産総研で連続フロー合成法を用いた機能性分子合成の研究を行う薬学ポスドク30歳。製薬会社でのインターンを経て民間企業で働く覚悟を決め、財閥系 非鉄金属メーカーの研究職へ

No.1644
  • 現職

    【東証プライム上場 財閥系 非鉄金属メーカー】
    事業開発本部 研究所 有機無機複合材料などの新規材料開発

  • 前職

    【産業技術総合研究所】
    ポスドク(契約研究員)

植垣 幸治 氏 30歳 / 男性

学歴:私立大学 薬学部 卒
国立大学大学院 薬学研究科 博士課程 修了
博士号(薬学)
修士・博士論文:医薬品などに使用される物質を効率的に生成する新規合成方法の開発
薬剤師免許
剣道三段

目次
  1. 新卒での就活、ポスドクを選んだ経緯
  2. 産業技術総合研究所での担当業務
  3. 今回、民間企業への転職に至ったきっかけ
  4. エージェント探し
  5. 転職活動を通じて気づいた点、反省点
  6. 次の職場に賭ける意気込み

① 新卒での就活、ポスドクを選んだ経緯

博士課程時代の私は薬学部にいたこともあって、ぼんやりと製薬企業に行くことを志望しておりましたが、就活が始まるタイミングで私が開発した試薬、基質が高く評価されたこともあり、大学教員か民間企業への就職かで大きく悩んでいました。
そのような状況で会社説明会や企業研究、OB訪問など世間一般的な新卒就活の準備を行っても、結局のところは「実際に企業で働いてみないと、企業的な思考は分からないし、大学か企業か、完全に選択肢を消すことができない。」という考えが強く、アクセルがかからなかったこともあり、  “ なんとなく ” でしか就職活動を行っておりませんでした。

そんな中で、産業技術総合研究所(以下、産総研)で実際に企業にて2か月のインターンができるという制度があると知りました。
民間企業での研究活動がアカデミアとはどのように違うのかを知れる大変良い機会だと思い、ポスドクとして1年間、しっかりと研究活動やインターンを行い、自身のキャリアを良い意味で制限できるようにしようと決意しました。

② 産業技術総合研究所での担当業務

部門全体としては合成した触媒をフロー法に利用・応用するといった研究を行っていました。
実際に機能性分子を合成するといった研究の中で、私はポスドクとしてフロー化学反応を連続的に行う反応開発を行っていました。

当たり前ですが社会人であるが故のルールを守るのに初めのうちは慣れない部分も多くありました。
休日に研究をしないことや夜遅くまで実験をしないことは私にとって難しく感じたのです(今となっては当然のことと思えますが、当時はまだ完全に学生気分が抜けていなかったのだと思います……苦笑)。
夜遅くまで実験をして結果を出すのではなく、いかに効率的に研究を行い、結果を量産していくことができるかが求められているように思いました。フロー合成は私が思うよりも奥が深く、単純なバッチ反応では直面しないような困難・課題と向き合うことができたため、これまでよりも多くの学びがある1年だったと思います。

また製薬・化学業界で活躍されてきた方が多くいたので、それぞれの業界の考え方や実験のテクニック(これが一番勉強になった)、自身の人生に対する考え方等、多くの学びがありました。
フロー研究を行い始めて1年弱ですが、今後のフロー合成の可能性や課題を自分の中で整理ができたのは良い経験になりました。

③ 今回、民間企業への転職に至ったきっかけ

転職に至った理由は元プロセス化学会会長であった塩入孝之(しおいり たかゆき)先生のご講演と企業へのインターンシップが主なきっかけになります。
学部生の頃、塩入先生のご講演を拝聴し、環境や作業者のことを念頭に置いた有機合成化学者に強い憧れを持ったのが研究者を志した第一歩であり、その後、紆余曲折あってアカデミアか民間企業かでかなり悩みました。
そういった背景から博士取得後、私が移ったのは産総研の中でも約2か月のインターンシップ・企業訪問を行うことができる部署でした。そして実際に某製薬企業にてインターンを行うことができ、民間企業で研究を行う際の、事業としての研究に対する感覚を学びました。

私が最も危惧していたことは、「いきなり企業の人間になってもやっていけるだろうか?」ということでした。
これまでアカデミアで頑張ってきて研究の思考や時間の感覚が変わったことにより、パフォーマンスが落ちることがあればお互いにとって良くないですし、民間企業に就職してもまたすぐにアカデミアに戻るケースがよく耳に入ってきたので心配しておりました。
しかし、インターンを行ってすぐに企業の考え方に馴染むことができたことや、企業の方と対等に議論ができたことから大きな自信を持つことができ、「私でも必ず企業で頑張っていくことができる!」と強く思えるようになりました。

また、私としてもアカデミアの独特な体制についてかなりネガティブな考えを持っていたことや、近年SDGsの考えが民間企業でも浸透してきたことから、企業での研究ならば塩入先生の教えを念頭に置きながら研究活動を行っていけると思い、転職活動を行うことを決意しました。

④    エージェント探し

転職自体が初めてですし、分からないことだらけだったので、私の不安を解消して下さる転職エージェント探しにはこだわったと思います。数人に1時間程度お話を聞いてもらい、「この方となら一緒にできそう!」という人を探しました。
最終的には(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの奥田さんに出会い、私の中でもやもやしていたことがなくなり、迷いなく転職活動をすることができました。

こだわりを捨てた点はおそらく無く、自分のこれまでの研究に対する姿勢や経験を活かしつつ、未知の専門分野に挑戦できる企業を探しました。アカデミアと民間企業でどちらにするか、悩んでいた期間が長かったですが、最終的には決め打ちができて本当に良かったです。

⑤    転職活動を通じて気づいた点、反省点

気づいた点としては、ポスドクといった事業会社の勤務経験が無い博士研究者の存在があまり浸透していないことです(キャリア採用なので仕方ないかもですが……)。
こちらが募集要項やホームページ、年一の統合報告書など、企業側がオープンにしている情報を押さえていても、「経験がないのなら、難しいですね。」というような返答をされ、「そんなことは職務経歴書と履歴書を見ればわかっていたことだから書類選考の段階で落としてよ!」ということが何度かあり(笑)、ポスドクをもう少し丁寧に扱って!と思う会社がありました(他にも理由はあったのかも……)。
しかし、どうしようもない理由で落ちるのは仕方ないことではあるので、一社一社の企業様への面接対策や企業研究を時間をかけて行ったことから、他企業への差別化や社風などを深く理解することができました。

反省点としては、一人で考え込まずにとりあえず奥田様に相談するといったことを徹底していればもう少し効率的に物事を進められたのかなということです。
面接対応のコツやネガティブな表現を避けること、余計なことを言わないといったことはエージェントの方が圧倒的に専門家なのだから、面接スクリプト全体の完成度が個人的に納得いかなくてもまずは相談をするべきでした。
例えば面接本番1週間前に練習をする時間を奥田様に作っていただいた際には、なかなか質疑応答の文章が考えられず、志望動機もあやふやなままの状態で焦っていました。

しかし、奥田様のキレッキレの提案で志望動機や自身の強みなどが具体化されていき、嘘偽りのない納得のいく言葉を生み出すことができました。どれだけ準備をしても不安はありましたが、「植垣さんについては、全く心配をしておりませんよ」と奥田様に言われ、自信を持つことができました。
ネットの情報では転職活動は平均して3~6か月かかると書いてありましたが、1か月半程度で内定をいただくことができました。

ポスドクという不安定な立ち位置もあり転職活動を始める前は「どこでも良いからとりあえず就職」と思ってしまうほど、自分の状況に焦っていた時期がありましたが、奥田様に出会い、こだわりを持って徹底的に納得のいく転職先を見つけようという意識になりました。

⑥   次の職場に賭ける意気込み

転職先はこれまでの経験を活かしつつも、新たなことに挑戦・探求することができる理想的な職場だと思います。ありがたいことに専門から外れて一から勉強するきっかけができたため、今後も化学分野を徹底的に磨いていこうと思います。
薬学部は多くの分野を幅広く勉強する学部なので、一度は勉強した化学領域が多くあり、そのタイミングで基礎的なことを学んでいたので、もう一度勉強をし直して基礎的な部分の穴埋めを少しでも多く行い、勤務初日を迎えようと思います。

今回の転職活動を通して、自身の理想とするキャリアパスをイメージするきっかけになりました。
休みの日など関係なく、私が納得するまで徹底したサポートをしてくださった株式会社エリートネットワーク、奥田様へ御礼申し上げます。
ありがとうございました。

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