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総合商社から独立開業を経て、企業研修講師へ

総合商社から独立開業を経て、企業研修講師へ

No.951
  • 現職

    日系 企業向け研修・組織コンサルティング会社   研修講師

  • 前職

    一部上場 大手総合商社 食品部門   法人営業職
    個人事業主 (カウンセリング・コーチング事業)

平山 夏美 氏 35歳 / 女性

学歴:国際基督教大学 教養学部 国際関係学科 卒
Oxford Brookes University DELS-PG 卒
Goldsmiths College (University of London) Department of Sociology 卒
(社会学修士)
TOEIC 970点
産業カウンセラー

新卒時の就職 (総合商社)

新卒時の就職活動時は海外に留学中で、日本での活動期間が限られていたため、以下の条件を満たすと考えられる総合商社にのみに絞って就職活動を行った。

・経営的な視点や知識・経験を身につけることができる環境。
・若いうちから責任ある仕事に携わることができ、挑戦と刺激が多く自身の成長が期待できる環境。
・グローバルに活躍する人間として自分を磨くことができる環境。

数社ある総合商社の中でも最も自身の能力や性質を活かし、のびのびと活躍している自分をイメージできる企業に就職を決めた。自由闊達で風通しの良さそうな社風が一番の決め手であった。

戦後の何もないところから会社を興した祖父母、その会社を継いで経営していた両親を間近で見て育った私には、漠然と 「自分もいつか起業し、経営者になりたい」 という思いがあり、総合商社という環境はそのための知識や経験を身につけるのに適した場所であるように思えた。また、私自身の経歴や能力、性格的特性を考慮すると、海外企業とのビジネスに携わることが自然であるし、自分らしく活躍できると考えての選択であった。

入社後は食品流通に関わる営業部門に配属され、食品ブランドの輸出入ビジネス担当となった。既存ビジネスの維持拡大と新規ビジネス構築、国内外メーカーとの交渉 (代理権獲得、価格、販促予算など) や品質改善提案、物流・流通網の構築、販路開拓などを行った。また、海外企業買収のデューデリジェンスのため現地に駐在したり、合弁会社に出向し経営上の大きな問題の解決に取り組むなどする中で、経営への関心が強くなっていった。

独立開業に至った経緯

入社から5年ほど経った頃、仕事はおもしろくやりがいはあったし、待遇などに不満はなかったものの、このままでいいのだろうかという思いが芽生え始めた。担当する商品は変われど、ビジネスの仕組みは大きくは変わらないため、完全に新しいチャレンジがなく成長の余地が少なくなっているように感じ始めていた。また、企業の一員としての仕事はできるが、企業の看板を剥ぎ取ったいち個人としての自分には何ができるのか? 起業をして自分の力を試してみたいという気持ちも強くなっていた。しかし、この当時は何の事業で起業をしたいのか? という具体的なアイディアが全くなく、悶々とした歯痒さを感じていた。

起業のタネを見つけたきっかけは、メンタルの問題を抱えていた当時の恋人をサポートしたいとの思いから、カウンセリングやセラピーメソッドを学び実践し始めたことだ。彼以外にも友人など周囲の人たちに対して心理的なサポートをしていく中で、相手の変化や成長に携わる喜びを見出した。また、相手の話を傾聴すること、適切な質問を投げ掛け相手の頭と心の中の整理をし、答えを見つけるサポートが得意だということも発見であった。人が成長する際に発する強力な輝かしいエネルギーにもっともっと触れていたいという思いが強くなり、入社から8年で総合商社を退職し、個人で仕事をしていく決断をした。

「食べていけるかどうか、成功できるかどうかもわからないのに、なぜ高収入で安定した職を捨てるのか?」 と様々な人に聞かれたが、私は 「できるか、できないか」 で物事を判断しない。「やりたいか、やりたくないか」 だ。やりたかったら、やれる方法を見つけるのみである。

とはいえ、コネも看板も何もない個人事業主としてカウンセリングやコーチングを始めたので、当初は非常に苦戦した。時間あたりいくらで個人の顧客にカウンセリングなどのセッションをするだけでは、数をこなさなければ収入が増えない。にも拘わらず、大企業の看板で黙っていても仕事が来ることに慣れていたため、集客の方法もよくわかっていないという状態だった。また、業界水準の料金に合わせてしまうと、かなりの顧客を獲得しなければまともな収入にはならない。

価格競争を避け、少ない顧客数でも十分な収入が得られる方法はないかと考えた結果、独自の “目標達成型メンタルコントロールメソッド” を開発することにした。高額商品として、そのメソッドの実践者を育成する講座を提供することで、安定的に十分な収入を得られるようになった。

再度、企業への就職を決意したきっかけ

独立して2年ほどたった時に、今後もこのビジネスをやり続けたいのだろうかと考え始めた。個人でゼロからビジネスを作り上げ収入を得、メソッド実践者も養成できたことで、満足してしまったのだ。将来的には協会を設立し、資格ビジネスに育てたいというビジョンを当初は持っていたものの、最早このビジネスを続けることにワクワクしなくなってしまったのである。

講師として養成講座を行ったことで、私は個人のクライアントにセッションを行うよりも、多人数に教える、人前で話すことの方が喜びを感じることに気づき、講師という仕事に集中したいと思うようになった。また、個人で仕事をやる以上は自分で集客をし続けなければならないが、私にとって集客は面白みや喜びを感じる対象ではないため、そこにエネルギーを割きたくなかった。そこで、セミナー講師としての職に就いた方が、集客のことを気にせずに講師の仕事に集中できると考え職探しを始めた。

当時は自分のビジネスも継続しながら、フリーランスまたは契約講師として仕事をしていきたいと考えていたが、希望に合うものは見つからなかった。(株)エリートネットワーク様のウェブサイトで1件興味を持てる講師職の求人を見つけ、登録し、ご担当の廣重様と話をした結果、基本的には副業NGとのことで断念した。自分のビジネスから完全に離れる心の準備はできていなかったのだ。

その後、ゼロから形にしたビジネスを簡単に手放して良いのだろうか? と何度も考える中で、ビジネスそのものにワクワクしないというよりは、個人で事業をやっていくことで得られる成長に限界を感じている自分に気がついた。優秀な人材に囲まれて刺激を受けながらもっと成長したいと感じていた。自分で作ったビジネスでありながら、どこかそれに縛られているような、自分の能力や経験を活かし切れていないようにも感じていた。また、社会に大きなインパクトを与える仕事をしたいという欲求が湧いてきて、それであればやはり、個人向け自己啓発のためのセミナー講師をやるのではなく、企業研修の講師が適切であると考えるに至った。

転職活動から採用決定まで

転職を考え始めてから3ヶ月ほどかけて、正社員として企業研修の講師になる意志が固まった。改めて職探しを始め、今回採用された企業の求人を見つけ、(株)エリートネットワーク様の廣重様に再度連絡を取った。以下のこだわりポイントに完璧に合致する企業で、正社員として仕事をするならここしかないと思ったほどだ。

・新しいことにチャレンジし続けたい。成長し続けたい。
・人、組織の成長に関わりたい。
・人前で話す、教える仕事がしたい。
・教育プログラムやあらゆる局面で通用する普遍的なメソッドを開発したい。
・優秀な人材に囲まれて刺激を受けられる環境で仕事をしたい。
・社会に大きなインパクトを与えたい。
・経営に携わりたい。
・海外展開に携わりたい。
・自身の能力や経験、性質を活かし、のびのびと活躍している自分をイメージできる相性の良さ。

担当の廣重様からご紹介可能とのお返事をいただき、速やかに採用面接が設定された。
事前準備として、企業のウェブサイトを読み込み情報収集を行った。ビジョン、社風、どんな人材を求めているのかなど、創業者や役員、社員の方の心の乗った言葉で書かれた文章はご本人たちと直に話をしているかのように感じられるほどで、実際の面接では、ウェブサイトから私が得た印象と実際に会って話をしての印象が同じであることを確認するような感覚であった。

面接の際に心がけたことは、大きなキャリアチェンジをしようとしている私に対する先方の疑問を解決することだ。なぜ今のビジネスを辞めてまで再度企業内で働きたいのか? 先方の事業領域は 「思考系」 の研修であり 「マインド系」 ではないが、なぜ興味があるのか? など、先方の不安や疑問を、前もって廣重様がしっかりヒアリングしてくれていたので準備がしやすかった。あとは、自分らしく受け答えをすれば採用されるだろうという確信があった。それ程抜群の相性の良さを感じていたのだ。三度の面接の結果、最終面接のその場で内定をいただくことができた。

終わりに

今回の転職活動を振り返ってみて思うのは、個人で働くか、企業で働くかは重要ではないということ。事業主であるのか、雇用されるのかということも、私にとってはどちらでも良い。自分が人生で何をしたいか、どう生きたいかが全てで、それを可能にする現時点のベストな選択が今回の転職であった。

入社日は1週間後。今は、新しいチャレンジが始まるワクワク感と、未知の仕事に対する適度な不安が入り混じった、冒険に出る前のような高揚した気持ちだ。新しい環境で刺激を受け、成長し、さらに自分を活かし、社会にインパクトを与えていくことが楽しみである。

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