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36歳・国家公務員(技官)、化学物質のリスク管理とSDGsを叶え、シンクタンク研究員に

36歳・国家公務員(技官)、化学物質のリスク管理とSDGsを叶え、シンクタンク研究員に

No.1402
  • 現職

    日系 名門シンクタンク サステナビリティコンサルティング部門 研究員

  • 前職

    国家公務員(総合職技術系) 霞が関勤務 係長

桑原 俊夫 氏 36歳 / 男性

学歴:私立高校 卒
京都大学 卒
京都大学大学院 修了
TOEIC730点
学術誌の英文総説(単著)の執筆経験

はじめに

この転職体験記に辿り着いた方には、おそらく国家公務員であって転職を視野に入れている方が多いと思います。
転職を視野に情報収集を始めると、国家公務員の業種・職種は何なのか、市場価値が今一つパッとしないと思いませんでしたか。
世の中に転職サイトは数多ありますが、従来、転職市場では国家公務員の転職はあまり想定されてこなかったのではと感じます。

他方、(株)エリートネットワーク様は国家公務員の転職体験記が充実しています。体験記は実績そのものですから、転職を視野に入れている国家公務員にとっては、他に類を見ない説得力のある情報だと思います。
ただ、20代前半から30代前半までの方々の体験記が多いので、私のような30代後半に差し掛かってから転職活動を開始した「中堅どころの国家公務員(総合職技官)」は、本当に転職できるかなと疑問に思っていました。
ここで体験記を書いているということは、ご推察の通りです。

初志

私は、大学時代に食品科学を研究していました。その志は「健康に良い食品を作って社会の健康福祉に貢献したい」でした。
実際にはネガティブデータの積み重ねで大変な苦汁を舐めましたが、ある時データを眺めていると、ふと「健康を増進するよりも前に、健康を損ねないようにすることが重要なのではないか?」という思いが湧き起こりました。
そうだ、食品安全をやろうと思いました。

当時は「食品科学、安全性、社会貢献、なんかデカいこと」という価値軸を持っていました。
食品安全の総合的な施策は中央省庁が担当していたので、中央省庁に行く以外の道を考えませんでした。
国家公務員総合職(当時はⅠ種)に絞るという博打めいた就活をして、幸いにも入省に至った次第です。

業務

希望が叶って、食品安全に関する業務を担当しました。
食品安全行政の要素には、リスク管理(リスクを低減するための管理をすること)と、リスク評価(リスクの程度を科学的に評価すること)があります。入省先はリスク管理機関でした。

人事ローテーションの中で総務寄りのものから中身寄りのものまで、幅広くリスク管理業務に従事しましたが、巨視的に言えば化学物質のリスク管理に従事していたと言えます。
また、途中で出向の機会があり、リスク評価機関で化学物質のリスク評価業務にも従事しました。
このように、食品安全行政における化学物質のリスク管理・リスク評価の両方の世界を渡り歩いてきました。

転機

外面上は、絵に描いたかのように初志の業務を遂行してきたと言えます。それ故、第三者から見て 「何で転職するの?」という疑問が当然生まれると思います。それには2つの要素があります。

1 まず、幅広く渡り歩いてきたからこそ、その過程で自分の志向・嗜好がクリアになりました。
私は完璧な人間ではないですし、正直に言って、得意な仕事と不得手な仕事があります。切った張ったの仕事は不得手でした。
一方、知見の基礎的な整理作業や、知見・根拠に基づく提案はどちらかと言えば得意でした。
せっかくの人生、得意なことを伸ばしたいと思いました。

2 次に、仕事と向き合っていく中で、初志の要素に変化が生じました。
きっかけになったのは、出向先で化学物質のリスク評価を担当していた時でした。
家庭用品や環境汚染物質のリスク評価に関わることがあり、食品という枠組みを超え、健康影響や環境影響を含む化学物質一般のリスクに関心が広がりました。
ちょうど、社会の潮流としてSDGsやESGが主題化しつつあったので、より巨視的に言えば、このような文脈で仕事をしてみたいとも考えるようになりました。(CO2だって環境中に排出している化学物質の一つに過ぎません。)

ただ、上のような機会は、「霞が関の人事サイクルの中でも得られるのではないか」という冷静で慎重な見立てをする自分もいました。
しかし、得られる保証は必ずしもない上、得られたとしても次の人事異動でどうなるかわかりません。そんな逡巡をしている時点で、自分のキャリアに自律性がないことに思い至りました。
自分の人生、ここで転職しようと思いました。

転職活動

株式会社エリートネットワークの転職カウンセラーの梨本様にお世話になりました。気さくで話しやすい方です。
初回面談の前に履歴書と職務経歴書を送付していましたが、プロファイリングの精度が高いと感じました。
面談では、ターゲット業界としてシンクタンクの提案を頂き、業界分析の切り口についてご紹介頂きました。

応募先を検討するに当たって、転機の「1」の要素は譲れないと思っていました。パフォーマンスを発揮して、周囲も自分もハッピーにするための必要条件だと思ったからです。
他方、転機の「2」の要素は広めに考えていました。一番の理想は化学物質のリスク評価・リスク管理に関われることですが、とりあえず食料・環境関係のSDGsに関連していれば、興味をもって深堀できそうだと思ったからです。

しかし、機縁は奇縁というのか、かなりマッチ度が高いと思われる求人が見つかりました。その会社から内定を頂いて、私の転職活動は終わりました。
こだわりを捨てることもなく、培ってきた専門性がそのまま活かせるという望外の転職活動でした。

振り返り

梨本様からは日程調整、面接対策、内定後のフォローアップに至るまで様々なご支援を頂きました。
転職活動をやってみた者としては、転職エージェントの支援は間違いなくメリットが大きかったです。確かに転職できました。
そして、梨本様は転職活動を通じた求職者の成長も相当大切にされていると思いました。
求職者の背景・特性・現況から、その人の未来において必要となる物の見方や言葉の種を贈られていると私には思われたからです。

転職活動は、踏み切るまでも踏み切ってからも、正直言って不安です。ともすると不安に飲まれて転職自体が目的化してしまう危険性も孕みます。
しかし、忘れてはいけません。転職は手段です。目的ではありません。
梨本様からは転職技術的なアドバイスを多々頂き、各場面で重宝しました。
これに加えて私としては、梨本様と素朴に未来語りができたことが実は一番楽しくて、人生において貴重な機会だったと感じています。

ちなみに、冷静に考えると「中堅どころの国家公務員(総合職技官)」が転職できたことには、やはり要因があると思われます。
私の場合、1つにはそこそこ専門性があったこと、2つには自身の価値軸の一貫性と変化を自然に説明できたこと、3つには 霞が関の力学 を知っていそうだったことだと思います。
いずれもある程度の経験を経たからこそのスキルなので、中堅どころであったことは、どちらかと言えばポジティブに評価されたと感じています。

最後に

エリートネットワーク様、梨本様には様々なご支援を頂きましたこと、心から感謝を申し上げます。
転職活動中に頂いた言葉を反芻しながら、今後の社会人人生を歩みたいと思います。
また、出身省庁には感謝し尽くすことができません。一身上の理由でアプローチを変えますが、社会をより良くすることで少しずつお返しをしていきたいと思います。

きっと、転職先でも課題がゴロゴロしていると思います。
そこに課題があるから仕事が生じることは公務も民業も同じ構図ですから、アプローチを変えつつ、三方よし(世間よし、相手よし、自分よし)の仕事をしていきたいです。

この転職者を担当したカウンセラーに
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