企業インタビュー

新日鉄住金ソリューションズ株式会社 企業インタビュー

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新日鉄住金ソリューションズ株式会社は、世界で初めて製造工程の一貫オンライン操業を実現した新日本製鐵株式会社(現 新日鐵住金(株)、以下、新日鐵住金)を母体とするSIerです。世界最高の技術力でものづくりを追求し続けるDNAで、今や、製造、流通、金融業界など様々な業界において得意領域を持つ国内屈指のSIerとなっています。
今回は人事本部 キャリア採用センター所長の岡田 康裕氏にインタビュー。複雑で大規模な業務ロジックを実装できる強み、幅広い業界でミッションクリティカルなシステム基盤を支えてきた実績、組織に受け継がれる “鉄のDNA”、人材育成や求める人物像についてお話を伺いました。(掲載開始日:2018年1月5日)

まず初めに、日本を代表する鉄鋼メーカー、新日鐵住金株式会社を母体とする貴社の成り立ちを、技術的な優位性も踏まえてご説明下さい。


エグゼクティブプロフェッショナル
人事本部 キャリア採用センター所長 岡田 康裕氏

新日鐵住金とITの関わりは長く、1955年に製鉄所に勤務する数万人もの従業員の給与計算を自動化したのが始まりです。その後、1960年代後半、実現が難しいとされていた世界初の24時間365日ノンストップの製造工程一貫リアルタイムオンラインシステムを構築し、君津製鐵所の操業を開始しました。
それまでの中核製鉄所であった八幡製鐵所の従業員は約4万人、生産量が約500万トン/年であったのに対し、君津製鐵所の従業員は十分の一以下の約3,000人、生産量は2倍の約1,000万トン/年と、従来の製鉄所とは異次元の生産効率を実現した製鉄所を完成させることができました。
「AIが人の仕事を代替する世の中になる」と近年話題になっていますが、それどころではないIT革命が、50年も前に既に起こっていたのです。
このように、誰もやらなかったことにチャレンジする、それが当社のルーツです。

新日鐵住金のシステム開発・運用を原点とし、どのようにSI事業を成長・拡大していったのでしょうか。

製鉄のシステムは、高い精度が要求される温度管理や圧延制御、精密な生産管理、24時間365日ノンストップのシステム運営および生産体制など、極めて複雑で厳しい条件下での稼動が要求されます。当社は50年も前にこれらのシステムを現場と一体となって構築し支え続けてきました。複雑で大規模な業務ロジックを実装できる技術力と、「止まることの許されない」超ミッションクリティカルなシステム基盤を支える構築力と運用力、業務への深い知見、こうした原点に立ち、新たなチャレンジ、外販に乗り出したのです。

現在でこそ、多業種の日本を代表する企業のシステムに携わっていますが、最初からスムーズに新日鐵住金での経験が横展開できたわけではありません。

1つの契機になったのは金融分野での成功です。高炉設計において用いる熱伝導方程式が金融リスクを測定するブラックショールズ方程式に似ていることにヒントを得て、高度な数理解析技術が求められるデリバティブシステムやリスク管理システムの分野に参入し、金融機関に新たな市場を見出しました。その実績は現在、メガバンク3行はもちろん、多くの地方銀行にも及んでいます。

貴社がここまで大きく成長することができた要因は何であったとお考えですか。


「製造設備に巨額の投資を行い売上・利益として回収するビジネスモデルと、画期的なシステムを生み出すエンジニアをはじめとしたチャレンジ精神旺盛な人材の双方が揃っていたことが、今日までの成長に繋がっていると感じています。」

やはり第一に人材力の高さではないでしょうか。繰り返しになりますが、鉄鋼業の現場で培った複雑で大規模な業務ロジックをシステムに実装できる力、そしてミッションクリティカルなシステム基盤を支える力を社員が備えていたのだと思います。

そしてもう一つ、巨大な設備投資が必要となる鉄鋼業を母体としていたので、事業に対して先行的な投資を行うことに抵抗感がない経営体質であったことも、成功の要因として挙げられるでしょう。
国内でいち早く立ち上げたクラウドサービスがその好例です。当社はSIerで唯一、大規模な研究部門を有しており、1997年からクラウドの技術開発に取り組んできました。クラウドという言葉が使われるようになったのは2007年であることを考えると、まさに先行投資が実になった好例で、日本を代表する大手企業の基幹システムの刷新や拡張などにクラウドサービスを導入しています。

分野ごとのSI事業の現況について、もう少し詳しくご説明いただけますでしょうか。

製造分野では、新日鐵住金の生産管理システムで培ってきたノウハウに、継続して高い評価をいただいており、日本を代表する企業の大規模なシステム構築に携わることができます。特にPLMはグローバルベンダーと強固なアライアンスを持ち、PLMのリーディング・グローバル・プロバイダーとして、コンサルテーションからシステム構築・導入、保守・運用までの高品質なサービスを約150社に提供しています。

流通分野では、旅行予約サイトの豊富な開発実績を強みとして、旅行会社や総合ECサイト運営企業からの受託開発を B to B to C で継続している他、システム研究開発センターによるビッグデータやAI研究の成果を活用し、需要予測などのサービス化に向けた取り組みを進めています。

金融分野につきましては、日系金融機関の海外進出に伴って、日本国内で導入していたデリバティブシステムなどを海外でも展開しています。これらのシステムの保守運用をカバーすると共に、各国で新たに派生するシステム開発を受託して、現在、ロンドン、ニューヨーク、シンガポールで案件が継続しています。加えてFinTechを含めたデジタルビジネスの企画・開発も並行して進めています。

公共分野では、中央官庁を中心に受注が増え、学校法人については、大学の学校事務システムでトップクラスのシェアを誇るまでに成長しています。

通信分野では、移動体通信キャリアと共同で、次世代通信規格である5Gのデータ通信を使ったロボティクスの実証実験を推進しています。工場などでの危険を伴う作業をロボットが担うことを想定し、人型ロボットの遠隔操作システムを開発、既にデモンストレーションを公開しています。

ITインフラ分野では、運用を担う子会社、NSSLCサービス株式会社と共に、エンジニアと営業職を合わせて1,000人規模の体制で、幅広い業界のお客様にIT基盤に関するソリューションを専門に提供しています。

当社は技術力の高さで定評をいただいていますが、SEだけでなく、営業担当も各業界の業務に精通しており、お客様の現場の方々と業務について対等に会話することができます。
エンジニアと営業が一体となってお客様の課題解決を図り、業務アプリケーションからIT基盤、セキュリティ対策まで、企業活動の “攻めと守り” をトータルに支援するスタンスは、私たちの提供するソリューションの特長となっています。

今後の事業成長に向けての課題を踏まえた成長戦略について教えて下さい。

当社は、情報システムを構築して売るという従来のSI事業モデル「NSSOL 1.0」から、サービス型のビジネス、すなわち、限られた人数で質の高いソリューションを提供するビジネスモデル「NSSOL 2.0」「NSSOL 4.0」への改革を進めています。

「NSSOL 2.0」モデルでは、お客様の事業を共に発展させる「ITパートナーモデル」という仕組みを進化させています。NSSOLの包括的ITアウトソーシングサービスであるNSFITOSを武器に、お客様のシステム運用やシステム基盤を当社にアウトソーシングしていただく「役割分担モデル」と、お客様との共同開発などによる「価値共創モデル」を進めています。

さらに、インダストリー4.0時代(第4次産業革命)を見据え、IoTなどの最先端技術を用いてシステムの企画・開発を行い、その成果・ノウハウをサービス・プラットフォーム化し、幅広く他のお客様にも展開していく「NSSOL 4.0」という新たな事業モデルを構築しています。
例えば、データ分析の分野ではお客様がマーケティングに活用するデータ量が足りない場合、データの匿名化技術を活用して当社もしくは外部企業で測定したデータを加え、有用性の高いデータ分析を実施するといったサービスを構想しています。

このように、従来のSI事業モデルである「NSSOL 1.0」をさらに堅強なものとし、「NSSOL 2.0」でパートナー企業との協業を進め、そしてそこに最先端の知見を取り入れた「NSSOL 4.0」のデジタルイノベーションモデルを取り入れることで、今後のさらなる成長を目指しています。

人材が事業成長のカギを握るSIerにおいて、貴社ならではの人材育成の取り組みにはどのようなものがありますか。

SIerの人材には、単なるシステム開発にとどまらず、お客様のビジネスを共に考え、価値創造に貢献するという新しい役割が求められるようになっています。

当社では高度IT人材の育成機関として、2014年に「NSSOLアカデミー」を設立しました。「NSSOLアカデミー」は、技術系4類型(プロジェクトマネジメント系、ITモデリング系、ドメインモデリング系、運用サービスマネジメント系)、営業系、及び管理スタッフ系の6人材類型のコミュニティで構成されます。コミュニティは、ワークショップや勉強会などの自主活動や社外研修への参加を通じ、経験、ナレッジ、方法論などの共有を進め、互いに高め合い、後進を育成することを狙いとしています。2016年度の実績として、35のワーキンググループが活動し、計約70回のイベントを開催、延べ約2,000人の社員がコミュニティ活動に参加しました。

岡田様は貴社ではどのようなキャリアステップを経てこられたのでしょうか。


「営業経験の中で培った “本質を見抜く力・コミュニケーション力・物事を体系立てて考える力” を活かして採用などの人事の仕事に取り組んでいます。」

私は中堅のSIerで7年間勤務した後に、1995年に新日鐵住金の新規事業を担う部門に中途入社しました。

最初は、営業担当として業務提携している外資系有力ベンダーの業務用ワークステーションを金融機関などに提案する仕事に取り組みました。大きな転機となったのは、メガバンクのお客様を担当し、新たに開発するデリバティブのトレーディングシステムを導入するという大規模なプロジェクトの営業を任されたことです。

このプロジェクトで、当社は世界でも屈指の規模となるオブジェクト指向型の開発にチャレンジしました。
プロジェクトがスタートした1990年の初頭はオブジェクト指向型の開発に精通したエンジニアは希少でしたので、第一フェーズだけでも300万Stepsを超える規模の開発を成し遂げるのは至難の業。ここで登場したのが当社のシステム研究開発センター、通称シス研です。シス研では長年にわたりシステム開発の標準化、自動化フレームワークの研究に取り組み、ソフトウェアの品質を担保してきました。
そのフレームワーク技術を今回のプロジェクトに適用して大きな成果を上げました。
第一フェーズは納期や予算の面で課題を残したのですが、このフレームワーク技術により量的・質的なワークロード不足を解消することができました。

一旦基礎となるものができあがってしまうと、デリバティブは原資産をベースに様々な形に金融商品が派生していくものですので、再利用性の高いオブジェクト指向で開発された成果物はその後見事なほどに効果を発揮し、短い期間で様々な商品に対応できましたし、収益もみるみるうちに回復していきました。
このシステムは今では1000万Stepsを超える規模まで拡張され、今では銀行の市場系業務を支える基幹システムになっています。

金融分野の営業を経験した後、自身で希望しITインフラの法人営業に異動し、金融機関や公共分野のお客様へのインフラ構築の提案に携わりました。
その5年後には営業企画を担い、デスクトップ仮想化サービスの企画・開発に取り組みました。この時の仕事は、2013年から連続シェア1位を獲得している当社のデスクトップ仮想化サービス「M³DaaS@absonne(エムキューブダース アット アブソンヌ)」という商品に結実しています。サービスの作り込みや、リリース後のプロモーション戦略までを一貫して担当し、初めての経験に戸惑いながらも興味を持って取り組むことができました。
このような経験を通じて営業としての視野、守備範囲を段階的に拡大することができ、転職してキャリアアップが実現できたという手応えがありました。

そして2017年の4月に人事本部に異動し、キャリア採用センターの所長を任されました。20年を超える営業経験を活かし、技術系・営業系共に、ニーズが多様化するお客様の現場にマッチする人材を採用していくことが、私に与えられたミッションと受け止めています。

現在貴社にはどのような部門に中途採用ニーズがありますか。人材に求める資質も併せてお話し下さい。

事業領域ごとに全ての部門で募集があり、積極的に採用を行っています。中でも現在特に募集人数が多くなっているのは、ITインフラ分野、産業・流通分野の営業職、ECや旅行予約サイトを扱うエンジニア、製造業向けのエンジニアといった職種です。

事業領域や職種に関わらず、人材に共通して求めることは、まず社内外を問わずしっかりとしたコミュニケーションができること。技術はもちろんのこと、ビジネスにも興味があること。それらを貪欲に学ぶ姿勢を持っていることですね。そして上からの指示を待つのではなく、自律的に行動していく姿勢も重要です。
私たちのDNAでもあるチャレンジ精神については、これまでの仕事を通じて新しいことにチャレンジする機会があったかどうかを面接でお聞きしています。挑戦というほどの意識はお持ちでない場合にもプロジェクトの局面で何を考え、どのように行動されたのかについて確認させていただくことが多いです。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


本社の社員食堂、23階からの眺望は抜群。

本社23階、オープン打ち合わせスペースにて。

当社でも、会社全体で「働き方改革」を進めていますが、労働時間の短縮や有給消化の音頭を取るだけの運動で終わらないようにしています。そのためには生産性を上げる仕組みと、組織力が必要になってきます。テレワークなどITで働く環境を向上させることにも積極的ですし、制度も整えています。また、個人の仕事をチームでカバーできるような組織作りをし、さらに一人ひとりの労働時間が減った分の労働力を確保するためにもキャリア採用を積極的に進めています。

さらに今後は限られた人員でより効率的なソリューションを提供していくために、「NSSOL 2.0」や「NSSOL 4.0」といった事業モデルに本格的に軸足を移していきます。その先のビジネスモデルを私たちと一緒に考えてくれるような方と仕事をしていきたいと思っています。

営業職では、お客様と向き合ってニーズを汲み取り、お客様のニーズに合わせて当社のソリューションを最適化していける方、というのが求める人物像です。
別の言い方をすると、これまで自社パッケージを中心とした営業に取り組まれてきて、お客様の個別ニーズに対して課題解決ができないという悩みを持っている方には、マルチベンダーでありお客様ごとにスクラッチ開発を組み合わせることのできる当社での提案営業に魅力を感じていただけると思います。

エンジニア職では、例えば現職でのキャリアに限界を感じ、より大規模な案件や上流工程に関与したいと考えている方には、仕事の幅を広げていただけると思っています。また、外資系のコンサルティングファームでキャリアを積んでこられた方の中には、コンサルテーションで終わるのではなく、システム化まで責任を持ってお客様を支援していきたいと思われる方もいらっしゃると思います。このような方にも働きがいを感じていただけるのではないかと思います。そして当社は、長期的な視野でキャリアを積んでいただける会社だと思っています。

最近、キャリア採用で入社した人材に「NSSOLの魅力」についてアンケートを実施したところ、「人的リソースが幅広く、スキルの高い人材が多い」「人に対して思いやりがあり、協力し合える風土がある」「多様な大規模案件をプライムで手掛けているので、幅広い経験ができる」「結束力が強く、難しい案件に対してもチームプレーで乗り切る文化がある」「若手でも手を挙げれば、挑戦させてもらえる」など、人・仕事・会社といった軸で多くの回答が集まりました。中途入社の社員の方々には一定以上の入社満足度をいただいているのではないかと自負しています。

当社の魅力・キャリアに興味を持って下さった方と、面接でお話しするのを楽しみにしています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力いただき、ありがとうございました。

この転職者を担当したカウンセラーに転職相談したい
新日鉄住金ソリューションズ株式会社
設立
1980年(昭和55年)10月 1日
資本金
129億 5,276万 3,000円
上場証券取引所
東証1部
従業員数
5,931名(連結)(2017年3月31日現在)
本社所在地
東京都 中央区 新川 二丁目 20-15
住友ツインビル
東京都 中央区 新川 二丁目 27-1 東京住友ツインビル東館
代表取締役社長
謝敷 宗敬
事業内容
●経営及びシステムに関するコンサルテーション
●情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守及び管理
●情報システムに関するソフトウェア及びハードウェアの開発・製造並びに販売及び賃貸
●ITを用いたアウトソーシングサービスその他各種サービス
NSSOL、M³DaaS、absonneは、新日鉄住金ソリューションズ株式会社の商標または登録商標です
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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