企業インタビュー

三菱UFJ信託銀行株式会社 企業インタビュー

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日本企業における経営者報酬の構造改革に伴走し、報酬ポリシーの策定から制度設計のコンサルティング、法務・会計・税務の実務支援に至るまで、ワンストップでサービスを提供する三菱UFJ信託銀行株式会社のHR戦略コンサルティング部。今回は同部創設のファウンダーである内ヶ﨑 茂 氏にインタビュー。HRコンサルティングを通して「人が輝く社会」の実現を目指す新部のビジョン、日本を代表する大企業のCEO(最高経営責任者)とディスカッションを重ね経営者報酬のグランドデザインを描く醍醐味、この仕事を担うコンサルタントに求める3つの人財要件等についてお話を伺いました。(掲載開始日:2019年6月13日)

まず初めに、HR戦略コンサルティング部について、新部設立の経緯を含めてご説明下さい。


HR戦略コンサルティング室長
プリンシパル 内ヶ﨑 茂 氏

HR戦略コンサルティング部は、MUFGグループ及び三菱UFJ信託銀行におけるコンサルティング&ソリューションビジネスを先導する新部として、2018年4月に発足しました。「人財」を軸に日本企業のガバナンス改革を実現する、「HRガバナンス」の推進をミッションとしています。

私自身は「部」というより、「社中」という言い方が適すると思っています。坂本龍馬が作った亀山社中のように、同じ志を持った仲間が集まり、「HRガバナンス」を通じて日本の社会構造を改革していこうとするビジョナリーな組織です。当社における既存のどの部門からも独立した経営直轄の組織であり、『「ヒト」が輝く“社会の未来設計図”を創造する』というビジョンを掲げています。日本を代表する大企業に対して「経営者報酬の構造改革」を軸とするHRコンサルティングに取り組んでいます。

新部設立のきっかけは、2017年5月にMUFGグループが発表したニュースリリースでした。この時、私たちは銀行・信託・証券といった事業会社の枠組みを超え、グループ一体で最適なソリューションを提供していくという趣旨でグループ機能の再編を宣言したのです。
この変革への動きは、当社でそれまで約10年に亘って取り組んできたHRコンサルティングを大きく発展させるチャンスであると私は受け止めました。そして、今こそ専任部署を設置して次の成長ステージに挑戦すべき時機であると経営陣に訴え、当社の取締役社長の池谷 幹男や取締役専務執行役員の米花 哲也の決断があり、HR戦略コンサルティング部の設立が実現しました。

『「ヒト」が輝く“社会の未来設計図”を創造する』という貴部のビジョンは、どのような考え方から生まれたものなのでしょうか。

少子高齢化、デジタル革命、グローバル化といった大きな流れの中で、私たちを取り巻く環境は劇的に変化しています。このような「VUCA」時代(Volatility:激動、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:不透明性、の頭文字をつなげた言葉)において、今後、日本がグローバルな世界で存在感を発揮していくには、「人が中心となる社会」を創っていかなければなりません。

安倍政権の提唱する成長戦略―Society5.0(超スマート社会)、第4次産業革命の中で、人を中心とした社会をどのように創っていくのか。IoTやロボティクスがより社会に浸透していく将来、人の担うジョブの半分以上がAIに置き換えられるとも言われています。このような時代だからこそ、テクノロジーを活用しつつも、もっと人が輝ける社会を作っていきたい。この社会を「HRガバナンス」を通じて実現することが、私たちのミッションだと考えています。

では、「人が中心となる社会」を創る上で、なぜ「HRガバナンス」が重要なのでしょうか。
人はある時は従業員であったり、役員であったり、株主であったり、投資家であったり、消費者として活動したり、社会の構成員としてボランティア活動をしたりと、人生の中でいろいろな役割を担っています。このように多様な側面を持つ「人」で構成される社会に対して、常に高い付加価値を提供し、持続的に成長していくのが企業の存在意義だと考えているのです。

社会の主役である「人」を軸にして企業の持続的な成長を促す「HRガバナンス」は、グローバル経営で重視されているESG(Environment:環境、Society:社会、Governance:ガバナンス)やSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)といった指針とも合致し、企業のサステナビリティ経営をリードしていくことができると思っています。『「ヒト」が輝く“社会の未来設計図”を創造する』という私たちの “社中ビジョン” はこうした想いから来ています。

「HRガバナンス」と経営者報酬の関係性について、もう少し詳しく教えて下さい。

私たちが経営者報酬に着目した理由は、社会と経営者の「接点」が経営者報酬だと捉えているからです。
現に、欧米では、機関投資家とCEOとのエンゲージメント(建設的な対話)において、最も頻度の高いアジェンダが経営者報酬であると言われています。投資家は経営者報酬を通じて、CEOのビジョンや経営戦略、会社のカルチャーやESGへの取組みを議論してきます。

例えば、ある会社の社長が、就任時に「女性管理職の比率を40%に上げることを自分の経営目標の1つとする」と宣言し、「これが3年後に実現できていなければ、自分は経営者報酬を受け取らない」と公約したとします。つまり、社長の経営哲学として、女性の活躍が自社のサステナビリティ経営のために必須であり、自らのジョブの最プライオリティ事項であると、社会に公約したことになります。この場合、企業の経営者が自らのビジョンを社会に対して発信するストーリーにおいて経営者報酬が指標になっていると言えます。

分かりやすく解説するために事例を単純化しますと、この経営者の掲げる「女性管理職の比率を40%に上げる」といったビジョンに共感した株主は、この会社に投資します。株主は株式会社の所有者ですが、実際の経営については経営者に委託しています。コーポレートガバナンスの考え方では、株主はプリンシパル(委託者)であり、経営者はエージェント(代理人)とされ、委託者である株主は自身の代理人である経営者がビジョン実現に向けてきちんと取り組んでいるかを監視し、信任を与えます。企業は社会的な存在ですから、広義では株主だけでなく社会も経営者をモニタリングしています。

この経営者にとって、社会に公開された経営者報酬は、自ら掲げたビジョンの実現に向けて、3年間に亘って自らを律して経営努力を重ねるインセンティブとなります。このように社会が企業経営に中長期にガバナンスをきかせる上で、経営者報酬はとても重要な役割を果たしています。
経営者報酬は、経営者が社会に対して語る、大切な夢のコーポレート・ストーリーであり、重要なコミュニケーション・ツールであると言えます。

では、「HRガバナンス」を実現するために、具体的にどのようなコンサルティングを提供されているのでしょうか。


「経営者報酬の制度設計においては、経営者は勿論、全ての取締役がモチベーション高く経営に取り組めるような制度とすることが重要です。」

経営者が社会に対して語るビジョンを支える存在が経営者報酬だとすれば、まずは経営者報酬のあるべき姿や戦略に当たる「報酬ポリシー」(報酬哲学)を策定します。報酬ポリシーは、投資家や株主の代表である独立社外役員を中心とした指名・報酬委員会の場で、CEOと委員会のメンバーが議論して作り上げていきます。私たちはその際、自由で活発な議論が行われるよう専門家としてファシリテーターの役割を果たします。経営者の想い、株主や機関投資家の意向、社会からの期待を全て受け止めて中立的な視点で報酬委員会をリードし、その企業の経営者報酬のポリシー策定をサポートします。
独立社外役員は、企業の持続的な社会貢献の視点から議論に参画することになりますが、会社の歴史やカルチャーをしっかり理解することが肝要です。長い社歴の中で形成された企業文化や、CEOがこれから創造しようとする企業文化が、会社の持続的な成長の源泉になるからです。

ポリシーが完成したら、次は「報酬制度」を設計します。制度を形創る際には、企業の長期的なビジョンからブレークダウンして策定された中期経営計画がベースになります。
例えば、「3年後に売上高1兆円の企業にしたい。1兆円企業になれば、社会に対してこれだけの貢献ができる」という戦略が定められていたとします。すると、この1兆円の達成をLTI(Long-Term Incentive:長期インセンティブ報酬)に組み込み、これを達成するために毎年の報酬であるSTI(Short-Time Incentive:短期インセンティブ報酬)を設定する、といったステップで経営者報酬の制度設計を進めていきます。

報酬制度が固まれば、次に制度を管理・運営していくために、法務・会計・税務上の対応が必要になります。更には株主総会で株主の信任を得ねばなりませんし、より広くステークホルダーから賛同してもらうことを考えれば、社会的責任に配慮することも重要な取り組みです。
このように報酬ポリシー策定から報酬制度の設計、制度の管理・運営に至る一連の業務をワンストップで提供することが、私たちの報酬コンサルティングのビジネスモデルです。
世界的に見てもこのようなHRソリューションのワンストップサービスを提供する例は私たち以外になく、ブルーオーシャンを開拓し得るモデルであると自負しています。

そして、経営者報酬のコンサルティングで実績をあげることができれば、役員選任に係わる人事やサクセッションプラン(次期経営人財の育成計画)、或いは従業員の処遇全体の刷新(タレントマネジメント)や会社のカルチャー改革(ビジョナリー経営)に至るまで、経営者報酬以外の、人財を軸にしたコンサルティング領域にも段階的に深化していくことが可能となります。

日本企業の経営者報酬の構造改革をしていく上で、現在どのような課題があるとお感じになっていますか。

自分の後継者となるCEOを育成・選抜したり、経営陣のインセンティブ報酬を決めたりといった業務は、経営者にとって最もセンシティブな領域で、これまではCEO専権事項でした。従来は経営者自身が判断を下し、繊細な配慮に基づいてブラックボックス的に決定していました。そこに独立社外役員の視点を入れた指名・報酬委員会によって決定プロセスをオープンにするという思い切った改革を提案されるというのは、どうしても警戒心が強くなります。改革について総論は賛成であっても、各論では慎重になるというのが実情です。

このような想いを抱く経営者にいかに前向きな気持ちになって頂くかが、私たちが手腕を発揮すべき仕事になります。経営者報酬の構造改革が企業の成長に繋がるということを経営者に心から納得して頂くプロセスを経ることが最も重要な意味を持ちます。
しかし、そもそも日本を代表するような大企業のCEOから、心を開いて相談するに値する相手として認めて頂くことは非常にハードルが高いことです。そこで、経営者ご本人は勿論、その会社の歴史やカルチャーをとことんリスペクトし、今後のあるべき方向性について一緒に考え、同じ船に乗るメンバーとして変革を支援していきたいという想いを伝え、信頼を獲得することが出発点になります。

実際にどのようなプロセスで経営者報酬の構造改革コンサルティングを実施されるのでしょうか。

基本的には経営者報酬の議論から始めるのではなく、会社としてのビジョンや長期的な戦略、企業文化についてインタビューすることから始めています。

CEOに会社の10年後を見据えたビジョンや長期的な戦略があるのであれば、その想いを経営者報酬の考え方に組み込むことができます。長期的なビジョンや戦略から逆算すれば、CEO自身の基本報酬や1年の短期で受け取るSTI、3年から5年のタームで受け取るLTIをどのように構成すればよいのか、正解は自ずと見えてきます。経営が長期的なビジョンを強く持てば持つほど、当然ながらLTIの重要性が増しますし、非財務KPIを採用する方向性が強まります。

CEOの経営チームであるボードメンバーは、CEOから権限を委譲されてCOO(最高執行責任者)、CSO(最高戦略責任者)、CFO(最高財務責任者)、CHRO(最高人事責任者)等、各オフィサーの役割が決まります。CEOの報酬が決まれば、自ずと各ボードメンバーの役割に応じた報酬のあり方が決まってきます。特に、企業のサステナビリティ経営に向けて、各ボードメンバーがどのような役割と責任を担う(ロール&レスポンシビリティ)かが鍵となります。経営者の独りよがりにならないよう、独立社外役員や株主等の社会の視点からアドバイスを受けつつ報酬制度を構築していきます。

一般にLTI等の業績連動報酬の割合が少ない日本企業において、経営者報酬の構造改革には長期的な視野での取り組みが重要になるかと存じますが、これを踏まえた取り組みについてお聞かせ下さい。

私たちは個社の経営者報酬の構造改革に“長く深く濃く”寄り添っていくことと並行して、2つの継続的な活動に取り組んでいます。

1つ目は、「HRガバナンス」という新しい考え方を社会に浸透させるため、啓蒙活動を展開することです。具体的には、経済界、関連省庁、機関投資家に対して、「人が中心となる社会」の実現に向けて日本の経営者報酬を刷新し、ひいては日本の社会構造の変革を目指すという「HRガバナンス」の考え方の共有・浸透を図っています。
私は現在、経団連で6つの部会等に参加し、そこに集まる日本の大企業の総務・人事・法務・経営企画・IR等を担当する経営幹部の方々と、日々、議論や意見交換をしております。また、コーポレートガバナンスの指針を作っている経済産業省や東京証券取引所、企業と機関投資家との対話指針を定めている金融庁とも日々、意見交換をさせて頂いております。加えて、世界の機関投資家の方々とも、一緒に勉強会で議論する等、日本企業のHRガバナンスの進化に向けたエンゲージメント活動にも継続して取り組んでいます。

2つ目の活動が、「HRガバナンス」を通じて目指すゴール、“To-Be”を社会に対して打ち出していくことです。学際的な活動を通じて学者や有識者とディスカッションを重ねると共に、論文や書籍を発表するといった社会的な情報発信を継続しています。商事法務には、頻繁に寄稿させて頂いております。

我々はあくまでも黒子であり、オピニオン・リーダーと言うとおこがましいのですが、このような活動を粘り強く積み重ねることで、オールジャパンで「HRガバナンス」の気運を高めていきたいと考えているのです。

経営者報酬の構造改革プロジェクトを進める際のコンサルタントの働き方について教えて下さい。


「プロジェクト遂行にあたり、プロジェクト・リーダーをヘッドに、シニアクラスのコンサルタントと中堅クラスのコンサルタント、さらに若手のメンバーがアサインされる場合もあり、経営者報酬の構造改革には最低でも1年程をかけて取り組みます。部全体では、R&Dも含めると大小合わせて年間100件ほどのプロジェクトが動いています。」

HR戦略コンサルティング部は現在約50名近い組織で、その内、コンサルタントは30名強います。クライアント1社に対して基本的に2~3名の少数精鋭チームを編成して臨んでいます。

また、経営者報酬の構造改革からスタートしてCEOのサクセッションプラン、すなわち後継者の育成や選任といったご相談を受けることも多くあります。その場合、20代、30代のコンサルタントが経営人財の育成や選任といったテーマでCEOや独立社外役員、人事担当役員とダイナミックな経営目線で議論を重ねることも珍しくありません。

プロジェクトに臨む際には、「オープンイノベーション」と「価値相対主義」という価値観を大切にしています。CEOと独立社外役員で指名・報酬委員会を立ち上げて喧々諤々、議論を重ねていきますが、全ての議論は社会的でオープンな目線で展開します。そして、設計した報酬制度を運用する段階では社長秘書室や経営企画部、人事部を始め、法務や税務、財務、IRといった多くのコーポレートセクションを巻き込んで進めていく必要があり、組織の枠を超えてオープンな議論をファシリテートします。それぞれの部署のロジックや価値観に耳を傾けてしっかり受け止め、その上で会社のビジョンに沿って議論の方向性を導き、着地点を探っていく姿勢が重要になります。

また、私たちHR戦略コンサルティング部にはポジションとして役職はありますが、組織はフラットです。全員が “社中” の仲間であり、プロフェッショナルとして尊重し合っています。仕事は全てプロジェクトベースで推進し、若手メンバーは一人ひとりが自分の目標に合わせて更なる成長を目指し、様々なチームに所属してシニアメンバーに学びながらプロジェクトにコミットすることで、自律自走できるコンサルタントを目指しています。

貴部のコンサルタントとして望ましい人物像についてお聞かせ下さい。また、人財に求めるスキルやスタンス等はどのようなものになりますか。

コンサルタントの人財要件は、“Will”と“Integrity”と“Professional”という3つの言葉で定義しています。

“Will”とは、『「ヒト」が輝く“社会の未来設計図”を創造する』という社中のビジョンに共感し、これを実現したいという強い“意志”を持っている方を仲間として迎えたいということです。特に20代の方々には、これから私たちと一緒にどのように日本の企業社会を変えていきたいと考えているのか、「想い」の部分、“情熱”を重視して採用しています。

2つ目が“Integrity”、誠実さです。企業の経営者のビジョンやその会社の歴史やカルチャーを徹底的にリスペクトし、その企業の経営陣と同じ船に乗り、中長期的な成長に伴走していく業務には、“誠実であること”が最も重要な資質になります。こちらの要件は経験年数を問わず、必須条件として重視しています。

3つ目の“Professional”は、日本企業に「HRガバナンス」を定着させる上で求められる専門的な技術や手腕といったプロフェッショナル性であり、30代以降の方々には、“プロの技と腕”が基本要件となります。私たちは当社のどの部門にも属さない独立した部としてクライアント企業にコンサルティングを展開します。つまり、私たちの前に営業部門はなく、私たちの後方にプロダクトオフィスは存在しないのです。メンバー全員が強い当事者意識を持ち、経営陣に対してプロとして、常にクライアントファーストでコンサルティングサービスやソリューションを提供していかなければなりません。

当部に3つの要件を兼ね備えた人財が集まっているという理由から、この“Will”と“Integrity”と“Professional”は、現在のHR戦略コンサルティング部の雰囲気を端的に形容する言葉でもあると感じています。

更に申し上げるなら、40代以上になるとスキルにプラスして経験値が重要となり、どのような“経験”をされてきたかを詳細にお聞きしています。
大企業のCEOやそのボードメンバー、社内の関連部門に対して経営者の目線、投資家の目線、社会の目線を持って活発な議論を促すには、多様な経験によって培われた高度な「人間力」が求められます。ダイバーシティに富むクライアント各部のメンバーの意見をインテグレートできるレベルの「コミュニケーション能力」や、制度改革の最終ゴールをイメージし、そこから各プロセスを設計して推進していく「構想力」を備えていることも重要になります。

若手を中心としたメンバーの育成方法についてお聞かせ下さい。


「私たちの組織で優れた経営人財を育成してみたいというのも、将来の夢の1つです。経営者報酬の構造改革や後継者の育成問題に関わることで、日本を代表する企業の優れたCEOの薫陶を受けるという経験は、まさに経営人財としての学びに満ちているからです。」

当部において活躍する人財の能力は、人財開発の黄金律であるとされる「7:2:1」に当てはまりますが、70%が実際のジョブの中で、20%がコーチングで、10%が座学等の学びを通じて身につけるものだと考えています。

特にこの70%の部分で大切なのが、実務の中でチームの経験豊富なリーダーの指導を受けながら、プロジェクトを通じて自分の目で見て感じ取り、学ぶ姿勢です。特に20代はそうですが、“感受性”(EQ)を豊かにして自ら考え、行動に移すことで人はいくらでも成長できます。
また、プロジェクトを通じてクライアントである大企業の経営者の方々に育てられている側面も大きいと感じています。日本を代表するような優れたCEOのモノの見方、考え方に直接触れて有形無形のアドバイスを受けることで、私たちコンサルタントも育てて頂いているのです。

10%にあたる、研修等の学びの機会の1つとして、毎週金曜日に部の全メンバーが参加できる「エンゲージメント部会」があります。部会と言っても役職者の報告を拝聴するといった上意下達のミーティングではなく、参加メンバーの自由な対話をベースにそれぞれがクライアントとの接点でどのような取り組みをしているのかを共有する場です。ここでは私も、経団連、関連省庁、機関投資家や有識者との対話、講演活動や執筆活動により得た知見等をメンバーと共有するようにしています。

20%にあたるコーチングと関連する部分でもありますが、最近改めて考えているのが、人財はマネジメント(管理)するものではなく、デベロップメント(開発)するものであり、育てていくものであるという視点です。それもショートタームではなくロングタームで、中長期的に投資し続けることで人財を開発しなければなりません。
人財育成の考え方を「管理」から「開発」へシフトし、多くのシニアメンバーの知見を人財の開発に集中させることで、社会に貢献できるプロフェッショナルを輩出し続ける社中を創りたいと望んでいます。

どのようなバックグラウンドをお持ちの人財が中途入社されていますか。

前述の通り、HR戦略コンサルティング部は2018年4月にスタートした新部であり、当部のビジョンに共感して頂ける同志である仲間をもっともっと増やすべく、キャリア採用に注力しています。「HRガバナンス」という新しい価値を提供するためのイノベーション集団を志向し、0から1を生み出す組織として「ダイバーシティ&インクルージョン」を最も大切にしています。

組織のダイバーシティを重視しており、年齢の部分でも、スキル領域でも、バックグラウンドにおいても同質的なメンバーは在籍していないのが特徴です。最近3カ月の間に6名の新しい仲間を迎えましたが、20代、30代、40代、50代と、とても広い年齢幅となっています。今回入社された20代の方は旺盛な“Will”をお持ちで、IT系大企業で働いてきたけれど、もっとスタートアップ的な環境で挑戦したいという想いで転職されています。30代の方は公認会計士の資格を持ったプロフェッショナルと、証券会社で経済分析やESG投資分析を行っていたストラテジスト。40代の方は外資系企業のHR部門でトータルリワード戦略(報酬制度・福利厚生)をリードしてきたマネージャーと、グローバル大企業でSDGs経営のグランドデザインを描いていたリーダーです。50代の方はコンサルティングファームのHR領域で活躍してきたパートナーで、伝統・歴史のある老舗企業のCHRO経験もある方です。

また、一般的なコンサルティング部署らしくない採用を行っており、例えば現時点で対人コミュニケーションが少し苦手であったとしても、リサーチやR&D業務に長けている人財であれば、活躍して頂ける可能性もございます。これまでシステム開発のプログラミングを軸にITスキルを高めてきたような人財や、大企業の法務セクションで社内弁護士をされていた方々もコンサルタントとして活躍しておりますので、経営陣との議論にチャレンジしてみたいという前向きな“Will”が認められる場合には、コンサルタントとして採用することもあります。

HR戦略コンサルティング部が設立されるまでに、内ヶ﨑様はどのようなキャリアステップを経たのでしょうか。

私は第二新卒で学術書の出版社に入社し、法律専門誌の編集者として社会人キャリアをスタートしました。いろいろな社会課題について有識者とディスカッションを重ねるといった学際的な活動や、それを論文や記事にする仕事を通じて、世の中に貢献したいという今の仕事にも繋がる問題意識が醸成されました。

専門的なバックグラウンドとしては、2つの大学院、早稲田大学の法学研究科でコーポレートガバナンスを、同じく早稲田大学の商学研究科のMBAコースで主にHR領域とファイナンスの研究に取り組みました。その後、縁あって三菱UFJ信託銀行に入社し、証券代行部、フロンティア戦略企画部や法人コンサルティング部で新しいコンサルティングサービスやソリューションプロダクトの開発等、信託銀行として新たなビジネス領域を創造する仕事に携わってきました。

そもそも信託というビジネスは、金銭や有価証券、不動産といった委託者の大切な資産をお預かりし、長期間に亘り目的に沿って管理・運用・承継していくビジネスです。信託によって未来に届ける価値には、人の想いや絆のような、目に見えないインタンジブル(無形)な資産も含まれます。社会の様々な課題や人の想い・夢を資産の価値として、トラスト(信託契約)に乗せて未来に届ける、“タイムマシーン”のような機能を持ちます。
時空を超えて価値を引き継ぐビジネスを本業とする信託銀行だからこそ、クライアント企業と“深く、長く、濃いリレーションシップ”を築きながら、目先のキャッシュフローではなく将来の企業価値を高めていくようなビジネスとの親和性が高いと感じています。このような思想に基づき、当社は「HRガバナンス」を軸に社会構造の変革を目指すHR戦略コンサルティング部というビジョナリーな社中を誕生させ、歩みを進めることができました。

これからの日本はHR、人財というインタンジブルな資産を大切にして、人がもっと活き活きと働き、輝けるような社会に変えていかなければならないと思います。その意味からは、信託銀行も今まで以上に人財や情報、企業や投資家の想いといった無形資産を扱う「インタンジブル・バンク」の方向性に向かっていくのではないかと個人的には感じています。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


本店ビル(東京都千代田区丸の内)会議室にて

繰り返しますが、HR戦略コンサルティング部は、立ち上がったばかりの言わばスタートアップと同様の組織であり、これから私たちの社中に参加する人はファウンダー、創業メンバーかつ、「HRガバナンス」を軸に日本社会を変えていく“Will”を持った仲間であると考えています。

ただし、創業期のベンチャーにも似たコンサルティング部でありながら、働き方は「ホワイト」です。
ただ、私としては「ホワイト」ではまだ不足であり、ダイバーシティに富むメンバーが自分の仕事に“わくわくドキドキ”しながら取り組み、一人ひとりが「パール」のように輝く組織でありたいと思っています。我が国で、最も人を大切にする社中であることを目指し、『「ヒト」が輝く“社会の未来設計図”を創造する』というビジョンを、まず自分たちの働き方から体現していかなければと思っています。

我々「HRガバナンス・リーダーズ」の仲間として、一緒にHR改革を通じて、ソサエティー・イノベーション(令和維新)を興しませんか?
当部のビジョンに共感して下さる1人でも多くの方と出会い、日本の未来社会について語り合えることを楽しみにしています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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三菱UFJ信託銀行株式会社
設立日
1927年3月10日
資本金
3,242億円
所在地
 東京都 千代田区 丸の内 1丁目 4番5号
    
従業員数
7,011名
取締役社長
池谷 幹男
事業内容
●リテール業務
●法人業務
・資産金融業務
・不動産業務
・証券代行業務
・受託財産業務
●市場業務
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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