企業インタビュー

東京応化工業株式会社 企業インタビュー

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東京応化工業株式会社は、半導体や液晶ディスプレイの製造に欠かせない各種フォトレジスト (感光性樹脂) を主力製品とする高機能材料メーカーです。 今回は人事部長の山下 陽介氏に、グローバル市場で確かなポジションを築く同社の強み、新規事業へのチャレンジ、部門を超えた密接な連携体制、本音で意見を交わす風通しの良い社風、グローバル人材の育成を目指す能力開発についてお話を伺いました。

まず初めに貴社が展開する事業の全体像をご説明頂けますか。


人事部 部長 山下 陽介 氏

半導体デバイスの製造工程では、フォトリソグラフィという技術を用いてシリコンウエハ上に微細な溝を刻み、そこに回路を形成します。私ども東京応化工業はこの工程で使用する様々なフォトレジストの開発・製造・販売を事業の柱として成長してきた企業です。

フォトレジストの性能を高めると、より微細な溝をウエハに刻むことができ、当社は製品開発を通じて、半導体の集積度向上の歴史に貢献してきました。初めて半導体用フォトレジストを製品化した1960年代以降、フォトリソグラフィを用いた微細加工技術を蓄積・融合し、高集積化・多機能化・高速化といった世界の半導体市場が求める機能や特性を備えた新材料を次々にリリースし続け、現在に至っています。

事業領域の拡大にもチャレンジしてきました。まずは半導体製造で培った技術を活かし、液晶ディスプレイ製造分野へ進出しました。その次には小型化が進む最終製品にマッチする半導体のパッケージ技術及びMEMS (微小電気機械システム) 製造分野へと守備範囲を広げました。電子回路の微細化が限界域に近づく中で、ウエハを薄くして立体的に積み重ね、集積度を高める3次元実装分野の製品も手掛けています。

また現在、新規事業として注力しているのが再生可能エネルギー分野です。既にSi結晶系太陽電池パネル製造用の材料を製品化しています。更にはリチウム電池材料等の蓄電材料分野、LED照明用材料等のオプトエレクトロニクス分野、バイオチップ等ライフサイエンス分野でも10年スパンの長期視野で全社の経営資源を投下し、製品開発を推進しています。

競合環境の厳しい電子材料の業界で、貴社はどのような戦略で競争力を維持・向上しておられるのでしょうか。

一つには、独自のM&E (Materials and Equipment) 戦略によって、高機能材料だけではなく、塗布装置や現像装置等の製造装置を自社開発してきたことが、当社ならではの競争力を生み出しています。
材料と装置をセットで開発することは、幅広い顧客企業に対して製品の販売機会が増えるだけでなく、顧客が当社製品を使用するのと同等の環境・条件下で材料や装置の試験・評価ができることから、顧客が要求する機能や品質を担保する上で大きな優位性となります。

また、「ユーザー密着」 というコンセプトの下、日頃から開発エンジニアと営業担当が顧客企業を訪問して密にコミュニケーションを積み重ねています。実際に対面してヒアリングを行い、ふとした会話の中からも潜在的なニーズをキャッチし、時間をかけて新規材料の開発に繋げています。伝統的に当社では、こうした地道で 「泥臭い」 マーケティングに取り組んできました。
現在、売上の約7割をグローバル事業が創出しており、アメリカ、韓国、台湾といった市場を中心に各国に拠点を設け、海外ユーザーに密着し、コミュニケーション強化を図っています。

競合する日本の材料大手が総合的に化学品を扱うメーカーであるのに対して、当社はある程度特化された事業領域に経営リソースを集中させることが可能となっています。競合他社に比べて組織がスリムで、連結の従業員数も1,576名と中堅規模です。事業に関して何らかの意思決定が下されれば、当社では全ての経営資源を投下・注力して目標に向かって短期間に邁進できる機動力があります。

業界で注目を集めた代表的な製品にはどのようなものがありますか。


「 『OFPR-800』 は世間に登場した当初、他社がこれに追いつけ・追い越せと目標にしていた製品でした。」

あまりに種類が多いので、ごく一部をご紹介するに止めますが、古い所では、1970年代の終わりに製品化したLSI用ポジ型フォトレジスト 「OFPR-800」 があります。この製品は当時 「フォトレジスト界のカローラ」 と称され、非常に使いやすく優れた特性を持ち、g線用ポジ型レジストの標準品として幅広く浸透しました。今ではより微細加工ができる製品に世代交代していますが、半導体製造分野に於けるこの大ヒット製品が、現在に至る当社の成長の原動力となったと言っても過言ではないと思います。

液晶ディスプレイ製造用に1995年からリリースした 「CFPR®BKシリーズ」 は、画像のコントラストを向上させるブラックマトリクスを形成する為に用いるフォトレジストです。有害なクロムを使用しない環境調和型の製品であり、顧客企業の技術者と当社のエンジニアが 「こんな製品ができないかなあ」 と何気なく交わした会話がきっかけとなり、10年以上かけて市場投入に繋げた戦略製品です。当社のブラックレジストは現在でも業界トップクラスのシェアを堅持しています。

今後、更なる成長に向けた技術戦略にはどのようなものがございますか。


「当社の海外の製造拠点は、アメリカ、中国、台湾に次いで韓国で4カ国目になります。」

既存の事業領域の強化策として、半導体・液晶ディスプレイ用フォトレジストに関しては、2012年8月に韓国・仁川に最先端のArF液浸レジストの開発及び製造拠点として、合弁の海外子会社であるTOK尖端材料社を設立しました。
製品開発の機能を海外拠点に持たせるのは初めての試みで、韓国の半導体・液晶ディスプレイ製造分野の大手メーカーに対して、地域市場に根ざした事業基盤を築き、ユーザー密着によるニーズの顕在化と戦略製品の開発・製造を強力に推進していく考えです。

3次元実装分野では、薄片化した複数のシリコンウエハを積層化するプロセス技術に着目しました。当社は積層化の工程で用いる接着剤やキャリア基板等の材料に加えて、ウエハのキャリア基板への貼付・分離を行うボンダー装置とデボンダー装置を開発し、3次元実装プロセスの効率化に貢献していきます。

新規事業分野では引き続き再生可能エネルギー分野、中でも太陽電池関連材料を積極的に強化していきます。既に製品化しているSi結晶系太陽電池パネル製造用材料のほか、発電素子の半導体材料にシリコンを用いずに複数の物質を使用し、よりエネルギー変換効率に優れるCZTS系太陽電池材料等を開発、現在ユーザー評価を受けています。材料にレアメタルを使用しない上に、液晶パネル製造装置で培った塗布技術も応用できることから、太陽電池パネルの製造コスト削減に少なからず寄与できると考えています。

貴社の 「部門を超えて自由に意見を交わす」 カルチャーで育った人材は、海外のビジネスでも重要な役割を果たせるのではありませんか?


「この時の業務は人生の転機の一つだった、と思っています。」

私自身の経験ですが、今から4年ほど前に経営企画室で企画部長を務めていた時、中国の材料メーカーに当社の液晶用フォトレジスト製品の技術を供与するプロジェクトに携わる機会がありました。

それまで当社は自社技術を海外企業に供与することはありませんでした。従って事前に社内で十分に議論を尽くした上で、最終的に中国市場で当該製品のシェアを戦略的に確保する最善の策として、ようやく技術供与にゴーサインが出たプロジェクトでした。供与先の企業が現地に工場を建設し、当社の製造技術その他の技術ノウハウも全て提供して、中国市場に於けるその製品の製造・販売を一任するというライセンス契約です。

技術供与するフォトレジストは、開発して一定の年月が経過した汎用製品ではありました。しかし、当社が何十年にも亘って蓄積してきた技術ノウハウの結晶が注ぎ込まれた製品です。技術はどこまでブラックボックス化して渡すべきなのか、製造や品質保証のノウハウ提供はどうするのか、従業員の育成は? 等々、両者で議論して決定すべきことは山ほどあります。当然ながらイニシャルペイメントやランニングロイヤルティ等、金額面での駆け引きもありました。

半年に及ぶ交渉期間中、当社チームは毎月中国に出張し、滞在期間は朝の9時からほぼ1日中、時に深夜まで交渉を重ねる毎日でした。そもそも私がプロジェクトのリーダーとして交渉の場に立つには、当社の知財、開発、製造技術、品質保証、検査、人事、総務まで、殆ど全ての部門の協力を仰ぎ、入念に準備しなければなりませんでした。交渉が一部不首尾に終わって日本に宿題を持ち帰る度に、いつも各部門のメンバーが迅速に集まって本音で議論してくれたことがどれほど心強かったか。
お陰で何とか着地点を探ることができたと思っています。最後にめでたく契約を締結し、先方の董事長 (とうじちょう:取締役会長に相当する役職) と固い握手を交わした時の達成感は、最高でした。

貴社グループは中期的な全社戦略に 「グローバル人材の開発」 を掲げています。山下様の海外プロジェクトでのご経験は、今後の人材育成施策へどのように活かしていかれますか?


「米国オレゴン工場にて、初めて部下のマネジメントを行いました。この時は、とにかく部下と話してコミュニケーションを図ることを心掛けていましたね。この経験や心掛けは、帰国後もとても役に立ちました。」

私のこれまでの経歴を概括すると、新卒で入社後、相模事業所の製造部門で1年間のOJTを受け、品質保証部門に配属。次に阿蘇工場の製造技術部門で7年ほど当社のものづくりを学びました。
そして米国オレゴン工場の立ち上げ要員として初めて海外へ赴任、同工場の検査部門を軌道に乗せる業務を4年半、この時はマネジメントとして米国人の部下を指導する経験をしました。再び阿蘇工場に戻って検査部門のマネジメントを経験した後、経営企画室に異動。ここで8年ほど会社全体の戦略策定に携わり、先ほどお話しした海外技術供与プロジェクトも経験しました。

その私が3年前から人事部長を務めることになった理由は、当社の人材の採用と育成に 「事業目線」 を持つことが重要になってきた故であろうと推察しています。

今会社として注力する新規事業分野では、どのような技術領域の専門性に長けた人を採用すべきなのか。グローバル市場でのマーケティング、或いはグローバル市場で通用する製品開発にはどのような資質の人材を採用すべきなのか。求める人物像の再定義から始めました。
並行して、グローバル市場での事業展開を前提とした階層別研修を強化し、第一段階として30代前半で海外勤務経験のない社員向けに 「グローバル選抜教育」 と名付けた選抜方式の能力開発プログラムを策定、今年から運用をスタートしました。

月に2~3日間集中して実施される研修プログラムは、合計6カ月に及びます。3カ月目には 「シンガポールに4日間滞在して、課題に取り組む」 という実地研修が含まれています。二人一組になってそれぞれのミッションに沿い、現地の人々とコミュニケーションを図って情報を収集し、最終日にはそこで得た成果を英語でプレゼンテーションするといった課題に取り組みました。

外国語 (主に英語) でのコミュニケーション能力や、ロジカルに考えること、粘り強く取り組む姿勢、文化やビジネス習慣の違いを理解して柔軟に交渉に臨むといったことの大切さに気付いて頂くのが狙いです。次期海外赴任候補の社員に、私自身が海外で痛感したことを、より早い段階で体験して頂く良い機会となりました。

現在、貴社にはどのような中途採用ニーズがあり、応募者にはどういったバックグラウンドや仕事に対する姿勢を求めておられますか。

新規事業分野に限定して、研究開発部門のエンジニアとマーケティング担当 (営業) を募集しています。営業職には、新規分野で行動力、情報収集力に強い人材を補強するニーズがあります。但し当社の営業職の9割は理系学部出身者であり、担当分野の顧客企業の技術者と材料に関して対等に話せる 「技術営業」 としての手腕が求められます。

開発職では、太陽電池やリチウム電池の材料・装置開発に精通している方や、バイオ系の開発経験をお持ちの方には専門性を活かしてご活躍頂ける場があります。

人材に求める資質やスタンスの面では、グローバルビジネス志向があり、自立して積極的に行動できる方とお会いしたいと考えています。新規事業分野はいずれもこれから本格的に立ち上がるビジネスになりますから、今はまだ存在していない新製品を開発し、市場に当社製品のシェアを創造していく仕事です。斬新な発想とチャレンジ精神が求められるのは言うまでもありません。
中途採用で活躍している営業社員の中には、ある業界の著名な社長の講演会に出席し、講演終了後にアポ無しで社長と名刺交換、失礼を承知で次に会う約束まで取り付けた猛者がいます。現在、そこから実際に一つの共同研究がスタートしています。新規事業の果実を短期間に得る為には、当社が持たない技術ノウハウを他社と戦略的にアライアンスを組むことで手に入れるという選択がカギを握る場合があります。

開発職、営業職共にコミュニケーション能力は必須ですが、現時点での語学力は問いません。英語力がある程度あれば良いかな、といった程度です。当社の顧客企業は大半がグローバル市場のプレイヤーであり、語学力は入社後のOJTで十分キャッチアップして頂けます。
現在、総合職の社員約60名が海外拠点に赴任中で、年間15名ほどが前任者と交代で新たに赴任しています。海外出張は全社で年間およそ1,600件、多い人は毎週のように出国している状況であり、否応なく仕事に必要な語学力は身につけることができます。勿論、語学研修自体も充実させていますのでご安心下さい。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


「弊社は自ら手を上げれば、新しいことに挑戦できるチャンス、海外で活躍できるチャンスも極めてたくさんあります。」

当社は基本的に社員一人ひとりを大切にする家族主義的な温かさを持った企業であり、当然のことながら中途採用者に対しても、総合職の社員として長期的な視野でその方個人のキャリア形成を支援しています。
また既にお話ししました通り、若手であっても気軽に本音で上司・先輩と意見交換ができる建設的で風通しの良い風土があります。各事業所や工場では定期的に 「社長と語る会」 が催され、幅広い階層の少人数の社員と取締役社長の阿久津 郁夫が車座になって対話するという場を設けており、これが社員の間ではとても好評です。

現在、当社はフォトリソグラフィによる微細加工技術を核に成長してきたステージから、新規事業分野を大きな柱に育てていく段階へ、企業として大きな転換期を迎えています。これまでのご経験を活かして、新しいフィールドで積極的にチャレンジしてみたい方には、是非、東京応化工業を検討して頂きたいと考えています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

東京応化工業株式会社
設立
昭和 15年 10月 25日
資本金
146億4044万8千円
上場証券取引所
東証1部
従業員数
1596名
本社所在地
神奈川県 川崎市 中丸子 150番地
代表取締役社長
阿久津 郁夫
事業内容
半導体・液晶ディスプレイ等のフォトリソグラフィプロセスで用いられる感光性樹脂 (フォトレジスト)・高純度化学薬品を中心とした製造材料、半導体用・液晶パネル用製造装置などの各種プロセス機器、その他無機・有機化学薬品等の製造・販売
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約20,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか43社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ
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