企業インタビュー

株式会社東芝 企業インタビュー

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「新生東芝」 をキーワードに事業構造を再編し、3つの注力分野を打ち出している株式会社東芝。今回は人事・総務部 人財採用センターのセンター長を務める三橋 (みはし) 一仁氏に、注力事業に経営資源を集中させる背景から、各事業における戦略の方向性、新生東芝を実現するための人材面からの取り組みなどについてお話を伺いました。(掲載開始日:2016年10月17日)

まず初めに、貴社が今注力なさっている事業について、その背景からご説明下さい。


人事・総務部 人財採用センター
センター長 三橋 一仁氏

先般より国内外のお客様に多大なご迷惑とご心配をおかけしております会計処理問題 を真摯に受け止め、今私たちが目指しているのは 「新生東芝」 の実現です。この目標に向かって、経営管理体制の強化及び事業構造の変革の両面から、現在様々な施策に取り組んでいます。

事業構造の再編についてお話ししますと、「エネルギー」 「社会インフラ」 「ストレージ」の3つの分野を注力事業と位置付けました。これらを所管する組織として、エネルギーシステムソリューション社、インフラシステムソリューション社、ストレージ&デバイスソリューション社という3つの社内カンパニーがあります。さらに 事業横断的にICTのちからでビジネスやインフラを支えるインダストリアルICTソリューション社も加え、合計で4つの社内カンパニーに再編し、集中的に経営資源を投下しています。

当社は創業以来、半導体からパソコン、映像、家電、社会インフラ、エネルギーと幅広い事業を展開してきましたが、近年、事業を取り巻く環境は急速に変化しています。BtoC事業が成熟期を迎える中、東芝が培ってきた技術力とノウハウを生かし、多くの方に直接的な貢献ができる領域は何かと考えたとき、注力事業としてあがったのが 「エネルギー」 「社会インフラ」 「ストレージ」 の3つでした。資源・エネルギー問題や環境問題、人口増加など、地球規模で顕在化している課題に対して、技術力を生かして新たなソリューションを提供していくとともに、多くの方の生活をより良いものにしていきたいと考えています。

地球規模の課題を解決できる東芝の技術力について、貴社の歴史を踏まえて教えて下さい。

企業としての東芝は、時代の先頭を切り拓いた技術と共に誕生し、世界初や日本初の技術・製品と共に成長してきたと言うことができます。

今からおよそ140年前、1875年 (明治8年) に日本の通信事業を発展させるという政府の要請に応える形で、幕末から発明家として名を馳せた田中久重が、日本で初めて電信機器の工場である田中製造所を創設しました。また、「日本のエジソン」 と言われた藤岡市助は、1890年 (明治23年) に白熱灯の製造販売を行う白熱舎を創設しました。この2人が東芝の創業者であり、彼らが設立した2つの会社を東芝の前身と位置付けています。その後、田中製造所は芝浦製作所に、白熱舎は東京電気に社名を変更します。そして1939年 (昭和14年) に両社が合併し、東京芝浦電気株式会社が誕生しました。これが会社としての東芝のルーツです。

その後、東京芝浦電気は、田中製造所に端を発する重電分野のビジネスと、白熱舎を原点とする弱電分野のビジネスを並行して展開していきます。重電系では、エネルギー事業や社会インフラ事業が生まれ、幅広い分野で実績を積み重ねてきました。弱電系からはいわゆる白物の電化製品などのエレクトロニクス製品が生まれ、1960 年には日本初のカラーテレビを、1978年には日本初の日本語ワープロを発売しました。
そして1984年に社名を現在の株式会社東芝に変更します。更に、1985年の世界初のラップトップ型パソコンの発売や、1996年の世界初のDVDプレイヤーの発売、規格統一などを経て、パソコンやオーディオビジュアル機器のシェア拡大を実現していきます。また、1976年の世界初の自動車エンジン電子制御マイコンの発売、1991年のNAND型フラッシュメモリの発売がエポックとなり、現在のストレージ事業を支える技術基盤が培われました。

21世紀に入り、グローバル競争が激化する中、東芝は事業の 「選択と集中」 を進め、成長分野を強化しつつ、これまで培った技術力やノウハウを活かす構造改革を実施しています。

原子力、火力発電と再生可能エネルギーの双方に高いシェアを有する、貴社のエネルギー事業についてお話し下さい。


エネルギーを 「つくる」 ために重要な機能を果たすタービン

エネルギーのバリューチェーンには 「つくる」、「おくる」、「ためる」、「つかう」 といった異なるシーンがあります。エネルギーシステムソリューション社では、その全ての段階において最適なソリューションを提供しています。

エネルギーを 「つくる」 領域では、原子力による大型発電設備、高効率な火力発電設備をはじめ、水力、地熱、風力、太陽光といった再生可能エネルギーによる発電設備についても東芝は世界トップレベルのシェアを有しています。日本だけではなく、継続的に国家レベルのプロジェクトに参画し、世界各国のエネルギー事情に合わせた電源構成のベストミックスに貢献しています。

また、エネルギーを 「おくる」 領域になくてはならない送変電ビジネスにも、東芝は高い実績を有しており、新興国を中心とした電力の安定供給という社会的な課題へのソリューションを提供しています。更に 「ためる」領域ではSCiBなどの蓄電池をはじめ、短期保存から長期保存まで目的や用途に応じたソリューションを提供しています。 「つかう」 領域では、ビルの系統用蓄電池を生かしたBEMS (Building Energy Management System) や、各家庭で電力使用状況が見えるスマートメーターを活用したHEMS (Home Energy Management System) などのソリューションに強みがあります。オフィスでも家庭でも、エネルギーを賢く使用できるシステムを提供することで、低電力社会を実現していきたいと考えています。

一方、今後に向けて注力しているのが水素エネルギーの活用です。持続可能なクリーンエネルギーとしての水素を製造・貯蔵・利用できる水素社会の実現を視野に入れた研究を、産学連携で推進中です。また、大規模災害時の事業継続を想定し、装置自体を被災地に輸送できる自立型の水素エネルギー供給システムの実用化にも取り組んでいます。

幅広い分野の社会基盤を支える社会インフラ事業の強みについてお聞かせ下さい。


スマートコミュニティ事業体制の強化を目的に、神奈川県川崎市に設立された 「スマートコミュニティセンター」。

インフラシステムソリューション社では、ビルや施設、公共インフラなど、身近な社会基盤を東芝独自の技術で支え、高いシェアを確立するシステムや設備機器を提供しています。

ビル・施設領域の例では、エレベーター、エスカレーター、照明、空調、ビル電源といった個々の設備機器で高いシェアを有するだけでなく、東芝グループとしてビル全体の設備管理をワンストップで提供できる 「トータルソリューション」 の提供を強みとしています。

公共インフラ領域では、国内シェアトップクラスを誇る上下水道処理システムをはじめ、情報通信システムや制御システムの技術を活用し、鉄道システムや道路システム、航空管制システム、防災システム、放送システムに至るまで、多様な分野にソリューションを提供しています。いずれのシステムも日本国内のみならず、アジアを中心に新興国のインフラ整備プロジェクトに計画段階から参画する機会を得ています。

ビッグデータの効果的な活用が求められる時代に、貴社が目指すストレージ事業の方向性についてお話し下さい。

ストレージ事業領域では、「ストレージ&デバイスソリューション社」 を中心に、ビッグデータ時代を迎え、飛躍的に増大している情報を記憶・処理する半導体などを開発しています。スマートフォンなどに搭載されているNAND型フラッシュメモリでは東芝は世界第2位のシェアを誇り、新しい構造の三次元フラッシュメモリの量産も開始しました。三重県四日市市にある四日市工場は世界最大級のフラッシュメモリの工場であり、さらに今後3年間で8,000 億円超の設備投資を行う計画です。今後三次元フラッシュメモリや次世代メモリの開発を加速するとともにデータセンター向けなどの需要拡大が期待されるSSDの開発を強化していきます。また、エンタプライズ向けHDDに注力しています。

ディスクリート/システムLSIでは、パワーデバイス、画像認識プロセッサを中心に産業・車載分野に注力していきます。例えば、画像認識プロセッサ Visconti ™シリーズは、自動車前方の車両や歩行者などを認識する先進運転支援システムに搭載されています。

これまで三橋様は、貴社においてどのようなキャリアを積み重ねてこられたのでしょうか。


「医療機器事業では、外国籍社員の採用と育成の新たな枠組み作りを行い、東芝全社における外国籍採用に対する取組みの先駆けとなりました。」

私は入社以来24年余り、一貫して人事部門で仕事をしてきました。総合職の社員として異動を重ねる過程で、工場や支社、分社独立したグループ会社、本社の事業部門、海外の現地法人、本社のコーポレート部門と、東芝の組織をほぼ一通り経験してきています。それぞれの部門で人材の採用や育成、そのための制度や仕組みの整備といった業務に取り組み、自分のできることの幅を広げながら東芝の事業成長に寄与してきました。

今振り返ってみますと、入社8年目に赴任した栃木県の那須工場での経験が、人事担当として大きな学びを得る機会になったと感じています。当初は東芝の一拠点だった那須工場が東芝メディカルシステムズ株式会社として分社独立し、グループ会社として事業を軌道に乗せるまでの時期に6年半ほど併走した体験です。

医療機器ビジネスは欧米の巨大メーカーが世界市場をリードしていましたので、その牙城を切り崩すため、海外の医療検査の現場から優れた人材を採用し、東芝の社員として育成するという新たな試みを始めました。このための人事制度を一からつくっていく必要があり、当時私は30歳でしたが、オランダ、ドイツ、アメリカなど海外への出張を重ねました。それぞれの国や地域の現地法人で医療技術者を採用し、栃木県の那須本社に出向してもらって東芝グループの一員としての育成をし、東芝の医療機器のマーケティングを担うプロになってもらうという人材育成スキームをつくり、実際に運用していきました。

人事部門でのご経験を踏まえて、三橋様は 「新生東芝」 の実現のために必要なアクションについて、どのようにお考えになっていますか。

2010年から、タイの現地法人約30社の人事を統轄する立場でバンコク近郊の工業団地にある現地法人に駐在したのですが、その時期にタイ北部・中部の広域にわたってチャオプラヤー川が氾濫する大洪水に遭遇しました。

日に日に水が押し寄せてくる状況で従業員とその家族の安否確認と避難計画を立て、教科書も前例もない中、その瞬間、瞬間でベストと思える判断を重ねて即座にアクションに移していかなければなりませんでした。私が赴任していた工場も2メートル70センチほどの水に浸かって全損・全壊。タイ人の従業員と共に泥まみれになった工場の清掃から復旧作業に取り組みました。

この時、国籍・経験・年齢等を問わず、様々な人が専門性を生かして協働することの価値、すなわちチームが一つの目標に向かって一丸となった時、どれほど困難な状況であっても打開できるという 「チームの力」 を改めて実感することができました。この時に身をもって体験したダイバーシティのパワーが、東芝が今置かれている状況から生まれ変わり、「新生東芝」 を実現する上で、一つのヒントになるのではないかと思っています。

当社では、すでに 「新生東芝」 に向けて様々な面から変革に取り組んでいますが、異なるバックグラウンドを持ち、東芝に新しい風を吹き込んでくれる多くの方々をお迎えすることで、会社を更に良い方向、新しい方向にドライブしていく力も大きくなると考えています。人財採用センターの責任者である私は、ご応募いただく方に対して、この部分の効果に期待しています。

ダイバーシティ推進に向けた貴社の取り組みには、どのようなものがありますか。


「結婚したから、出産したからといって、仕事に遠慮する必要はありません。各個人の働き方に合ったキャリアアップを支援しています。」

もともと東芝では、2004年10月に男女共同参画を推進する社長直轄の専任組織 「きらめきライフ&キャリア推進室」 を設立しました。その後、対象を広げ、障がいのある従業員や外国籍の従業員を含め、ダイバーシティが人事そのものとして定着したことを受け、2013年度には 「人事・総務部 多様性推進担当」 に改組しました。現在は 「経営刷新部 企業風土刷新・多様性推進担当」 に改組し、一人ひとりの従業員が能力を生かしてキャリアを積み重ねることができることはもちろん、風通しの良い組織風土を醸成していくことを目指してダイバーシティを推進しています。

この中で女性の活躍推進という軸では、2020年には東芝の課長クラス以上の役職者における女性の割合を7%にすることを目標に、2016年度末までに5%を達成するというマイルストーンを設定しました。東芝では妊娠・出産などのライフイベントを経験した女性の働きやすさを支援する諸制度は既に整備されており、育児休業は勿論、復帰後の短時間勤務をはじめとする諸制度の利用が根付いています。

従って現在、東芝における女性活躍推進の取り組みは、女性の 「働きやすさを支援する」 というステージから、子育てなどで勤務時間に制約がある社員も含めて女性の 「キャリアアップを支援する」 という次のステージに移行しています。上司は一人ひとりのワーキングマザーと日頃から深くコミュニケーションを図り、本人の意欲や能力を見据えた業務へのアサインを通じて成長を促しています。仮に時間的な制約があればチームでカバーし、本人も必要に応じて子育ての支援を受けて重要な業務については優先するなど、臨機応変にキャリアに向き合っている女性が多いと感じています。

このため、フレキシブルな働き方を推進し、アウトプットと効率的なプロセスを評価する制度も整備しました。また、クロスファンクショナルチーム、すなわち部門を超えて多様な専門性を持つメンバーと協働することによって新たな価値を生み出すといったチャレンジも積極的に評価しています。現在、本社・工場を問わず、課長クラスは勿論、部長や、技術部門の社内権威である技監などのポジションでも女性が活躍しています。

これに関連して、現在当社では、10以上のポジションを 「女性積極採用」 ポジションとして積極的に応募を受け付けています。これらのポジションでは、先述のような課長クラス以上の役職者としてご活躍いただける方を積極的に募集しています。「役職者」 と一言で言っても、マネジメントの道に進む 「管理職」 だけではなく、一定の権限をもってチームを動かす 「専任職」、設計や開発において専門的な技術を極める 「専門職」、研究所でのスペシャリストになる 「研究職」 と、大きく4つの道を用意しています。注力分野である 「エネルギー」、「社会インフラ」、「ストレージ」 の他にも、財務部門でも積極的に募集をしていますので、多様な形でご自身の強みやリーダーシップを発揮いただきたいと考えています。

キャリア採用においては、どのような部門で、どのような人材の活躍を期待しておられますか。

先にお話しした3つの注力事業である 「エネルギー」、「社会インフラ」、「ストレージ」 において、専門的な知識や経験のあるエンジニアはもちろん、事業企画や営業を担って下さる方、監理技術者をはじめとした有資格者の方など幅広い人材を求めています。また、東芝および東芝グループの経理・財務部門で、財務体質の強化を担って下さる方も積極的に募集しています。

それぞれの事業部門によって求められる経験やスキルは異なりますが、共通して求められるのは、共に 「新生東芝」 の事業を成長させていきたい、或いはお客様に質の高いソリューションを提供したいという強い思いです。職種によっては、ある程度近しい業界や分野での経験が必須となるものもありますが、全体としてはその限りではありません。
現在は半導体の技術開発部門で活躍されている方でも、前職は化学メーカーや半導体製造装置メーカーなどの関連業界の出身の方がいらっしゃいます。また、前職では異なる業界で監理技術者として豊富な経験を積まれて、現在は社会インフラ事業で水処理システムの監理技術者として活躍されている方もいらっしゃいます。

また東芝では、拠点ごとに異動者向けの 「転入者ガイド」 を作成しています。これはその拠点のみならず周辺地域の情報も含めた簡単なガイドブックのようなものです。これにより、キャリア採用で地方の工場での勤務となる方にも安心してご入社後の生活を送っていただけると思います。キャリア採用でご入社された方が東芝の歴史や事業、制度について知り、いち早く即戦力としてその力を発揮していただけることを目的とした中途入社者のための教育をはじめ、業務面でも所属するチーム内で協力しながら手厚いサポートをしています。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


インタビュー後、浜松町の本社ビル前にて。

今私たちは 「新生東芝」 の実現に向けて、トップから新入社員までが気持ちを一つにして、新しい企業文化をつくるという姿勢で取り組んでいます。

製品やサービスについては、お客様第一の精神でこれまで同様に維持・向上を図りながら、変えるべき点は思い切って変えていきます。同じ東芝ブランドの製品を、お客様を通じて社会に提供しながら、個々の事業活動のプロセスにおいては、全く新しい会社であると思うほどに変えていかなければならない部分も出てくるでしょう。これまでの当たり前を改めて見直し、課題を共有し、施策を皆と話し合って一緒に実行するという問題解決型の行動、そして、それを決して諦めずにやり遂げようという気持ちをもって、新生東芝を実現していきます。当社にご興味をお持ち下さった皆さんには、ご自身が変革の推進力となり、大きく変わる当社をご自身の肌で経験して頂けます。新生東芝の担い手の一人として、大小様々なプロジェクトや場合によっては海外での勤務を通じて皆さんのキャリアアップを実現していただきたいと考えています。

キャリア採用の面接の場では、今、新たなキャリアの場として当社を選んで下さる皆さんの決意には並々ならぬものがあると感じています。新しいことに挑戦していく覚悟をお持ちの方、自ら率先して周囲を変えていきたいというビジョンをお持ちの方、変わっていく新生東芝を一緒につくって頂ける方とお会いしたいと考えています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

株式会社東芝
設立
1875年 (明治8年) 7月
資本金
2,000億円
上場証券取引所
東証2部
従業員数(連結)
153492名
本社
東京都 港区 芝浦 1-1-1
代表者
代表執行役社長 綱川 智
主要な事業内容
エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ストレージ&デバイスソリューション、インダストリアルICTソリューション
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
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