企業インタビュー

株式会社グロービス 企業インタビュー

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アジア No.1の経営大学院(MBAスクール)をつくるという志のもとに創業された株式会社グロービス。今回は、Chief Leadership Officer 兼 経営管理本部長の 鎌田 英治 氏に、企業のビジョンや事業展開、社風や求める人物像などについてお話を伺いました。

はじめに、貴社のことを深くご存じでない方にもご理解頂けるように、グループが手掛けていらっしゃる事業の全体像について、今一度ご説明頂けますでしょうか。


代表の堀 義人 氏がハーバードビジネススクール留学中に描いたビジョンが同社の根幹になっている。

私達は 『「ヒト」・「カネ」・「チエ」のビジネスインフラを構築し、社会の創造と変革をサポートする』 ことをビジョンとしています。具体的には、ビジネス・スクール、企業に対する人材組織開発、ベンチャー企業への投資、経営ノウハウの出版・発信を行っています。1992年に渋谷の貸し教室一室から始まったグロービスですが、MBAは国内最大規模、書籍 (MBAシリーズ) は累計発行部数が130万部以上、ベンチャーキャピタルも独立系ハンズオン型としては日本最大規模になっています。

今の日本にとって、最も大きな課題の1つが、リーダー育成でしょう。

一昨年の天津ダボス会議(世界経済フォーラムが開催するダボス会議の夏開催版)に参加して、中国の温家宝首相やアジア各国の政府要人をはじめ、欧米グローバル企業のCEOや、中国、インド、韓国などアジアの事業家など様々なリーダーと間近に接しましたが、「このままでは絶対に日本がやられてしまう」 という強い危機感を覚えました。新興国で活躍するリーダー層のエネルギーレベルには凄まじいものがあります。

私は、講師という立場で今まで1万人以上と対話を重ねてきましたが、日本のリーダー層は、「何もないところから事業やサービスを創り上げていく」 「自分の責任で意思決定をする」 といった力をもっと高める必要があると感じます。『失われた20年』 と言われる通り、日本経済は長期低迷状態を続けてきました。こうした環境は、ビジネスパーソンが、主体的に物事を決定して行く機会を奪っていた側面もあります。高度成長期に比べると、自らを鍛えるチャンスの量と質がかなり変容しているのではないでしょうか。

ただ、環境のせいにばかりしている訳にもいきません。「自分の定年まで残り何年」 などという了見の狭い話ではなく、社会全体(範囲)や後世(時間軸)までを視野に入れたダイナミックな発想ができる、世界という次元で戦えるリーダーがもっともっと輩出されなければならない、待ったなしの状況だと思います。

そのような人材を育むためには、何がポイントになるとお考えですか。


株式会社グロービス Chief Leadership Officer 兼 経営管理本部長 鎌田 英治 氏

まずは、個々人の 『能力開発』 です。能力が高まれば、物事の見え方がよりクリアになります。一例ですが、経営を分析する定石を知っていれば、何が課題か具体的に分かり、自分達が解決すべきことを瞬時に判断することもできるようになるでしょう。

『志』 の醸成も不可欠です。一体自分は何者で、自分の人生をかけて何を成し遂げたいのか。自己理解を深め、社会の中での自分の存在意義を高い視点から考えると、その先に 『志』 が見えてきます。人間はスイッチさえ入れば、自発的に動くものです。「もしもやりたいことが明確にあるならば、それができていない自分に我慢がならない」、「学びたくて仕方がない」、このような 「心に火が点いた状態」 が理想です。

最後は、『人と人とのネットワーク』 です。一人の力は限られています。突き詰めて考えると、ビジネスとは人間関係を広げ、自らの想いを伝え、仲間と共に事を成していくことに他なりません。その結果、より多くの方々に価値ある製品やサービスを提供することが出来るようになります。また、問題意識の高い人同士が切磋琢磨、刺激し合うことで、意識が一層高まります。創造や変革の具体行動に移して行くことになるのです。こうした“うねり”が社会を前向きに変えていく力となるでしょう。

「能力開発」 「志」 「人と人とのネットワーク」 の3要素を高めることで成長スピードが加速度的に上がります。能力開発によって芽生えた問題意識が新たな人との出会いを生み、刺激的な人との対話をきっかけに志を見出したりと、相互に影響し合うものです。これらが螺旋を描いて高まっていくように支援することが、グロービスの役割です。

人材・組織開発や経営教育に関して、貴社の独自性はどのような点にあるとお考えですか。


知恵と志に磨きをかけた卒業生が巣立っていく。

『顧客満足』 『実践的』 『起業家精神』 『志』 の4つがキーワードです。

『顧客満足』 とは、品質に責任を持つということです。クオリティギャランティという制度を設け、受講者の方がクラスの質に納得できない場合、1日何百万円単位の企業研修であっても無条件で全額を返金します。これは、単にお金を返して済ませようということではなく、そこでお聞かせ頂くお客様の生の声を糧として改善を重ねていきたいということです。私達が提供しているのは無形高額商品ですので、お客様の本当のニーズを掴み、自らを律する仕組みとして大きな機能を果たしています。

『実践的』 とは、教員が100%実務家であるということです。アカデミックの世界のみで生きてきたのではなく、実際にビジネスの現場で揉まれ、受講生の現場での悩みを共有できる者が教壇に立ちます。ビジネスを教えるには、ビジネス経験のある人が教えるのが最も理に適っているとの考え方がベースにあります。

『起業家精神』 は、これからの混迷の時代に不可欠な要素です。グロービス自身には、ゼロから起業して来た事実と歴史が組織の風土としても息づいています。我々自身が起業家であることが最も大きな特徴です。世の中には様々な出自のMBAスクールがありますが、各々が国や財界、大学など確固たる母体を持っています。グロービスはゼロからのスタートで、多くの人が無理だと思うことにもチャレンジし、20年で日本最大規模のビジネス・スクールに成長した世界的にもユニークな存在なのです。

これらのベースにあるのが『志』 です。「ヒト」・「カネ」・「チエ」のビジネスインフラを構築し、社会の創造と変革をサポートするというミッションを信じて、愚直に一つ一つの行動を積み上げています。最近では、G1サミットというカンファレンスを開催したり、東北の復興を願って仙台校を開校したりと、より広く社会と関わる動きも増やしています。

私達が提供する商品・サービス・教育機会を常に改善しつつ、お客さまの評判が高まって行く中で、自社サービスへの自信と愛着が深まります。それにつれて、このサービスをできるだけ多くの人に伝えたい、という願望が高まります。例えば、大阪校は、わざわざ新幹線で東京に通って下さっていた受講生の要望に応じて、グロービスの設立2年目に開校しましたし、直近では中国での研修事業もスタートしました。これからも新しい拠点を展開して、「経営教育を受けたいけれど受けられない」 という方々のお役に立ちたいと思っています。

鎌田様は1999年まで日本長期信用銀行 (現新生銀行) にいらっしゃったとのことですが、業種も規模も異なる貴社に転じられた経緯をお聞かせ下さい。


株式会社グロービス Chief Leadership Officer 兼 経営管理本部長 鎌田 英治 氏

ご存知のように、長銀は1998年に破綻しました。当時私は37歳、子会社の信託銀行に出向して、営業部長を務めていました。国有化されても、最後の責任を果たさなくてはならない立場です。退職届の嵐を受け止めながら慰留する言葉も出せない、そんな中で粛々とやるべき業務を進めていました。
長銀には強い愛着もありましたが、破綻までの過程で、国会の様子やマスコミの報道を見るにつけ、私の気持ちは金融からどんどん離れていきました。一連の後始末を終えたら違う業界で仕事をしよう、組織の規模ももっと小さく、自分の人生を自分が主体的に作れる環境に身を置こうと決めました。

そんな中、昔お世話になった先輩でヘッドハンターに転身した方と偶然の再会を果たしました。彼からグロービスを紹介されたのが転職のきっかけです。当時は設立7年目で社員も50人ほど、人1人がやっとすれ違えるほどの間口の狭い小さなビルに居を構えていました。そこで出会った創業メンバーとの3時間に及ぶ (面接というよりも) ディスカッションは、とても刺激的なものでした。彼は自分よりも少し若い世代ながら、世の中について、そして自分が社会にどう役に立っていきたいかについて、とても深く考えていました。そしてそのピュアな想いに強く共感するものがあり、入社を決めました。

私が新卒で長銀を選択した理由は、ファイナンスを通じて社会に貢献したい、そして中立的な立場で数多くの顧客と長期的な視点でお付き合いがしたい、という想いがあったからです。グロービスなら、手段が“お金”から“人への教育”に変わるだけで、社会に貢献したいという思いはそのまま乗せられると思いました。

Chief Leadership Officer (CLO) とは珍しい肩書きですが、このポジションを設けた背景や思いについてお聞かせ下さい。


元々は Chief ”Learning” Officer の CLO でした。「人材育成は、現場教育が全て」 という考え方がまだまだ強い日本のビジネス界に、科学的・体系的な経営教育を浸透させ、産業の高度化につなげてゆくために、能力開発の方法論を磨き、教育研修に対する経営のコミットメントを高めることが肝要です。そうしたミッションを担う役割がCLOだ、という想いを込めたのがきっかけです。

後に、より当社らしくということで、Chief ”Leadership” Officer で CLO と改めました。各拠点・各階層でリーダーシップを発揮する人材を増やしていくこと、また大言壮語すると、社会全体にリーダーシップ(情熱)のパイプライン (連鎖)を作って行くこと、これが私自身のパーソナル・ミッションだと考えています。具体的な行動としては、多くのリーダー達と会うこと、その出会いの中で彼らの活力を最大限引き出せるような関与をすること、思考や意識を徹底的に刺激すること、そうしたコミュニケーションを数多くのリーダー達と積み重ねていくことです。経営とはコミュニケーションだ、という言い方もありますが、CLOの仕事もコミュニケーションが全てと言っても過言ではありません。

現在、日本でこの肩書きを使っているのはおそらく私だけだと思いますが(笑)、IBM社が最初に言い出したと思われる“CIO”という呼称が世に広まったように、CLOも近い将来一般的な言葉になっていくでしょうね。

講師として教壇にもお立ちになっていらっしゃいますね。


はい、主にリーダーシップに関わるクラスを担当しています。

リーダー教育の第一歩は 「自分がやるんだ」 という自覚を発露させることであり、そのための方法のひとつが”ケースメソッド”です。実際にあった企業事例を題材に、「あなたはリーダーとして、この状況でどうしますか」 と問い続けるのです。ディスカッションを通じて、オーナーシップやコミットメント、向上心や貢献意識などを感じて頂けるように、熱意を持って取り組んでいます。結果的に受講者の意識の高揚を促す(=「スパイラルアップ」) ことを目指しています。

これと併せて大事なのが掘り下げるアプローチです。多くの優秀なビジネスパーソンは、本来どうすべきか、という答えは知っているものです。しかし、それを本当に実践できるのか、となると話は別です。理想を言うばかりではなく、現実的に行うことができるのかということや、起き得る難所として何が想定できるか、徹底して掘り下げる(=「ドリルダウン」)ことも、もう一つ大切にしていることです。

貴社で活躍なさっている方々に共通する事柄 (性格・行動様式・メンタリティー等) がありましたら、お聞かせ下さい。


株式会社グロービス Chief Leadership Officer 兼 経営管理本部長 鎌田 英治 氏

シンプルに言うならば 「元気である」 ことですね(笑)。
もう少し補足します。ノーベル賞を受賞された江崎玲於奈氏が、ソニー (株) の研究所のトップ時代に、良い研究所とは何かという問いに対して 「組織化された混沌」 とお答えになったという話があります。これが、私が考える理想の組織のイメージです。同じ理念を共有しつつ、基本は 「自分が思うところに邁進している。個として目一杯爆発している」そんな人が活躍している組織です。「自分で自分にスイッチを入れるセルフスターター、積極果敢で折れない心をもった主体的な個の集団」 とも表現できます。

対人関係の面に関しては、知識と感情の両面で人に前向きな感化を与えられる人、”何のために”という部分をしっかりと自分の言葉で語れる目的志向の強い人は、高いパフォーマンスを発揮していますね。公への貢献意欲の高い人や、ユニークな生き方を求める人にもフィットする環境だと思います。

貴社の社風やカルチャーを表すようなエピソードがあればお聞かせ下さい。

古今東西の名著を少人数で読み合わせる読書会や自らのキャリアを振返る研修など、心の勉強には愚直に取り組んでいます。ロジックの細部や自分のみの利益にこだわるよりも、社会やお客様のために一歩踏み出せる人でいられるように、対話を大切にし、人間性を磨くべく日々励んでいます。
基本はそれぞれが自分の気持ちを大切に心のままに活動していますね(笑)。 社員の自主的な勉強会やクラブ活動も盛んですし、東日本大震災の直後には財団も立ち上がり多くのスタッフがボランティアに赴きました。いずれも、会社からの指示ではなくメンバーが自発的に活動しているものです。年末に一年の成果を讃えあうイヤーエンドパーティーもかなり盛り上がります。よく学びよく遊ぶ社風だと思います。

鎌田様や社員の皆様にとって、堀 義人 代表とはどのような存在ですか。


グロービスグループ代表 堀 義人 氏

共感の対象であり、信頼の対象ですね。
堀が打ち出しているビジョンに皆が共感して 「いいな、やりたいな」 と思う訳です。彼がビジョンを語る時には、本当に嬉しそうに目をキラキラと輝かせているんです。 聴き手は、話の内容もさることながら、彼が発するエネルギーや熱量に引き込まれる部分もあると思います。
信頼の対象という大きな根拠は結果です。つまり、きちんと結果を出してきているということです。勿論、当社の今日があるのはスタッフ全員で力を合わせてきた結果ではあるのですが、一方で、リーダーの堀の存在は大きかったことも確かです。組織の器はリーダーの器で決まると言われますが、グロービスの成長は、彼自身が常に自分をプッシュして挑戦の場に身を置き自分を高めてきたことが、強くリンクしていると思います。

自分達の代表を持ち上げ過ぎてもいけませんが、実に面白い人ですよ。宗教家のような深い信念、子供のような純粋な心、何があっても折れない事業家の強靭な意志など、様々な横顔を持っていると思います。横で見ていてとても努力家だと思いますが、変なストイックさや悲壮感は一切なく、愉しみながら自分を高めていっている生き様が、スタッフにとってのロールモデルにもなっています。
更に特徴的なのは、人の可能性を信じる姿勢でしょう。私は、入社して一ヵ月目に 「鎌田さんはどうして本を書かないんですか?」 と聞かれたことがあります(笑)。 先月まで銀行員だった人間に何故そんな質問をするのだろうとその時は面くらいました。でもよくよく考えてみると、「自分で自分の可能性のフタを閉じないでね」というメッセージを感じた訳です。
「可能性を信じる」 こと。堀だけでなく、グロービスのメンバー皆が、とても大切にしている考え方です。

御社を志望する方、及び潜在的な候補者へのメッセージをお願いします。


本社エントランスにて。

「日本は変わる必要がある」 と叫ばれて久しいですが、いよいよ本当に大きな変わり目に来ていると感じます。政治体制、経済社会の枠組み、社会の価値観、技術環境の変化によって、ビジネスもどんどん変わっていきます。オピニオンの発信主体も、大企業をはじめとする「企業体」 から、「個」 に分散シフトしている側面があります。「明日は今日より豊かになる」 という直線的成長を予見できた時代には社会や企業が敷いたレールが「こうすればいいんだ」 という“解”だったとも言えるでしょう。

しかし、現代は正解はひとつではないばかりか、何が正解かが極めて流動的な時代になった訳です。国家や世界的な大企業ですら破たんの危機に瀕するような世の中ですから、何が起きるかわかりません。一人ひとりの生活・人生も想定外の出来事の連続です。未来はどうなるか、と予想する対象ではなく、未来をどうしていきたいのかを自らが考え、決める時代なのです。「自分はそもそも何がしたいのか?」 と根源的な自問をする機会が否応なく増えているように思います。

世の変化に対して、自らの在り方を問い直し、「やるのか」 「やらないのか」を決断して一歩前に踏み出すことが、激動の時代で納得のいく充実した人生を送るために必要なことではないでしょうか。

日々の挑戦を通じて自分を知り、世の中に見聞を広げる。同時に、自分の可能性を信じて、仲間と共に何かを成し遂げてやろうという意思と行動が何よりも大事です。こうした考えを持つ仲間達と一緒に社会の為に汗をかきたいと思います。

ビジネスにおける創造と変革を導ける仲間を待っています!!

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

株式会社グロービス
設立
1992年8月
本社所在地
東京都千代田区二番町5-1 住友不動産麹町ビル
代表者
代表取締役 堀 義人
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
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