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大手企業役員への道よりも研修講師を選ぶ

大手企業役員への道よりも研修講師を選ぶ

No.1131
  • 現職

    日本を代表する大手企業を顧客とする人事コンサルティング会社
    研修講師・コンサルタント

  • 前職

    外資系大手銀行 オペレーション
    日系大手金融機関 営業
    一部上場 大手情報システム会社 管理部門 部長

石崎 淳子 氏 51歳 / 女性

学歴:神奈川県立 横浜緑ケ丘高等学校 卒
慶應義塾大学 文学部 卒
経営学修士(南洋工科大学)
米国公認会計士 (ワシントン州)
実用英語技能検定1級

このほどは、当方の転職活動にあたりまして、多大なご支援をいただきましたことに感謝申し上げます。
これまで2度の転職を経験してきましたが、50歳を過ぎての転職は、以前のものとは一味も二味も異なる経験でした。同じような年代の方の参考になればと思い、以下、共有させていただきます。

1.就職活動の軌跡 ~バブルの余韻そのままに~

私は1991年4月に外資系銀行へ新卒で入社し、キャリアをスタートいたしました。1986年12月から1991年2月までの51か月間が、いわゆる日本のバブル期と呼ばれており、私の頃は採用試験を受ければ、ほぼどこでも内定をいただけた時代でした。
当時日系企業に行くと「総合職」か「一般職」かという意味不明な質問をされるので外資系に行った、というような気軽な就職でした。

大した就職活動もしなかったせいか、「自分とは何者か?」「人は何故働くのか?」「人生とは何ぞや?」といったことについて深く考えることもありませんでした。働き始めてまもなく、バブルの余韻を引きずりながらも、真っ逆さまに落ちていく世の動きを感じ取るくらいのセンサーは働いており、資格を取ったり、思い立って海外で転職したり、そのまま現地の大学院に行ったりしました。しかし、確たる目的はありませんでした。そろそろ日本に帰ろうかと思ったところに、前職の上司の紹介で日本での仕事が決まり、その会社(前職)もあれよという間に中堅から大企業になってしまったという、何ともバブリーな人生を歩んで来たのでした。

2.転職の背景 ~ライフスタイルチェンジを目指して~

そんな私も、50歳になって初めて、自分の「在り方」について向き合うようになりました。帰国して入社した会社は純日本企業でしたし、IT分野の成長産業でしたので、滅私奉公は当たり前でした。しかしながら、それで自分も楽しかったので、疑問を持つことはありませんでした。会社が大きくなり、成熟・安定しても、働き方改革が断行されても、「人生の中心は仕事」という自身の価値観は変わることがありませんでした。夜の飲み会も入れれば、ほぼ一日中、会社の人間と過ごしていました。

しかし、歳を重ね、50歳になったとき、「もっと自覚的に生きてみたい」と思うようになりました。「どういう人生にしたいのか」「なぜ働いているのか」「自分にとって大切なものは何か」「自分は何がやりたいのか」というような青臭いことを改めて考え始めました。そうなると、まるで魔法がとけてしまったように、これまでの自分の在り方を、真剣に見直したいと思うようになったのです。自分の在り方を変えたい=ライフスタイルチェンジということにゼロからチャレンジしたいという気持が強まり、結果的には、2018年某月、17年間勤めた前職を去ることにいたしました。

「あとちょっとがんばれば役員も夢ではないのに」等という半分ジョークなありがたいお言葉をいただくこともございましたが、「ポジションは自分にとって価値のないこと。」ときっぱり言い切れる自分を再確認できたので、後悔はありませんでした。むしろ、60歳になってから、仮に転職したくなっても、きっとチャンスは限られるので、「ゼロクリアしたいなら今だ」という考えもありました。

3.50代で人生3度目の転職

退職から半年が過ぎようとしていました。このまま引退するのも悪くないのかもしれない等と思うこともありました。独立起業も憧れはするが、専門性がなさ過ぎる。「少なくとも60歳くらいまでは企業で働き、その後はフリーでもやっていけるような仕事はないか?」と思ったときに、ネットの転職サイトを久しぶりに覗いてみたのでした。そこでたまたま見つけたのが某大手人事コンサルティング企業の求人案件でした。簡単に言えば「企業研修講師の仕事」です。前職で人材開発関連の仕事もしておりましたので、募集要件を見るに、かなり自分の保有スキルやキャリアにマッチしているという感触を持ちました。

こんな案件でも不採用だったらどうしよう、等とのんきなことを考えながらも、相当勇気を振り絞って、その求人案件の担当エージェントにコンタクトしましたが、ほぼ即レスにて「ご応募いただいた求人に加え、他の求人のご紹介も検討させていただきましたが、募集要件との兼ね合いから、今回はご紹介が困難」とのこと。いまさらそんなことにショックを覚えている私の方が相当なおバカさんでした。その後も少し動いてはみましたが、20~30代の転職とは全く異なるマーケットにいるのだということを痛感いたしました。こんな時代なのだからシニア案件も結構あるんだろう等と思っていましたが、そんなに甘くはないということです。

そんなこんなの経験を経て内省を重ねた結果、今回の転職では、20~30代の転職とは大きく変わった価値観が形成されました。端的に申しますと、企業規模やブランド、年収にこだわらなくなったということです。すでに大企業や名前の通った企業で働くことは経験済みですし、これから働くなら、年収よりも、やりたい仕事内容を自分のスタイルでやれる職場かどうかという点に、迷いなく重きを置くことができました。それが結果的に大企業で名の通ったところであるならそれでもいいし、そうでなくともよい、といった割り切りが、やっとできるようになったということなのでしょうか。以前であれば、年収がダウンする転職はあり得ないと信じ切っていましたし、他人が企業名を聞いてわからないようなところでは困ると、心のどこかで思っていました。

さて、そんな頭の整理ができた頃、河岸を変えようと、別の転職サイトに登録をしたところ、ご縁がございましたのが、エリートネットワーク様でした。

4.エージェント? キャリアコンサルタント?

登録後すぐに連絡をいただいたのが、エリートネットワークの転職カウンセラー杉本様でした。とにかくレスポンスが早く、ネットでの転職活動で出鼻をくじかれた自分にとっては、不安に思う時間が短くて済んだこともあり、最初のお電話でのカウンセリングでもざっくばらんに自分の考えていることをお話しすることができました。私の退職の理由も、きれいごとだけでストーリーを語ることもできましたが、杉本様には最初から本音ベースの話を吐露させていただきました。私の人となりや信条を把握していただいた上で専門的なアドバイスをいただきたいと思えるような、傾聴型の会話が電話でも十分成立する方だったからです。

たとえば、私が今回コンタクトさせていただいたエージェントさんは他に2名ほどおりましたが、どちらの方も、私の履歴書を見て、「CFOや統括や企画のお仕事を探しましょう」とおっしゃっておりましたが、自分としてはそのような仕事には全く興味がありませんでした。前述の通り、私は、これまでのなけなしのキャリアを活かしながらも、自分にコントロール権があり、直接性のある仕事を探していたからです。前職での経験を活かし、正社員ベースでの企業研修講師やエグゼクティブコーチングといった案件が希望で、希望年収も、前職を下回ってもよいとお伝えしたところ、杉本様は私の希望通りの案件をいくつかご提案くださいました。

具体的な応募案件のお話をさせていただいているときも、先方企業様とのリレーションの深さが窺え、信頼できる会社だと直感いたしました。以降、具体的な面接のセッティングや私とのQAにおいても、的確かつスピーディな対応で、「この方のためにも何とか面接をパスしなければ」という気持になりました。同社のような人材紹介会社及び社員の方をエージェントと呼んだりしますが、「ああ、こういう方をキャリアコンサルタントというのだなあ」と実感しました。
杉本様は、単なる代理人としてのエージェントというよりは、転職を成功させるという目的に向かって、苦楽を共に一緒に走ってくださる「伴走者」でした。

50代の転職は20~30代の転職とはわけが違うと前述いたしましたが、50代と20~30代では人生におけるフェーズも大きく異なります。例えば親の介護です。私が前職を退職し、実家に戻ってほどなく、もともと心臓の病気を患っていた母に胃がんが見つかりました。もともと家族のサポートに時間を割きたいと願っていた自分ですが、そのような状況で自分のキャリアを考えるのは非常に悩ましいことでした。前述の通り、引退もあり得ましたし、独立が無理なら、〇〇式学習のフランチャイズでもやろうか、フリーランスはどうだろうか等々ゆらゆらと考えのまとまらない日が続きました。母のサポートをしながら働くというイメージができず、実際、ネットでの転職活動をし始めた頃も、まだ「転職」には迷いがありました。また家族のことを放り出して外で働くのであれば、前職を辞めた意味がない、でももう一度、やりたい、と思った仕事にチャレンジしてみたいというような考えを行ったり来たりしていました。

杉本様に逐一このような話をしたわけではありませんが、私の中に色んな葛藤があることを汲んでいただいていたことがわかるような、丁寧かつ的確(かつスピーディー)なご対応をいただきました。何とか最終面接をパスして内定をいただいた際に、応諾するか否かについて迷っていたのは、実は他の応募案件のことではなく、「私の母のこと」でした。なかなかクライアント企業に対してストレートには話しづらいであろうことを、先方企業様にもうまくお伝えいただきました。先方にも充分にご理解いただいたことを確認して、私はいただいた内定を応諾することができました。

5.終わりに

人生100年時代と言われるようになりました。自分のキャリアは当然ながら自分で作っていくわけですが、自己を取り巻くマーケット環境も変化し、自分自身の人間的成長もあり、同時に家族の状況も変化します。そんなことを一つひとつ整理して考える内省の時間を持つことも大事ですが、50の声を聞いてからなお、人生の中に新しいチャプターをこしらえて豊かな人生にしていくためには、エリートネットワーク様のような伴走型のプロフェッショナルを味方につけておくこともまた大変有用なことだと思います。

いただいたご縁を大切に、新しい仕事で、奇しくも元号も令和に改まり、私もライフスタイルチェンジということで、新しいチャプターを生きていきます。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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