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女性キャリア官僚、30歳で霞が関から民間企業への転職

女性キャリア官僚、30歳で霞が関から民間企業への転職

No.1050
  • 現職

    国内 大手シンクタンク 研究員

  • 前職

    中央官庁 国家公務員 総合職(旧・国家公務員Ⅰ種)

有村 春香 氏 30歳 / 女性

学歴:東京大学 文系学部 卒
海外 国立大学大学院 留学
TOEIC 940点

この度、エリートネットワーク様のおかげで素晴らしい企業への内定をいただくことができました。明日からいよいよ転職という本日、自分自身に気合を入れるためという意味もあり、『転職体験記』を書かせていただいております。この体験記が、これから転職を検討される方、特に私と似た境遇の方のお役に立てることを願います。

私は大学時代、人文科学系の専攻でした。コツコツ調べてまとめたり、フットワークの軽さを活かして調査旅行に出たりすることが好きで、就職よりも進学したいと考えていました。しかし、私の大学三~四年生当時は就職難で、周りの友人が必死に準備して就活してもなかなか内定を貰えない様子を見て、今後景気がもっと悪くなるかもしれないのだから、早く社会人になってしまうべきなのではないかと焦り始めました。

当時の私は視野が狭く、「民間企業は利益を優先するけれど、公務員なら利益にとらわれず公共のための仕事ができる。」、「女性が働くには、産休育休の取りやすそうな公務員でないと難しい。」という型にはまった発想から、国家公務員を目指すことにしました。今思えばよく間に合ったなと思いますが、大学でも学ばなかった法律を半年弱かけて無理やり頭に詰め込み、なんとか国家公務員Ⅰ種試験に合格、希望の省庁から内定をいただきました。

このように、私の就職に当たっての諸選択は保守的で、「熱い夢を追いかけて!」というよりは、堅実なキャリアを歩もうとしていました。そうは言っても、私はこの就職が自分にとって正しいものだったと思っています。 日本の政府というのは私が思っていた以上にスケールが大きく、ここに就職しなければ想像もできなかった仕事をさせてもらい、本当に多くの知識経験を積ませていただきました。また、多くの優秀な頭脳を持った方々と関わる中で、自分自身のものの考え方や振る舞いも大きく変わりました。学部卒業後進学されて、そのまま研究者となる立派な方々ももちろん数多くいらっしゃいますが、私個人の場合は、一旦研究と離れた世界で社会人となることが、自分の成長につながりました。

さて、誰しも多かれ少なかれそうだと思うのですが、私は就職してしばらく経つと、この職場で良かったのか、他の場所の方が向いているのではないか、という迷いが生じてきました。公務員の仕事は自分にとって「できない」ことではないのですが、「長所を活かせる」仕事ではないと気づきました。公務員の仕事というのは、どんな個人がその仕事をしても大体同じ結果が出せるようにつくられています。考えてみれば当然です。従事する人によっては国の決めた政策が実行できない、などということになったら大変ですので、誰でもほぼ同じ結果が出る仕組みになっているのです。これは政府という巨大組織ならではの、素晴らしい点です。

しかし逆に言えば、個性を発揮することが基本的には許されない仕事、ということでもあります。公務員の世界でいう「仕事ができる」は、「結果を出すために用意された仕組みを効果的に活用することができる」ことであって、何か一芸に秀でていることではないと感じました(あくまで私の主観です。)。そうだとすると、「仕事ができる」ようになることは、自分の目標だとは思えなくなりました。加えて、他人の芝生が青いという想いもありますが、民間に就職した友人たちが生き生きしている様子を見るにつけ、迷いが強くなっていきました。こうした段階になって初めて、私は、仕事に「熱い夢」が必要だと思うようになりました。

転職に障害がなかったわけではありません。幸い夫は快く賛成してくれましたが、やはり「もったいない」「今更民間でやっていけるわけがないだろう」という周囲からの反対はありました。また、公務員のキャリアというのは他のどんな職種にとっても、即戦力になるようなキャリアではありません。三十歳という年齢では、第二新卒で採ってもらうのは無理。それでも即戦力にはなれないので、実質的に第二新卒だが中途採用という形で採用してくれる会社を探すしかありません。

自分で転職サイトに掲載されている求人を色々見ましたが、どれも私の年齢で未経験では応募すら難しいことを理解し、半ば諦めた時期もあります。そんな時、検索中にたまたま「エリートネットワーク」の『転職体験記』の頁を見つけ、自分と同じ国家公務員の人が「エリートネットワーク」を通じて数多く転職していることを知りました。それで思い切って、ダメもとのつもりでカウンセリングを申し込みました。

対応してくださった転職カウンセラーの廣重さんは、転職についてまるで無知な私に対し、一から丁寧に教えてくださいました。他の方もそうではないかと思うのですが、就活の情報というのはいくらでも飛び交いますが、社会人の転職の情報というのは公に口にするのがタブーのようなところがありますから、欲しいと思ってもなかなか手に入りません。自分のキャリアではどんなところに転職できるか、などという相談ができるのは、やはり専門の転職エージェントだけだと思います。

廣重さんから、私でも充分転職できる可能性がある旨説明を受け、ほっといたしました。私が研究業に興味があることをお伝えしたので、日系のシンクタンクの求人をいくつかご紹介いただきました。次は絶対に自分の長所を活かせる仕事、かつ家庭も大切にした働き方のできる仕事をしたいと考えていた私は、職務内容や勤務形態へのこだわりが強く、色々と細かい希望を申し上げましたが、廣重さんには最大限対応していただいたと思います。

面接は、合計三社受けました。転職は新卒の就活とは違い、学生向けインターンシップや現職職員との意見交換会といったものを経ることはできませんので、面接は社風を知る唯一の貴重な機会と言えます。私も面接を通して各社の大体の雰囲気を理解し、自分の中での志望順位を決めました。面接では、私が業務未経験ということもあったのかもしれませんが、専門知識の有無を試されるようなことはなく、転職の動機を中心に質問されました。一般に、現職への不満を転職の動機として答えるのは、マイナスポイントです。私ももちろん、そのようなことはしませんでした。

しかし、かといって、面接受けの良さそうな話を編集するようなこともしませんでした。これは転職の動機にもよるかもしれませんが、私の場合は「長所を活かせる仕事がしたい」だったので、仮に面接向けに取り繕った自分を評価され内定をいただいてしまうと、結局その転職先でも自分の長所を活かせないと思いました。背伸びせず、ありのままの自分で、三十歳業務未経験でも良いと言って貰えた時だけ、転職しよう。このままではダメと言われるなら、今の仕事をこのまま頑張ろう、と決めていました。

幸いなことに、最終的に、第一希望の企業から内定をいただくことができました。あまりにもリラックスして面接に臨んでいたため、今でも内定をいただいたことにびっくりしています。面接期間中は、各面接が終わるたびに廣重さんに御連絡し、印象や感想をお伝えして、次へのアドバイスをいただきました。転職活動は現職に伏せながら行いましたし、他の転職希望者と接する機会もありませんでしたので、ただ面接を受け終えてそのまま帰るのでは不安になると思います。その点、エージェントに逐一報告することは、転職活動者にとって良い精神安定剤になります。さらに、内定のお断りなど、相手方に直接言いにくいことであってもエージェントを経由できるのは、自らのストレスを軽減できるのでとてもありがたかったです。

霞が関を去る時は、やはり初めて社会人として鍛えていただいた場所ですから、後ろめたさのようなものがありました。しかしここまで来た以上は、霞が関で得たもの、いただいた恩を台無しにしないよう、新しい仕事を誠実に行っていきたいと思っています。人事から引き止めにあったりすると、現職を出て行くのを不義理に感じ、転職を思いとどまる人もいるかもしれませんが、転職は誰に対する不義理でもありません。いなくなる一瞬は波乱があるでしょうが、組織というのは一人抜けても、時が過ぎればまたうまく回って行きます。それに、世の中は不思議なもので、一度関わった人とはまたどこかで関わりがあるものです。御恩があるならば次の機会に別の形でお返しすればよく、そのためにも、自分の選んだ新しい環境で、しっかりとキャリアを積んでいければよいのだと思います。

明日から新しい職場に移るのですが、学生時代の憧れをもう一度追うことができるなんて、まだ実感が湧きません。そして、生活の大変化に緊張しています。でも、一から学び直すことは、異動の頻繁な公務員生活で慣れていますので、きっとそこが元・公務員の強みだということで、開き直って頑張りたいと思います。まとまりのない文章でしたが、誰かの参考になることがあれば嬉しいです。

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