムーズに馴染めるのかなど、色いろと不安な点がありました。

そこで、業種・業界にはあまり拘らず、会社や面接担当者の雰囲気、面接担当者の話の内容から、自分に合いそうな企業を探すことにしました。
特に、企業に就職する以上、長期間その企業で働いていきたいと考えていましたので、仕事の幅が広い企業に就職したいと考えていました。
面接においては、法務部の職員から、仕事の内容、職場の全体的な雰囲気、法務部職員の構成 (人数、年齢、性別など) をお聞きし、丁寧な説明をして頂けるか確認しました。

また、弁護士である以上、会務等、会社の仕事と直接関係のない義務もありますので、弁護士会の行事等に理解を頂ける会社であるかどうかも確認しました (組織内弁護士として仕事をする場合、ほかの弁護士と接する機会が少なくなるので、会務に出席できることは大きなメリットだと思います)。

更に、これまでの経歴上、企業法務の経験がないことは、正直にお伝えすることにしていました。
複数の企業様から面接のお時間を頂きましたが、法務部の業務は、契約書チェック、管理、株主総会の準備、M&A、訴訟対応等、おおむね同じ内容が多かったと思います (勿論、企業によって、具体的な内容は異なるかと思いますが)。
こういった仕事に強く興味を持っていたのですが、法律事務所の勤務の経験上、一般の個人が対象となる事件も経験できたら、更に自分自身の仕事の幅を広げることができるのではないかと考えていました。
ほとんどの企業の法務部では、相手方が他企業や行政であることが多く、一般の個人を当事者とする業務はなさそうでした。

そのなかで、今回、ご縁を頂きました企業は、業務内容が法務部の主な仕事である、契約書のチェック、M&A、行政庁への対応、訴訟対応のほか、一般の個人顧客を対象とする支払督促等、幅広い業務を担当させて頂ける点に、強い魅力を感じました。
また、面接をご担当頂いた法務担当者の方は、法律に対する知識が深いだけではなく、人柄も素晴らしく、会務等会社の本業以外にも理解を示して頂き、是非一緒に仕事をさせて頂きたいと思いました。
更に、面接の際に会社全体を案内して頂きましたが、全体的に、開放的で風通しの良い職場環境であると感じました。
以上の点で、もっとも魅力があると感じた企業から内定を頂くことができ、幸運だったと思います。

尚、ここからは蛇足ですが、複数の企業様と面接させて頂いて感じたことを記載しておきます。
ほぼ全員の面接担当者の方は、英語力を重視しているようだ、と感じました。面接の際は、例外なく職歴を説明しましたが、直近の前職の仕事の内容にはあまり興味を持たれないことがほとんどでした。その一方で、TOEICのスコアは、ほぼすべての面接担当者様にご興味を持って頂いたようです。TOEIC以外の英語の資格でも問題はないと思うのですが、ネームバリューのある資格で、できるだけハイレベルな英語力をアピールできる資格を持っておいたほうが良いかと思います。
また、アベノミクスの影響か、「これからは女性を積極的に活用していきたい。」 という面接担当者の方が少なからずいらっしゃいました。女性には有利な風潮になってきているかもしれません。

以上、簡単ではありますが、参考になれば幸いです。

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