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女性エンジニア修士、鉄鋼メーカーの生産技術職から、化学の専門知識を活かし化学メーカーの品質管理へ

女性エンジニア修士、鉄鋼メーカーの生産技術職から、化学の専門知識を活かし化学メーカーの品質管理へ

No.1475
  • 現職

    東証プライム上場 機能性樹脂に強みを持つ老舗化学メーカー 中心化学事業所 品質管理課 分析調査

  • 前職

    東証プライム上場 国内最大手のグローバル鉄鋼メーカー 溶解亜鉛めっき鋼板(薄板)製造の操業技術職

織田 桜子 氏 27歳 / 女性

学歴:私立 跡見学園高等学校 卒
東京理科大学 理学部 化学科 卒
東京理科大学大学院 理学研究科 化学専攻 修了
危険物取扱者 甲種
研究テーマ:赤外自由電子レーザーによる新治療法の確立

新卒での就職活動

学生時代の専攻は化学で、物理化学をメインに扱う研究室に所属しておりました。レーザー光をタンパク質に照射し、その時に起こる化学反応を解明していく基礎研究を行っていました。
自身の研究テーマに対し、良い意味で教授が事細かに干渉してくるような環境ではなかったため、様々な分析機器を扱ったり、計算科学専門の方を巻き込み最先端のシミュレーションを行ったり、自由に研究を進めていく事ができました。
専門性を高めつつ、異なる分野の人を巻き込んで成果を出していくスタンスは、今現在にも引き継がれていると思います。

新卒での就職活動は、学生時代の専攻であった化学の知見を活かし、スケールの大きいものづくりに携わるという軸で行っておりました。
物理化学系の研究室だったこともあり、先輩方の就職先はIT系、半導体関連、商社など幅広かったため、夏季インターンシップなどへ積極的に参加し、業界を絞っていきました。
中でも製鉄所での2週間のインターンシップは、ダイナミックな設備に圧倒され、生産現場に近いところで操業・設備改善を行うことに魅力を感じました。
研究職を選択する道もありましたが、自身が基礎研究を行っていく中で、応用までに非常に長い年月がかかってしまうことを実感し、もう少し短いサイクルで成果が見える職種で働くことを志望しました。
最終的には、仕事の話になると熱心に語って下さり、誇りややりがいを持って働いている社員の方の姿に魅了され、国内最大手の鉄鋼メーカーで働くことを決心しました。

入社した会社・部門での担当業務

入社してすぐの配属面談では操業技術を志望しました。
担当する生産ラインの希望は通りませんでしたが、化学の知見が必要な生産ライン担当になったこともあり、さしあたり不満はありませんでした。
先輩、上司にも恵まれ、風通しの良い環境で働くことができたと今でも思っております。
担当業務としては、日々の操業改善、生産性向上に向けた能力検証、設備改造の検討、慢性トラブルの改善、品質改善のための調査、新規設備の設計から導入までと幅広く担当させて頂きました。  

印象深かった業務は2つあります。
1つ目は、配属当初から慢性的なトラブルが起こっていた装置について、現場の方々と協力して原因を1つずつ調査していき、問題となる箇所を特定して解決できたことです。
長い日で10時間以上現場にいることもあり、心が折れそうになったこともありましたが、直属の上司が夜中まで付き添ってくれたのを今でも覚えております。
また、改善してから担当した装置でトラブルは一切起こっておらず、工場の安定操業に貢献できたことや現場の方々からお礼を言われる場面もあり、非常にやりがいを感じました。

2つ目は、設備改造・投資案件で様々な部署の方々と設計から導入まで関わった経験です。
立場が異なる事から意見が衝突することもありましたが、どのようにすれば現場が最善な状況になるかを丁寧に説明することで納得してもらい、案件を進めていくことができました。
数千万円規模の案件だったため、かなりスケールの大きな仕事をしていると実感しました。

新卒で就職活動をしていた頃に思い描いていた通りの仕事ができていると感じておりましたが、担当する設備案件が増えるにつれ、深夜・休日の対応は避けられないものだと覚悟するようになりました。

転職に至った理由

操業技術として働いていく中で品質改善をするため、品質管理や分析を請け負っている子会社と関わる機会が多くありました。
これらの部署は生産ラインとは少し距離があり、深夜・休日の対応もありませんでした。
また、学生時代に培った分析技術や専門知識も磨けるような環境である事や、様々な鋼種を上流から一貫してどのように製造していくか、広い視野で仕事ができる事を知りました。
「隣の芝生は青く見える」とよく言うものですが、このような部署で働きたいと思い始めました。

また、将来的には結婚して出産もしたいと考えているため、工場の操業スケジュールや突然のトラブル対応に振り回されたくないと思いました。
ましてや、新設備を導入すれば安定的に操業できるまでにはかなりの時間がかかり、大変な労力を要することを身をもって感じておりました。

上司に何でも言えるような環境だったため、品質管理に異動したい旨は伝えましたが、ちょうど2年目の秋頃に先輩が品質管理に異動したばかりであったこともあり、しばらく異動はないと言われました。
また、これは冗談だと思いますが、「 インドで働いたら世界観が変わるかもね? 」とも言われました。
確かに近い将来、南米や東南アジアでの生産ラインの立上げに関わる可能性もあるような部署だったので、十分にあり得ることだと思いました。
入社時から海外勤務はもってのほか、実家から2時間以内のところ以外では絶対に働きたくないと思っていたため、この言葉には絶望しました。

同年代の友人にも転職している人は数人いましたが、就労環境が劣悪だったり、人間関係が上手くいかなかったりが大半で、自身はまだ恵まれている方だと思っていました。
また、話を聞いたり調べてみたりすると、転職活動はかなり労力のいるもので、仕事をし続けながら行うのは厳しいと感じ、自身には到底できないと思っていました。

転職活動

(株)エリートネットワーク様は会社の同期から紹介してもらったのがご縁となり、登録しました。
その同期は自身より先に転職を機に退職しましたが、学生時代の研究内容を活かせるような仕事に就いたと聞き、新卒2年程の経験でもそんな夢のようなことが叶うのかと驚きました。
何より、新しい職に就いてから充実しているようで、羨ましく思いました。

幸運にもエージェントで担当して下さった転職カウンセラーの方は、私と同じような生産ラインを担当していた1個上の先輩でした。研修時代にもお世話になっていた方で、自身が抱えている不満に対しても大変共感して下さり、心強かったです。
転職活動の序盤では、闇雲に会社を紹介してもらうのではなく、面談を通して自身の軸は何なのか、時間をかけながら明確にしていくところから始めました。
同時に、新卒の就活では長期的なビジョンを全く考えず、浅はかな気持ちで操業技術職を選んでしまったのだと痛感させられました。
仕事終わりで精神的にも疲れていた日には、投げやりな回答をしてしまったこともありましたが、粘り強く面談して下さったお陰で、軸を固めていくことができました。

まず、生産ラインから離れたポジションで働くことが絶対条件だったため、生産技術職は除外しました。
次に、専門分野の化学を活かしたかったため、メーカーで働くことを希望しました。
さらに、勤務地が実家から2時間以内であり、車通勤できるところが良かったため、東京勤務も除外しました。
今考えると上記の条件が揃っている会社はかなり限定されてしまい、大迷惑だったかと思いますが、嫌な顔一つせず私の条件に合った求人を何件もご提示下さり、頭が上がりません。

返事を下さった化学メーカーは、独自の高い技術力で様々な製品を世に出しており、分析技術や専門性も磨けるような環境で、かつ生産現場からは一歩退いた部署で、長く働けそうだと思いました。
そうして私の最初の面接がセッティングされました。

面接前にご担当の転職カウンセラーの方が対策をして下さいました。
予想される質問や回答に対してのアドバイスが主で、逆質問も相当数準備した方が良いとのことだったので、長時間かけて考えました。
1次面接は、募集枠の業務内容のご説明を聞くところから始まり、その後、自身の経歴や業務内容を説明するという流れでした。
自身の倫理観を問うような想定外の質問も来ましたが、実務経験に基づいて正直に回答することで何とか納得頂ける対応が出来ました。
逆質問の時間は15~20分程ありましたが、アドバイス通り充分準備していたため、業務内容の深堀りもあわせて行うことで、何とか乗り切ることができました。

2次面接は、1次面接よりも短時間でしたが、品質に対して、自身の見解を述べるような質問や、仕事で意見が衝突した際にどのような対応をとるか、といった手強い質問が多かったと思います。
ただ、事前に対策でご助言頂いており、品質管理がどのような仕事で、どのような事にやりがいを感じ、どのような点が大変か、日々の業務でも考える習慣がついていたため、落ち着いて答える事ができました。

2次面接後、人事部の方と個別で対談する時間があり、大変ありがたいことにその場で内定を頂きました。
職種は希望していた品質管理職で、勤務地も土地勘があり車で通える場所で希望通りでした。担当分野も品質向上のための分析調査で、
未経験にも拘らず前職での経験も評価して下さり、大変な好待遇を提示して頂きました。
自身にとって、これ以上ないぐらい最高な条件を満たした、納得のできる転職活動となりました。

転職を通じて気づいた点

自身のキャリアをじっくり考え直す良い機会となりました。
これまでの業務を振り返るきっかけにもなり、2年間という短い期間ではありましたが、幅広く重要な仕事をやらせて頂いたのだと改めて思いました。

鉄鋼メーカーで操業技術として働いた2年間は、様々な立場の人との関わり方や、ものづくりの基本を学んだ時期でもありました。
ここでの学びや実務経験が評価され、次に繋がったような気がしております。
最後までこの会社に残るかどうか悩むほど、恵まれた環境で仕事ができたと思います。

最後に

働いていれば思い通りにいかない事も多いと思いますが、今回の決断を後悔しないよう、前向きに仕事に取り組んでいきたいです。
仕事をしながらの転職活動は、精神的にも負担がかかりますが、今後のキャリアを真剣に考え、動くことで次が見えてくると思います。
自分自身の力や努力によって現状の不満を自分自身の努力によって解消できない環境下にいるのであれば、転職活動をするべきだと断言できます。

お世話になった転職カウンセラーの久井さんには、厚くお礼申し上げます。

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