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ITコンサルから一部上場事業会社の情報システム部へ

ITコンサルから一部上場事業会社の情報システム部へ

No.585
  • 現職

    一部上場 エネルギー・資源開発会社  情報システム部 ERPグローバル展開担当

  • 前職

    外資系 大手IT企業  ITコンサルタント ERP導入

原口 太一朗 氏 32歳 / 男性

学歴:東京大学 教育学部 総合教育科学科 比較教育社会学コース 卒

概要

外資系の大手IT企業のITコンサルタントから、一部上場の日本企業の情報システム部に転職することになりました。
32歳男性、東大文系の学部卒、既婚、1歳の子ども1人、転職は今回が初めてです。入社してから一貫して某S社のERPパッケージ導入、特に会計領域のアプリケーション担当として働き、マネージャーの一歩手前という状況でした。
2012年夏から転職活動を始めて秋に内定を頂き、2013年初めから新会社で働き始めます。情報システム部の中でも、ERPのグローバル展開担当というポジションで入社することになります。

年収や社会的ステータスが上がるタイプの華やかな転職ではありませんが、恰好の良さより実をとるという点にフォーカスして転職活動を行いました。現在2012年末でありまだ新会社への入社前であるため、転職が成功だったかはまだ判断できませんが、現時点では今回の結果に満足しており、今回内定を頂いた企業様との出会いは本当に幸運だったと思っています。
僭越ながら、今回の転職活動を通して得た経験のうち、皆様に読んで頂き、役に立ちそうな情報を以下に少し記載したいと思います。

転職理由

参考までに、私は以下の理由で転職活動を始めました。

[1] 安定した雇用とワークライフバランス
・基本的には常時肉体的・精神的にハードワークが求められるため、共働きで小さい子供を育てるには適していないと感じていた。
・現在の雇用形態は、退職金がなく有期雇用であり業績給の変動幅が大きい。30代の間は一定以上のパフォーマンスを発揮できる自信はあったが、近年の会社業績の悪化、日本市場の縮小及び40代の過ごし方を考えたときに、安定雇用にシフトすべきと考えた。

[2] 市場価値の向上
リスクのある雇用形態である以上、自分の市場価値を継続的に向上させる必要があるが、現在の会社では自分の専門領域を広げることが難しくなっていきていると実感。特に以下の要素について直近実現できそうになかった。
・業務、システムのグローバル展開に関わりたいと思っていたが、なかなか機会が得られない
・財務会計以外の領域に関わりたいと思っていたが、なかなか機会がない
・S社のERPパッケージ以外の領域に関わりたいと思っていたが、なかなか機会がない

成功要因

私の場合、何社かご紹介頂いた企業のうち、「ぜひこの会社に行きたい」 と考え自らの意思でエントリーしたのは1社のみであり、この本命の1社から内定を頂くことができたため、その時点で転職活動を終了しました。それなりに競争率の高い会社にスムーズに内定を頂けた成功要因のうち、他の方と共有して役に立ちそうな要素としては以下2点が挙げられます。

[1] 事前準備
一次面接までにとにかく事前準備をしっかりしました。きわめて正攻法ではありますが、以下のような要素を文書化して整理しておき、どんな時もぶれずに同じ内容を明確に伝えられることが、今回スムーズに内定を得た一番の要因だと思っています。
・今回転職活動する理由、受験する業界・会社・職種の志望理由、受験する業界・会社の理解と最近のニュースのチェック、今までの自分のキャリア・特に自分が一番よくやったと思える仕事は何か、自分の強み・弱み、今後のキャリア志向 etc.
なお、できれば実際の採用面接までに、先輩や上司に対して同じロジックで自分が転職活動をする理由などを説明してみて、突っ込みを受けた内容を改善した上で実際の採用面接に臨むとよいと思っています。

[2] 転職活動はオプションの1つと捉える
私の場合、転職することが唯一の選択肢だとは考えず、現在の仕事を続けることや、今の会社で部門異動すること、知人のツテで同業他社に転職すること、等といった複数の選択肢を常に比較して考えるようにしていました。この結果、「今目の前にあるこの会社をどうしても受けなければ/受からなければ」 という焦りがなかったため、頂いた求人案件を比較的フラットに評価することができ、面接でもいい具合に肩の力を抜くことができたと思っています。

ITコンサルの方に伝えたいこと

特に、私と同じようにITコンサルをされていて転職を考えている方に、2点お伝えしたいことがあります。

[1] ITコンサルの市場価値
私はITコンサルとして某S社のERPパッケージ導入に関する仕事をしてきましたが、元々ITに関するキャリアを志向していたというよりは、「少数精鋭の戦略系コンサルタントになりたかったが受からず、コンサルタントという名前がついている ITコンサルの仕事を選んだ」 という人間であり、ERPパッケージ導入の仕事の中でも業務要件定義や課題解決の領域に得意意識を持ち、SE・SIerというよりは “業務改善のコンサルタント” であるというアイデンティティで仕事をしてきました。非常にハードワークな仕事ではありますが、やりがいを感じる部分もあり、社内でもそれなりの評価を受けていたこともあり、約9年間仕事を続けてきました。また、いつか転職するなら事業会社の経営企画・経営管理、または主に会計領域を担当してきたため経理・財務部門といったところに興味を持っていました。

これに対して、あくまでも私見ですが今回の転職活動で感じたのは、
・ERPパッケージ導入の ITコンサルという仕事は、基本的にSE・SIerと同様の職種として認知される
・30歳を過ぎた ITコンサルタントが転職先として妥当とみなされるのは、同業他社か、事業会社の 「情報システム部」 である
ということです。もし事業会社の上記部門に行きたいと思えば、もう少し若い年齢の時に第二新卒扱いで入社するか、個人的なコネクションを作るか、狭き中途採用の門の突破に賭けるか、といったことが必要だったと思います。 (繰り返しますが、あくまでも私見です)
なお、私の場合は、たまたまバックオフィス間での人事異動を積極的に推進しているという事業会社に入社することになるため、このままずっと情報システム部でもいいという覚悟は持ちつつも、もしチャンスが掴めれば元々希望していた部門に異動できれば幸運、と思っています。

[2] 情報システム部という選択
私の場合は当初 「情報システム部」 という選択肢を考えていませんでしたが、今回転職活動を進めるにあたり、一度フラットな気持ちで自分にとってのメリット/デメリットを考えてみました。結果、安定雇用とワークライフバランス、今後の市場価値向上などといった自分が転職で実現したい要素を鑑み、実現可能性も考慮に入れると、実は情報システム部への転職は今の自分には良い選択肢であるという結論に達し、納得した上で今回の転職先を選びました。もし同じように情報システム部は考慮に入れていないという方がいらしたら、一度メリット/デメリットを整理してみてもよいのではないかと思います。 (ただし、まだ働き始めていないので自分の予想通りかどうかは分かりません)

転職エージェントにお世話になるということ

今回私が個人で転職活動するよりも転職エージェントにお世話になることを決めたのは、以下の付加価値を期待したためです。

[1] 個人より、転職市場に関する情報を持っているのではないか
[2] 個人で探すより、ニーズを満たす職種・会社をご紹介頂ける確率が高いのではないか
[3] 転職活動の流れや、各ステップに対する説明・リードを適宜して頂けるのではないか
[4] もしかしたら、年収に対する交渉力があるのではないか

また、転職エージェントの方にお世話になるにあたり一つ留意していたのは、過剰に依存しない、ということです。仕組み上私がエージェントの方にお金を払う立場ではないので、エージェントの方には自分とは別の利害があるはずで、私には私の利害があります。エージェントの方からの情報を元に自分のことは自分で考えて判断し、言いなりにもならないし依存もしない、その結果お互いWinWinの関係になれるようにしたい、と考えていました。
どのエージェントにお願いするか、という点については、先輩から教えて頂いた(株)エリートネットワーク様に連絡をとってみて、実際に生の有益な情報を持っていること、多くの一流企業にコネクションを持っていること、ご担当の転職カウンセラーの方の経験豊富さを感じたこと、などによりお世話になることに決めました。なお、実際にお世話になった結果としては、上記 [1]〜[4] に対して以下のような評価を持っています。

[1] については、他のソースからは得られない貴重な情報を頂きました。特に、年齢・キャリアを考慮した現在の自分の市場価値、同程度の属性を持った人材の転職事例、近年の各企業の採用動向などについて生の情報を知ることができ、キャリアを選択する際に大いに参考になりました。
[2] については、幅広い一流企業に当たって頂いた上、一般には募集していない枠をご紹介頂ける力があるということが分かりました。ただし、これは私の市場価値の問題ではありますが、私が本来希望していた経営管理・経理・財務といった職種にご紹介頂くことはできませんでした。
[3] については、こちらから問い合わせないと不明な点が活動中に発生し、説明不足を感じたこともありました。ただし、私がお金を払う立場でない以上至れり尽せりのサービスレベルを求めることはできないと思っていたので、適宜こちらからも確認するようにしました。
[4] については、特にそういった働きかけはなかったように感じましたが、結果として決まった条件には満足しています。

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