企業インタビュー

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 企業インタビュー

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小売業界において32期連続の増収営業増益、2020年のコロナ禍においても売上高1兆7,086億円、営業利益813億円を誇る株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)。今回は、CFO(最高財務責任者)で取締役 兼 執行役員の清水 敬太氏にインタビュー。オンリーワンの小売プレーヤーで働く魅力を軸に、幅広い部門で次世代の経営を担う人財を募集する狙いについてお話を伺いました。また、現場に大胆に権限を委譲する経営スタイルや、主体的に挑戦する人に責任あるポジションを任せる風土など、社員のキャリアの可能性を広げるPPIHらしさについてもお聞きしています。(掲載開始日:2021年12月17日)

まず初めに、貴社が目指しておられる事業の方向性についてご説明下さい。


CFO 取締役 兼 執行役員
清水 敬太氏(公認会計士)

旧社名である株式会社ドンキホーテホールディングスから、現社名の株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスへ2019年に商号を変更しました。これは、「ドン・キホーテ」という旧来のブランドイメージにとらわれず、国際競争力を持った企業集団へと変化を遂げて、PPIHグループ全体でより幅広いお客様にマッチした「買い場」*をつくっていく、という第二創業の決意表明でした。安定志向を排し、変化への柔軟な対応と創造的破壊へのチャレンジから、さまざまな商圏のお客様に対して選択肢として新業態を提示することを目指してきました。現在では、いずれの商圏でも高い評価を得て、多くのお客様に選ばれるようになっています。

海外事業も加速的に拡大し、かねてから取り組んでいた米国(ハワイ28店舗、カリフォルニア37店舗)に加え、シンガポール(11店舗)、タイ(3店舗)、香港(8店舗)などのアジア地域でも順調に成長しています。(※海外店舗数は2021年12月10日現在)特にアジアにおける日本産品を中心とする「ジャパンブランド・スペシャリティストア」のコンセプトは各地域における新たな人気スポットとなっています。
また海外事業の成功の背景には、単にお店を出すだけではなく、独自の流通システムの構築や自治体・生産者の協力があります。これにより海外で人気の高い日本産品をリーズナブルな価格で提供することが可能となっており、当社海外事業の中長期的な競争優位性となることが期待されます。

一方、少子高齢化の進む日本国内では、これまで以上にきめ細かい業態の設計や変化への対応が必要となるでしょう。コロナ禍においてドン・キホーテでも食品を目的とした来客も増えたことから、買い場のレイアウトや通路幅を見直すなど店舗環境改善にも取り組みました。M&Aでグループに加わったユニーにより新たな客層にも対応できるようになるなど、今後も積極的な業態拡大、顧客変化への対応に取り組んでいきたいと思います。

2021年6月期に増収営業増益を達成できたのは、正にこういった多面的な取り組みが奏功した結果であると実感しています。

*買い場…PPIHでは、常にお客様の視点に立って店舗のあり方を工夫し続けることから、売り場ではなく「買い場」と呼んでいます

海外事業の成長戦略について、競合に対する優位性を踏まえてもう少し詳しくご説明いただけますか。


日本の人口構造や経済状況を見れば、残念ながら国内市場は将来にわたって大きな消費拡大が望めるとは言えないでしょう。これに対してアジア各国においては継続した経済発展が期待される国や地域が沢山あります。この旺盛な消費意欲に狙いを定め、「クールジャパン」に代表されるように日本の良質なコンテンツに対する好印象も活用し、日本の農畜水産品及びその加工食品を軸に「ジャパンブランド・スペシャリティストア」という新しいコンセプトを開発して積極展開してきました。

その際のもう1つのポイントは、ビジネスモデルを抜本的に進化させるということ。もちろん進出国では既に日本産品は他社店舗で販売されていることもありますが、消費者にとって魅力的な価格にはなっていませんでした。そこで当社では日本と各国市場を結ぶ独自のサプライチェーンを構築して強靭化し、価格競争力や商品調達力の面で圧倒的な差別性の確立を目指しました。
具体的には、PPIHグループの海外店舗への輸出を希望される日本の農畜水産品の生産者で「PPIC(ピック):Pan Pacific International Club」という会員組織をつくり、日本産品を各国市場にダイレクトに届ける独自のサプライチェーンを構築し、商品の安定的な供給やコストの大幅な削減を実現したのです。

国内のPPIC会員数は既に250社を超え(2021年11月末現在)、複数の自治体とも連携しながらPPIHならではの競争力を形づくっています。もちろん会員の皆様にとっても自社だけではアプローチ出来ない海外市場にアクセスできるようになることから生産者の皆様にも貢献できているかと思います。今後も各国市場ごとのお客様の嗜好やニーズなどをきめ細かく生産者にフィードバックし、より魅力ある商品の供給に繋げています。

経営的にはバリューチェーンを拡大することで付加価値や収益性を高めているわけですが、これにより日本の小売史上にも類を見ない、世界で勝てるビジネスモデルが育ち始めていると感じます。海外事業は2030年に1兆円規模を目指すと掲げていますが、こういったチャレンジングな目標を掲げられる、そのスタート地点に立てていること自体が喜ばしいことだと思っています。

国内事業では、成熟市場をどのように深耕されていくお考えでしょうか。「デジタル戦略」という視点を交えてお聞かせ下さい。

国内市場においては、以前のように単に出店拡大すれば収益が上がるという時代は終わり、それぞれの業態を進化させ、生産性も高めながら勝ち抜いていく時代に入りました。一人ひとりのお客様とより丁寧に向き合うことが求められると言っても良いかも知れません。

この点PPIHには、国内の店舗で使える「majica(マジカ)」という自社電子マネー/ポイントをアプリで提供しています。登録会員は既に800万人を突破し、ポイント利用率も高いのが特徴ですので、このアプリやマネーの利便性を更に高めることで顧客に価値を提供していきたいと思います。既にアプリに様々な機能を付加する準備をしていますし、クレジットカード機能も強化することでPPIHグループの店舗以外でも使いやすくなることも予定されています。もちろんこれによりお客様の購買行動を従来以上に把握できるようになれば、お客様に対してもより丁寧にアプローチできることにもなりますので、非常に期待している取り組みとなります。

また、デジタル戦略の枠は超えますが、先ほどもコメントしたように今後もM&Aの機会は積極的に模索していきたいと考えています。これまで以上に多くのお客様に、より深く、丁寧に向き合っていくというのが国内事業の基本的な考え方になるわけですが、変化対応力を備えた店舗やそれを支える人財がいる当社であれば、成熟した国内市場においても目標として掲げる2030年の売上高2兆円も十分達成可能であろうと考えています。

海外・国内を問わず、貴社で小売ビジネスに携わることの魅力には、どのようなものがあるとお考えですか。


当社は創業以来ずっと、各店舗の担当者に品揃え、値付け、売り方などなどを大胆に任せるという「権限委譲」を積み重ねてきました。多くの小売企業やその他チェーンストアが本部主導で進めることを、あえて現場に大きな自由裁量を与え、個々人の可能性を引き出し、化学反応を意図的に起こすことで成長に繋げてきたのです。
そしてこのような権限委譲は実は店舗に限ったことではなく、本社コーポレート部門でも同様で、一担当者の意思を尊重する風土がとても強く根付いていると感じます。自分の実力や行動力で挑戦したいと考える方にとってはとても魅力的な環境なのではないでしょうか。

またもう一つ、PPIHならではの魅力に、多様性を受け入れる土壌が挙げられます。それぞれの業態の店舗には多様なお客様が来店され、そのお客様を接客する店舗スタッフも多様な個性の人たちが持ち味を生かして活躍しています。結果として多様性を受け入れるマインドを備えた社員が非常に多いことは、新たに加わってくる方々にとっても活躍しやすい環境であると言えるでしょうし、社会全体が多様性を重視する方向に進む現代において、とても貴重で魅力的な企業風土であると考えています。

多様性を強みとし、自ら変化することで成長なさってきた貴社において、普遍的に変わることなく受け継がれている企業理念はございますか。


企業理念集『源流』

創業者の安田隆夫が記した「源流」がそれに当たります。著名な経営書でもある「ビジョナリー・カンパニー」にもヒントを得ながら、創業以来、自分たちが大切にしてきたことを突き詰めて考え抜き、纏め上げたもので、会社全体に広く浸透しています。

基本理念、行動規範、マネジメント・実務の三部構成からなる『源流』は、2011年の刊行以来、これまでに3回版を改め、最新版の『源流 ―PPIHグループの理念』は、全ての社員にとって困った時や壁にぶつかった時に立ち返る、道しるべのような存在となっています。どんなに優秀な経営者も、いつかは経営を離れる時が来ます。その先にも成長できるような永続企業をつくる上で、とても重要な指針となるのが企業理念です。世界的に見ても永続企業はとても少なく、このような考え方には深く共感します。私自身も微力ながら永続企業をつくっていくために、さまざまな角度から貢献できればと考えています。

現在、貴社においてキャリア採用を強化されている背景について教えて下さい。

まさに「永続企業をつくる」ということと重なるのですが、幅広い部門で経験とスキルを備えた人財を求めています。これから10年弱で国内・海外事業を合わせて3兆円規模の売上目標を達成するために、何よりも必要となるのは優れた人財です。3兆円ともなると、これまでの時代に求められていたスキルや経験だけでは足りないことは言うまでもありません。是非当社に足りないものを補ってくれる方に多く参画頂きたいと思います。

私が管轄するのは財務、IRとなりますが、その他の企画部署、デジタルやIT関連、法務や人事といった多くのコーポレート部門で優秀な人財を募集中であると聞いています。先ほど触れたように「多様性を受け入れる」風土がありますので、正に新しい視点、多様な価値観をもたらしてくれれば嬉しいです。

キャリア採用の人財に対して、部門を問わず共通して求める資質や仕事への取り組み姿勢には、どのようなものがありますか。

先ほどの通り、「権限委譲」が徹底されている会社ですので、どんな時も能動的に動き、自ら率先して何かをつくり出していくタイプの人はやりがいを持って働け、事業領域の広がりとともに活躍の場は非常に多くなります。次々に大きな仕事を任せられ、短期間で抜擢されることもあるのではないでしょうか。実際当社では部長レイヤーを見渡すと30代後半の層がとても多いです。役員でも40代が中心で、中には30代後半の人間もいるくらい。そういった若く、スピード感のある環境でやりたい方にとっては働きやすい環境なのではないでしょうか。

多様性を歓迎する観点から言うと、出身業界も必ずしも重視しません。むしろ異業界での経験から培ったノウハウを注入して頂くことにも価値があると思います。もちろん仕事の進め方などにアジャストが必要な部分はあろうと思いますが、特定の領域における経験や知識をしっかりと備えながら、店舗を含む他部門と積極的にコミュニケーションがとることが出来る。そういった中途人財はすぐに活躍していると各部署から聞いています。

清水様のこれまでのキャリアについてお聞かせ下さい。貴社に経営メンバーとして参加される以前は、どのような領域で経験を積んでこられたのでしょうか。


「今後、海外市場で大きく成長していける可能性を持つ、数少ない企業の中の一社、としてPPIHには以前から注目していました。」

高校生の頃から、会社の経営に関与して世の中に価値を提供したり、いろいろな人に喜んでもらったりということを人生の目標として考えていました。そこで、もともと数字に強かったこともあり、大学生の時に公認会計士試験に合格し、新卒で監査法人に就職しました。仕事はとても面白く、興味を持って取り組みました。20代前半の私が財務会計のプロとして企業の社長やCFOに意見を述べるなどは本当に貴重な経験でした。

監査法人で6年ほど経験を積み、より能動的に企業経営に貢献できる場を求めて、戦略系のコンサルティング会社に転職。ここで更に6年ほど経験を積みましたが、まさにやりたかった領域の仕事であり、一から貪欲に学びながら実践する日々でした。経験を積むに従って大きなプロジェクトを任されるようにもなりましたが、コンサルタントの仕事は経営改革を提案するフェーズまで、という業界特有の悩みと直面。企業の未来にとって役立つ提案をすればするほど、その後の企業内での変革プロセスを主体的に実行したいという思いが募っていきました。

そこで次のチャレンジとして、縁あって外食企業の経営改革に8年余り携わることになります。ここでは様々な経営課題を抽出し、一つひとつ解決していくことからスタート。もちろん全ての取り組みがすぐ成果に繋がったわけではありませんでしたが、粘り強く地道な改善を積み重ねていくことで業績が向上。東証一部への株式上場も果たし、海外展開まで成功させることもできました。8年半の経営を通じて、結果として自分自身の目標であった「経営を通じて世の中に貢献する」ことが出来たので、様々な幸運や周囲の支援にとても感謝しています。

そこから現在のPPIHで新たなチャレンジに向かうことを決めたのですが、挑戦する価値があると感じた理由は大きく2つです。一つは、PPIHでは小売事業を通じてたくさんの人々の生活を豊かにできること。そしてもう一つは、日本の良さを世界に伝えることのできる事業でもあったからです。この2つの軸は、仕事に対するモチベーションとして以前から自分の中に育まれていたものでした。

清水様は貴社のCFOであり、執行役員として財務・IRを担当されていますが、現在注力されている新たな取り組みにはどのようなものがありますか。


PPIHの一員となってまだ1年に満たない私ですが、まずは専門分野である財務領域で組織構築も含めて取り組んでいます。従来はCEOの吉田がリードしてきた領域ですが、役割を引継ぎ、更に後進も育成することで「永続企業」の一機能を確立していければと思います。
早速、主要株主から自社株式を取得し資本効率を高めるとともに、800億円の社債発行をするなど財務強化も図りました。社債発行については、積極的に市場を活用するという当社の意思を示すことにも繋がり、市場関係者からも一定の評価を得ることが出来ました。

また、IR(投資家向け広報)についても新たに人財も採用し、海外投資家を含む多様なステークホルダーと継続したコミュニケーションを重ねています。引き続き今後も、世界に通用するような透明性の高いIR体制の構築を目指し、採用も継続しながら取り組んでいきたいと思います。

加えて実はESG対応もかなり時間を割いて強化に取り組んでいます。これまでPPIHでは相対的に対応が遅れていた領域ですが、役員向けの研修会をスタートしたり、ここでも人財採用するなど準備してきました。当初は「ESGが重要なことは分かるが、具体的に何をどうやったらいいか分からない」という声もありましたが、いざ実際に進めてみると、営業関連も含む多くの社員が意欲的に取り組んでくれています。新しいことにチャレンジする柔軟性がとても高い会社だとここでも実感しています。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。

繰り返しですが、唯一無二と言ってもいいビジネスモデルで海外でも勝負できるという点では、当社は極めて稀有な存在ではないでしょうか。また国内市場においても戦略や実行力次第で今後更に成長できるし、今後参画頂く方々は正にその一翼を担うことになるのだと思います。
私個人としては、事業を通じてさまざまな国や地域の人々の生活を豊かにできることと、日本の魅力ある産品を世界に届けられるということには大きなやりがいを感じます。多くの優秀な方々にとっても、このような場に身を置いて自分の能力を発揮できるチャンスは滅多にない機会なのではないでしょうか。
誠実にコミュニケーションを重ねて新しい価値を生み出そうとする人に対しては、たとえそれが困難な取り組みであっても柔軟に受け入れてくれる仲間がいる会社です。是非さまざまな業界から、新たな知見をもたらしてくれる方が、一人でも多く当社にジョインしていただければ嬉しく思います。

本日はお忙しい中、長時間にわたりご協力いただき、ありがとうございました。

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株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
設立
1980年(昭和55年)9月5日
資本金
231億5千3百万円
上場証券取引所
東証1部
所在地
 本社: 東京都目黒区青葉台2-19-10
    
従業員数
16,838名(連結)
代表取締役社長CEO
吉田 直樹
主な事業内容
グループ会社株式保有によるグループ経営企画・管理、子会社の管理業務受託、不動産管理等
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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