企業インタビュー

株式会社トクヤマ 企業インタビュー

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産業界を支える基礎化学品から医薬品原薬などのファインケミカル、セメント、高純度多結晶シリコンに代表される電子材料、さらに歯科器材やメガネ材料まで、幅広い市場で付加価値の高い製品を提供する株式会社トクヤマ(東証一部上場)。創業以来100年を超えて蓄積する独自の要素技術を融合し、製造工程の副生成物・廃棄物をも有効活用してビジネスを多角化してきました。
今回は代表取締役 社長執行役員の横田 浩(よこた ひろし)氏にインタビュー。「電子」「環境」「健康」をキーワードとする持続可能な事業戦略について、技術や企業の壁を越えてオープンに連携する働き方の魅力、基礎研究から商品開発、量産化までをワンチームで取り組むことによる社員一人ひとりの成長実感などについてお話を伺いました。(掲載開始日:2020年11月5日)

まず初めに貴社の歴史について、創業の経緯からご説明下さい。


代表取締役 社長執行役員
横田 浩氏

今から100年余り前、ガラスや洗剤の原料となるソーダ灰(=炭酸ナトリウム、Na2CO3)は、その全量を輸入に頼っていました。しかし、折しも第一次世界大戦によって海外からのソーダ灰の確保が難しくなり、産業振興のために国内でソーダ灰を製造しようと1918年(大正7年)に山口県徳山町に設立されたのが日本曹達工業株式会社です。創業者の岩井勝次郎は、総合商社の双日(株)(旧・日商岩井)の前身となる岩井商店の創業者でもありました。
その後、1936年に徳山曹達株式会社に社名変更し、さらに1994年に現社名の株式会社トクヤマとなりました。

ソーダ灰の製造工程から枝分かれして、苛性ソーダ(=水酸化ナトリウム、NaOH)の製造もスタートし、大正から昭和初期にかけてナトリウムなどによる無機化合物を中心とする基礎化学品を軸に事業を推進しました。
そして創業して20年目の1938年、ソーダ灰製造の副生成物である酸化カルシウム(CaO)がセメントの主原料であることから、これを有効活用する発想でセメント事業を立ち上げました。

第二次世界大戦後には、電気分解による苛性ソーダの製造を開始しました。また、この時期には弊社工場のある徳山町に隣接した地域に大手製薬会社の工場が誘致され、苛性ソーダおよび副生成物である塩素、塩酸、次亜塩素酸ソーダなどの基礎化学品を大量に使って頂くことができました。また、苛性ソーダ関連製品については各製紙メーカーからの需要も大きく伸長し、私どもはB to Bの基礎化学品メーカーとして事業を拡大していくことになります。

その後、独自技術を強みとする総合化学メーカーとして貴社が成長する上で、どのようなターニングポイントがありましたか。

1960年代になるとわが国では石油化学工業が隆盛を極めました。トクヤマも1964年に大手石油会社が徳山に石油化学工場を開設したことを契機に、石油化学・有機・高分子の分野に進出しました。
当時、殆どの日本の大手化学メーカーは欧米の石油化学大手からライセンスを受けて技術導入を図りましたが、トクヤマは唯一、自社技術にこだわりました。この頃製造を開始したポリプロピレンは自社技術で開発・事業化した日本で唯一の企業となりました。

このとき自社技術を徹底的に追求したことで、確かに独自の特有技術が磨かれました。その反面、事業化のスピードでは同業他社に後れをとった側面も否めないと感じています。いち早くライセンス契約を結んだ同業他社では、人材交流の面でも海外の先端企業の優れた研究者から積極的に学ぶ機会を得て、結果として国際感覚を備えた多くの技術者が育成されていったように思います。

さらに1970年代以降、どのようにビジネスを展開してこられたのでしょうか。


徳山製造所(山口県 周南市)
周南コンビナートに立地する主力生産拠点。主に無機化学品を製造する徳山工場、セメントを製造する南陽工場、多結晶シリコンや有機化学品を製造する東工場からなる。
※提供元:(株)トクヤマ

鹿島工場(茨城県 神栖市)
関東地区での有機化学品の製造を担う工場。ファインケミカル事業拡大のため開設された。
※提供元:(株)トクヤマ

つくば研究所(茨城県 つくば市)
日本最大の研究学園都市に立地する研究開発拠点。自由闊達な雰囲気の中、新たな素材や技術を研究・開発し、新規事業を創出することを目的としている。
※提供元:(株)トクヤマ

1970年代のオイルショックを境に、重厚長大からの脱却を目指してエレクトロニクス分野とファインケミカル分野への展開を図りました。これら新しい分野の製品開発や事業化の布石として、戦略的に国の研究機関などに若手社員を派遣して新しい技術を吸収する機会を与えるとともに、組織を超えた研究者同士のネットワーク構築にも取り組みました。

そして1980年代には、蓄積した技術リソースを活かして様々な新規事業をスタート。その中で歯科器材やメガネ材料などのニッチ市場に向けた素材がヒットし、臨床検査試薬などのビジネスも評価され、事業化に成功しました。1980年代の半ばには、半導体用の高純度多結晶シリコン事業を、また、放熱材として優れた特性を有する窒化アルミニウム粉末について、トクヤマ独自の還元窒化法による製造を開始しています。

ところが、これらの新規事業においても、先程もお話した様な自社技術を徹底的に追求する姿勢を貫くが故に、診断システムを除いては積極的に他社とアライアンスを組んで事業フィールドを拡大したり、戦略的なM&Aでビジネスの規模を拡大したりといったアクションはなかなか起こせませんでした。このため、新規事業はいずれも収益性は高いものの一定程度の事業規模に留まっていました。1990年代に米国のセラミクス会社を買収しましたが、クロスボーダーのM&Aに関する経験不足から国防に不可欠な成長事業を買い取れず、期待した程の効果は上がりませんでした。

この時期の反省を活かして、トクヤマでは現在「オープンイノベーション&アライアンス」をキーワードに掲げています。様々な大学や研究機関、また有望な技術の芽を育てる中小ベンチャー企業も含めたパートナーと、戦略的な連携や共同研究を推進しています。

2000年代以降の貴社は、シリコンウエハなど電子材料部門の躍進が著しい印象です。

バブルが崩壊して2000年代に入ると、トクヤマらしい開発という観点では「停滞」が続く時期を迎えます。どの事業部門も改良品はコンスタントに出していましたが、革新的な技術を使った新製品や新規ビジネスについては殆ど手掛けられていませんでした。

そんな中、高純度多結晶シリコン事業、中でも半導体のシリコンウエハ材料の受注が大きく拡大しました。収益性の高いこの電子材料のおかげで、トクヤマは総合化学メーカーの中で注目を集めることになります。
さらに再生可能エネルギーへの関心の高まりとともに、化学業界では太陽電池パネルの材料としての多結晶シリコンの需要が急拡大しました。当時、有望な新規開発テーマを見出せていなかったトクヤマは太陽電池事業に大きく舵を切り、2009年には製造・販売拠点としてトクヤママレーシアを設立。しかし、半導体とは異なり汎用品である太陽電池には、中国などアジアの新興メーカーが価格優位性を打ち出して大挙して参入し、市場環境が大きく変わりました。2015年に社長に就任した私は、累計2,600億円におよぶ投資額と今後の太陽電池ビジネスの成長性を見極め、「完全撤退」という大きな痛みを伴う経営判断に至りました。

このように改めて弊社の歴史を俯瞰すると、独自のテクノロジーに支えられた特徴ある製品、付加価値の高い製品こそが、トクヤマのコア・コンピタンスに他ならないと改めて気が付きます。今後、ここをさらに大きく育てていかなければならない一方で、継続して変革すべきなのは、自社技術にこだわるあまりアライアンスへの積極性が不足し、スピード感を持って市場規模を拡大し切れなかった企業姿勢であり、社員一人ひとりのマインドであると考えています。

これまでの「当たり前」や「常識」を抜本的に変革した取り組み事例がございましたらご教示下さい。


「この2年間で既に150人ほどの人材がトクヤマに転じて新しいキャリアをスタートさせています。事業の中核を担うまでに成長した人材も出てきており、プロパー社員にも非常に刺激になっています。」

私が社長を拝命する5年前、特殊品部門の乾式シリカ事業に責任者として携わりました。トクヤマでは半導体用の高純度多結晶シリコンの製造工程における副生成物を原料として、シリコンウエハの平坦化に研磨剤として使う微細なシリカ粒子を製造しています。

ところがこの製品にはお客様からのクレームが絶えず、中には「使えないので引き取って欲しい」とまで求められることもありました。
いずれも当初お客様から提示された仕様には合致しているので、クレーム対象には当たらないとの意見もありましたが、私はあえて損を覚悟で引き取りました。そして主要顧客に製品の満足度について詳細なインタビュー調査を実施。すると、製品の品質だけでなくトクヤマの日常的な対応についても非常に厳しい意見が集まりました。そこで私は開発・製造部門に属する全員を集め、お客様の生の声を示しながら、根本的に意識を変えて欲しいと訴えました。乾式シリカ事業の開発・製造部門の中では、当時数十名の社員が研磨剤に関わっていました。その中では、大きな利益が出ている多結晶シリコン事業の副生成物で製造している研磨剤には、品質の限界があり、クレームや赤字も致し方ないといった意識が大勢を占めていたのです。

そこで、お客様とプロジェクトチームを作り、妥協なき品質改善に取り組みました。「真のお客様本位とは何かを考えて仕事をしよう」を合言葉に、生産ラインの5S(※)を徹底し、設備のメンテナンスにも相応の予算を投下しました。試作品と実際のラインで製造する製品に品質の差が生じないよう、手間とロスが発生しても全てのサンプルを実ラインで製造しました。

2年におよぶ取り組みの結果、研磨剤の品質は飛躍的に向上し、今では多くのお客様から「トクヤマがNo.1だ」と評価され、感謝の言葉を頂けるまでになりました。

研磨剤のシェアも拡大し、売上・収益ともに上がるようになりました。何より、この事業に関わる社員たちが、胸を張って自分たちの仕事を誇れるようになりました。2016年に明文化したトクヤマの価値観の一つ、「顧客満足が利益の源泉」とは、このときの経験から導かれたものです。

※整理:Seiri、整頓:Seiton、清掃:Seisou、清潔:Seiketsu、しつけ:Sitsuke

今後の貴社の成長戦略について、具体的にご説明頂けますでしょうか。

事業をとりまく環境の変化に強く、持続的に成長する強靱な事業体質への転換を図っています。特殊品とライフアメニティー部門を成長事業と位置付け、2025年度までに先端材料の世界市場でトップを目指していきます。また、セメントや化成品などの伝統事業については、競争力を高め続け、同じく2025年度までに日本市場のトップを目指します。
これらの目標を実現する上では、「電子」と「環境」と「健康」という視点を大切にしています。もともとトクヤマは創業期以来、化学合成の副生成物や廃棄物を有効活用する、循環型のビジネスを実践してきました。これまでと同様、時代に沿った開発テーマの設定が重要な意味を持つと考えています。

例えば、塩水の電気分解による苛性ソーダの製造工程の副生成物である水素は、次世代エネルギーとして世界が注目する水素ビジネスの可能性を拓きます。
トクヤマはイオン交換膜を使った電気分解において世界トップクラスの技術を蓄積しています。水素は再生可能エネルギーとの相性がよく、太陽光発電や風力発電など気候条件や昼夜によって発電量が変動する余剰エネルギーを、イオン交換膜を使った水の電気分解の技術で水素に変換することができます。水素は電気とは異なり時間経過や送電による減衰がありません。再生可能エネルギーを水素として貯蔵することで、エネルギー効率を最大化することが期待されます。

また現在、水素社会を見据え、岩谷産業(株)とジョイントベンチャーを立ち上げ、2013年より水素ステーションなどへの安定供給に向けた液化水素の製造を開始しています。加えて、徳山製造所において、食塩電解法の副生水素を利用して(株)トヨタ自動車が開発したFCV『MIRAI』の発電機をベースとした定置型発電装置の実証実験が行われています。

貴社では既にセメント工場における「ゼロエミッション」を達成し、グループ全体でのCO2削減目標も設定されています。


苛性ソーダの製造工程の中枢である、塩水の電気分解を行う電解槽。苛性ソーダは製紙、化学繊維、石けん、調味料などの製造に用いられる、極めて汎用性の高い製品であり、トクヤマが保有する製造設備は単一工場としては国内最大規模を誇る。
※提供元:(株)トクヤマ

徳山製造所のセメント工場では、2000年代に入る前から「ゼロエミッション(※)」を目標に掲げてきました。自社廃棄物をセメント工場の原燃料に再利用し、社内外でのリサイクルを推進するなどの取り組みを積み重ね、2019年度のゼロエミッション率は99.8%となっています。

現在、国や大学などの研究機関とCO2の回収・再利用に関する新技術の開発に取り組むとともに、各プラント間でエネルギーの融通・供給によりエネルギー効率を最適化する取組みを推進しています。さらにバイオマスを使用して化石燃料の使用量を削減し、再生可能エネルギー由来の電力から水素を製造して活用するといった低炭素化に向けた実証実験も並行的に展開中です。

2030年代の半ばまでにはCO2の排出量を50%以上削減し、2050年にはカーボンニュートラルを実現したいと考えています。化学品の製造にはどうしても一定量の電気エネルギーと熱(蒸気)が必要です。発電による廃熱を有効活用できるコージェネレーションシステムなどの活用を前提とするとしても、やはりCO2の徹底削減なくして企業としての存続はあり得ません。逆に言えば、これは大きなビジネスチャンスでもあります。「環境」を切り口にカーボンニュートラルに向けたテクノロジーを活用することで、新しいビジネスが創出できると考えています。

例えば、電気分解技術の応用によりCO2からエチレンを合成したり、H2キャリアであるMCHを合成したり、様々な環境対応ソリューションの創出が可能となります。また、イオン交換膜の技術を活用すれば、工場排水に含まれる金属イオンなど有価物を回収し、これを新たな製品の原料として再利用することも可能になります。このように環境浄化にプラスして新規ビジネスを生み出すという発想に基づき、既に中国では現地パートナーとのビジネスが始動しています。まさに「化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する」というトクヤマの存在意義を体現する新しいチャレンジです。

※廃棄物の発生量削減や徹底的なリサイクルに取り組むことで、生産工程におけるエミッション(emission、排出量)をゼロにするための仕組みのこと。

トクヤマが目指す「電子」と「環境」と「健康」をキーワードとするビジネスにおいて、今後どういった分野の技術や人材が求められるでしょうか。

このようなビジネスの成長のカギを握るのは、有機、無機、高分子、生化学技術です。また、これらの技術によって生み出されたモノを製品として市場に送り出すためには、優れた製造プロセスを構築するエンジニアリング技術も極めて重要になります。これらの技術を担う優秀な人材を確保し、育成していくことは、今のトクヤマの最重要課題であると言えます。高度な専門知識を駆使して次世代の技術を担う人材のニーズが高まっています。

一方で、有機、無機、高分子、生化学、エンジニアリングの知識をベースに、顧客とのコミュニケーションを通じて製品化を実現できるマーケティング担当が極めて重要と考えています。トクヤマのキーテクノロジーと、お客様である先端顧客の技術やニーズを同時に深く理解した上で最適なソリューションを構築、製品として提案できる専門職としての人材です。化学品領域のマーケッター経験者だけでなく、開発職としての豊富なキャリアを活かして顧客と向き合い、「自分の手で製品化に携わりたい!」といった意欲を持つ人物にも期待しています。

また、知的財産のマネジメントを担う人材にも活躍の場が広がっています。トクヤマの特殊品部門やライフアメニティー部門の戦略製品には独自技術も多く、特許の扱いが非常に重要になるからです。知的財産関連の英文の特許を読み込むことができ、化学合成の基本が理解できることが人材要件になります。

貴社らしい仕事の進め方にはどのような特色があり、またどのようなやりがいや魅力を感じることができるでしょうか。


「グローバルレベルの顧客や競合と対峙して研究開発を推進する上では、大学院での研究を通じて自ら課題を設定し、ソリューションを見出す訓練を受けていることが重要と考えています。また肩書としての『Dr.』も重要だと考えており、博士号取得者は積極的に採用していきたいと考えています。」

今、化学業界において単一のテクノロジーで製品開発上の課題を解決できることは殆どありません。もともと無機合成の開発としてスタートした案件であっても、製品化に際して有機や高分子の技術を組み合わせてお客様がより使いやすい素材に仕上げるなどの解決策が求められます。このため開発においては“One Tokuyama=壁を越える”をスローガンに掲げ、テーマごとに技術や組織の壁を越えてできるだけ多様な人材を集め、チームを編成しています。そして、それぞれのメンバーが専門性を活かして議論を交わしながらソリューションを模索することで、開発の効率とスピードを向上させています。

また、私はよく「製品開発を担当した者が、上市まで担当しよう」と言っています。トクヤマの中核人材である研究開発職は、マーケティングも担うオールラウンダーです。ベースとなるケミカルの開発も手掛けるし、お客様との密度の濃いキャッチボールを経て製品化までも携わります。よって、製品の入口から出口までを一気通貫でコントロールするのが基本です。組織的な分業のない働き方だから、誰もがお客様に感謝される喜びを感じることができ、自分たちの仕事が世の中に新しい価値を提供している手応えを感じることができます。

基礎研究から応用研究、スケールアップ、製品化、さらにマーケティングまで。全工程をワンチームで推進するスタイルであるが故に、どのような経験年数の人材に対しても、すぐに活躍して頂けるポジションが用意でき、OJTを通じて成長できる機会をお約束できるとも考えています。

貴社でやりがいを持ってイキイキと働ける人材には、どのような行動特性やメンタリティが必要だとお考えですか。

トクヤマの研究開発拠点は山口県の周南市と茨城県のつくば市にあり、どちらの拠点も地方に所在し、伝統的に人材は慎ましく、自己主張の控えめな人が多いように感じています。その代わり、ひとたび開発テーマが決まれば創意工夫を重ねて一生懸命取り組む人が非常に多いとも思います。

しかしこれからのトクヤマにおいては、自ら開発テーマを設定することができ、チームメンバーを動機付けるリーダーシップを持った人材が求められるでしょう。まだお客様自身も気付いていないような潜在ニーズを的確にキャッチし、トクヤマの技術を使えばどのような有効な解が導けるかを予測できる目利きも必要です。また、後で軌道修正が必要になったとしても「まずはこの方向でやってみよう」という意思決定ができることと、早い段階で実際に試作品を提示し、お客様から具体的な評価を受けて臨機応変に改良を重ねていくスタンスが重要になります。

「失敗を恐れずにチャレンジでき、課題を乗り越えてチームを出口に導くバイタリティを備えた人材」と言い換えることができるでしょう。例えば、前職では研究機関にいた30代後半の研究者で、人としての成長意欲がとても旺盛な人物を、電子工業用の高純度薬品の新規開発プロジェクトを担うチームのリーダーに抜擢したことがあります。適切な開発テーマを与えれば本人の成長を促進できるのではと考えたのです。

その後、お客様である最先端デバイスメーカーと毎日のように直接ミーティングを重ねる日常を通じて、この人物はわずか数年で、開発からマーケティングまで責任を持って動かすトクヤマならではの専門性を備えた人材として大活躍しています。彼は顧客からの信頼をバックに様々な開発テーマの相談を受ける一方で、将来のトクヤマの事業の柱になり得るような有望な開発パイプラインの発掘にも着手しています。

横田社長のこれまでのキャリアにおいて、「ワンチームの価値」を実感されたエピソードがあればお話し下さい。


同社のフォトクロミック化合物をメガネレンズに塗布することで、速発・退色性、高発色性、耐久性、紫外線カットといった特性を持たせることが可能。屋内では普通のメガネだが、屋外では太陽光(紫外線)に反応して色が付き、まぶしさから目を守ることができる。
※提供元:(株)トクヤマ

これまでにいくつかの事業を立ち上げた経験がありますが、開発からマーケティングまでをワンチームで推進したビジネスの一つとして、メガネ材料としてのプラスチックレンズ関連材料事業が記憶に残っています。

これはフォトクロミック(調光)レンズと呼ばれる製品で、太陽光の紫外線に反応して発色するフォトクロミック化合物をメガネレンズに塗布することで、有害な紫外線をブロックする機能を持たせた製品です。欧米では医療用のメガネとして保険対象になっています。

トクヤマはレンズ表面に調光機能を塗布できる独自の特許技術を持っていたものの、簡便にレンズに塗布できないなどの課題があり、広くレンズメーカーに使って頂くまでには至っていませんでした。そこで私は、まず顧客の声を聞くことが重要だと考え、レンズメーカーを訪問してサンプルをお見せしました。すると、その場で思いのほか好意的な反応が得られ、簡便な塗布プロセスが出来れば大きなビジネスになることを確信。どんなレンズにも簡便に塗布できる装置の開発に向けて動き出しました。

課題は大きく2つあり、どのような形状のプラスチックレンズにも均一に塗布でき、かつ塗布した膜の耐久性が保たれること。そして、簡単な操作で自動的に塗布できる装置を開発することでした。この自動塗布装置の開発を機械メーカーに外注すると、想定外のコストがかかると分かり、開発チームで自作することになりました。

このとき学んだのは、ケミカルを開発する人間が装置の製造プロセスにも深く関わることの価値です。調光膜の特性を一番理解している人間が装置のプロトタイプを設計することで、お客様からの要望をきめ細かく反映することができたからです。チームが改良を重ねた試作機を機械メーカーに持ち込み、装置を完成させましたが、結果的にコストも時間も大幅に圧縮でき、より使いやすい装置を作ることができました。

この装置は既存のレンズに手軽に塗布できるので、メーカーには在庫リスクがありません。今ではこの製品は、日米欧の大手レンズメーカーを中心に調光膜塗布の標準機として採用されています。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


東京本部の応接フロアにある社章碑の前にて

キャリア採用の人材については、年齢を問わずに採用しています。研究開発から製品化、マーケティングを一気通貫でコントロールする立場の人材には、それなりの経験値が求められます。実力のある方であれば、いったん会社員人生を卒業したステージの方であっても、技術力と経験が支える専門性を活かして頂ける場があると思っています。それはマーケッターとして事業化のアイデアを出して頂くことかもしれませんし、若手メンバーへの効果的なコーチングであるかもしれません。

引き続き積極的なキャリア採用を実施していくことで、トクヤマをより多彩な人材構成の会社とし、多様性と活力に富む会社であり続けたいと思っています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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株式会社トクヤマ
創立
1918年2月16日
資本金
100億円
所在地
 東京本部
 東京都 千代田区 外神田 1-7-5 フロントプレイス秋葉原
 徳山製造所 [本店所在地]
 山口県 周南市 御影町 1-1
    
従業員数
5,679名 (連結)
代表者
横田 浩
主な事業内容
●化成品部門
ソーダ・クロルアルカリ・塩ビ・NOC
●特殊品部門
電子材料(多結晶シリコン)・乾式シリカ・電子工業用高純度薬品・窒化アルミニウム
●セメント部門
セメント・資源環境
●ライフアメニティー部門
ファインケミカル・NF(微多孔質フィルム)・イオン交換膜・歯科材料
などの製造販売
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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