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急成長のオーナー企業から、創業100年の安定企業へ

急成長のオーナー企業から、創業100年の安定企業へ

No.416
  • 現職

    一部上場 創業100年 物流関連企業  管理系総合職

  • 前職

    一部上場 大手製造業  経理職

    一部上場 小売業  経理職

谷垣 紳也 氏 35歳 / 男性

学歴:東京大学 経済学部 経済学科 卒

元々は、メーカーで経理職能として勤務していましたが、32歳の時により自分の成長スピードを上げていきたいという思いもあり、たまたま話を頂いた小売業に転職しました。当時第2の成長期を迎えつつあるという状況から、この会社であれば様々な経験が得られるのではないかと考えたのが理由です。
同社はオーナー系且つ成長企業でしたので、ある程度人の出入りが激しいだろうことは想定していたうえで入社したつもりだったのですが、実情はそれを上回るものでした。担当レベルに限らず、部長・役員層でも人の入れ替わりが常態化していたのです。何年か勤務を続けてみたものの、自部門内でキャリアプランの参考になる人がいないことが自分の将来に対して大きな不安要素となり、最終的には2度目の転職に踏み切ることを決めました。

転職にあたり、当初考えていた最大の条件は「長期的に勤務できること」です。自分の年齢を考えると、基本的には今回の転職が最後の機会であり、その意味では今回の勤務先は定年まで勤務できると思える企業を選ばなければ、ということをまず考えたのです。そのことから、今回はいわゆるオーナー系企業はパスしようというのはこの時点で明確になっていました。経営スピードなど優れた面はありますが、オーナーの経営への関与が高いほど「自分との相性」に左右されるというリスクもあり、今回はそのリスクを取ることはできないと思ったのです。逆に言えば、それ以外の条件を最初から決めてしまうことは考えず、とにかく案件を見て「合うかも?」と感じた会社は積極的に受けてみようというスタンスでした。

業務が比較的落ち着くタイミングを見計らって、最初に門を叩いたのは大手の紹介会社A社でした。そちらで担当のキャリアアドバイザーから伺ったのは前回の転職時に比べての求人環境の厳しさでしたが、同時に自分のキャリアから見れば希望の年収や職種であれば比較的厳しくない、とのコメントでした。実際、業界などで条件をあまり絞らなかったこともあり応募できそうな案件は比較的多く、まずは書類の山と格闘するというある意味恵まれたスタートだったかと思います。
しかし最初に面接に進んだ会社ではいきなり一次で不合格になりました。アドバイザー経由でその要因を聞いたところ、「服装などが自社に合わないと感じられたらしい」とのこと。実は当時の勤務先は背広勤務ではなかったため、その面接もいわゆるスマートカジュアルで臨んだのですが、これがまずかったのではないか・・・・・と。しかしこちらからすれば、事前にアドバイザーに服装はそれで問題ないか確認していたのに何でそうなるのか、とやや不満でした。今考えてみれば、面接のやり取りもあまり満足なものではなかったので、本当の理由は違ったのかもしれませんが。

それからは面接も必ず背広で行くようにし、某メーカーの最終面接ではその場で内定を示唆して頂きました。ところがそこでお聞きした年収は希望水準とかなりのずれが。その場では特に何も言わず、面接の後アドバイザーにその点を話すと、「この業界でこの年齢だと大体そのくらいかと思います」。だったら最初の面談で言ってくれればこちらも心構えができたのに、とこの時かなりアドバイザー不信になりました(苦笑)。その後は基本的にこのアドバイザーの情報は「調べるきっかけ」にはしても「相談相手」とは思わなくなったというのが正直なところです。(ちなみに、この会社については最終的には辞退しました)とはいえ、改めて状況は甘くないと思い始めたのと前後して、A社から「自社の情報だけでなく、信頼出来る別のエージェントを通じた活動をしてみてはどうか?」という案内があり、そうした経緯で紹介されたのが(株)エリートネットワーク社でした。

面談をしてみると、A社のように求職者に対応するキャリアアドバイザーと求人情報を取材する法人営業が別れている事が多い中で、キャリアアドバイザー専門の担当者を置かないというスタンスを聞いて「面白いな」と思いました。前述のような条件面での行き違いなどはまさにキャリアアドバイザーが企業側の生のニーズを掴み切れていないのが原因ではないかと思っていましたので。また、求人情報を紹介する時でも「条件で言えばこの会社も該当するが、先方が最終的に考えているポジションを考えるとここは見送るべきだ」と敢えて言われることも他ではなかったので興味を誘いました。

最終的にはこの面談の時に紹介頂いた会社に入社することになるのですが、それまでの過程で応募した会社はA社やその他の紹介会社もあわせると少なくなく、また業種もバラバラです。基本的な条件として最初にあげたものの他に、それまで無意識に自分が取捨選択していた企業の共通点から「将来的に企業経営に関われる企業」というものを加えましたが、企業規模や業種はあくまで絞らなかったので(とはいえ、オーナー企業を除外する以上ある程度の企業規模の会社になるのは避けられませんが)、面接に進めた会社だけでもWebコンテンツ企業、ベンチャー企業、エンターテイメント企業、メーカーなどさまざまでした。A社ではキャリアコンサルタント以外にも企業求人に個別に対応するシステムがあるとのことで、いくつかベンチャー系を中心にお話を頂きました。経営にすぐに携われるという点では非常に魅力的ではあったのですが、そういった企業への入社を決断するのであれば何より私自身がその企業の未来を確信できなくては仮に企業が成功したとしても自分がこれからの社会人生活を最後までその企業で全うできないだろうと考え、他の企業以上に慎重にリサーチしました。現在の業績に加え、小売店であれば店舗をのぞき、開発型企業であればその企業の研究開発状況に対する評価などを確認するとやはり転職に踏み切れるまでの判断はできず、最終的にはすべてお断りすることになりました。

・・・・・こう書くとさぞや企業研究に時間を割いたと思われるかもしれませんが、実際は必ずしもそうではありません。書類選考に応募するかどうかの段階ではほぼ「フィーリング」であり、引っかかるところがあればその点だけを調べるだけで、そこで懸念が消えない時だけ見送り。面接に話が進めば改めて企業の概要などを確認し、面接が2回以上ある場合はそれを逆手にとって1次面接の雰囲気も次に進むかの判断材料にしていました。面接に行って社内の雰囲気に前職同様の「ニオイ」をなんとなく感じてしまい、結局そのまま辞退したこともあります。その代わり、面接は色いろ受けましたので有休は急に消化率がよくなりましたが(笑)。

こうした活動の結果、最終的にA社から紹介頂いたメーカー(X社)と(株)エリートネットワークから案内頂いた物流系企業(Y社)と2社からほぼ同時に内定を頂戴することになりました。正確には面接日程の関係もあり、X社の内定が先で、Y社はその数日後だったのですが。
両者の最終面接の前の時点で、「もし両社から内定をもらえたとしたら、どちらの会社を選ぶべきだろう?」ということを真剣に考えるようになりました。それまでは内定が出れば行きたい企業という絶対評価の点だけ考えればよかったのですが、実際に内定の可能性が見えてきたところではどちらを選ぶのかという相対評価の問題が出てきます。正直これは悩みました。企業規模などの点では正直X社のほうに分が有ったのですが、経営の安定性という意味ではむしろY社の方に軍配が上がりました。X社の業界は国際競争も激しく、企業再編も珍しくないところがあったからです。前職では他企業が傘下に加わることもあったのですが、それまでと社風も経営スタイルも違う会社のグループに加わることに戸惑いを隠せない方を見てしまったせいか、逆に自分がその立場になっても何かと業務以外の部分で大変だろうな、という漠然とした思いはありました。もちろんすぐに順応して活躍される方も多かったのですが、全員がそうではないというのも事実だったので。

おそらく、前回転職を決めた時の私であればX社を選んだのではないかと思います。しかし、今回の私はY社を選びました。企業の事業内容がどうであれ、自分が目指そうとしている管理系部門や経営の仕事の本質は変わらないはず。ならば外部環境の影響を受け易い企業よりは、安定性の高い企業で自分の能力を高めることに専念したほうがむしろ良いのではないか、そう思ったからです。長期投資家として有名なウォーレンバフェット氏は、成長企業よりもむしろ安定して収益を出す企業に投資するといいますが、会社に働くというのはいわば人生の時間のかなりの部分をその企業に投資するようなものですから、そういう考え方があってもいいのではないかと思っています。もちろんそこで自分がきちんと成長できないといけないのですが・・・・・。逆に、成長企業を選ぶのならいっそ自分で起業するなり上記のようなもっと生まれたてに近いベンチャー企業に飛び込むという手もある訳で、どうせリスクを取るならいっそその位すべきだが、自分にはそれは向いていない・・・・・と思ったら自分の中で結論が出ました。

余談ですが、私が転職活動をしているのは家族も知っており、私が2社のどちらかにするかで悩んでいたことを知った父は「長い眼で見るならむしろY社ではないか」と話していたとのこと。直接相談した訳ではなく自分の結論を出して「Y社に行こうと思う」と伝えた時に聞いたのですが、同じような結論だったことに正直少しほっとしました。
その後、X社にはお断りの連絡をさせて頂くことになったのですが、ここでちょっとしたトラブルが生じました。A社のようにいわゆる大手の場合、企業の求人依頼を受け付ける担当と転職者に対応するキャリアアドバイザーが分かれているのですが、その2者の間で情報の行き違いがあったようで、「辞退の申し出」がX社にはなぜか「内定を受けるかどうか悩んでいる」と伝わってしまったのです。最終的にはきちんと伝わったのですが、こちらは事態が飲み込めないままX社から再度のご連絡を頂いてしまい、目を白黒させることになったのでした。

A社の場合、大手ということもあり募集企業数という意味での情報量は多いのですが、個社の情報という点ではキャリアアドバイザーが把握している訳ではないため具体的な情報となると必ずしも詳しいとは言えません。一方、(株)エリートネットワーク社の場合はキャリアアドバイザーの方自らが直接企業も担当しているため、企業情報のことについてもキャリアアドバイザーに確認すればすぐに回答が返ってくるという点では優れています。その意味では、いわゆる大手エージェントとの違いを知った上で両社を使いこなすことが重要だと思います(こんなことを書くのも図々しい話ですが(苦笑))。現職を続けつつ転職活動を行う場合、時間を効率的に使うのであれば(株)エリートネットワーク社のような専門性の高いエージェントに依頼されるのも決して悪くない選択かと思います。

会社選びは相手がある話で、いわば縁があるかどうかにも左右されますが、まずは会って見ないと始まりません。その上で、自分が会社と言う場に何を求めるのか、活動していく中で見えてくるものもあると思います。少なくとも私の場合はそうでした。現職を続けながらそうした活動をするのは時間的には厳しいかと思いますが、体は一時的にきつくても経済的な不安が少ないという心理的ゆとりは大きいと思いますし、そうしたゆとりを背景にしてこそ、自分の活動の軸も徐々に見えてくるのではないかと思います。この体験記が何かのお役に立てれば幸いです。

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