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サブプライム問題を機に、安定企業に転職

サブプライム問題を機に、安定企業に転職

No.348
  • 現職

    一部上場 大手流通業 本部Mgr

  • 前職

    (株)リクルート 法人営業職

    家業のアパレルメーカー 取締役

    上場企業100%子会社 取締役社長

佐藤 勤二 氏 39歳 / 男性

学歴:慶應義塾大学 文学部 哲学科 卒

今までの経歴

新卒で(株)リクルートに入社し、その後家業であるワイシャツアパレルメーカーを兄と一緒に継承したが、3年後に営業譲渡という形で幕を閉じた。
その後子供の頃からの夢であった「ホテル経営」への第一歩として、飲食業界へ飛び込んだ。いち現場担当から入り、店長、新規店舗OPEN担当、ブライダルコーディネーターと営業面における現場経験を積んだ後、4回目の転職で「業態開発」と「事業責任者」の経験を積んだ。その後、大手アパレルの飲食子会社の社長にヘッドハントされた。飲食業界に入って5年目の春だった。しかしながら大きな成果を出すことが出来ず、4年間で退任する事となった。その後、不動産開発をバックボーンにサービス業を展開するベンチャー企業へ入社し、事業管理と業務管理を担当したが、サブプライムローンによる打撃を受け会社の業績が悪化し、株式公開企業である親会社から会社分割を宣告され、7回目の転職を決意した。

転職にあたって

約10年間飲食業界に身を置き、現場から経営までを経験してきたが、どんなに頑張っても生産性が上がらない業界である事を身を以って経験した事から、今までの経験を生かせる業界で、且つ生産性の高い業界で再度力を試したいと考えるようになった。
私のキャリアからすると、やはり小売・流通業界の枠から外れるというのは年齢的にも難しいのは理解していた為、その範囲の中での動きとなるが、その後リーマンショックが火付け役となる「100年に一度の経済不況」がやってくるぐらい世の中は不景気の入り口にいた為、自然と「安定感」というものを視野に入れるようになった。
この10年間はただひたすら「走り続けた10年間」であって、一生懸命後ろを振り向かずに走り続けてきた。しかしながら、それは世の中の好景気という追い風もあったから出来た事であったのだとこの不景気を経験して初めて気がついた。


今まで「安定感」といった概念を全く持った事がなく、どちらかというと「チャレンジ」という概念のみで仕事をしてきた為、今回の「安定感」を視野に入れての転職活動は正直違和感だらけであった。私のイメージでは「安定感=年功序列終身雇用」というものであり、「そんな会社に入ったら歯車にしかなれない」という固定概念があった。しかし今回の経済不況に関しては、その考えを根本から考え直させなければ生きていけないのではと不安視させられるぐらいの強烈なインパクトがあった。結果として私は「安定感」というものを受け入れ、一部上場流通企業の本部へ7回目の転職を決意した。しかし、この選択は私にとって今までとは違った意味での「チャレンジ」でもあった。それは、
[1]同じ流通業界といえども全く経験した事がない業界へのチャレンジ
[2]大きな組織の中での仕事における立ち振る舞いへのチャレンジ
の2つであった。そしてこの「チャレンジ」には今までに思いもしなかった「不安」という要素が含まれていた。

入社後

入社して1ヶ月は研修等であっという間に過ぎていったが、正式着任後から段々と現実が見えるようになってきた。そしてその現実を知れば知るほど、若干苦しく辛い日々がやってきた。それは小売・流通業界特有の「旧態依然とした業界全体の風土」であった。
全ての考え方が積み上げ式であり、経験が無いと全く理解出来ない仕組みになっていた。管理職における通年採用の受け入れ態勢も弱く、管理職として採用しているにも拘わらず、与えられた仕事は担当レベルのものしか与えられず、周りからは「よそ者」扱いを受ける事もあり、毎日苦痛の日々が続いていた。一番頭を悩ませたのはやはり自分でも不安視していた「大きな組織における仕事に関する立ち振る舞い」という部分であり、誰にどのように話を持っていって、どのような調整が必要で、どこで判断してもらうか等の細かい「気使い」が全く分からなかった。元々の性格もあるが、この7年間は部長職以上の職種しか経験しておらず、考え方や数値に関してもマクロ的な部分での業務がほとんどだったのに対して、大きな組織の中でのマネジャー職は小さな会社の担当レベルの職務領域であり、相当ミクロ的な感覚で仕事をしていかないとならなかった。よって視野が狭まり、周りが見えづらくなり、成長するのに時間を要し、更に「旧態依然」とした風土も加わり、私的には相当目線を下げて仕事をしなければならない環境であった。「マネジャー」という職位にも拘わらず、管理職として機能出来ている人材は私の周りに少なく、自分の業務を担当者レベルでこなしている人がほとんどだった。よって「マネジャー」というのは管理職という感覚より「長く働いているから」といった意味あいの方が強く感じられた。恐らく当人達の感覚においてもそんな感じなのであろう。そんな人達が部長になり、役員になっていったのかと考えると、先行きが暗くなり、ネガティブな考えしか頭に浮かんでこなくなった。


しかしながら最近では今回のチャレンジに関しては予想の範囲であった事と、今までがむしゃらに走り続けてきたからこそ見えてくる温度差でもあり、長い目で見た場合は決して悪いものではないと思えるようになってきた。目の前の業務に関しては相変わらず日々格闘ではあるが、それが決して悪いものではない事は理解していたし、ビジネスにおいては色々な「チャレンジ」の仕方があるのだなとも思えるようになってきた。
今回の転職において一番私が感じ、実践しようと思っている事は「遅すぎることはない」という事である。「もう一度ペイペイからのスタートだけど、人間やる気と目標をしっかり持っていれば、どんな環境下にいても遅過ぎるということはない」という事だ。これは私にとって今までにないまさしく新しい「チャレンジ」である。

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