企業インタビュー

第一中央汽船株式会社 企業インタビュー

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今回は、島国日本の産業発展の根幹を支える、外航不定期船サービスを中心とする海運会社、第一中央汽船株式会社の人事チーム長 澤崎 昌弘氏にお話を伺いました。

まず、御社の事業内容について、海運業界に馴染みのない人にも判り易く教えて頂けますでしょうか。


大海原を航海する同社の船舶

海運には、大きく分けると、定期船と不定期船があります。
定期船というのは、コンテナ船に代表されるように、一定の航路を定期的に就航する船舶のことで、寄港地や航路が決まっています。
一方、不定期船というのは、顧客の需要に応じて運航される船のことで、貨物に合わせて寄港地とスケジュールが決定されます。

不定期船の中にも、自動車専用船、木材チップ専用船、原油等の液体を運ぶタンカー、客船等々、さまざまな種類がありますが、当社は鉄鉱石や石炭といった“ばら貨物(ドライバルク)”の輸送サービスを中心とする不定期船会社(トランパー)です。主に、鉄の原料となる鉄鉱石や原料炭、発電用の石炭、セメント原料の石灰石、飼料や肥料、スチールプレート、コイル、パイプ等を輸送しています。

また、海運会社の業態には、荷主と直接輸送契約を結び、自社の保有船や傭船した船で輸送を行う「オペレーター」と、オペレーターと貸船契約を結び、所有する船舶や船員を貸し出す「オーナー」と呼ばれるものがあります。
当社の場合は、支配船腹の約3割が自社の所有船、残りの約7割が傭船ですので「オーナー・オペレーター」ということになります。

海運業界の現状についてお聞かせ下さい。

現在、重量ベースでみると、日本の貿易の99%は海上輸送に頼っています。ほとんどの貨物は、飛行機ではなく、船で輸送されているんですね。
そして、近年、新興国での地価資源や穀物の需要は、毎年2桁以上の伸び率を見せており、世界的に荷動きが活発になっています。今後も船舶による海運輸送の果たす役割はますます大きくなっていくと予想されます。

海運業界における御社の位置付け、競合優位性について教えて下さい。


第一中央汽船株式会社
総務グループ 人事チーム長
澤崎 昌弘 氏

あらゆる船種を揃える国内の海運大手3社(※1)とは違い、コンテナ船、自動車専用船、LNG船や客船などを持たない、“ドライバルクの不定期輸送サービス専業”というのが当社の特徴です。売上高でいうと、国内の上場している海運会社の中では4~5位の位置にいます。

競合優位性については、かつてリスクを取ってまで大手3社が積極的に開拓していなかった、中国やロシア、ベトナムといった旧共産圏や新興国の市場に、早い段階から注力しており、これらの市場に対するノウハウの蓄積があることが挙げられます。
現在、中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄との鉄鉱石長期輸送契約や、インドのタタスティールとの石炭長期輸送契約等を、日本の船会社で初めて締結するなど、国内外を問わず有力企業との協力関係を構築しています。

また、船型は、積載量20万トンの大型外航船から、1500トンの小型内航船まで、すべての種類を備えており、さまざまな顧客の要望に応えることが可能です。

(※1)国内の海運大手3社・・・株式会社商船三井、日本郵船株式会社、川崎汽船株式会社

今後のビジネスの展望ついてお聞かせ下さい。

世界のリーディングトランパーを目指し、2010年からの中期計画で、2015年度に売上高2000億、営業利益200億円、また、2015年度までに現状の1.5倍にあたる250隻の船隊規模に拡充するという目標を掲げています。まずは、日本の海運大手3社に不定期船の分野で追いつき、追い越すべく、マーケット競争力のある船隊を揃えていきます。

海外の拠点展開は如何でしょうか。

2010年4月に新たにヴェトナムに事業所をつくりました。近々、インドのムンバイにも事務所を開設する予定です。現在、インドのデリーに社員を研修生として派遣していますが、今後も、海外での勤務や研修の機会が増えていくと思われます。

やはり外航や海外向けのビジネスに注力していかれるのですね。


本社のエントランスに展示されている模型

外航と内航を比較すると、内航の売上は全体の8%程度で、外航の規模には到底及びません。
最近では、外国での内航に参入するというユニークな試みも行っています。今はヴェトナムだけですが、今後このような展開が他の国でできる可能性もありますし、外国の船会社の参入を許していない国々でも、その国の企業と合弁でビジネスを行うという選択肢はあり得ます。

航空会社の場合は、自国発着の輸送しかできませんが、海運の世界では、そのようなルールは無く、三国間の輸送もできるし、とても自由度が高いんです。だから海外のビジネスにも積極的に挑戦しやすいんですね。

中途採用についてお聞かせ下さい。

2011年は通年で中途採用を行う予定です。当社は、2010年期末の時点で支配船腹161隻の船隊規模を、2015年度までに1.5倍の250隻体制にする計画を進めています。そのために、営業やオペレーションはもちろん、管理部門も含めて、全社的に優秀な人材の確保が急務となっています。

現在、総合職として陸上従業員を募集されていますが、その具体的な仕事内容について教えて下さい。


第一中央汽船株式会社
総務グループ 人事チーム長
澤崎 昌弘氏

経理や人事などの管理部門のほかには、大きく分けると「営業(引き合い・仕込みとも言います)」と「オペレーション」があります。

営業は、自社で船を用意したり、他社から船を借りたりして、船を“仕込む”こと、荷主様から輸送契約を頂いてくることが仕事です。そして、契約を結んだ後は「どの船にどの貨物を積むか」という“配船”も行います。配船作業の上では、空船の期間が極力短くすむように、荷物を降ろした港の近くで荷物が積めるように手配することが重要です。これは採算にも大きく影響しますので、たとえばシンガポール向けに輸送する荷物なら、近くのインドネシアで積荷ができるような契約を取ってくる、という動きが求められます。

契約の6~7割が長期の運航契約、残り3割程度がスポットの運航契約で、営業は新しい契約を獲得するために、常に色々な方面にアンテナを張っている必要があります。海運業は市況の影響を大きく受けるので、マーケットが悪い時ほど、営業の腕の見せ所なんです。


パナマ運河をギリギリ通ることができるサイズの船をPanamax、それより大きくケープタウン経由で運航する船をCapeといいます。2~5万トン程度の船はHandyと呼ばれます。

営業が配船までの手配を終えると、その後の工程は、オペレーション部門の仕事です。船への指示、港への指示、燃料の手配、コストセーブなどを行い、月毎に航海の採算を出します。

具体的には、営業が作った契約内容(積み地、揚げ地、積荷、運賃等々)のサマリーに従い、船長に対するインストラクションを作成、船舶に指示を出します。同時に、積み地と揚げ地の港の代理店に、「○月○日○時に○○の船が港に入るので、○○に注意してアテンドして下さい」といった指示を出します。
そして、運賃や航海距離を考慮し、燃料は何トン必要で、荷物をMAXで積むためにはどう給油を行えばいいか、などを計算します。

また、港に近づくと、入港するために“パイロット”という水先案内人に船のナビゲーションを手伝ってもらう必要があります。また、大型船の場合は、接岸をサポートする“タグボート”が必要になります。これらの手配もオペレーション部門の仕事で、割増費用が発生する夜間や土日を避けて入港させるなど工夫します。

オペレーション上で採算をよくするには、どれだけ収入を増やして支出を減らすかかにかかっていますので、赤字採算ギリギリの航海を、オペレーションを工夫して黒字化できたときは大きなやり甲斐を感じます。

澤崎さんは20年近く営業をなさっていたということですが、仕事の面白さややり甲斐はどんなところでしたか。


船さえあれば、世界のさまざまなお客様を相手にビジネスができる、という点が、この仕事の面白さであり、醍醐味だと思います。

ある時、それまで取引のなかったロシアの会社から、当時の担当役員宛に突然1通のメールが届きました。そして、「こんなメールが来たから対応しておくように」と私に指示があったんです。そのロシアの会社は、石炭の採掘・販売をしている会社で、そのメールはロシアの極東の港からアジア地域に石炭を運びたいという内容でした。

それまで、ロシア炭の輸送は、商社経由で入ってくる日本向けの仕事だけだったのに、シッパー(荷主)から直接連絡が来たんです。最初は無我夢中で対応していたのですが、実はロシアで有数の石炭会社だったと後で知りました(笑)。

運賃を算出して内容を詰めていったら契約をまとめることができて、当初は1航海ずつの契約でしたが、3航海した後に、先方から1年契約の打診を頂き、是非やりましょう!ということで、ロシアに飛んで行きました。

ロシア炭の三国間輸送というのは、同業他社も一切手掛けていなかったことなので、契約を初めて取ったことはすごく嬉しかったですね。
同時に、インターネットで世界につながっている時代なので、船さえあれば色々な国の会社相手にビジネスができると実感しました。

中途採用に際して、どういった人材を求めれておられるのでしょうか。


横浜港カッターレースの一コマ

即戦力として活躍して頂ける海運業界出身の方が第一希望ですが、貿易業務や輸出入業務の経験をお持ちの方であれば、異業界出身の方でも積極的にお会いしたいと考えています。実際に、鉄鋼メーカーや航空会社など、海運会社出身以外の方を採用した実績もあります。

また、当社の仕事では、契約書やメール等がほとんど英語になるため、英語力は必須です。TOEIC700点以上を目安としていますが、点数だけではなく、外国人を相手にきちんと会話ができる能力が必要です。

人物像としてはどのような方が望ましいのでしょうか。

海運は世界を相手にしたダイナミックな仕事ですので、社交的で、ガッツとバイタリティーあふれる方を求めています。また、さまざまな市況の影響を受け、浮き沈みの激しい業界でもありますので、そういった激動を涼しい顔でやり過ごせるような前向きさ・大胆さを持っていると良いと思います。

これは個人的な意見になりますが、コミュニケーション力を能力やスキルと捉えるのではなく、社会人として当然の素養だと考えている方がいいですね。そして、モチベーションが高い時であろうが低い時であろうが、きちんと自分の責任を果たせる人物に来て頂きたいと思います。

御社の社風についてお聞かせ下さい。


クリスマスパーティーの様子

コンテナ等の個品輸送と異なり、「ドカンと積んで、ドカンと揚げる」という、ドライバルクの不定期船輸送事業に由来するのか、社員は、細かいことにあまりこだわらない、よく言えば大らかな人が多いように思います(笑)。

また、当社では、社内ではチームワークや協調性を重んじる社内制度を採用しているので、不必要な競争や社員同士の足の引っ張り合いはありません。また、面倒見が良く、長期スパンで人材を育成するため、離職率も低くなっています。(過去10年間で新卒23名、中途17名の計40名が入社しましたが、退職者はわずか2名のみで、うち1名は出産育児による退職です。)

ずばり御社で働く魅力はどんな点ですか。

当社は不定期船専業という特徴から、比較的要員を薄く配置することができるので、従業員一人当たりの売上高は、国内の同業の中で1位です。また、比較的少人数の会社で、新卒採用も4~5名、多い年でも8名程度ですから、採用する人は全員、将来の幹部候補です。
人数が少ない分、個人の裁量が大きく、営業などは自分で工夫して新規の契約を取ってこれるという面白みがありますし、若いうちからスケールの大きな仕事を任せられることも多いでしょう。

一般的に、「貿易=商社」、「グローバルビジネス=メーカー」などと想起される方が多いようですが、海運の仕事も、貿易に携るグローバルでダイナミックな仕事です。

最後に、転職希望者へのメッセージをお願いします。


本社1階エントランスにて

当社は従業員180名程の規模の会社ですが、その分、会社全体の動きが把握しやすく、同時に個人の能力を十分に発揮でき、やり甲斐や充実感を得られる環境です。
「大きく、強く、有名に」を合言葉に、更なる発展に向けて邁進して参りますので、ご興味のある方は、是非ご応募下さい!

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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第一中央汽船株式会社
本社所在地
東京都港区三田一丁目4番28号 三田国際ビル25階
創業
1892年2月7日
資本金
12億45百万円
事業紹介
鉄鋼の原料をはじめとした各種産業用原料、原油、電力・一般産業用の石炭、鋼材、木材、セメント等を船舶で輸送する海上輸送サービスを展開。
◆専用船サービス(原料船・タンカー)
◆不定期船サービス(遠洋)
◆不定期船サービス(近海)
◆内航船サービス
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約20,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか39社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)
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