本日現在:1212 転職体験記
No.999

ポストコンサルタント37歳女性、財閥系不動産会社の総合職に

前職
日系 コンサルティングファーム 戦略コンサルタント
現職
一部上場 財閥系 老舗不動産会社 総合職
蘇我 真記 氏 / 37歳
旧・帝国大学 理系修士 修了
TOEIC 780点
初級システムアドミニストレーター試験 合格

●最初の1社を見つけるまで

その日は疲れ切っていた。それまで2週間、ストレスでほとんど眠れない日が続いていた。その日も2時間も寝ないまま、朝9時、銀座の(株)エリートネットワークのオフィスに着いた。

転職エージェントの梯子はこれで3人目だった。
1人目は数十枚の求人票を並べ、大量の情報提供をするサービス精神旺盛な良い人だったが、これという求人案件の提案はなかった。
2人目は手ぶらで現れた。恐らく新人なのだろう、どうして良いか分からない様子で2、3質問し、沈黙に耐えかねるように面談を切り上げ、メールで求人を送ってくるようになった。

13年も戦略コンサルタントを続けたお蔭か、キャリアアップするなら行き先には困らなさそうだった。
一方で、これと言って成し遂げたいことがある訳でもなければ、経営者になりたい訳でもなかった。そのため、ポストコンサルタント向け求人の「経営企画室長ポジション」や「将来の幹部候補」、「急成長企業のCXO」等と踊る誘い文句を見ても絶望的な気分にしかならなかった。全く興味が湧かなかったからだ。

社風が合って、仕事が面白そうな会社ならどこでもいい。
収入にこだわりはない。600万円くらいまで下げてもいい。
ジョブホッピングはしたくないので、日系企業志望。
上意下達の組織は肌に合わない。

これがなかなかない。積極的に応募したいと思える企業は、ほとんど見つかっていなかった。
転職に希望を見出せないまま、暗い気持ちでエージェントの梯子を続けていた。

3人目のエージェント、エリートネットワークの転職カウンセラー、高橋さんに会うことを決めたのは、この『転職体験記』を読んだからだ。
甘えた転職希望者に厳しい説教を食らわすらしい。
とにかく疲れていた私は、誰かにガツンと言われれば、何かがハッキリ見えるかもしれないと期待した。

実際に会って見ると、高橋さんは少し不思議な方だった。
いかにも元・株式会社リクルート出身らしく、話し方や会話の意図・自己主張は明快で嫌味がない。しかし一方で、腹の底や性格が分かりやすいようで今ひとつ読み切れない。
初めて見るキャラクターだと思った。

初めてお会いしたその日は、高橋さんが滔々と語る、彼自身の大学時代、前職、今の仕事への想い、推薦企業の成り立ちといった話を、1時間ほど黙って聞いていた気がする。
その後やっと、私が話す番になった。

あまりに疲れていたので、その時のことで覚えているのは2つだけだ。

1つは、私の話す前職の愚痴に対して、「それは顧客ファーストじゃないですね」と言った高橋さんの同情の顔。
もう1つは、希望する仕事内容は「何でも良いんスよ」と、多分吐き捨てるように言っただろう私を見る、高橋さんの静かな目。

期待していたような厳しい説教はなく、穏やかなやり取りだったが、少し気分がスッキリした。
そして、高橋さんの推す企業A社をとにかく受けることにしたのだ。

●5社への応募

高橋さんにはA社以外の紹介を断固拒否された。
「A社があなたには一番合っている。あなたの挙げる他社は云々の理由で合わない。だから紹介はしない。」と。

そうは言ってもカードが1枚ではこちらも不安だ。
少し元気が出たこともあり、エージェントの梯子を続けることにした。
更にもう3人のエージェントと会った結果、A社と並行して4社に応募した。

各社の面接は面白かった。
職業柄、人と話すことや企業分析は得意だ。面接官や人事担当者との会話から、その企業の雰囲気、価値観、抱えている問題や強み等が良く見えたし、そこで自分が面白く生きていけそうかのイメージも湧いた。
また、仕事の面白さ以上に社風重視だった私にとって、受ける企業が合うか否かの見極めは最重要事項だった。そのため、どの企業の面接でも自分を良く見せる努力を一切せず、自分の悪い面を積極的にアピールした。
普段からどういう言い方・態度で上司に物申すか、そもそもキャリアプランを持っていないこと、面接でのNG行為と言われる前職への不満、等々。
意外にもそれが不興を買うことはほとんどなかった。もしかしたら、上記アピールによってコンサルティングファーム出身者が抱かれがちなネガティブな先入観を払拭できたのかもしれない。

ちなみに事業会社の面接でコンサルティングファーム出身だと言うと、以下のことを問われることが多い。
・プロマネ経験はどの程度あるか?
・頭の良い人・やる気のある人ばかりではない環境下で、上手く人を動かせるか?
・お絵描きばかりでなく、実行支援経験はあるか?
・RFP(提案依頼書)前の新規開拓営業経験はあるか?
・普段、同僚とどのようなコミュニケ―ションを取っているか?
・ジョブホッピングするつもりはないか?

言外に謙虚さや共感力を検証している節もあった。(採用した元外資系コンサルタントが、「ファクトだ、ロジックだ」と周囲を威嚇する割に、上記の点で今ひとつ・・・・・と零す面接官もいた。)
面接を受けていくうちに、日系企業がポストコンサルタントを疑うのは、要するに人間性の部分だと分かった。
確かに、戦略コンサルティングファームで普通に業務を行っていてもそれは磨かれない。クライアントの現場に近い仕事をしておいて良かったと実感する場面だった。

複数エージェントとのやりとりも面白かった。
エージェントにも色んな人がいたが、多くのエージェントは候補者を受からせるために過剰とも思えるフォローをする。
職務経歴書や履歴書の見せ方の大幅修正、面接官の詳細プロフィールやキャラクター・インタビュー記事の事前共有、その面接官がよくする質問と対策例の入れ知恵、面接で何をアピールすべきか、面接後の詳細なフィードバック、果ては志望度を上げる目的で企業の業績展望や強みを過大に伝えたり、服装指導等までもあった。
応募する側としては助かるのだろうが、企業側が気の毒にもなる。
これでは面接で人を見極めにくくなる。

そんなエージェントの中でも、高橋さんの動きは不思議だった。
私が面接で地雷を踏みに行っているのを知ってか知らずか、私に対するフォロー的な動きはほとんどなく、連絡は面接終了の確認電話と非常に簡易なフィードバック、次回の日程調整メールくらい。要するに半野放し状態だった。
それでも不思議なことに選考はどんどん進んだ。
A社面接通過の電話を高橋さんからもらうたび、懐の深い会社ですね、と笑った。

結局、5回の面接を経てA社から内定が出た。
最終的に合計A・Bの2社から内定が出て、残りの2社は辞退、1社は落ちた。

●どこに行くか

A社とB社のどちらに行くか、決めなければならなくなった。
これが転職活動の中で最も悩ましかった。

業種も仕事内容も条件も全く違うが、社風・仕事の面白さを総合すると甲乙つけ難い。すっかり元気になっていた私は、一人で考え込んでも埒が明かないからと、周囲に意見を聞いて回ることにした。
中学から大学の友人達や同僚、元同僚、転職経験のある元クライアント等、総勢10人以上に会いに行った。
同じ職業観を持っている訳ではないので、意見を鵜呑みには出来ない。しかし、自分には思いつかなかった観点や、私自身に対する客観的な評価等、面白い話を幾つも得られた。

同時に、ほとんど全員がA社を推した。それで逆にB社に行きたくなった。
いやいやそういう決め方はどうなんだ。
結論はなかなか出なかった。

そうして2社の比較表を作り、最終的に共働きの夫に見せた。年収や転勤リスクの点から、夫はB社を推すだろうと思っていた。
しかし彼はどっちを推すとも言わず、「社風が合うのが一番。じゃないと仕事は楽しくないからね」とだけ言った。

A社のことだと思った。
それで覚悟を決められた。

●クロージング

A社担当なので、下手なゴリ押しは裏目に出ると判断したのだろう。高橋さんの説得がかなり控えめだったのも、また面白いところだった。
「僕の話は信じてもらえないかも知れませんけど」と苦笑しながら、最後の一押し面談を設けてくれた。

初回の面談から通して振り返ると、高橋さんは私との距離のとり方が絶妙だった。
付かず離れず、言い過ぎず控えめ過ぎず。そして何より、私が言った小さな一言も忘れていない。(他のエージェントは、こちらの話はあまり聞いていないし、覚えていない。)
そういう1on1の高度な営業技の集大成の場がクロージングだった。

もちろん、高橋さんの顔には「立場上しますけどね、A社推しトーク。でももう決めてるんでしょ?早く吐いてくださいよ」と書いてあったし、お遊びをする気もなかったので、ひとしきり技を学ばせて頂いた後、おとなしくA社への入社意向を伝えた。
これまた営業マンらしい満面の笑みで御礼を言われた。

●後日/総括

後日、高橋さんからランチの招待を受けた。
その席で、高橋さんはいわゆる「ワケ有り候補者」が得意と聞いた。

初回面談時の私もさぞかしワケ有りに映っただろう。
戦略コンサルタント経験10年以上のシニアマネージャークラス。スペック上は引く手数多のはずなのに、疲れ果てた顔で「仕事は何でも良い」「ポジションに興味はない」「年収600万円まで下げても良い」等と言うのだ。

今思えば怪し過ぎた。よくぞ拾おうと思ったものだ。
ただ一方で、エージェントとの面談でも、体裁を取り繕わなくて良かったとも思う。
従来からクライアント内の中途入社組の多くが社風に馴染めないで苦しむ姿を見ていたため、転職先の社風が自分に合うことは絶対条件だった。
私の場合、コンサルティングファーム特有の異常にフラット・実力主義のカルチャーにどっぷり漬かってしまっており、ほとんどの大企業の社風に馴染めないことも想像がついていた。
一人で自分に合う企業を探していてもなかなか希望は見えなかった。と言うより、一人では判断不能だった。社風のフィットを判断するには、客観的で公平な視点が必要だからだ。
エージェントに素のキャラクターを見せたお蔭で、私に合いそうな社風の企業を効率良く紹介して貰えたように思う。

退職手続き等も一通り終わった今、改めて総括すると、転職活動は面白かったし、後悔のない成果が出た。それは、エージェントも含め出来る限り多くの人と会い、企業や自分を多面的に見る過程があったからだと思う。

転職活動ほどウェブ上の情報が使えない “仕事” はなかった。一般論や空説、他人の価値観が前提の話ばかりだからだ。だから当初、ポストコンサルタント転職は、私にとっての面白い選択肢が非常に少ないように思えた。
しかし、実際に動いて生の情報を集めてみればそうでもなかった。
様々な人に会い、胸襟を開いて話すことの意味を改めて感じた2ヶ月間だった。

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