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司法試験短答式合格の国家公務員、一度諦めた法律への道を目指し、一部上場企業の法務職へ

司法試験短答式合格の国家公務員、一度諦めた法律への道を目指し、一部上場企業の法務職へ

No.1305
  • 現職

    東証一部上場 インターネットインフラサービス企業 法務部 法務職

  • 前職

    国家公務員 総合職

松元 由衣 氏 31歳 / 女性

学歴:国立大学 法学部 卒
国立大学 法科大学院 修了
司法試験短答式試験 合格
TOEIC Listening & Reading Test 790点

1.はじめに

この度、エリートネットワークの転職カウンセラー 篠原様のご紹介で、国家公務員から民間企業への転職を実現することができました(未経験で法務職の内定をいただきました)。公務員になる前は、ロースクール修了後に司法試験を受験していたため、転職活動においても、公務員という面とロースクール修了生という面の2つの側面があったと思います。
キャリア形成に悩む中で、エリートネットワーク様の『転職体験記』の言葉に救われてきた身として、この記事が同じような境遇の方の心を少しでも軽くできればと思います。

前提として、前職で培った社会人としてのコミュニケーションのスタンスや仕事への向き合い方が、今回の転職活動を常に支えてくれていたと思います。尊敬する上司・先輩・後輩への敬意を忘れず、これまでお世話になった前職の皆様に心から感謝申し上げます。

2.これまでの経歴と転職に至った理由

学生時代から弁護士を目指し、ロースクール修了後は司法試験を受験していました。1回目の受験が不合格となった際に、2回目の受験を最後の挑戦と決め、並行して公務員試験を受験しました。結果、司法試験は不合格でしたが、前職の内定を受け、国家公務員となりました。

当時、就職先として公務員を選んだのは、司法試験不合格による強い挫折感から、法律の解釈・適用を直球で行う仕事よりも、法律に関わりながら総合的な仕事ができる公務員が自分にとって良い環境なのではないかと考えたためでした。

しかし、働いていく中で、学生時代に培った法律の専門性が自分の中から確実に薄れていくのを実感する一方で、総合職の公務員では3~4年スパンの定期異動であらゆる部署を転々とするキャリア形成となり、仕事を通じて自分の中に蓄積していける専門性がないことに危機感を覚えました。法律の知識面では強いブランクを感じながらも、これから先のキャリアを考えたときに、恥を忍んでも勇気を出し、チャンスがいただけるなら、専門性を築いていけるキャリアに転換したいと思い、転職活動を始める決意をしました。

3.公務員の方へ

(1)公務員を辞める決断について
私は、前職に対して疑問を持ちながらも、国家公務員を辞めるのはもったいないのではないか、本当に正しい選択なのかと悩み、ネットで何となく検索してはネガティブな情報に不安が煽られるばかりでした。

そんな中で、適切な相談相手がいないならと、「転職」や「キャリア」のワードで検索に引っ掛かる書籍を片っ端から読み、現時点で共通して言われている職業観、就労観について知見を得る中で、転職市場に出られる自律的な人材にならなければならないという危機感を強め、ジェネラリストは自分が望むキャリアではないと確信を持つに至りました。これから人生100年時代に、自分の中に拠り所となる知見やスキルを積み上げていきたいと思い、世間で言われる「公務員の安定」を手放すことに迷いがなくなりました。

(2)前職の業務と転職活動での応募職種について
その上で、転職活動を始めるに当たってハードルとなっていたのは、そもそもどういった職種で応募できる可能性があるのかが分からないという点でした。

前職は総合職の国家公務員ではありますが、いわゆる官僚の方とは異なる職種です。業務としては、「ルーティンワークを含む一般的な事務」といった表現しかできませんが、組織に特有の特殊な業務でした。中央省庁のように政策立案に直接携わることはありませんし、人事や給与のように民間企業で類似のものがある部署の経験もなく、かといって、例えば税務署のような特定の専門領域を持つ組織でもありませんでした。

こうした業務経験から、どのような職種で応募すれば転職の可能性があるのか全く当たりがつかず、求人サイトやコーポレートサイトから自分で応募をしていく決断ができませんでした。
エリートネットワーク様を頼らせていただいたのは、『転職体験記』に公務員から民間企業へ転職した方の寄稿が非常に多かったため、まずはこの点で助言をいただきたかったことが大きな理由でした。
実際に、篠原様には、私の学歴や経歴を踏まえて、幅広い職種をご提案いただきました。その具体的な求人案件との関係で自分の気持ちを1つ1つ確認することで、応募職種の方向性を定めていくことができたと思います。

当初、国家公務員からの転職が多いと思われる領域として、シンクタンクや政策渉外の職種も視野に入れて応募しましたが、進めていく中で、やはりもう一度法律をやりたいという気持ちを再確認するに至ったため、最終的には事業会社の法務を中心に転職活動を行いました。

(3)応募書類での職務経歴や自己PRについて
前職の業務は先述のようなものであったため、民間企業にアピールできる分かりやすい経歴や自己PRが全くなかったことも、転職活動での大きな悩みでした。

とはいえ、職務経歴書を作らなければ何も始まらないので、これまでの業務マニュアル等から業務項目を洗い出して全て書き出した上で、民間企業の方にも話せそうな内容をいくつか選んで、多少一般化するなどして、何とか職務経歴や自己PRの体をなすところまで整理しました。
数値で示せるような成果は何一つなく、この内容で出して良いのかと不安になりましたが、ありのままの内容で篠原様にご覧いただき、付加するとよいポイント等についてアドバイスをいただいて、企業に応募できる形に軌道修正していただきました。

また、応募の際には、篠原様から推薦文を付けていただいており、内容は拝見していませんが、履歴書・職務経歴書には表われない司法試験受験歴や前職の実態からパーソナルな部分まで、硬軟織り交ぜた推薦文で、初対面の企業の方に私の姿をより立体的にアピールいただいていたのではないか、と想像しています。
当初は、自分の経歴で応募しても、埋もれるどころか相手にもされないのではないかと不安しかありませんでしたが、結果として多くの企業と面接の機会をいただくことができたのも、エリートネットワーク様の信頼をお借りできたからだと思います。

4.ロースクール修了生の方へ

(1)司法試験不合格となった方の就職先について
司法試験に失敗したロースクール修了生は、私がそうだったように、とにかくどこかに就職しなければならないという強い焦りの中で将来を模索されているのではないかと思います。
私は公務員になる選択をしましたが、この世界でやっていくことを自分に言い聞かせて数年働いても、法律の道への未練を消すことはできず、弁護士になった友人と自分の仕事を常に比較してしまうばかりでした。
新卒を捨てて進学し、20代半ばまで就職しないという覚悟をしてまで打ち込んだ道から心機一転、これまで学んできた法律と関わりの薄い仕事をする、と気持ちを切り替えることができるかどうか、真剣に向き合っていただくのが良いのかなと思います。

私は就職後、年月を経るごとに法律の知識が遠のいていく劣等感を強く覚えていたことや、法務の求人案件は「経験○年以上」という明確な条件があるものが多かったことから、当初、法務で応募する勇気が出ず、躊躇う気持ちもありました。
そのような中で、篠原様には「求人票の記載上は経験者採用だが、可能性があるかもしれない」と思われる求人案件を多数ご紹介いただき、法務での応募に背中を押していただきました。そのことで「また法律をやりたい」「法律を仕事にしたい」という、ずっと蓋をしてきた本当の自分の奥底の気持ちと正面から向き合うことができたと思います。

(2)未経験での選考で気を付けたこと
企業法務は未経験であり、司法試験の勉強からも数年が経ち、即戦力を提供できない自分にとっては、応募企業とご一緒したいという心からの気持ちをお伝えすること、そのための企業研究にかなりの時間を割くことになりましたが、新卒で就職活動をしておらず、就職後も公務員だったため、企業や事業内容の理解は全くゼロからのスタートでした。
そのような中で、篠原様には、まずは何をどう勉強をすればよいかから始まり、面接前には、受ける企業ごとに、その事業やビジネスモデル、競業他社との比較、社風まで、自分では調べても分からなかったことをお教えいただきました。

また、未経験での応募のため、面接では、具体的にどういった業務をイメージしているかを聞かれることが非常に多かったので、企業法務の初心者向けの書籍等を読み、想像の域は超えませんでしたが、可能な限り考えるところをお伝えしました。

ロースクール修了直後や司法試験受験直後の鮮度の高い知識をお持ちの方が、就職活動というものと真剣に向き合われれば、私よりも遥かに有能な法務部門の候補者として、多くの企業から求められるのではないかと羨ましく思います。

5.最後に(転職カウンセラーの篠原様へ)

この転職活動で「専門性を獲得したい」という目標に向けて的確な道筋をお示しくださり、私をただ走り切るだけの状態にして全力で駆け抜けさせていただいた、篠原様に心より感謝申し上げます。

初めての面談では、人生観、職業観、前職の状況から趣味などのパーソナルな部分まで、幅広く丁寧にヒアリングいただき、私という人間を深く知っていただいた安心感がありましたし、それを基に書いていただいた推薦文では、面接だけでは伝え切れない情報を面接官の方々に事前にお伝えいただいていたのではないかと想像しています。

仕事をしながらの転職活動だったため、限られた時間の中で多数の面接日程を組んでいただくことになりましたが、必要以上に休暇を取らず、前職への影響が最小限で済むよう調整いただきました。
自分で応募企業と全て調整していたら、最終面接や内定に至る時期を上手く収斂させられなかったことはもちろん、全て受け切ることがそもそも不可能だったと思います。

面接に先立っては、転職理由や志望動機から条件面に至るまで、何をどう応募企業にお伝えすればよいか、大局的なことから些末なことまで、常にプロのご意見をお伺いできる環境にあったことが、本当に有り難かったです。
全体を通じて丁寧にご連絡をいただき、不安になることがありませんでしたし、右も左も分からない転職活動、ご一緒いただき大変心強かったです。精神的に落ち込むことも多い転職活動の中、緊張を和ませてくださるお人柄に救われることも多かったです。

そして何より、司法試験受験によって社会人経験自体が実年齢に見合っていない上に、公務員として特殊な職務経歴しかなかった私を、転職の可能性から排除せず、最後まで信じて様々ご尽力いただきまして、本当にありがとうございました。

今後も1社会人として、またエリートネットワーク様経由で転職した者として、そして何より自分が自分を好きでいられるために、転職先でも精一杯努力を重ねたいと思います。
この度は誠にありがとうございました。

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