企業インタビュー

株式会社電通イーマーケティングワン 企業インタビュー

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新しいタイプのマーケティングを、企画から実行・運用までワンストップで手掛ける新世代のマーケティング会社、株式会社電通イーマーケティングワン。今回は同社 専務取締役の小川 共和 氏に、お話を伺いました。

はじめに、小川さんのご経歴について少し詳しく教えて頂けますか。


(株)電通イーマーケティングワン
専務取締役 小川 共和 氏
<略歴> 東京大学卒業後に株式会社電通に入社。第8営業局に配属となり広告の営業を担当。その後、マーケティング局にてプランニングディレクター、第14営業局にて営業部長などを歴任。2009年より、株式会社電通イーマーケティングワン 専務取締役に就任。

大学を卒業してから、(株)電通に入社して、約30年経ちます。
入社当初は、広告営業担当としてトヨタ自動車様を数年間担当し、それからマーケティングセクションに配属となりました。そのセクションでは主に、マーケティング・プロモーション・PRなどのソリューションを提供していたのですが、一番長く担当させて頂いたクライアントがNTTグループ様で約15年間。

当時はちょうどNTTの民営化直後ということもあり、とにかく忙しかったですね。その中でも特に大変だったのがNTTドコモ様の担当だった頃です。年間200数十件という、とんでもない数の競合プレゼンをこなし、(株)電通の中でも最も残業が多い部署と呼ばれていました。朝会社に来たら、何人かの社員がデスクやソファーで寝ているなんてこともありましたし (笑) 。

マーケティングセクションの後は、会社の組織改編に伴い、営業局の中でも主にソリューションを提供する部署に異動となり、みずほ銀行様やライオン様、森永乳業様、オリエンタルランド様といったナショナルクライアントを担当させて頂きました。

2009年からは、出向という形で現在の職位に就いています。当社 (株式会社電通イーマーケティングワン) の代表取締役と私が同期入社ということもあり、来てくれないかと声を掛けられたのが縁です。実は(株)電通時代から当社の人間とはよく一緒に仕事をしていたので、大まかにどんな会社かイメージがつきましたが、実際に入社してみるとイメージとのあまりの違いに驚きました。

それでは当初のイメージとの違いについてお話し頂けますか。

一言にマーケティングといっても、(株)電通の場合は、コミュニケーション (何をどう伝えるか) が主体のマーケティングです。成果としては、認知度やブランド力がどれだけ向上したか、といったことが問われます。 例えば自動車メーカーのクライアントを担当した場合、いかに話題性のあるキャンペーンを企画・実行し、ブランドの認知力を上げて、販売店に何人来客させるかまでを成果として追いかけます。

一方で当社の場合は、「売ること」 によりダイレクトに関与します。成果として 「どれだけ売れたのか」、また 「なぜ売れなかったのか」 が問われることが多いのです。

まずは 「何台売るのか」 という目標を考え、その台数を売り切る為には 「販売店に何名の見込み客リストが必要か」、更にそれだけの見込み客リストを作るには 「Webやプロモーションから何名の見込み客の個人情報を獲得するか」 というように、入口部分である問い合わせ客の獲得から、契約・販売に至るまでを逆算し計画します。

ほとんどの広告代理店は入口部分である問い合わせや個人情報の獲得件数までしか追いませんが、我々はここから先も関与するのが特徴です。顧客DB (購買履歴、車検時期、趣味、消費行動、ライフスタイル、その他個人の行動特性) を作成し、その中から本当に見込み客となり得る方のリストだけを、現場のセールス担当者に渡す。更にセールス担当の活動を支援するためのプランを企画・実行し、結果的に何台売れたのか。もしできなかったら、その理由を考え、別の施策を打つ。というように 「売り方」 に関する、入口から出口に至るまでのサービスを一貫して手掛けるのが我々の手法なのです。

ビジネス構造の違いについては如何でしょうか。

広告代理店のようにメディアの枠を売って手数料を稼ぐのではなく、クライアントからFeeを頂くビジネスである点が違います。企業カルチャーもエージェンシーとは大きく異なり、営業利益や人件費などが全て室 (部門) 単位で管理されます。

営業予算の決め方も明確で、担当者の人件費や販管費に、予め決められた%の利益を合計した金額が予算になります。要は案件を担当する人間の合計年収に予算額が比例する訳です。この決め方だとクライアントの懐事情に左右されることがありませんし、どのクライアント毎に対しても一律で公平な価格を提示できます。

また広告代理店の場合はどんな企画を提案しても、最終的には四マス媒体やテレビCMへ落とし込まなければ大きなビジネスに繋がり難いのですが、我々にはそのような制約が一切ありません。 我々が手掛けるFeeビジネスは、自分の知恵を売ってマネタイズ(収益化)する訳ですから、リソースは自分自身。つまり自分の24時間・365日をどう活用・提供して、素晴らしい知恵とアイディアを絞り出すか、自分自身をどう売り込むかという発想で仕事をする必要があります。 自分のアイディアひとつで勝負できるというのは、シビアな面もありますが、やりがいも大きいですよ。

それではここで、貴社の事業領域についてご説明頂けますか?


「サービスドメイン」、「施策領域」 別のケーススタディについて。
(詳しくは、画像をクリック)を迎えるという思い切った決断をする等、何年経っても飽きさせない奥深い人物だと感じています。」

当社は顧客の新しい 「売り方」 を実現するために必要なサービスを、ワンストップで提供しています。

このワンストップには2つの意味が込められていて、1つ目はサービス領域である 「横のワンストップ」。具体的には、商品開発(BPD)、ブランドづくり(BC)、客づくり(LGC)、売り場づくり/上客づくり(EC/CRM)、顧客の声マネジメント(VCM)をワンストップで提供していることです。

この中でも当社が中核としているのは、売り場づくり/上客づくり(EC/CRM)です。日本国内のマーケットはほぼ成熟しており、これからの時代、新しい顧客がどんどん増えるような産業は多くありません。それを考えると、自社のロイヤル顧客をどれだけ定着させ、顧客を育て、長期にわたって良好な関係を築いていけるかが勝負になってきます。そのための施策こそが重要戦略となるのです。

2つ目は、施策領域である 「縦のワンストップ」。具体的には、Strategy、Research & Analytics、Creative、Technology、Operationをワンストップで提供していることです。

この縦 × 横の2つの領域を組み合わせた分だけ専門性・ノウハウを当社は持ち併せており、社内には様々な領域の専門性を持った人間がいます。当然皆、得意分野も人物のタイプも全然違いますので、喩えるならば当社は多民族国家であり、多様性のある組織体であるという特徴もあります。この良い部分を失わないために更なる環境整備をすることが、我々経営陣の役割だと心得ています。

多くの有名企業のプロモーションを手掛けていらっしゃるかと思いますが、具体的な事例を教えて頂けますか。


(株)電通イーマーケティングワン
専務取締役 小川 共和 氏

最近では、ビー・エム・ダブリュー様向けに実施した 「MINI Coupeハンティング大作戦」 があります。これは専用アプリ内で表示される 「MINI Coupe」 のアイコンを持っている人が逃げ、他のユーザーはそれを追っかけて奪い合うというリアルとバーチャルを融合した鬼ごっこです。ユーザー同士はアプリを使って現在地と鬼の場所、それを狙っている他のライバルの位置を確認でき、最終的にアイコンを持っている人が本物の“MINI”を貰えるという企画です。アプリ使用数は瞬間的に2万人を超え、さらにモバイル広告大賞、広告電通賞を受賞するなど、大変話題になりました。

その他の事例では、昨年NTTドコモ様が運営した 「東北六大祭アプリ(※注1)」 のコンテンツの企画・制作を行いました。これらのコンテンツ内の 「祭り情報」 や 「ARコンシェルジュ(※注2)」 などのアイディアや仕組みを提供しました。

※注1・・・東北六大祭アプリ
「東北六大祭アプリ」は、東北6県を代表する祭を盛り上げ応援するためにNTTドコモが提供した無料アプリです。
※注2・・・ARコンシェルジュ
お祭り会場の周辺情報などを地図上に表示したり、実際の祭会場周辺にAR(拡張現実)を利用した観光情報を表示する機能です。

クライアントのマーケティング・パートナーとして、貴社が選ばれ続けている理由は?

提案の出発点が、クライアントのマーケティングマネージャーと同じレベルの視点から始まるところにあります。一般的なWeb制作会社の場合、ユーザビリティやクリエイティブ面など、「Webサイトをどう作るか?」 ということばかりに終始しがちです。

一方当社では、この商品を売るためにはどんな課題があり、その為にはどんな施策を打てるかという発想から始まり、その中でWebやCRMはこんな役割を果たすべきなんじゃないかという提案に繋げます。つまりWebを作る前のマーケティングを企画する段階から提案がスタートするため、本当の意味で上流から携わります。そのようこともあり、当社はクライアントからしばしば、「マーケティング会社」 だと言って頂けているのではないかと思います。

また当社はWebの黎明期、そもそもWebがマーケティングツールとしてではなく、パンフレットの延長だった頃から、「Webを使ってモノを売る」 ことを他社に先駆けて取り組んできました。他社ではなかなかできないことを常に先進的に手掛けてきたからこそ、クライアントから選んで頂けているのではないかと思います。

マーケティング × ITという領域でもビジネスを展開されていますが、コンサルティング会社やシステム開発会社との違いは? その他、競合となる会社があれば教えて下さい。


「色々な専門性を持った人間が、チームを組み、それぞれの分野の専門性を組み合わせて、マーケティングソリューションを提供しています。」

コンサルティング会社との違いは、マーケティング戦略の絵を書くだけでなく、具体的施策の企画提案・実行・運用まで全て一貫して行うところにあります。

またシステム開発会社との違いは、当社はマーケティング戦略の設計やシステム要件定義といった 「上流工程」 から、システム構築などの 「中流工程」、更に施策の企画・運用などの 「下流工程」 まで全てできるところにあります。実はこれらを全てを自社で完結できる会社は少なく、本当の意味でのマーケティング × IT領域でサービス提供できている稀有な存在なのです。

マーケティング×ITという領域でビジネスを展開していると、プロジェクトベースで様々な企業が競合になることがあります。例えば、ある案件ではコンサルティングファームが競合に、また別の案件ではSIer、印刷会社、Web制作会社、マーケティングエージェンシーなどが競合に、といったように。

ただ競合になる一方で、これらの企業出身の方が、中途入社で当社に来られるケースも多々あります。皆に共通しているのは 「マーケティングをやりたい」、Webやシステム開発だけでなく 「もっと上流から携わりたい」 という動機を持って応募に来ていることです。

企業のマーケティングを取り巻く環境が、数年前と比べて劇的に変化しているかと存じますが。

一番の違いは、テクノロジーの進化によってデバイス環境が大きく変わったことです。 私が入社した頃は、Webや、ソーシャルメディア、顧客DBなどは存在しませんでした。商品の売り方は流通業を通しての店頭販売が主流でしたし、プロモーションといえばマス広告が常でした。

それが現在では、インタラクティブに何百万人というユーザーや会員と簡単に双方向のコミュケーションができるようになりました。しかも個人の趣味や購買履歴などの志向に合わせて、個別の商品提案までできてしまう。10万人いたら10万通りのコミュニケーションをすることも可能です。買い方も売り方も変わり、マーケティングそのものが変わりました。このようにマーケティングとは常に環境も課題も変わり続けることを考えると、我々自身も常に新しいことを考えて、提案・実行し続けなければダメなのです。

プロジェクトを遂行する上で(株)電通グループとどのような連携をされていらっしゃるのですか。


「経営陣数名を除くほとんどの社員がプロパー入社です。中途で入社した方が多く活躍する組織です。」

大規模なキャンペーンの大もとのアイディアやTVCM制作の部分を(株)電通のクリエイティブが担当し、Web・モバイルのキャンペーンサイト、CRMなどの部分を当社が担当するケースがあります。

ただ単に(株)電通のクリエイティブが考えたことをWebに落とし込むのではなく、Webにしかできない仕掛けを自分たちで考え、ソーシャルを絡めた展開を行っており、それを表す良い成功事例のひとつに、アフラック様のCMのキャンペーンサイト (「まねきねこダックTOWN」) があります。CMでお馴染みのまねきねこダックの替え歌を、Webサイト上で誰でも作ることができるという企画で、結果的に約50万人分の替え歌が作られ、ツイッターなどのソーシャルでも大変話題となりました。

中途採用で求める人物要件や入社後の社員育成についてお聞かせ下さい。また、社員の皆さんの就労形態については如何でしょうか。

当社では、現場の責任者である本部長にほとんどの権限を委譲しており、現場主導による組織運営がなされています。採用に関しても、本部長に、「来期は組織をあげてクライアントにこんな提案をしたい」、「その為にはこんなスキルを持った人材が何名欲しい」ということを考えてもらい、実際に面接の大部分を任せて採用の可否までを実質的に決めてもらいます。

よって採用で求める経験やスキルに関しては、本部長ごとに異なりますが、裏を返せば、実に多種多様なバックグラウンドを活かせる環境であることは間違いありません。ただし共通項としてWebやCRMの知識があることが望ましいですね。Web制作やCRM企画、法人に対するコンサルティングなどの経験は、クライアントのソリューションを考える際に、活かすことができます。

その他には、当然のことですがコミュニケーション能力を求めます。この仕事は、(株)電通グループやクライアントを含めて、色々な人とやりとりする機会が多いため、コミュニケーション力がないと仕事をしていて辛くなってしまします。また新しい売り方を提案する仕事ですので、常に勉強し続ける姿勢を持って頂きたいと思います。

入社後の教育に関しては、現在のところ自社独自の座学形式の研修制度はありませんが、グループ会社の(株)電通や(株)電通国際情報サービス(ISID)の研修を受けて頂きます。その他は、OJTがメインです。入社してすぐにPJに参画して、そこでの実務経験を通じて鍛えてもらいます。

労働時間に関しては、基本的には個人の裁量に任せています。期末などの繁忙期は残業が多くなったり、休日出勤する社員もいますが、その一方で、用事がある時には定時にきっちりあがったり、一週間まとめて休暇をとる社員もいたりと、みな仕事をやる時と、遊ぶ時の切り替えがはっきりしています。

現在勤務されている社員の皆さんは、どのようなタイプの方が多いのですか?


本社エントランスにて。

10年後、20年後のキャリアプランを考え、その実現に向けて“この会社で何かを身に着けたい”という想いで臨んでいる人間が多いです。もちろん皆、会社に対しロイヤリティを持っていますが、それ以上に、自分の職務へのロイヤリティが非常に高いですね。そのためか、皆モチベーションがものすごく高く、常に仕事を楽しんでいる印象を受けます。

最後に貴社を志望する方へのメッセージをお願いします。

街を歩いていて商品や広告を目にした時に 「なぜこの商品は売れてるんだろう?」 と疑問に思うことがあるように、新しい売り方のネタはそこらじゅうに溢れています。この仕事をする上で重要なのは頭でマーケティングの概念ばかりを考えるのではなく、そのような疑問に気づけるか。そして、常に考え続けることが楽しいと思えるか、好きになれるかです。

マーケティングは常に変わり続けます。だからこそ新しい売り方を考えるこの仕事は、私自身30年やっていて全く飽きることはありません。自分の一生を賭けるにふさわしい仕事だと思いますよ。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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株式会社電通イーマーケティングワン
設立
2004年4月1日
創立
1924年 (大正13年)
従業員数
190名
本社所在地
東京都中央区築地5-5-12 浜離宮建設プラザ 5F
代表者
代表取締役 石川 浩
事業内容
●顧客マーケティング戦略のプランニングおよび実施業務 ●マーケティング課題に対応した戦略立案 ●購買履歴、レスポンス等のデータ分析とレポーティング、レスポンスマネジメント ●プロモーションやキャンペーンの立案・実施 ●データベースマーケティング ●マーケティングシステムの企画開発 ●ダイレクト事業支援 ●上記のプレゼンテーション業務
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約20,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか39社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)
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