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会社更生法がきっかけ—不動産業界内の転職活動

会社更生法がきっかけ—不動産業界内の転職活動

No.400
  • 現職

    外資系不動産会社  アナリスト

  • 前職

    日系不動産投資顧問会社  アナリスト

斉藤 朋子 氏 25歳 / 女性

学歴:慶応大学 経済学部 卒
TOEIC 885点

1.目指していたキャリアパス

私は小さい頃から国際的な仕事に興味があり、大学時代に自分で勉強/留学し、スペイン語と英語を習得していました。
2008年に新卒で入社した会社は、新興系不動産投資/運用会社でしたが、就職活動時の2006年は市況がバブル絶頂期だったこともあり、海外ビジネスも盛んでした。新卒入社数年目でも十分海外で働くチャンスがあったのと、お客様に海外投資家がいるという背景から社内での英語スキルに対する需要は非常に高かったという2点から、当初の会社への就職を決意。

入社当初目指していた業務は、新規ファンドを組成し、海外の投資家にマーケティングするというファンドマーケティングのポジション。それにはファンド、不動産、英語の知識が必要だったので、配属先として決まった関連会社である投資顧問会社でのアナリスト業務には満足していました。

2.転職の決意に至った背景

2007年米国におけるサブプライムローン問題を発端に、2008年9月のリーマンショック以降あれよあれよという間に金融市況、不動産市況が急激に悪化しました。当時組成中だったファンドも凍結せざるを得なくなり、会社の財務状況も急変しました。2009年に会社は会社更生法適用の申請をしました。そんな中でも、私が配属されていた投資顧問会社は、まだ業務も売上も残っていました。
しかし、会社更生法適用の申請をした元親会社の信用リスクが、投資顧問会社の新旧ビジネスの様々な点において影響を及ぼし、一層困難な状況がやってきたのは2009年中盤のことです。
このままでは、海外で業務をするチャンスを探すどころか、仕事自体がなくなるかもしれない。

もう一度原点に立ち返るため、2010年3月退職をターゲットに転職活動を始めようと決断しました。

3.実際の転職活動

私は不動産の売却活動に関わっていた時から、相対で”物を売る”プロセスと転職活動が非常に似ていると考えていました。そこで、転職活動のフェーズを下記の通りに分けてみました。

i.マーケットリサーチ(自分の価値も含めて市場ニーズを探る)
ii.マーケティング(ニーズに合わせて自分を売り込む)
iii.デューデリジェンス(具体的な調査)
iv.ネゴシエーション(給与、就職時期に関する交渉)


i.マーケットリサーチ

まずは、自分のバックグラウンドと人材市場の状況から、自分の立ち位置を判断しました。そのために行った準備として、今までやってきた業務内容を漏れなくリストアップすること。更に自分がどういう人間なのか深く分析することです。嫌いな業務、好きな業務、得意な業務、やりたかったけどやれなかった業務など、様々な観点から自分の履歴を振り返りました。

その分析データをもとにリクルーターさんとお話ししました。人材紹介会社も無数にあり、会社によって持っている案件が違ったり、人格が合わなかったりと状況は様々なので出来るだけ色々な会社に当たってみました。リクルーターさんを使う利点は、自分の視野を広げてくれることと自分のマーケットバリューを教えてくれることです。
リサーチでもう一つ有効なのは、インターネットで掲載されている求人情報を閲覧することでした。求人情報は、転職活動においては「試験に受かるためのヒント」が掲載されているものだと思います。自分が興味を持っている仕事には、どういう職歴やスキル、パーソナリティが求められるのか、ほとんど載っています。自分が関わったことがない業務や職種は、色々な企業の似たような職種の求人情報をたくさん見ることで概要がつかめます。

ii.マーケティング

やりたい仕事、やれそうな仕事が見つかってきたら、書類応募をするフェーズに入ります。私は、最初出来るだけ自分のやりたいことや理想に近い仕事から応募し始めました。理想と現実の擦り合わせは、やりたいと思う仕事がなくなってからにしようと決めていました。私が受けていたような外資系企業は、基本的に職種が違えど複数回の応募は無効だと分かっていたので、本当にやりたいと思う職種だけ選別して慎重に応募していました。
履歴書などの応募書類は、職種に応じて毎回編集していました。採用担当者がどんな人物だったら1次面接に呼ぼうと思うか。この仕事が出来るかどうか判断するために書類を見ているのですから、キーワード、構成の使い方で履歴書の見栄えは大きく変わります。”事実を曲げてはいけませんが、見せ方を変えるのは重要”です。
勤務年数や職歴で書類落ちすることも幾つかありましたが、その場合は高望みをしている時でした。自分のようにジュニアのポジションで受ける時は、必ず書類が通りました。
面接の段階で意識していたことは、Agendaを想定し、入念に準備することでした。採用のプロセスの中で、大枠として一致しているのは、次の流れだと思います。

(応募者側のアクション)/(企業のアクション)
1.自己紹介/会社紹介
2.ポジションに対する理解啓示/適性審査
3.意欲の啓示と説得/適性審査
4.条件交渉/オファー

何のためにこの□回目の面接があるのか考え、採用側として目的を達成するための質問群を想像する。出来るだけ広い範囲で考えて、準備しました。この中には、業界、企業、職種の研究も入ります。2.のフェーズでそのような質問が必ず来ますし、3.においても回答の根拠となるからです。
更に、準備する際に非常に重要になってくるのが、企業の求める人物像に合わせて自分を売り込む回答を作成することです。履歴書を編集したのと同じように、面接でもと思います。ここで生きるのが、Iで行った自己分析。引き出しをたくさん持っていると、面接でも様々な角度からの質問に対する回答探しが苦ではないと思います。事実を曲げないで見せ方を変えることが大事だと思います。


iii.デューデリジェンス

企業側のアクションとして、この段階では様々な手法が使われると思います。面談、筆記テスト、プレゼン等があるでしょう。企業は、「この人が本当に仕事が出来るか」という技能面での適性と、「この人と一緒に仕事がしたいか」という人格面での適性を審査すると思います。逆に応募側としては、「この仕事が出来るか」という技能面での適性と「この会社でこの仕事をしたいか」という環境面での適性を判断します。出来るだけたくさんの疑問を解決しておく必要があると思います。


iv.ネゴシエーション

技能、人格での適性検査が終わった後の給与、入社時期交渉は、最後の砦だと言われました。ここで破談することもよくあるそうです。給与に関しては自分だけの問題ですが、入社時期については、私は現職との調整が必要でした。出来るだけ円満に退職出来るよう現職サイドを説得しました。私はしませんでしたが、採用側にも交渉が出来る場合は現職の状況を理解頂き、入社時期を遅らせてもらうなどの対応をお願いする姿勢も大事だと思います。

4.(株)エリートネットワークさんとの出会い

前半にも書いた通り、比較的多くのリクルーターさんに会いました。リクルーターさんもビジネスですから、自分が稼げると思った仕事以外本気にならない打算的な方々もたくさんいます。また実力が低い若しくは経験が浅く、持ち駒が少ないリクルーターさんもいます。そんな中、(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの横関さんと出会い、本気で候補者のために動いてくれるリクルーターさんがいるんだと発見しました。私のやりたいこと、出来ることを踏まえ、可能性を広げつつもこちらの希望に即した案件の紹介をしてくれる。幾つか落ちてしまっても、私に可能性を与え続けてくれた貴重な方でした。他のリクルーターさんは、向こうが契約を決めたい仕事ばかり推してきて、それに興味を示さないともう連絡が来なくなったりしました。
横関さんは、選考が進んでいく過程でも、真摯に協力して下さりました。質問、疑問に対する回答の速さはピカイチだったと思います。

また、私が不動産業界だったということもありますが、横関さんの知識と経験を生かしたキャリア相談は本当に為になりました。私が方向性に悩んでいたりすると客観的にアドバイスして下さることが多々あり、非常に助かりました。
たくさんのリクルーターさんとやりとりするなか、最後は横関さんの紹介して下さった案件で内定が出るといいなと思っていたのは事実です。

5.転職後

私は、外資系不動産会社の売買支援サービスを行うチームで、アナリストとして内定を頂きました。
主に海外投資家が日本の不動産を購入するに際しての仲介業務になります。
入社前は「一緒に働く人たち」に関する不安もたくさんありましたが、今はハッピーです。
期待していた以上に国際的な業務、英語の活用、給与や待遇の良さ、職場環境の良さ、全部に満足しています。
転職活動を始めたばかりの頃は、受けるつもりもなかった会社なのに、横関さんが紹介して下さったお陰だと思います。本当に感謝していますし、自分のキャリアをこの会社で幸せに形成していきたいと思っています。
どうもありがとうございました!

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