本日現在1556
/ バックナンバーも全て読めます

転職エージェントに追い返された経理職、一部上場 広告代理店へ

転職エージェントに追い返された経理職、一部上場 広告代理店へ

No.761
  • 現職

    一部上場  大手インターネット広告代理店  経理職

  • 前職

    一部上場企業の連結会社 (エンターテイメント企業)  経理職

柿山 章太郎 氏 28歳 / 男性

学歴:東京理科大学  理学部第一部  物理学科 卒
高校1年時、在籍チームが甲子園出場

大学は理系大学の物理学科を卒業したのですが、元々は物理学者として生きて行きたいという目標を描いていました。そのために高校でも理系クラスに進学し、2年間の浪人生活にも耐えてようやく大学進学を果たすことができました。
ですが、大学1年生の夏にその理想は大きく崩れてしまいました。
同級生は 「とりあえず理系を卒業すると就職に有利」 「この大学は就職率が高い」 といった理由で入学した友人が多く、教授ですら 「研究活動と言えど、あくまで仕事ですから夢ばかり語っていられませんし、金にならない研究はやっても意味がありません」 といった声が多く、「私が思い描いていた希望にあふれた世界は、実はこんなにも夢のない世界だったのか・・・・・」 と挫折を味わうこととなりました。
それでも4年間必死に努力して 「物理学者になる」 という自分の理想や想いを追いかけていたのですが、田舎から上京した都合で金銭面での苦労や、周りの友人との温度差に耐え切れずに研究者の道を諦めて就職する道を選びました。

大学生の頃は、ただひたすら 「世の中を変えたい」 という何の具体性もない漠然とした理想を描いて就職活動を行っていました。そのため、「企業がどのような事業をやっているか」 よりも 「どのような想いでその会社が運営されているのか」 ということを最重要視して経営理念だけを軸として企業選びを行い、業界動向や事業内容は全く重要視せず、今の会社への入社を決めました。

入社1ヵ月後に直属の上司に 「○○さんはこの会社の経営理念をどのような形で実現しているのですか?」 と質問した際に 「何言ってるの? 経営理念なんて誰も真に受けてる奴いねーよ!」 と言われてしまう始末で、「自分の理想と社会の現実はこんなにもかけ離れているのだな」 という事実に直面した体験でした。

今思い返せば、就職活動の際に 「自分はビジネスマンとして何を実現したいのか?」 を明確に定義できていれば、もっと早い段階で成功できていたのではないかと反省しています。
なので、10ヶ月に及ぶ転職活動の中で 「自分は具体的に何を実現したいのか」 を明確に定義できたことは一生の財産になるのではないかと感じています。

新卒で現在の会社へ入社してからの日々は、常に人生に対する疑問だらけでした。
毎日のルーティンワークに疲れ果ててしまい 「言われた事ばかり繰り返して何になるんだ?」 という焦りばかりが大きくなっていく日々でした。上司に相談しても 「新入社員がそんな一人前の意見を言う前に目の前の仕事を覚えろ!」 という答えしか返って来ませんでした。「自分のやりたい事が簡単に実現できるほど世の中は甘くはないのか」 と非常に落胆し、「このまま何も残せないまま人生が終わるのかな」 という絶望感さえ覚えました。

そんな日々を過ごす中で、どうしても今の環境で終わりたくない気持ちを抑える事が出来ずに私の転職活動は始まりました。入社2年目、現在から約1年前の事でした。

当初は、何も考えず熱意のままに転職エージェントに面談を依頼し 「小さい環境に収まらず幅広く活躍したい」 「海外に駐在してみたい」 「いつかは起業してみたい」 など、今となっては恥ずかしくなるくらいに何も内容の無い話しか出来ませんでした。
当然ながら 「入社直後に厳しい現実を見て、スグに転職だの独立だの言う若者って多いんですよ。具体的にやりたい事が決まってから相談してもらえますか?」 と追い返される始末でした。
それでもどうにか自分の望む人生を歩みたいと悪戦苦闘していく中で出会ったのが、(株)エリートネットワークさんでした。

カウンセリングを行って下さった転職カウンセラーの金入さんが、何も具体的なイメージの固まっていない私の話をきちんと聞いて下さり、「幅広く活躍したいとおっしゃいましたが、具体的にどういう事ですか?」 「そういった事をやりたいのだったら、こういったタイプの企業が合うのでは?」 といったように漠然としていた私の考えを少しずつ具体的な形にして下さりました。
当初、私はコンサルティング業界に入る事を希望していました。コンサルティング業界であれば業種・業界をまたいで幅広く活躍できると考えていたからです。

しかし、金入さんから当時の私にとっては意外過ぎる言葉が返ってきました。
「柿山さんのおっしゃっている内容からは、コンサルティング業界がイメージできません。誰かにアドバイスするというより、現場で “自ら行動” して成果を生み出していくタイプなのでは?」 というアドバイスです。
元々ロジカルシンキングには自信があり、将来のキャリアプランにも一致する業界だと思っていたので、コンサルティング業界に進むべきでない理由が理解できませんでした。
ですが、そんな私を理屈で説き伏せるのではなく 「経理分野を中心に、元々の希望であるコンサルティング業界も視野に入れて転職活動を行っていきましょう」 と、私の希望も最大限に取り入れて頂きました。
そのようにして、私の転職活動はスタートしました。

実際に転職活動を始めて最初にぶつかった壁は 「コンサルティング業界は向いてなかった」 と言う現実でした。
どのコンサルティングファームの面接を受けても、永遠と続く 「根拠は何ですか?」 の繰り返しに嫌気が差すほどでした。特に、「中卒で就職する人も居る中で、わざわざ高校に進学した根拠は何ですか?」 の質問には 「そこに論理性は必要なのか??」 と、言葉を失いました。

私の実力が足りないばかりに面接の話題が変な方向に進んでしまったのは反省点ですが、それでもコンサルティング業界に対する虚しさを隠せない体験でした。
その経験を通じて 「コンサルティング業界ではあなたの目標は実現しません」 という金入さんの思惑が明確に伝わってきました。全く後悔なくコンサル業界を諦める非常に良い体験でした。
改めて 「自分の考えと現実社会はこんなにもズレているのだな・・・・・」 と感じ、まずは 「社会は実際にどうなっているのか」 を見ることが大事なのだと気づくことができました。
今では、そこが私の転職活動の本当のスタートだったのだと感じています。


そのような経験を何度も重ねていく中で、最終的には自分が100%納得できる企業から内定を頂けた大きな要因が2点あったと考えています。

1点目は、「 面接=自分が働く姿をイメージしておき、企業が求める人材と一致しているか答え合わせを行う場 」 という金入さんのアドバイスを忠実に守った点です。
「こんな感じの事が出来たらいいな」 といった業界・事業内容に対する単なる憧れではなく 「業界全体の動向は明るいのか」 「この企業は業界の中でもどの部分のシェアを持っているのか」 「同業界・同業種であっても、経営状況に大きく差があるのはナゼか」 といった企業を取り巻く周辺環境を包括的に捉える事で 「自分がやりたい事」 と 「企業の今後の成長戦略」 の整合性を最重要視するようになりました。
相手企業の事が良く理解できていれば必然的に 「面接官はこう言った話題を求めているはずだ」 と予想を立てる事ができるので、少しづつ面接がスムーズに進むようになりました。

2点目は、面接での失敗パターンを全てメモしておき 「この話を話題に出すと面接官から難しい質問が帰ってくるから言わない様にしよう」 「この話は切り出すタイミング次第でプラスにもマイナスにもなる」 「この話はどの面接官にも好感を持ってもらえる」 といったトライ&エラーを繰り返して、自分の発言内容を精査し続けた点です。
ここにも金入さんからアドバイス頂いていた 「極めて本音に近く話す」 という面接のポイントが役立ちました。具体的には、 「事実や自分の本音を相手にとっても利益のある形で客観的に発言する」 という内容です。
このアドバイスを守った事で、会話の組み立て方次第で自分の主張が抵抗なく相手に受け取ってもらえるのだと理解が深まりました。

上記2点を念頭に何度も面接の場での失敗を繰り返していく中で大きな転機がやってきました。
インターネット広告代理店のA社との出会いです。
面接が決まり、業界研究を進める中で近年のIT技術の急速な進化によりインターネット広告業界は、海外展開も視野に入れた経理部門の確立、M&A関連業務を行う人材の不足、連結子会社の経理財務管理、といった1人が担う業務の幅が多岐にわたる環境である事が分かり 「私が望んでいた幅広く活躍できる環境はこの業界だ!!」 と大きく確信しました。
入社後のイメージも明確に持つ事ができ、仕事で忙しい合間を縫って1週間で3冊もの本を読み業界動向・技術革新なども頭に叩き込んで面接に臨みました。
努力の甲斐あって最終面接まで進む事ができ、面接後も 「ぜひ入社して下さる事を期待しています」 とまで言って頂けました。私は 「ようやく、この長い長い苦労が実を結ぶのか」 と内定を頂ける確信すら覚えました。しかし、結果は不合格でした。

自分自身、これ以上の環境はないと確信して選考に臨んでいた分、次の目標を設定できずにいました。金入さんと相談して1カ月ほど転職活動を休んで自分の考えを整理する時間を頂きました。1カ月後に金入さんと再度カウンセリングの場を用意して頂いたのですが、私は転職活動を中断するつもりでいました。海外MBAなどの資格を取得してから数年後にもう一度転職活動を再開すれば上手くいくはずだと、現実から目を背けて転職活動を先送りしていた気がします。金入さんもそんな私の気持ちを見透かしたのか 「MBAなどコンサルティング系のキャリア構築は向いていないと実感したはずでは?」 「今の会社では自分のやりたい事が実現できないから転職したい想いだったのに、何で数年も今の会社に留まるのか?」 とハッキリ言って頂き、逃げに走っていた自分から一気に目が覚めて転職活動を再開しました。

何度も挫折を味わったからか、その後の転職活動では面接の場での一言一言が自分の将来に繋がっているのだと実感でき、「1次選考で言われた仕事内容と、2次選考で言われた仕事内容が大きく異なっているが、入社後に何を任されるのだろう?」 などと面接中に先々の事まで考える冷静さを持てる様になっていました。そのため、面接が互いの希望を摺り合わせていく作業をスムーズに進めていく場になっていました。

更には、企業が過去に行った施策から最新の業界動向まで細かにチェックし、「 御社は今後このように発展していくはずなので、私にこの部分を任せて下さい 」 という明確な意見も面接の場で発言できるようになっていました。

最終的に東証1部上場企業に内定したのですが、選考開始からわずか10日間で内定を頂くスピードで選考が終了しました。
転職エージェントに追い返された大失敗から始まった10ヶ月間にも及ぶ長い長い努力が、一気に実を結びました。

全てが終わった今になって感じる事は、転職活動は面接での失敗を繰り返していく中で知識・経験を増やし 「自分は何をやりたいのか」 を明確にしていく期間だったのだという事です。やりたい事が明確になれば、自分のキャリアプランを実現できる企業が見つかる確率が高くなり、企業の経営戦略と自分のキャリアプランを結び付けた上で面接に臨む事も出来るので、必然的に高い評価を頂けるのではないでしょうか。

これから転職活動を進めていく方々にアドバイスを送るのであれば、次の2点が非常に重要だと感じています。
1点目は、「自分が考えている事」 と 「現実社会はどうなっているのか」 とのズレに気付く事です。具体的に言いかえると 「自分の意見には裏付けとなる客観的な事実が存在するのか?」 を意識するという事です。
面接官は業界の知識に通じた方々ですので、聞きかじっただけの安い情報を面接の場で話してもすぐに見抜いてきます。しかし、自分で調べたデータに裏付けされた 「企業にとってもプラスになる自分のキャリアプラン」 を面接の場で提案する事が出来れば必然的に高評価につながると私自身の実体験から考えています。

2点目は、「この企業でいいかな」 と妥協しない事です。
転職活動が長引くと精神的に辛くなってしまいますが、様々な業界・企業に触れる事で自分の考えが精査されていき、次第に 「自分は何をやりたいのか」 が明確になっていきます。
その段階に辿り着く前に安易に転職を決めてしまったら、何度も転職活動を繰り返してしまう悪循環にもなりかねません。
なので、是非、 「私はこの企業でこういった事を実現します」 と自信を持って入社できる企業を諦めることなく探し続けて頂きたいです。

最後になりましたが、何度も何度も失敗を繰り返してご迷惑を掛けてばかりだった転職カウンセラーの金入さんに感謝の気持ちを述べさせて頂き、私の転職体験記の結びとさせて頂きます。

この転職者を担当したカウンセラーに
転職相談したい

この記事をご覧になったあなたに

関連する転職体験記

転職体験記を絞り込み検索 全ての記事一覧は
こちら