企業インタビュー

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社 企業インタビュー

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デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社は、世界 “ Big 4 ” の一翼を担う大手監査法人系のアドバイザリーファームです。
今回はパートナーの 山田 泉氏に、幅広いステークホルダーを意識して提供する同社ならではのサービス、組織の壁を越えてプロ同士がグローバルに協働する企業文化、求める人材要件等についてお話を伺いました。

初めに、貴社の事業の特徴についてご説明下さい。


パートナー 山田 泉 氏

クライアント企業の経営課題に対して最適なソリューションを提供することは、喩えるなら 「企業のドクター」 と言えます。
企業の悪いところを診断し、治療計画や処方箋を作り、必要に応じて手術や投薬などの処置を行い、その後もリハビリや退院後の在宅医療までケアしていく、といった長期間にわたるサービスを提供します。

いずれも既存のサービスをプロダクトアウトで提供するのではなく、グローバル企業の多様な経営課題に応じて、幅広い専門分野の知見を組み合わせて最適なソリューションを設計、提供しています。
具体的には、M&Aトランザクションサービス、M&Aのプロセスで必要になる幅広いファイナンシャルアドバイザリーサービス、企業再編・再生、企業価値評価、不正調査(フォレンジック)、更にインフラ事業のような官民連携プロジェクトの支援等のサービスラインを展開しています。

また、他のコンサルティングファームとは一線を画し、中立的な視点を持つアドバイザリーファームであることも大きな特徴です。

コンサルティングファームが基本的にクライアントと1対1の関係の中で、クライアントの利益のためにソリューションを提供するのに対して、アドバイザリーファームは、クライアントだけでなくその事業の幅広いステークホルダーに対して責任を持つという視点を重視しています。
「デロイト」 というブランドの下、第三者的な立場でステークホルダーの複雑な利害関係を調整しながら、最適かつ公正なソリューションを提供しています。

幅広いステークホルダーに対して責任を持つ貴社のアドバイザリーサービスについて、もう少し詳しくご説明下さい。


「コンサルティング ~ アドバイザリー ~ 監査 の順に、パブリックな色彩が強くなっていきます。」

トーマツの原点である監査業務が、その代表例です。
クライアントである上場会社の財務諸表を精査し、それが適正であると監査意見を表明することは、クライアント企業のためであると共に、その企業のステークホルダー全員に資する仕事です。
ある企業の財務諸表が適正であると監査人が保証しているから、投資家は株式や社債を購入でき、金融機関は資金を融資でき、色々な企業が新たに取引を始めることができるという側面があります。
その意味で、監査業務は非常にパブリックなサービスです。

それと同様に、幅広いファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供する当社には、クライアントの周辺に当社のサービスによって影響を受けるステークホルダー、あるいは当社のサービスに依拠するステークホルダーが存在します。
ですから、例えば初めから 「M&Aありき」 でサービスを提供するのではなく、クライアントのニーズを客観的に捉え、クライアントを取り巻く様々なステークホルダーへの影響まで配慮して、最善の選択肢としてのソリューションを設計・提供していきます。

そうした中立的、第三者的視点を持つサービスの提供は、お客様にとって安心感・納得感に繋がり、ビジネスのパートナーとして当社をお選び頂ける理由の一つになっています。

実際のアドバイザリー業務はどのような体制で提供されるのでしょうか。

全世界に広がるデロイトのメンバーファームのネットワークを基盤として、会社や組織の壁を越えてチームを編成し、多様なバックグラウンドを持つメンバーの専門性を組み合わせ、1つの最適解を導き出していきます。
当社がプロデューサー的な立場でクライアントの窓口となり、チームメンバーの選定からプロジェクト全体の動きまでをコントロールします。

まず企業の経営者の悩みに対して、経営戦略としてソリューションを立案します。
仮に成長が鈍化しているという悩みがあれば、自力で再生するのか、他社とアライアンスを組むのか、更に一歩進めてM&Aを選択するのか。M&Aの道を選ぶとしたら、どのビジネス領域でどのような相手と、どんなストラクチャーのM&Aを行うのか。
そうした戦略コンサルティングのフェーズでは、多くの場合、グループ会社の 「デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)」 の人材が中心になって手腕を発揮します。

次に、実際に相手先企業を探して交渉するフェーズに入ると、当社の中でM&Aアドバイザリーに特化した部署のプロが前面に出ていきます。
その過程で、相手先の企業価値を精査したり評価したりする際には、会計士や税理士が活躍します。
グループ会社の 「税理士法人トーマツ」 の専門部隊の人材をチームに抜擢することもあります。
また、昨今はクロスボーダーのM&Aを検討する例が多いので、そうしたケースでは世界150カ国を超えるデロイトのネットワークを活用して、相手先企業やその国の市場の調査までも実施しています。

いずれにしても、プロジェクトのフェーズによって、自社の組織の壁を超えて柔軟に最適なチームを編成するという動きが当たり前のようにできているのが、当社の業務体制の大きな特徴となっています。

昨今の企業の経営課題を踏まえて、貴社はどのようなアドバイザリーサービスを提供していらっしゃいますか。


「経営者の方々は、“どのように自社の強みを出していくのか” と常に考え、時に悩んでいらっしゃるものです。」

今は業界を問わず、企業は何らかの強い競争優位性を持っていないと生き残れない時代です。
かつてのように、総合的な分野を広く浅くカバーするだけでは、世界を相手にした競争で勝てなくなっています。
そして程度の差はあれ、一部の勝ち組企業とそうではない企業の二極化が進んでいることが、あらゆる業界に共通する点であると思います。

では自社はどの領域で優位性を発揮していくのか。
成長を続けるためには、従来の強みを更に強化しつつ、新しい分野にもチャレンジしていかなければなりません。
競争優位性がない事業領域や市場から撤退するのか、あるいは他社と組むことで短期間に強化するのか。経営者は常にこうした課題を意識して考え、悩んでいます。
しかし、経営者とは基本的に孤独であり、社内に良き相談相手がいない、いたとしても客観的な意見が得られないことも多いのです。

そうした企業トップに対して、当社は経営者と同じ目線を持って、新たな意思決定のために実効性のある選択肢を提示します。
「この選択肢を採ればこうなります」 と具体的なデータに基づいて成果をシミュレーションし、成果の評価尺度を示すなど客観的、定量的にサポートします。
更に、最終的に経営者が下した意思決定に応じて、ステークホルダーに対する説明責任の領域についても全面的にサポートします。

具体的にどのようなサービスラインを強化していますか。


「“ソリューションありき” ではなく、まず“クライアント企業様 (の課題) ありき”、です。」

企業は、複合的な要素が絡み合って生じる困難な経営課題と直面しており、1つの専門分野の知見だけで簡単に解決できるものはありません。
したがって我々アドバイザリーファームはサービス領域の幅を広く揃える必要があります。

また、当社自身も持続的に成長していくために、既存の経営資源を活用して強みを強化しつつ、絶えず市場のホワイトスペースを探しています。
“ お客様がこんなことに悩んでいるなら、そのニーズを満たせるように当社の体制を再編していこう ” という発想で、サービスラインを拡充しています。

例えば、当社の前身となる組織は、経営が悪化した企業を再び成長軌道に乗せる 「企業再生」 に特化して誕生しましたが、一口に経営悪化と言っても、その程度には幅があり、会社ごとに処方箋も異なります。
そこで、より個々の企業ニーズに焦点を当て、領域の広いサービスから最適な解決策を提供しようとの趣旨で 「リオーガニゼーション」 というサービスラインを設けました。
ソリューションは、コンサルティングによる業務改善から、組織の再編、再生、M&A、ファイナンスなど多岐に亘ります。

更に、先進諸国でインフラを産業として育てようという動きがある中で、官民連携プロジェクトを専門にサポートする 「インフラ・PPP (Public - Private Partnership) アドバイザリー」 というサービスラインを、2012年に立ち上げました。
既に日本でも空港の民営化など、継続性のある事業として官民連携の新しい形が模索されており、今後は国や自治体、複数の民間事業者、金融機関、投資家など多様なステークホルダーを巻き込みながら、巨大なインフラ事業が動き出し、新たな市場が形成されていきます。
そこで当社は、企画段階の各種調査やフィジビリティースタディーに留まらず、長期的な視野で事業の成長を支援するアドバイザリーサービスを提供していくことに強みを発揮していきたい。
デロイトのグローバル拠点と連携して海外の先進事例のノウハウも吸収し、現場における実行支援に活かしていこうと考えています。

貴社独自の企業文化や、そこから醸し出される社内の雰囲気はどのようなものですか。

先にもお話ししましたが、当社グループには、国や企業の壁を越えてプロジェクトチームを編成し、「クロスファンクション」 によって、新しい価値を創造するカルチャーが根付いています。
世界を代表するプロフェッショナルファーム各社からも多くの人材が当社に転職していますが、皆さん口を揃えて 「前職でもグローバルな協働はしていたが、当社グループのそれはまるで違う。組織の違いをほとんど意識することなく、実に自然に同じチームのメンバーとして動ける環境がある」 という感想を述べています。

当社グループでは、“ As One ” というキーワードを掲げています。
メンバー1人ひとりはプロフェッショナルとしての自負を持つと共に、デロイトというグローバルブランドの下に集う1人であり、プロジェクトチームの一員でもあるという意識を大切にしています。
お客様の課題を解決するために、最大の価値が提供できるプロが一致団結して最高のチームを作る。
限られたパイを奪い合うセクショナリズムの発想ではなく、チーム全員でパイを膨らませていこうとする、真の意味でのコラボレーションが機能している所が、当社グループならではの良き企業文化だと言えるでしょう。

職制による階層はありますが、新入社員のアナリストがパートナーに対して時には反対意見を言える風通しのよさがあり、むしろ建設的な議論を歓迎する風潮があります。
1人ひとりのプロの意見が尊重され、基本的にボトムアップで物事が動いていく組織風土です。
監査法人系ファームではありますが、資格や肩書といった既存の価値観に囚われずに、プロジェクトを通じてお客様の課題を解決することを重視し、またそれをフェアに評価する組織でもあります。

若手のポテンシャル人材には、どのような資質を求めますか。


「若手はサービスラインを定めずに採用します。
幅広いプロジェクト経験を積み、社内の人的ネットワークを構築してもらうためです。」

当社は世の中のプロフェッショナルファームのご多分に漏れず、即戦力になれるプロとしての人材を世界各国から中途採用するモデルで成長してきました。
しかしそれだけでは組織文化の永続的な醸成や、当社らしい独自のスキルを継承していくという点で限界があり、若い人材を社内でしっかり育成していく必要性から、2年ほど前から20代のポテンシャル採用にも注力しています。

若手の人材には特定分野での業務経験は求めていませんので、専門ファームに限定することなく、様々なバックグラウンドの人材を当社の仕事への意欲と適性を見て採用しています。
当社への適性とは、第一にその道のプロである諸先輩方に可愛がられ、成長していく上で必要になる 「社会人としてのコミュニケーション能力」 です。
チームで動く日常業務の中で、相手が求める意図を正確に理解できるか、状況判断が的確か、知ったかぶりをしない、きちんと報・連・相ができる、といった組織人として基本的かつ重要なコミュニケーション能力が高いレベルで求められます。

次に、更に成長してくると、「プロデュース能力」、ないしプロデューサーマインドを持っているかどうかが問われてきます。
クライアント企業にはこういう課題があり、それに対してどのような人材を集めてチームを編成したら最大の価値を提供できるのかを直観的に掴むセンスが備わっているかどうか。

そしてプロデュース能力と対になるのが、「問題解決志向」 です。
お客様の課題を発見できることは前提ですが、問題点の指摘だけに終わらずに、そこに現実的な解決策を出すことがこの仕事においては極めて重要です。
それも理想論ではダメで、実現可能性のあるソリューションを思い描くことができるか。
そこまで達すると、自分のチームを編成してプロジェクトマネージャー的な立場で動けるレベルに近付いていきます。

更にその上のレベルになると、企業の発展といった視点を持ち、現状に甘んじることなく常に新しいことに挑み、環境を変えていこうとする 「チャレンジ志向」 が必要になってきます。
勿論、経験と共にそれらの適性は育まれ高まっていきますが、20代の皆さんを面接する時にも、そうした部分は共通して見ています。

即戦力の経験者採用では、入社後にどのような経験の方が活躍していますか。


トーマツグループ総合エントランスにて。

サービスラインが幅広いので、多様な分野のプロの方々を採用しています。
中堅規模のプロフェッショナルファームに所属していて、マネージャーとして活躍されている方は、当社のビジネスリソースを使うことでよりプロデューサー能力を発揮して、ビジネス機会を広げて頂くことが可能です。

あるいは金融機関に所属していて、例えば企業への融資業務において特定の業種向けの審査スキルに精通されている方などは、アドバイザリーファームという異なる立場に身を置くことで、専門分野で培ったスキルを活かして頂くことができるでしょう。
これは事業会社における経験も同様で、特定の業界・業務で得た専門スキルを、当社に転じてアドバイザリーという立場で活かして頂けると思っています。

またM&Aアドバイザリー業務においては、証券会社、投資銀行での経験をダイレクトに活かして頂けます。
チームでお客様との長い期間の信頼関係の中で提案を積み重ねていく業務スタイルを基本としています。

また、当社のマネージャークラス以上には、グローバル企業の経営者のビジネスパートナーたり得る資質が求められます。
その意味で重要なのは、「我々の仕事はイベントドリブン (event-driven) であってはいけない」 と言うこと。M&Aというイベント、再生というイベントが先にあるのではなく、常にお客様のニーズが先にある。
経営者は必ずしもM&Aや再生など “ 有事 ” のコンサルティングを必要としているとは限りません。
むしろ “ 平時 ” における経営者の悩みを洞察し、そこにきめ細かくソリューションを積み重ねることのできる人が望ましく、そうした人材が増えることで、当社のアドバイザリーサービスにも新しい広がりと深みが生まれると考えています。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。

人から与えられた仕事をこなすというより、自分で仕事を創造していく、自分がやりたいと思う仕事を形にすることができる組織であると感じています。

これはプロフェッショナルファームにはある程度共通する点ですが、当社には特にそういう働き方ができるカルチャーが根付いています。
新人であろうが、ベテランであろうが、「私はこれをやりたい。これはビジネスになります」 と面白いアイデアを出せば、「じゃあやってみろ」 と応援してくれる組織です。
それが若手のアイデアであれば、「誰かマネージャーを付けるから一緒にやってごらん」。ベテランなら 「お前がチームをつくってやってみろ」 といった動きが、ごく普通に生まれます。

新しいチャレンジを歓迎する企業文化があり、チャレンジすること自体を評価する風土があります。
2001年の設立以来、良い意味でベンチャー気質が残っている組織であり、だからこそ当社は持続的に成長できているのだと思っています。

現在、当社に所属するプロフェッショナルは391名。近い将来、500名体制を目指しています。
当社での仕事に興味を持たれた方々とお会いする日を楽しみにしています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社 (旧 デロイト トーマツ FAS株式会社)
設立
2001年6月27日
資本金
2億2,450万円
従業員数
417名
本社所在地
東京都 千代田区 丸の内 3-3-1 新東京ビル
代表者
新田 正実
事業内容
M&Aトランザクション、コーポレートファイナンシャルアドバイザリー、企業再生支援、企業再編支援、企業価値評価(バリュエーション)、財務会計目的の評価サービス、(ファイナンシャル・アカウンティング・バリュエーション)、知的財産アドバイザリー、不正調査・係争サポート(フォレンジック)、ホテル・不動産戦略アドバイザリー、対中国向け投資、インフラ・PPPアドバイザリーサービス
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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