企業インタビュー

ショーボンド建設株式会社 企業インタビュー

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道路、橋梁、トンネル、鉄道、港湾施設――日本の国土を支えるコンクリート構造物の補修・補強に特化した総合メンテナンス事業を展開するショーボンド建設株式会社。 半世紀を超える事業の沿革とエポックとなった施工事例、国や地方公共団体からの信頼も厚い技術力、創意工夫が活かされている各現場での施工管理業務のやり甲斐、若手を抜擢し任せる社風等について、常務取締役で総務人事部長を務める東城 俊哉氏にお聞きしました。

コンクリート構造物の補修・補強に特化した貴社の事業は、そもそもどのような経緯で誕生したのでしょうか。


常務取締役 総務人事部長 東城 俊哉 氏

昭和33年 (1958年) 6月、創業者である上田昭が、硬質塩化ビニール製の配管の製造及び施工をメイン事業として、昭和工業株式会社を設立しました。2年後、土木建築工事に使用するエポキシ樹脂系接着剤に着目し、商標名 「ショーボンド」 として製造・販売・施工を手掛け、昭和38年 (1960年) には社名を株式会社ショーボンドに変更しました。

創業6年目の昭和39年 (1964年)、マグニチュード7.5の新潟地震によって、信濃川に架かる地元では有名な昭和大橋が断裂して落下するという大きな事故が発生しました。復旧工事にあたり、川に落ちて損傷した床版 (車や人の荷重を直接支えるコンクリート製の板) を再利用するため、当社が床版のひび割れにエポキシ樹脂を注入して補修しました。
この工事をきっかけに、当社は 「補修」 事業へと大きく舵を切ることになります。“土木建設の分野で持続的な成長を目指すには、競合企業が少なく、多少の景気の変動では受注額が大きく左右されにくい既存インフラの補修市場の方が有利” との経営判断があったと聞いています。
復旧された昭和大橋は、20年後、30年後、40年後に健全度の追跡調査を実施し、いずれの時点でも道路橋梁として問題なく供用可能であると確認され、当社のエポキシ樹脂の耐久性及び施工技術の高さを実証することができました。
そして昭和50年 (1975年)、ショーボンド建設株式会社に社名を変更しました。

その後、貴社はどのような技術を強みとして、リーディングカンパニーの地位を築かれたのですか。


「橋梁構造物において、床板は最も使用頻度が高く、損傷が出易い部分です。」

当社の競争力の核となる技術は、一から新しい構造物を建設するのではなく、既存のコンクリート構造物の劣化・損傷を補修または補強して本来の強度を回復させる技術、あるいは、より強度を増す技術・工法です。

コンクリートの微細なひび割れに樹脂を自動的に注入・充填する 「ビックス工法」、床版の下面に鉄板を接着し耐荷力を向上させる 「鋼板接着工法」、より軽量なカーボン繊維シートを接着する 「CFRP接着工法」、コンクリートのはく落防止対策として特殊ラミネートシートを貼る 「ハイブリッドシート工法」 等、次々と自社工法を開発し、道路、橋梁、鉄道等の分野で施工実績を積み重ねてきました。

また、耐震補強の分野では、地震発生時に橋が落下するのを防ぐ緩衝チェーン、せん断ストッパー、耐震補強用ダンパー、橋脚を補強する鋼板巻立て等の製品や工法を開発、施工してきました。平成7年 (1995年) の阪神淡路大震災以降には、インフラの安全性確保が社会的に要請され、神戸市のハーバーハイウェイにある5つの長大橋の耐震補強工事といった大規模案件から、地域に密着した中小規模の構造物の耐震補強に至るまで、大小様々なプロジェクトにきめ細かく対応してきた実績を持っています。

現在、当社は約150件の特許を保有し、その約3分の1を製品化しており、そのうち20種類を超える工法が標準的な技術として評価され、NETIS (国土交通省 新技術情報提供システム) やARIC (農業農村整備情報総合センター) の登録工法となっており、多数の補修・補強プロジェクトで採用されています。

貴社はプライム (元請け) 比率が高いと伺いましたが、工事の発注者である顧客から信頼される理由はどのような点にあるとお考えですか。

現在、国土交通省や高速道路運営企業を始め、地方公共団体等からの元請け案件が全体の8割近くを占めています。受注額ベースでは、一案件20億円といった大規模なものから数千万円規模のものまでと幅広く、また地域も首都圏だけでなく全国で受注しています。

工事発注者に信頼を頂ける理由としては、一つには当社独自の様々な工法を開発していること、もう一つは調査から設計、施工に至る一貫体制を確立し、補修・補強工事のノウハウが豊富に蓄積されていることが挙げられます。

新設構造物の場合、設計図さえあれば基本的にその図面通りに橋や道路等を建設できる建設会社は数多く存在しますが、補修工事の場合はそうではありません。現場毎にコンクリートの劣化原因も損傷程度も異なり、そもそも元の設計図が存在しても、実際には各現場のコンクリート内部の鉄筋の位置が異なった形で施工されている等、全てが 「現場合わせ」 となり、極めて柔軟な対応力が求められます。そこで役に立つのは長年の補修・補強工事の経験・ノウハウであり、現状をどこまで正確に診断して最適な工法を組み合わせられるかどうかがプロジェクト成功のカギを握ります。

当初の設計を変更する場合には、工事発注者と綿密に打ち合わせを重ね、構造物の安全がより確実に担保され、且つ経済合理性もある代替案を提案する必要があります。そこは当社の施工管理技術者の手腕が問われる部分でもあります。また、供用中のインフラの補修・補強工事の宿命として短期間での竣工が求められる中、当社グループには全国展開する補修専門の施工会社があることも強みの一つになっています。

今後、インフラの補修・補強を取り巻くわが国の環境はどのように推移し、そこで貴社はどのような戦略で一層の成長を目指していかれるのでしょうか。


地震が起きた際に落橋を防ぐための 緩衝チェーンや緩衝ベルトを設置する工事も。

高度経済成長期に全国で建設されたインフラの老朽化が顕在化しており、コンクリート構造物の補修・補強市場は引き続き全国規模で堅調な需要が見込まれています。

また、2020年の東京オリンピック開催に向け、様々なインフラの新設需要が浮上すると共に、既存のインフラの長寿命化を図るニーズも高まると予測され、五輪需要は当社の中長期的な事業計画に於ける一つの柱になると考えています。オリンピックに向けて実際にインフラの補修・補強工事を受注し施工するだけでなく、設計段階で当社の製品や材料が指定品目となることによって、他社の請け負った工事への製品提供と言った形でも収益拡大を図ることも狙っています。既に緩衝チェーンや耐震補強ダンパー、ラミネートシート等、工事発注者側の設計に折り込まれる製品は幾つかあります。

当社の製品や工法の多くは、施工現場のニーズをフィードバックし、自社の研究開発施設 「補修工学研究所」 によって開発・製品化されたものです。研究室の技術シーズを出発点とする発想ではなく、多様な現場の課題を解決しつつ価格優位性を備え、実践的なソリューションとなり得る製品群を生み出し、それが当社ならではの強みを形成しています。

また将来的には、地方公共団体から発注される案件については、全国に拠点を持つグループの施工会社で受注対応することで、地域毎の要件のきめ細かなニーズに応えていきたいと思っています。

貴社固有のノウハウの宝庫であり、競争力の源泉とも言える施工現場の仕事の魅力について教えて下さい。


「補修・補強案件だからこそ、現場を最も良く把握している施工管理技術者が、大きな裁量を持って、設計変更の提案まで積極的に行うことができるのです。」

一定の経験を積んだ現場の施工管理技術者は、工程管理から原価管理、外注管理、安全管理まで、プロジェクト遂行の全裁量を持って業務に臨んでいます。現場が一つの会社だとすれば、社長のような立場で工事全体をコントロールできますので、主体的な姿勢で仕事に取り組みたい人には非常に魅力的な職場であると思います。従来の当社のやり方とは異なる管理手法であっても、本人に 「やりたい」 という強い意志があれば、すぐに会社として精査して、良いアイデアはどんどん採用していきます。現場毎に課題が全て違うため、施工管理業務に於ける裁量度、自由度がとても高いのが当社の特徴だと言えるでしょう。

自分の創意工夫を活かし、より安全で収益性の高い設計内容に変更することも施工管理技術者の仕事です。例えば工事発注者である国土交通省等に出向き、設計変更の交渉を進める際には、提案チームの中で最も重要な役割を果たします。当社では現在、現場を任せることのできるレベルの施工管理技術者が約200名働いており、国土交通省や高速道路管理会社、地方公共団体等の担当者からも大きな信頼を得ていると実感しております。これら発注者側から 「○○さんが担当するなら安心だ」 と言われる施工管理技術者も在籍しています。

貴社に中途入社されて活躍している人はどのようなタイプの方で、貴社のどんなところに魅力を感じて仕事をしていらっしゃるのでしょうか。

建設業界からの転職者が主ですから、“これからの公共工事の大きな流れは、新設ではなく 「維持管理」 「補修・補強」 にシフトしていく” と感じている方々は多く、事業の将来性という意味で当社に注目して頂いている方が多いです。また最近では、待遇や報酬面でもご満足頂ける形で当社にお迎えすることができるようになっていると自負しています。

また入社後には、個人の自主性を尊重し、比較的やりたいことをやらせてくれる風土が根付いていることにも魅力を感じている様子です。社風として 「出る杭」 は殆ど打たれないですし、年功序列は無いに等しく、先程お話しした施工管理の現場でプロジェクトの全権を任される責任者には、早ければ20代後半で就いています。従って中途採用者が早くから頭角を現すチャンスは数多くあります。前職は中堅ゼネコンで施工管理の経験が豊富な30代の方で、中途入社後1年足らずで工事課長に昇格した社員もいます。中途入社の方がとけ込み易く、色々とやりたいことに挑戦できる建設会社であると思います。

従来当社には、責任感が強く、プロジェクトがどれほど厳しい局面を迎えても黙々とこなすタイプの社員が多かったのですが、中途採用者も増え、社員のタイプは多様化しています。ただ、一つ共通項として、受け身・指示待ちではなく自ら主体的に考えて行動する姿勢を持っている人が多いと感じます。現場の技術者では約4割が中途入社であり、多様な経歴を持つ人を積極的に採用し、当社の今までのやり方を変えてくれることにも期待しています。

貴社では今、どのような職種で中途採用のニーズがありますか。


「コースは “全国” と “勤務地限定” とを設けており、ライフステージに合わせて柔軟に変更することができます。」

最も採用ニーズが高いのは 「施工管理」 です。1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士の資格をお持ちで、土木構造物に限らずマンションやオフィスビルなど大規模建築物の補修工事の管理経験があれば、当社での適応は早いと思います。また補修案件でなくても土木構造物や大規模建築の施工管理経験のある方は歓迎しています。工事経歴を拝見し、現場代理人や監理技術者、主任技術者と言った経験のある方と積極的にお会いすることが多いです。
また、当社がこれまでメインに手掛けてこなかった分野……掘削や杭工事等の土工、川の仮締切り、高速道路の遮音壁・防音壁の補修工事、トンネル裏込め注入や漏水対策工事等の経験をお持ちの方にも活躍して頂ける場があります。

同時に 「設計」 も募集しています。補修・補強工事の詳細設計を当社で担当することも多く、技術士もしくはRCCM (シビルコンサルティングマネージャ) の資格をお持ちの方は、今後、活躍の機会が増えてくると思っています。ただ当社の場合、設計と言っても図面を引くだけではなく、施工現場へ出て工事を監督して頂く機会も多くあります。補修・補強工事では基本となる設計図と現場が異なることが9割以上であり、現場をよく知った上でなければ施工図面は作成できないからです。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


日本橋箱崎町の本社前にて。

あえて現状を包み隠さずお話ししますが、インフラの補修・補強という工事の性格上、施工管理の現場では一定期間は残業もいとわずに仕事に取り組まざるを得ない局面はあります。従って、自分から仕事にメリハリを付けて、早く帰れる日は早く帰ると言った様に効率的に時間管理のできるタイプの方に向いていると言えるでしょう。

勿論、会社としては業界特有のこうした労働環境を更に改善しなければと考え、現場の労働時間の適正化に向けた取り組みをスタートしています。既に管理職手当の支給される現場責任者であっても、土日に出勤したら必ず振替休日を取得し、工事の進捗上どうしても取得できない場合には休日出勤手当を支給する制度の運用を始めました。将来的には、会社全体の受注量を調整してでもチーム毎の人員の増員を図り、一人ひとりの負荷を軽減する施策が必要になると考えています。幸い当社には多くの自社開発した製品や材料があるため、工事の受注が減ったとしても、その分の売上を製品や材料の販売でカバーすることも可能です。
今後も継続して、社員一人ひとりが自分の時間や家族との時間を充実させることのできる環境づくりに向けて、仕組みや制度の改善を進めていきます。

コンクリート構造物の補修・補強を通じて既存の社会インフラを良好な状態に保ち、次世代に引き継ぐ当社の事業と、施工プロジェクト全体に責任を持つ技術者の仕事内容に関心を持って下さった皆さんと、お会いすることを楽しみにしています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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ショーボンド建設株式会社
設立
昭和33年6月4日
資本金
101億円
本社所在地
東京都中央区 日本橋箱崎町7番8号
代表者
代表取締役会長  藤井 宗司
代表取締役副会長  石原 一裕
代表取締役社長  岸本 達也
事業内容
・土木建築工事の請負
・土木建築工事の設計ならびにコンサルタント業務
・土木建築用機械器具および製品の製造、販売、施工
・土木建築用機械器具および製品の輸出入
・各種標示装置および器具の製造、販売、施工
・各種標示装置および器具の輸出
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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