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法科大学院修了の29歳未就労法務、5回の司法試験失敗をバネに上場企業のグループ会社に

法科大学院修了の29歳未就労法務、5回の司法試験失敗をバネに上場企業のグループ会社に

No.1257
  • 現職

    大手インターネットグループのキャッシュレスサービス会社 法務部 法務担当

  • 前職

    法科大学院 修了(未就労)

曽野 圭一 氏 29歳 / 男性

学歴:桐蔭学園中等教育学校 卒
上智大学 法学部 卒
中央大学法科大学院 修了
司法試験短答式試験 合格
TOEIC L&R 680点

1,はじめに

 私は、法科大学院修了後、司法試験を5回受験しました。5回目の不合格後は、早く自分の力を社会のために役立てたいと思っていたこと、停滞している自分の人生をどうにかして前に進めたいという思いが強かったことから、予備試験などに再度挑戦するのではなく、就職するという道を選択しました。幸いにも、約1か月半の就職活動期間で4社から内定をいただき、それらの中でエリートネットワーク様からご紹介いただいた企業へ就職することとなりました。

 既卒・20代後半・職歴なしの私と同じような状況で、これから就職をしようと考えている方々に、少しでも参考にしていただければと思い、『転職体験記』を書かせていただきます。

2,就職活動を始める前に

 私は、2020年8月の司法試験受験直後に、不合格であったときの保険という消極的な理由で、合格発表までの間に就職活動をしておこうと考え、そのための情報収集をしていました。しかし、ネット上には “不合格になった法科大学院修了生の悲惨な末路” などと題した記事が多く存在すること、一部の大手人材紹介会社からは登録さえも断られたこと、コロナ禍の影響で就職難が叫ばれていること、そして何より、複数回の司法試験への不合格という事実から私自身が自信を完全に失っていたことから、「このままのメンタルでは何もうまくいかない。まずは自分がどのような人間なのかを知り、どのような人生を歩みたいのかをもう一度明確にしよう。」と考えました。

 そこで、司法試験合格発表までの約5か月間で、自分の趣味であるトレーニングのインストラクターとして仕事をしたり、以前から興味のあった楽器や英語の勉強を始めたりと、とにかく自分が何を楽しいと感じるのか、自分にとっての幸せとは何かに向き合う時間を作りました。このような時間を設けることで、「就職という道は、私が幸せになるための一つの手段に過ぎず、残された唯一の道というわけではない」「既卒・20代後半・職歴なしという客観的には悲惨な状況でも、笑顔になれる瞬間が私の人生には多くあるのだから、これからも余裕で生きていける」というように、心の平静と前向きさを取り戻しました。

 そして、心の余裕と前向きさを持った上で、私は人との関わり合いの中で仕事をするのが好きであり、企業という組織の中でこそ成長と喜びを実感できる人間だという思いに至りました。そこで改めて、前述したような消極的な理由ではなく、私の人生を幸せなものとする積極的な手段として、就職活動をするという決意をしました。
この心の余裕と前向きさは、その後の就職を成功させる上で最も重要な要素であったと思います。

 今現在、司法試験の不合格などから人生に対して絶望と恐怖心を抱いている方は、就職活動を本格的に始める前に、まずは自分の興味のあることにひたすら取り組んでみたり、この世界には今まで自分が信じていたものとは全く異なる価値観や生き方が存在することを知ることで、心の平静と前向きさを取り戻す時間を設けることを強く勧めます。

3,就職活動に際してこだわった点

 私が今回の就職活動に際してこだわった点は、「過去に固執した選択をしない」という点でした。

 私は幸か不幸か、司法試験の不合格によって、これからの生き方を一から考えるチャンスを得ました。このせっかくのチャンスを活かすために、過去に固執した職業選択をするのではなく、もっとオープンなマインドを持つことで、自分の可能性を広げたかったのです。そのため、就職活動の初期段階では、業種も職種も絞っていませんでした。結果的にはすべて法務職での応募となったのですが、それは私が長い間法律を勉強してきたことに固執した結果ではなく、私の特徴は法務職でこそ活かせると感じたからです。

 前述した自分に向き合う時間を過ごす中で、私の特徴は人とのコミュニケーションが好きなところ、行動力のあるところ、そして、知識を深堀りするのが好きなところだと感じました。そして、企業の中で法務として働く友人や、就職活動をする中で出会った人のお話を聞く中で、法務人材に必要な能力は、他の事業部や企業の上層部の方々と円滑なコミュニケーションを取ることのできる能力と、常に自分の知識をブラッシュアップし続ける知識欲であると感じたのです。これらは、前述した私の特徴にピッタリと合ったものであり、だからこそ私は法務職でこそ輝けるはずだという考えに至りました。
実際、就職活動で面接を受けた実感としては、どこの企業も法務部員としての柔軟なコミュニケーション能力を持った人間かどうか、をかなり重視している印象でした。

 司法試験の受験から撤退し企業への就職を考えている方は、今まで法律を学んできたから法務職でしか応募しないと安易に考えるのではなく、まずは希望する職種の実態を知り、それが自分の特徴を活かせるフィールドなのかをしっかりと吟味する必要があると思います。そのためにも、まずは「過去に固執した選択をしない」という気持ちで就職活動を開始してみるのもいいと思います。

4,就職活動を通して学んだ点

 私が就職活動を通じて気付かされたのは、司法試験での失敗は就職において必ずしも不利にばかり働くものではないということです。

 どの企業も、当然司法試験での失敗経験を聞いてきます。人によっては思い出したくない過去でしょうし、何かに失敗した弱い自分を見せることは不採用に繋がると怯える人もいるでしょう。しかし、採用側は、失敗した過去があるかどうかではなく、そこからどう立ち直ろうとしているのか、ひいては、仕事上の困難に直面した時にどう対処する人間なのかを重要視していると思います。

 大きな挫折から前向きに立ち直ろうとする姿勢を見せ、これから企業で働く上での熱い意気込みを伝えることが出来れば、それを評価してくれる企業はたくさんあります。実際、私が内定をいただいた4社から面接後のフィードバックをいただいたところ、司法試験の失敗から前向きに立ち直ろうとする姿勢を高く評価してもらえたようです。

 たしかに、20代後半もしくは30代で職歴がないという点は就職において大きなビハインドです。しかし、採用においての一番大きな決め手は、結局は、「一緒に働きたいと思う人間かどうか」なのだと思います。そこで大きな挫折にも負けない前向きさやタフさ、明るさを見せることが出来れば、それは他の職歴のあるライバルにも負けない武器になるはずです。冒頭でお伝えした、心の余裕と前向きさを取り戻すことの重要性はここでも活きてきます。

5,次の職場に賭ける意気込み

 働く経験が初めてなので、当然不安はあります。しかし、今は不安よりもここから自分がどう成長していくのか、非常に楽しみです。数年後、社会人として胸を張れるような成長・活躍をしたいと思います。

 私は今回の就職活動で、司法試験を経験した後、現在企業でご活躍されている方々と多く出会いました。私の出会った方々は、皆様司法試験の失敗をバネに強い気持ちを持ってお仕事をなさっているとともに、非常に他人に対して優しい方ばかりでした。就職活動中は、そのような方々の存在が私を勇気付けて下さいました。今後は、企業が法科大学修了生を積極的に採用しようと思ってくださるような働きをすることで、少しでも後進の方々のお役に立ちたいと思います。

6,最後に

 私が約1か月半の就職活動で前向きに居続けられたのは、担当の転職カウンセラーの木村様のサポートがあったからこそです。面接の度に手厚くフォローとアドバイスを下さったことが、就職活動未経験の私には非常に力になりました。

 この場を借りて、担当していただいた木村様に改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 以上

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