自社内での人事考査の良し悪しと、 市場価値には相関がない。

代表取締役 松井 隆

1956年、滋賀県大津市生まれ。
同志社大学(新聞学専攻)卒業後、(株)リクルートに入社。
『とらばーゆ』『月刊ハウジング』の創刊メンバー、情報通信ネットワーク部次長、34歳でHR(ヒューマンリソース)部門の部長就任、以後『ガテン』『週刊住宅情報』の部長職を歴任。1997年、(株)エリートネットワークを設立、代表取締役に就任。
著書に東洋経済新報社刊『バカな部・課長につける薬』がある。


日々、数多くの転職希望者の方々とカウンセラーという立場で接し、お話を伺っていると、この人はもっと仕事が出来るはずなのに、もっと力が出せるのに、いつから自信がなくなったのだろうか?なぜ消極的になってしまわれたのだろうか?と残念に思えて仕方がないことがよくある。

その原因を筆者なりにつらつら考えを巡らせてみたところ、最近どうやら、2つのパターンがあるのではないかと気が付いた。

まず一つ目は、社会人となって以来、「サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだ!」という、高度成長期そのままの、前時代的な安直な感覚で、仕事そのものに打ち込み、のめり込むことなどほとんど無いまま、年齢(よわい)を重ね続けて来てしまった。そしてある時点で、ハタと気付いたら、上司からもアテにされなくなり、同僚からも遅れをとり、何人かの後輩にも追い越されてしまい後塵を拝すことになった。そしてビジネスそのものに対して、いつの間にか慢性的に腰が引けたまま症候群に陥ってしまったケースである。つまり、本人の成せる業が原因の全てであると言えるケースである。

二つ目は、当人は入社以来ずっと前向きに仕事に取り組み、更にスキルアップし、力をつけ成長したいと強く望んでいるのに、現職の会社の仕組みや、しきたりや、人事的風土等の「壁」に阻まれ、本人の意志や意図が反映されないまま、適材適所とは逆の配置に甘んじ、無意味な我慢や辛抱をしながら、ビジネスマン(ウーマン)生活を一定期間続けて来てしまったケースである。

このように、本人がやる気とやり甲斐を持ち辛いまま、(ライン職かスタッフ職かを問わず)適所でないポジションに就いていては、業績も上がりにくく、必然的に人事考課による査定結果も芳しくないことになる。

ところが、得てして多くのビジネスマン(ウーマン)は、自社内での人事考課がはかばかしくないことが続いてしまうと、やはり、自分は他人より能力が劣るのではなかろうかと思い込んでしまうことになる。これでは、あまりにもったいないし、本人にとってはとても残念であることに加え、社会的な損失でもある。

前者のように本人の取り組み姿勢の怠慢から起因される、本質的力量不足による自信消失症候群は、我々第三者にはバックアップ不能である。

しかし後者のように、本人の意志といち従業員レベルの努力では抗し難い人事・配属・処遇面での目に見えない「壁」が原因で、力が出し切れなかったり、自信がなくなりかけたり、消極的になったりしている方々に対しては、私共は声を大にして申し上げたい。“社内での人事考査の結果と他社からの評価には相関がないことが多い”と。

では、筆者なりにその犯人である「壁」について具体的に列挙をすれば、概ね以下の様なケースに分けられる。

●たとえ株式の公開企業であっても、姓は異なっているものの、創業者及びその一族につながる圭閥、門閥の優遇が現在も脈々と続いていて、血のつながりの有無が出世に甚大な影響を及ぼす企業と、非血縁者。

●部長や取締役以上の重要なポストのほとんどがある特定銘柄の大学の卒業者で占められるいわゆる学閥の現存する会社と、別の大学の出身者及び非大卒入社者。(逆に、ご本人がその銘柄校の出身者であれば居心地は悪くないかも知れないが、居心地が良いのと力がつくことは別。)

●元々発祥の地、及び主力工場の企業城下町、現在の本社所在地界隈の出身者及び地縁のある人達で“ムラ社会”を形成してしまっている土着性のにおいの強い企業と、その土地の門外漢。

●歴史的に第二次世界大戦以前、もしくは明治時代からでも存在する業種・業界で、雇用慣例が今もって男性中心で、ともすると男尊女卑になりがちな業界&個別企業に於る女性。

●技術系の出身者(技術屋)が、全てに於いて優位な立場や処遇を受ける企業に在籍する、事務系(事務屋)。もしくはその逆で、文科系(事務屋)が、全てに於いて優位な立場や処遇を受ける企業に在籍する技術系(技術屋)。

●親会社や筆頭株主の企業が何かと経営に口を挟み、一定以上の役職ポストには、それらの企業からローテーション人事と称して、現場を判らない偉い人が落下傘部隊として降りて来る企業に在籍している、プロパー入社の従業員。

●積極果敢に自ら手を挙げ、新規事業の立ち上げに参加したり、不振のグループ企業に自主的に出向して立て直そうとしたが、共に諸般の事情や経済情勢の為、志半ばで刀折れ矢尽きた場合。元々ご本人の在籍する企業自体が保守的で、敗者復活とそのチャンスを認めない硬直した人事的風土が蔓延する中で、名誉の負傷にも拘わらず、困職に追い遣られたけど、もう一旗揚げたい当人。

●絶対的な権力者である幹部、もしくはオーナーの機嫌を損ねぬ様会議は空洞化し、ゴマスリ・ヨイショ等の社内政治がはびこり、沈滞した社風に染まることを拒否した、顧客第一主義と市場原理に則って仕事に没頭したいビジネス戦士。

上記のように、「壁」について挙げてゆけばキリが無い程、実に様々なケースがある。

しかし、このように「壁」に阻まれた状況のままで現在の仕事に取り組んでみても、いずれの場合もエキサイティングである訳がないし、誰しも時間の経過と共に消極的にもなり、自信を喪失してしまうことも、さもありなんと推察出来る。

幸いなことに、この二つ目のパターンが原因で、ビジネスマン(ウーマン)としてしょぼくれかけていても、脱出の方法はある。なぜならば、一つ目のパターンは、原因のほとんどが当人の積年の怠慢にあるのに対して、この場合は消極的になったり、自信が揺らぎ始めた要因の大部分は外部環境にあり、一過性のものであるからだ。(ただし、あまり長期間この状態が続くと、それが習い性となり、本来の自分というものも変質しかねない。)まさに環境を変える=ジャストフィットする企業もしくはポジションと出会うことによって、ご本人はリバイバル出来ることになる。

理想を言うならば、20歳前後に新卒で就職する手前の企業選びの段階で、上記のような様々な「壁」の存在の有無を予見出来れば申し分ないはずであろう。残念ながら、そのような深い視点で企業を観察したり、自分の考えを整理するアドバイスをしてくれる進路指導が、日本国内の高校にも大学にも極めて少ないのが現状らしいので、甚だ僭越ながら、私共がそれらを少しでも補う一助になればと願って止まない。

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