企業インタビュー

株式会社ローソン 企業インタビュー

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国内1万店以上のコンビニエンスストアチェーンを展開する、株式会社ローソン。今回は、執行役員 (CHO 兼 ヒューマンリソースステーションディレクター) 村山 啓 氏に、今後の事業展開や活発化している中途採用の現状、社風や求める人物像などについてお話を伺いました。

まず、御社のビジネスの現状についてお聞かせ下さい


株式会社ローソン 執行役員 (CHO 兼 ヒューマンリソースステーションディレクター) 村山 啓 氏

当社は、長らく国内コンビニエンスストア事業に愚直に取り組んできた会社です。
私の入社した25年以上前には、(株)ローソンどころか、コンビニエンスストアという存在自体の認知度もまだまだ低いものでした。そこから1つ1つ積み上げていって、現在では、世間の大方の皆様に”ローソン”と聞けば当社の店舗をイメージして頂けるまでになりました。現在、当社の国内コンビニエンスストア事業の売上高は約1兆3000億円、関連事業を含めると約1兆8000億円です。 (2011年度)

ナチュラルローソンに代表されるような新たなスタイルの店舗だけでなく、同じ ”ローソン” ブランドでも、店舗ごと・地域ごとに特色を活かしたお店づくりをされていますね。

はい。業界の中でも店舗運営に関する自由度は高いと言われていますし、当社としても各店舗の独自色を出して下さいと発信していることは確かです。最初は儲けが出にくいかもしれません。しかし、各店舗が 「こんなこともやっていいんだ」 と感じることが増えれば、士気も高まりますし、長い目で見れば良いことだと信じて行っています。
代表の新浪は、10年前の着任当初から、北海道の店舗と九州の店舗が同じ作りであることに疑問を持っていました。小売の素人が見ておかしいと思うのだから、お客様から見てもおかしいと感じるだろう、ということですね。標準化・単純化を極めていくというのは、あくまでも本部の都合。お客様の利便性とは切り離して考えようという思いがあります。

今後の事業展開の方向性についてお聞かせ下さい


コンビニエンスストア事業で生み出した収益をもとに、『新しい事業』と『新しい地域』に踏み出して行きます。

1つ目の『新しい事業』というのは、エンターテイメントやeコマース (※1) など、店舗にお越しにならない方にもサービスや商品を提供できる会社になっていこうという試みです。お陰様で、ローソンチケットの取扱高や、HMVジャパンの売上高は、業界で1、2を争う位置につけています。これらの分野には、今後も更に注力して参ります。

2つ目の『新しい地域』というのは、アジア諸国をはじめとする海外への進出です。現在のようなスタイルのコンビニエンスストアは、”忙しい人”が増加の一途を辿っていた過去20~30年の日本と共に成長し、成功しました。ですから、これから”忙しい人”が増ていく地域、つまり農業立国から工業・商業立国へと変化しつつある国でも必要とされるに違いないと考えています。

2012年5月3日には、中国に全額出資の現地法人を設立しました(※2)。中国は国土・市場とも巨大であるため、1つの都市が1つの国と同等であると位置付け、持ち株会社のもとに地域ごとの事業会社を置くホールディング体制を敷きました。中国に続く第二陣として、インドネシアに出店しました。今後はハワイ、インド、タイ、ミャンマー、ベトナムなどへの展開を予定しています。

※1:チケット販売事業『ローソンチケット』、店舗事業『HMV』、EC事業『ローソンホットステーションエルパカ』などを展開する株式会社ローソンHMVエンタテイメントについては、 こちら

※2:「羅森(中国)投資有限公司」についてはこちら

海外展開のプロセスについて、もう少し詳しくお聞かせ下さい

日本国内のローソンとかけ離れた店舗にはしたくないという思いがありますので、基本的には日本のモデルを土台とするつもりです。ただ、品揃えはローカライズの必要がありますね。コンビニエンスストアは、食品の取扱い比率が大きいビジネスです。どこの国でもおにぎりが主力商品、という訳にはいきませんからね。

海外展開の具体的な手順としては、まず、各業務領域で立ち上げ担当ユニットを作ります。例えば、商品領域であれば、食品MDを3人、非食品MDを2人、物流担当を1人、合わせて6人でひとつのユニットとするようなイメージですね。同様に、店舗開発や運営指導などの領域についてもユニットを作り、合わせて15名前後の立ち上げチームを組成します。現在は、国内のコンビニ事業で育ってきて、海外にこれを広めたいという志向を持つメンバーを抜擢する形で進めています。ここに、通訳を兼ねたメンバーとして、留学生(※3)が加わる場合もあるでしょうね。

立ち上げ後は、徐々に現地採用を増やしていって、いずれは経営を担う2~3名を残して引き揚げてくるのがゴールのイメージです。これからは、株式会社ローソン籍のメンバーが『グローバル社員』という位置づけで、世界中に ”ローソン” を伝える宣教師の役割を担っていくことになるでしょうね。展開の過程で、現地社員が、ローカルのマネジメント職、更には『グローバル社員』として株式会社ローソンに転籍、世界を舞台に活躍するというキャリアパスも考えられます。

※3:アジア諸国を中心に、日本の大学への留学を経て同社の社員になった方々。現在、約10カ国からのメンバーが在籍する。

村山様ご自身も、中途採用でお入りになったと伺いました


株式会社ローソン 執行役員 (CHO 兼 ヒューマンリソースステーションディレクター) 村山 啓 氏

はい、私も31歳の時に転職してこの会社に来ました。元々は、服飾小物メーカーの大手量販店向け法人営業担当で、営業先で毎日のようにお会いしていた、ダイエー(株)様の衣料品MDの方との会話の中で”ローソン”の存在を初めて知りました。その後、大阪の街角に新店がオープンしたのを見かけて 「あれが話に聞いた”ローソン”だな」 と思ったのを覚えています。とは言え、当時はコンビニという名称も市民権を得ていない頃でしたし、私も”小さなスーパーのようなもの”という程度の認識でした。

自分が転職活動をする段になり、偶然、当社の説明会開催の告知に行きあいました。話を聞いてみて、フランチャイズという形態やSV(スーパーバイザー)職に興味を持ち、とんとん拍子に話が進んで入社に至りました。営業職の前に経理業務も経験していたため、SVであれば経営指導の場面でその知識を活かすこともできるだろうと感じたのも決め手の1つでした。

入社当時はまだ当社の本社が大阪だった頃。大阪市内の店舗勤務からのスタートでした。しばらくして店長になって、「さあこの次はいよいよ念願のSVだ」 と思ったところで人事部に異動になりまして(笑) 、そのまま25年間ずっと人事です。

入社時にはSV希望だと伝えたつもりだったのですが、その時の面接官でもあった人事の上司は「聞いてない」と。そんな訳ないでしょう、と思いましたけれどね(笑) 辞令が出る直前、人事に異動になった前任の店長が、「久しぶりー」というような感じで上司を連れて突然店に来たんです。妙だなとは思ったのですが、それが面通しだったようですね。ちょうど30歳前後で人事ができそうな人間が欲しいというオーダーがあったようで、何だか分からないままに引っ張られて今に至ります。

積極的に中途採用を行う伝統があるのですか

10年間ほど、新卒採用を除き、ほとんど外部からの採用を行わない時代もありました。1つには、グループであるダイエー(株)が停滞期に入った時に、伸び盛りのローソンが受け皿的機能を果たしていた時期があったこと。もう1つは、直営店をフランチャイズ化する過程で、1店につき社員2名ずつが余っていく時期があったことです。
急速に店舗数を増加させるために、直営店をオープンして、ある程度実績を作ってからオーナーさんを募って売却し、フランチャイズ化するという方法を多用したことがありました。店舗は資金があればできますから、規模拡大には直営店が一番早いのです。ピーク時で2000店以上の直営店がありましたから、かなりの人数が浮いていきました。
これら2つの背景が、自然退職を補って余りある人的拡大要因となっていたのです。

ここ10年ほどは再び、多岐に渡るポジションで纏まった数の中途採用をなさっていますね


はい、同業他社と比較しても中途採用は盛んだと感じます。ほぼ全ての部署に、中途のメンバーがおりますね。

新浪が社長に着任してから、採用を含めた会社運営全般の舵が大きく切られました。店舗ごとの独自性を認めるのと同様に、社員も様々な人材を迎えることで組織としての活性化を図るという方針を強く打ち出すようになりました。今で言うダイバーシティですね。
また、コンビニ専業でよそ見せずにここまで大きくなった会社なので、新しい事業に踏み出すためのノウハウがないという現実的な理由もありました。加えて、今迄の枠からはみ出すことができる気質の人材を求めたという側面もあります。上長から言われたことを忠実に効率よく達成する人間が偉くなるという、金太郎飴のような組織体質を変えようとしたのです。

内部の人材を育てていくことはもちろん必要なことですが、一朝一夕にできることではありません。人材を外部から迎え入れるということは、その育成の分の時間を買うことだと捉えています。ですから、中途入社の方には、「今、結果を残して頂くこと」 そして 「若手に伝授して頂くこと」 の2つの役割を期待しています。

中途でお入りになって、その後高いパフォーマンスをあげている方々に共通することはありますか

大前提としては、明るく社交性に富むことですね。
あと話を聞くところによると 「前の会社ではこうだった」 などと過去のことは持ち出さないほうが上手くいくようですね(笑)  もちろん、外部からお迎えしている訳ですから、調和ばかりを重視している訳ではありません。仕事上で必要なところは主張しつつも、人間的・感情的な摩擦が起きないように気を配って仕事を進められる方々は活躍していると感じます。尖った才能を持った人であればあるほど、このバランスは難しいでしょうね。

代表の新浪剛史という人物は、ローソンという池に飛び込んできた大きな石のようなものです。大きな波紋を伴いながら、10年かけて変革が進んできました。ただ、池のほうも今や結構な大きさになっていますから、多種多様な考えを持った、いろいろな生物が住んでいますよ。そのような環境の中に入ってくるのだというある種の覚悟は必要かもしれませんね。

直近で採用に力を入れている職種はありますか


株式会社ローソン 執行役員 (CHO 兼 ヒューマンリソースステーションディレクター) 村山 啓 氏

私たちの商売は店舗が基本ですので(店舗指導)、SV職の採用には特に注力しています。

オーナーさんと密接に関わるポジションであるため、夜中だろうが日曜だろうが、お構いなしに携帯が鳴るんですね。このような負荷を減らす為、これまでの専任担当体制から、アシスタントSVを配置した3人1チーム体制に変えようとしています。業界では当社が先駆けかもしれません。

この取組みの背景には、女性SVを増やしたいという思いがあります。当社のSVは全国に約900名おりますが、現状、女性は30名ほどです。一方、現在活躍している女性SV達の評価は総じて高く、細かいところまで気配りが行き届くとオーナーからの信頼も厚いのです。勤務形態に負荷が多過ぎるのが最大のネックになっているのはほぼ間違いないと思いますので、遅ればせながら改善に向けた取り組みを進めているところです。生命保険業界や不動産業界をはじめとして、女性営業職と呼ばれる方々は沢山いらっしゃいますよね。就業環境を整え、是非当社でもご活躍頂きたいと思っています。

求める人物像についてお聞かせ下さい


エントランスにて。

ポジションや部門を問わず、論理的思考力の高い方は特に歓迎します。パワーや時間で押し切るのではなく、現状の課題を整理して、単純化・標準化を進めることの出来る人材を求めています。ただ、関西系の会社ということもあり、スマート一辺倒でなく、ウェットな部分への理解は必要かもしれません。

出身業界にはこだわりません。もちろん、同業出身のメンバーもおりますが、様々なバックグラウンドの人材が活躍しています。特に、SV候補には、小売業界の経験も求めません。会社のブランド名に頼らずに自分の力で仕事をしてきた方が活躍する傾向にあります。

(株)エリートネットワークへのご要望や、今後期待することがあればお聞かせ下さい

明確な求人案件の有無に関わらず、当社でご活躍頂ける可能性があると見受けられる人材を都度ご提案頂いているので助かっています。今後も、そのような動きは続けて頂きたいですね。今後は、マネジャー層だけでなく、若手現場層のご紹介も更に増やして頂きたいと思っています。

御社を志望する方、及び潜在的な候補者へのメッセージをお願いします。

コンビニ業界は、これからますます面白い段階に入っていきます。ちょうど、従来のひたすら店舗数を増やしていく体力勝負の競争から、全く別の勝負に変わっていくところです。今迄のコンビニ事業に留まらず、様々な仕事のチャンスが巡ってきていると感じます。10~20年先には、誇張ではなく 「元コンビニをやっていたローソン」 と言われているかもしれません。ここからどう化けていくか。化けさせていくのは、私達でもありますし、これから来て頂く方々でもあります。共にチャレンジして頂ける方とお会いできることを楽しみにしています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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株式会社ローソン
設立
1975年4月15日
資本金
585億664万4千円
上場証券取引所
東証1部
従業員数
9,403名(連結)
本社所在地
東京都品川区大崎一丁目11番2号ゲートシティ大崎イーストタワー
代表者
代表取締役社長 竹増 貞信
総店舗数
13,111店(国内のみ)
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約20,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか39社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)
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