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プロサッカーチームの戦力外通告を経てスポーツ用品商社へ

プロサッカーチームの戦力外通告を経てスポーツ用品商社へ

No.523
  • 現職

    スポーツ用品商社 法人営業職

  • 前職

    通信サービス会社 法人営業職

長島 和之 氏 28歳 / 男性

学歴:阪南大学 流通学部 流通学科 卒

・プロサッカー選手を目指して

サッカーの魅力にとり付かれ、のめり込んだのは小学校4年生の時です。もちろん将来の夢はプロサッカー選手。毎日、日が暮れるまでボールを蹴って、好きな選手の試合のビデオを何回も見て、そうすれば必ずプロになれると思っていました。高校、大学とサッカーの強豪校に進学。そこでは自分より上手い選手が多く、試合に出場できないことが多かったのですが、プロへの憧れはずっと持ち続けていました。しかし、大学4年生になり、就職活動を迎え、将来のことを考えた時に 「もうそろそろ潮時じゃないか」 そう自分に言い聞かせ、就職活動をスタートさせ、数社受けた中からインテリア関連の企業から内定を頂きました。本音のところではサッカーへの情熱を心の奥にしまい込みながらの入社でした。

新卒で入社した会社では、営業職としての採用でしたが、人員の関係で営業事務をすることになりました。社内の専用端末を利用しての商品の受発注、電話や来客の応対、小口現金の管理などを主に行っていました。営業所ということもあり、社員数も少なく、良い上司に恵まれながら毎日を過ごし、サッカーも近所の社会人チームに入り、趣味程度で楽しく続けていました。そんなある日、転機が訪れました。

家でテレビをつけると高校時代の友人がJリーグで初ゴールを決めた映像がニュースで流れてきたのです。嬉しい気持ちの反面、悔しいという感情が徐々に込み上げてきました。「自分は毎日机に座って、パソコンとにらめっこしながら過ごしている傍ら、友人は憧れだったプロの世界で活躍している。自分はこのままでいいのだろうか?」 そんな気持ちが芽生えてきたのです。そして、もう一度プロを目指そうと決心し、毎日仕事を終えた後に、身体を鍛え直し、全国のチームのトライアウトを受けに行きました。その中で、これからJリーグ参入を目指すというチームに、縁あって声をかけて頂きました。「Jリーグで活躍した選手も数人在籍している」 と聞き、自分にとっては、この上ない環境であり、チャレンジしたい気持ちが沸々と湧いてきました。しかし、正社員である企業を辞める不安やチャレンジしたとしてもプロになれないかもしれないという不安がありました。本当に悩みましたが、「後悔だけはしたくない」そう考え、会社を辞め、その四国地方のチームに入団することに決めたのです。

・「実力がない者は去るしかない」 という現実

新しい地でまた一からのスタートとなりました。サッカーからの収入はなく、生活費を確保するため、チームから地元企業を紹介してもらい、正社員として働き始めました。その会社は、お弁当の製造や社員・学生食堂を運営している企業で、入社後3ヶ月は研修も兼ねて、工場の中で製造ラインに入り、お弁当の詰込み作業に従事。その後、未経験ながら経理課に配属され、買掛売掛処理や伝票管理などを担当。朝から夕方まで勤務した後、それから練習というサッカー中心の生活を送っていました。試合や練習があれば、平日であってもお休みを頂くなど考慮してもらっていた分、収入面はかなり厳しく、生活はいつもギリギリでした。

そうした中、チームの運営方針が変更になり、本格的にJリーグを目指すことになり、今までの夜の練習から午前中の練習に変わることとなり、お弁当の企業で働くのが難しくなり退社を決意。その後は、アルバイトをしながらサッカーを続けていくこととなった訳ですが、まさか26才でフリーターになるとは思ってもいませんでした。でも、この時期は不安や迷いもなくフリーターになることへの抵抗もありませんでした。好きなサッカーのためだから、仕方ないと。

しかし、現実は甘くはありませんでした。このチームでは3年間在籍し、最後の年に戦力外通告を受け、退団が決定。「全国には自分みたいな選手は大勢いる。年々競争も激しくなっているのが実情。そういった中で、今の年齢でサッカーを続けていけるのだろうか。」 本当に悩みました。そして、「トライアウトを受けて、合格しなければ、きっぱりサッカーは辞める。」 そう決断し、何チームか的を絞り、トライアウトを受けることにしたのです。しかし結果は、すべて不合格。
一度諦めかけた夢を求めて、会社を辞め、フリーターをしながら続けてきたサッカー。楽しさも教わり、同時に厳しさも学びました。実力がモノを言う世界です。実力がない者は去るしかありませんでした。

・無我夢中で取り組んだ家電量販店向けの営業

ここから、仕事を探すことになった訳ですが、今までは、サッカーという目標があり、そのためならどんな辛いことでも乗り越えてきました。その目標が消えた訳ですから、これから何を目標に生きていけばいいのだろうと思うようになり、無気力な日々が続きました。それでも、生活のために仕事をしなければなりません。派遣会社に登録し、何社か面接を受けました。この時期の私は、希望職種や業種などなく、紹介をして頂いた企業にただ面接に行っているだけという感じでした。そんな中、通信サービスの会社への派遣が決まりました。会社規模や認知度などを考えると、私にはもったいないくらいの企業でした。

サッカーがない私には、この仕事しかありませんでした。本当に無我夢中で働きました。業務としては、家電量販店における自社製品の販売促進と販売代理店のマネージメントが中心。営業職は初めての経験であり、これまでの社会人としてのキャリアもあってないようなモノ。サッカーを続けるための転職の繰り返しで、本当のスキルなど何も身についていないと自覚していましたので、社会人1年目の気持ちで臨みました。日々、ひたすら勉強。最初は、苦労のしっぱなしで、帰宅時間も夜中1時、2時を回ることも多々ありましたが、そういった中でも、サッカーで培ってきた協調性、向上心や粘り強さが自分の支えでしたし、逆に仕事をするのが楽しくて、辞めたいと思ったことは一度もなく、好きなサッカーをあれだけやったのだから、苦労するのは当たり前と思っていました。次第に業務の幅も広がり、市場やニーズを把握しながらの提案営業ができるようになり、お客様と信頼関係を築くことができるようになりました。

・甘かった転職活動に対する考え

こうして約2年が過ぎた頃、仕事にも慣れ、今後について考えるようになりました。理由としては、雇用形態と将来のキャリア像についてです。その頃には契約社員として雇用されていたのですが、元々、正社員登用制度がなく、いずれ転職をしないといけないと感じていました。また、ずっとサッカーをしてきた分、同年代の方に比べ、ビジネスマンとしてのスキルや経験が圧倒的に不足していると自覚していました。だからこそ、成長スピードを加速させたいと思うようになっていました。また、東京にいるお付き合いしている女性との結婚を考えるようになり、年齢的にも転職のタイミングであると考え、その会社を辞め、東京で転職活動をすることを決断しました。

しかし、今振り返れば当初は転職を安易に考えていたかもしれません。東京での転職活動であり、求人数も多いだろうと思っていました。希望する業界、将来像やどういった志向を持って活動していくか、不透明な部分が多くありましたが、とりあえず転職エージェントに登録さえすれば、どこかしら良い会社を紹介してもらえるだろうと思っていました。その考えは、最初に面談したキャリアコンサルタントの方に散々ご指摘頂き、脆くも崩れ去りました。転職市場での自分の置かれている立場は、自分が想像しているよりも厳しいものがあり、まず活動を進める上で自分の考えをまとめることからスタートさせるという状況でした。

当初は前職に引き続き、通信関係で探していましたが、改めて考え直し、転職活動は仕事の思考の幅を広げるチャンスだと考え、様々な業界に応募しました。また、今回の転職で叶えたいこと、どういったキャリアプランを築いていくか、希望年収など転職活動の軸となる部分を固めていきました。その中でも強く意識していたことは、焦らず納得して決めることでした。
最初に登録した転職エージェントから多数の企業を紹介して頂きましたが、その中で自分から踏み込んで応募しようと思う企業はほとんどなく、その中から受けた企業も納得がいかず辞退。「選べる立場にいないことは重々承知している。だけど妥協だけはしたくない。」 そう考えていたものの、何かモヤモヤしたものが拭い去れず、判断基準が曖昧になっていて、この感覚が拭い切れないと先に進めないと感じるようになっていました。

・(株)エリートネットワークさんとの出会い

思うような転職活動ができない中、ネット上で(株)エリートネットワークさんの広告を発見しました。複数の転職エージェントに登録はしていましたが、カウンセリングはまだ一社しか受けておらず、先の見えない転職活動に不安を覚えていたこともあり、すぐに登録しました。登録後、転職カウンセラーの金入さんからご連絡頂き、カウンセリングを実施してもらいました。同じ体育会系出身ということもあり、共感して頂け、親身になってご相談にのって頂き、次第に転職活動の方向性が見えてきました。私がこだわっていたのは、商材と企業の将来性でした。営業するにあたって自分自身が熱意を持って伝えることのできる商材かどうかにこだわると共に、結婚を視野に入れていたため、ある程度の規模で安定感のある企業を探していました。

その流れで数社ご紹介頂き、一社一社、丁寧に説明をして頂き、非常にイメージが湧き易かったのを覚えています。面接対策も具体的にご指導頂き、その上で企業研究に10時間かけ、質問も20〜30個考えて面接に臨みました。数あるアドバイスの中で、非常に役立ったのが 「自分がそこの企業で働いているイメージを持って企業研究や面接に臨んで下さい」 というものでした。当たり前のことかもしれませんが、今迄はそういったことが全くできていなかったのです。これを実施することで非常にスムーズに面接を進めることができたと感じています。
ご縁あって第一志望のスポーツ用品商社から内定を頂き、入社を決めました。しかしはじめは正直、サッカーから離れようと考えていました。戦力外になって悔しかった気持ちを思い出すのではないかと考えていました。ただ、そこから逃げていたら何も変わらない、前に進めないのではないかと今回の転職活動を通じて思うようになり、今では、自分の経験が少しでも人々のお役に立てればと考えています。

・今回の転職活動を通して

今回の転職活動は、苦しくもありましたが、良い経験が出来たと思っています。改めて世の中の仕事の豊富さを知り、自分のキャリアについて考える良いきっかけになりました。不安や焦りに駆られることもありましたが、常に前向きに考えるようにしていました。以前も何度か大きな決断をしたことがありますが、一度も後悔をしたことはありません。きっと後悔しないように選んだ道で必死になってやってきたからだと思います。私はようやくスタートラインに立つことができました。これからが大変だと思いますが、一歩ずつ乗り越えていきたいです。

此の度は、本当にお世話になり、ありがとうございました。

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