企業インタビュー

日産自動車株式会社 企業インタビュー

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今回は、日産自動車株式会社の人事本部 日本人事企画部 人事企画グループ 主担 林 恵理子 氏にお話を伺いました。1998年の経営危機から一転、V字回復を成し遂げた同社。社風の変化や、女性活用の取り組み、海外との接点や、積極採用ポジション等、先頭を走るグローバル企業の実情について伺いました。

昨今の業績について、自動車業界の中でも頭一つ抜けて好調との報道もありましたが、内側からご覧になって、どのような点がポイントだとお考えですか。


人事本部 日本人事企画部 人事企画グループ 主担 林 恵理子氏

お陰様で、特に昨年度(2011年度)は好調でした。その要因として大きかったのは、危機的な状況が発生した時のリカバリーが早かったことだと思っています。

例えば、サプライヤーさんの工場に被害が出て、コンパクトカー “マーチ” の部品供給がストップしたタイでの大洪水の際にも、迅速な対応を行うことができました。洪水発生後すぐに、同じく “マーチ” を作っている中国とインドの担当者と、タイの担当者、そして日本ヘッドクォーターのメンバーを交えた対策ミーティングを開き、中国やインドのサプライヤーさんから部品を回すことを即決したのです。

中国もインドも、自動車の販売が非常に好調で、生産すればするだけ売れるという状況ですから、部品も本来は自国内の生産に使いたいところです。しかし、グローバル全体にとって、どこに供給することがベストなのかという議論の結果、タイ工場の速やかな稼働と復興が第一だという結論に至ったのです。

このように、リージョンの枠を越えた、クロスファンクショナルな取り組みが進んでいることや、決断がスピーディーであることが、当社の強みだと認識しています。

今後の事業の展望についてお聞かせ下さい。


中期経営計画「日産パワー88」。
力強い書は、武田双雲氏の作。

2011年度~2016年度の6ヵ年に渡る中期経営計画「日産パワー88(エイティエイト)」を掲げ、台数面ではグローバルシェア8%、売上面では営業利益率8%を目標に、成長を更に加速させていきます。

目標達成のために、ゼロエミッションをキーワードとした電気自動車の拡販や、コストコントロール等、多方面からの取り組みを行いますが、その中でも特に要となるのが新興国でのビジネス拡大です。

自動車市場は2016年までに更に25%ほど伸びると言われていますが、その大半は新興国需要です。中国・インドはもちろん、ロシア・ブラジル・メキシコ等、他社に先駆けて新興国に進出してきた当社ですが、今後も更に注力して参ります。

1991年新卒入社の林様。好調の時期、どん底の時期(※)、ゴーンCEO着任以降のV字回復の時期、そして現在に至るまで、一連の流れを体験なさってどのような感想をお持ちですか。


「目標数字を明確に打ち出す会社になりました。」

会社の雰囲気は、大きく変わりましたね。私が入社した当時は、年功序列の非常にのんびりとした社風でした。

ゴーンさんがCEOに就任してからは、数字とコミット(公約・決意表明)を伴った目標が、非常に明確に打ち出されるようになりました。今まで数字で表し辛かったものも例外ではありません。数字を掲げることで、皆が共通認識を持ち、目指す方向もより分かりやすくなるというのが彼の一貫した姿勢でした。もちろん厳しさも伴いますが、各々がやるべきことは非常にクリアになったと感じますね。

※:1998年、2兆円余りの有利子債務を抱え、経営危機に陥る。1999年、フランスの自動車メーカーであるルノーと資本提携。同社の出資を受け入れることとなった。

林様は、貴社でどのようなキャリアを積まれてきたのですか。


日産自動車株式会社
人事本部 日本人事企画部 人事企画グループ 主担 林 恵理子 氏

新卒で当社に入社後、国内マーケティングセールス部門に15年ほど在籍し、マス媒体のマーケティングやCRM等を担当していました。その後、ダイバーシティを推進する部署で3年間勤めた後、現在の人事に至ります。当社の中では珍しい経歴かもしれません。

はじめの1年は、販売研修でコテコテの営業もしました。“ローレル” や “セドリック” といった高級車を扱う葛飾の販売店に配属となり、地域のお宅を訪問して1台1台売ることもありました。
そこでは、実に様々なお客様がいらっしゃるということや、営業職にはどのような振る舞いが求められているのかということを、身をもって知りました。犬に吠えられて悲しい気持ちになったこともありましたが(笑)。『お客様のニーズはさまざま。自分たちの価値観がすべて正しい訳ではない』ということを学べたのは、私にとって大きな財産になりました。

貴社には、『女性が活躍している会社』 というイメージがありますね。


横浜のグローバル本社1階は広いショールーム。

はい。当社は個人の多様性を生かすこと、女性の活用を推進することを目的に、2004年ダイバーシティ・ディベロップメント・オフィスという専属の部署を立ち上げました。人事とは別の部門とし、社内のしがらみに左右されない独立した部署とし、マインドを含めた今迄の習慣を変えていったのです。
また、社員全員に等しくキャリアや育成の機会を提供する仕組みも整えました。

私も、販売の第一線の現場に女性を増やすという取り組みの一環で、マーケティングセールスからこの部門に異動となり、3年間ほど在籍しました。

現在、マネジャークラスの女性比率は7%程度です。業種がメーカーですので、そもそも全社に占める女性の割合は12%ほど。ですから、かなり健闘している数字ではないかと思っています。しかし、シニアマネジャー以上となると、まだまだ低い水準ですから、これら上位管理職層の女性比率の増加は継続的な課題です。特に、エグゼクティブ層など、数年程度で育つものではありませんから、長い目で見た積極的な取り組みが必要です。

カルチャー面でのダイバーシティや、海外との関わりについては如何ですか。


ルノーとの提携以前は、アメリカや欧州等、世界で車を販売している会社とは言え、ごく一部のメンバー以外は、海外とそれほど頻繁にコンタクトをとる必要はありませんでした。

しかし現在は、他リージョンとの連携は必須で、海外と接する場面は格段に増えました。当社はグローバルのヘッドクォーターではありますが、一方的な指示・通達ではなく、各リージョンと対等な立場で相互に連係し合いながら業務を進めています。テレカン(Telephone Conference)も日常茶飯事ですし、もはや海外と全く接しない部門は無いと言ってもいいかもしれません。

皆さんの英語力に変化はありましたか。

以前であれば、「今更やっても…」と英語の習得を諦めている社員もいましたが、今では日々の業務の中で必要不可欠であり、40歳を超えたゼネラルマネジャークラスの者も勉強しています。全く喋れないところからスタートして、TOEIC700点や800点を取るようになるという話も耳にします。TOEICスコアの統計は分かりませんが、全社の英語力が飛躍的に伸びたという実感はあります。

私も、国内販売の部門が長かったので、英語を使うシーンは殆どありませんでした。しかしダイバーシティ・ディベロップメント・オフィスに転じてからは、英語ミーティング等の実践機会が格段に増え、通じない辛さや難しさを感じたこともありましたが、何とかやってくることができました。もっとも、私の英語はガッツ・イングリッシュ(笑) で、今でも決して上手く喋れる訳ではありません。

現在、日産の役員クラスの外国人比率は25%です。
よく社内の公用語が英語なのでは、と懸念される声も聞きますが、すべての場面で英語を使っているわけではありません。メンバーが日本人のみの場合はもちろん日本語を使いますし、外国籍の方が1人入れば英語にしますし、業務効率を優先して柔軟に使い分けています。

中途採用が盛んな印象がありますが、昨年の実績は如何でしたか。


ゼロエミッション車と搭載バッテリー

昨年は事務系・技術系合わせて100名以上の中途採用を行いました。今までのご経験やポテンシャルを見て、同業他社に限らず幅広い業界からご入社頂きました。

先ほどダイバーシティについての話に触れましたが、当社は中途採用の方のハンデが全くない会社です。色眼鏡で見られたり、新卒社員に対して、育成や評価の差がついたりということはありません。
私の部下2名も中途入社ですし、中途の方がいるのが当たり前の環境ですので、そもそも『あの人はプロパーか中途か』という視点で人を見ることがありません。一緒に働いてしばらくして、初めて中途入社であることを知るということも珍しくありません。この点は、他社とは大きく違うところかもしれませんね。

スキルや経験のほかに、貴社が求めるメンタリティやお人柄に関するこだわりがあればお聞かせ下さい

中途に限らず、当社で活躍しているメンバーは、皆、様々な情報を一旦広く受け入れることができる素養を持っています。当社の仕事は、様々なリージョンの多様な考えを持つ人と関わりますし、また、環境の変化も激しい昨今ですから、凝り固まった考え方ではついていけなくなってしまいます。
様々な情報をひとまず受け入れ、それをベースに自らが深く考えて判断を下し、その結果を周囲に説得し、納得させながらチームとして巻き込んでいくこと、これが日産の社員に求められることだと思います。

現在、採用で注力しているポジションはありますか


ショールーム入口にて。

中期経営計画達成のための人材を積極的に募っていますが、その1つが、購買です。当社は、コストを “戦略を支える屋台骨” と位置づけ、サプライヤー開拓に積極的に取り組んでいます。購買職は、国内だけでなく世界各国のサプライヤーと、価格や安定供給についての交渉を行いながら良い車を作り上げていく、非常にビジネス性の高いポジションです。文系出身者だけでなく、技術系バックグラウンドの方も活躍しています。購買の経験豊かな方ももちろん歓迎しますが、経験が浅くても、今申し上げたようなビジネスにチャレンジしていきたいという意欲がある方であれば歓迎します。

最後に、貴社を志望する方、及び潜在的な候補者へのメッセージをお願いします。

日産は、『ここまでしかできない』ということがない会社です。ご自身が主体的に『何かをしたい!』という強烈な思いを持つ限り、いくらでもチャンスが提供される会社です。溢れる意欲をお持ちの方には、ぜひご応募頂きたいと思っています!

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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日産自動車株式会社(NISSAN MOTOR CO.,LTD.)
設立
1933年12月26日
資本金
6058億1300万円
上場証券取引所
東証1部
従業員数
22,209名(単独)、137,250名(連結)
本社所在地
神奈川県 横浜市 西区 高島 一丁目1番1号
代表者
社長兼最高経営責任者(CEO) 西川 廣人
事業内容
自動車、船舶の製造、販売 及び 関連事業
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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