企業インタビュー

ヤンマー株式会社 企業インタビュー

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産業用エンジン、農業機械、エネルギーシステム、建設機械、マリンプレジャーなど幅広い分野でグローバル事業を展開するヤンマー株式会社。 今回は、人事総務法務ユニット 人事部 採用グループ 課長 上田 弘二氏に、経営理念に沿って広がる事業領域、強みを生かすグローバル戦略、一人ひとりが仕事の範囲を限定せずに挑戦できる風通しの良い社風などについてお話を伺いました。(掲載開始日:2017年2月20日)

一般に農業機械メーカーとしての企業イメージが認知されている貴社ですが、実際にはとても幅広い分野で事業を展開されています。


人事総務法務ユニット 人事部 採用グループ
課長 上田 弘二氏

弊社は2012年3月に創業100周年を迎えるにあたり、過去100年に及ぶ歴史を踏まえ、今後取り組むべき事業領域とヤンマーが目指すべき姿を 『ミッションステートメント』 として示しました。現在、ヤンマーが展開する事業の全体像をご理解頂くには、まずはこの “考え方” の部分からお伝えする方が良いと思っています。

当時30代半ばの社員たちがプロジェクトチームを作り、一言ひとこと自分たちで考えていったミッションステートメントが、『わたしたちは自然と共生し 生命 (いのち) の根幹を担う食料生産とエネルギー変換の分野でお客様の課題を解決し 未来につながる社会とより豊かな暮らしを実現します。』 というものでした。

食料生産の分野では、農業や漁業の現場から始まり、流通加工や養殖、最終的に消費者が利用する店舗に至るまで “食料のバリューチェーン” 全体を視野に入れ、様々な作業や経営管理をトータルに支援し、お客様の課題を解決することを目指しています。
エネルギー変換の分野では、オフィスビル・商業施設の空調や、非常用発電を始めとする各種エネルギーシステムの最適化を通じて、省エネルギーやBCP (自然災害等の発生時における事業継続計画) にも貢献しています。

これらの事業を支える貴社のディーゼルエンジンの技術には、どのような特徴や強みがあるのでしょうか。

ヤンマーは1933年に世界で初めて小形ディーゼルエンジンを開発したメーカーです。
創業者の山岡孫吉が、その前年にドイツの展示会で工場の動力源等に使用される大形ディーゼルエンジンを見て、「これを小形化して農業機械に搭載すれば、農作業をもっと楽にすることができるのでは?」 と考えて開発に取り組み始めました。
その後、長年に亘って技術を蓄積しながら中・小形の産業用ディーゼルエンジン業界をリードし、常にトップクラスのシェアを維持してきました。現在、環境性能においても、いち早くTier4規制に適合させ、「空気よりキレイな排ガス」 と言われるクリーンなディーゼルエンジンの開発に成功しています。
ヤンマーは、企業資産であるこれらのディーゼルエンジンを様々な分野の製品に搭載し、事業領域を戦略的に拡大してきているのです。

現在、貴社が展開する事業の全体像を改めてご説明下さい。


ヤンマー舶用システム (株) が、ディーゼル艇需要の掘り起こしを図るために開発した、フィッシングボート 「Zarpa26Ⅱ」

ヤンマーで一番事業規模が大きいアグリ事業では、トラクター、コンバイン、田植機といった農業機械を提供する他、大規模な農業施設から農業関連資材まで、多様な製品をラインアップしています。また近年は、ICTを活用した農作業・農業経営のサポート等、総合的なソリューション提供にも積極的に取り組んでいます。

またエンジン事業では、小形エンジンを建設機械、農業機械、発電機等の産業機械メーカーに提供しています。さらに大形エンジンをタンカー等の船舶推進用及び船内発電用のエンジンとして提供し、後者では世界No.1 のシェアを有しています。エンジン事業には、漁船やプレジャーボート、マリンエンジンを提供するマリン事業も含まれます。

ここ数年、成長著しいエネルギーシステム事業では、ガスヒートポンプエアコン、コージェネレーションシステム、非常用発電システム等、信頼性の高いエネルギーシステムを日本及びグローバル市場で提供しています。

建機事業では、旋回性能の高いショベルやホイルローダ等、使い勝手の良い小形建設機械をラインアップし、高い評価を得ています。

さらにコンポーネント事業として、エンジン開発で培った油圧技術や歯車加工技術を活かし、各種油圧機器やトランスミッション、工作機械等の戦略商品も提供しています。

製品における技術面等の新たな取り組みには、どのようなものがありますか。


ヤンマートラクター 「YT3シリーズ」。高い品質・デザイン性とプロのための快適な乗り心地を両立させ、さらにICTの活用による作業性の向上を実現。

ディーゼルエンジンの環境性能を限界まで高める取り組みにつきましては先程お話ししました。もう一つ例を挙げれば、IoT (Internet of Things:様々なモノがインターネットにつながる通信機能を持つこと) の流れの中で、ロボティクス等を応用した農業機械の自動化への取り組みがあります。
その代表的な例が、無人走行技術を持つ 「ロボットトラクター」 です。人が運転しなくても自動的に地形を読み取り、GPSで自らの位置を確認しながら安全に自動走行できます。農作業の自動化によって生産性が大きく向上するだけでなく、農業就業人口の減少が懸念される21世紀の農業経営の課題を解決し得るポテンシャルに期待が高まっています。

また、技術面での品質追求に加えて、製品のデザイン性を高める取り組みも強化しています。その一例として、日本人で初めてイタリアでフェラーリのデザインを担当した工業デザイナーの奥山清行氏を取締役に迎え、奥山氏のデザインによるコンセプトトラクターをもとに商品化していることが挙げられます。
このシリーズでは、作業の効率や運転のしやすさをより一層向上させただけでなく、所有する誇りや喜びを持って次世代の農業者に選ばれるトラクターを目指しました。奥山氏の手掛けた 「YT3シリーズ」 は、2016年度のグッドデザイン金賞 (公益財団法人日本デザイン振興会主催) を受賞しています。

また、創業100周年に際してブランドイメージの再構築に取り組んだ際にも、ブランド戦略の総合プロデューサーにクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を起用しました。
佐藤氏のアドバイスの下にヤンマーブランドのコンセプトを再設計し、ロゴマークや製品のデザインを始めとするコーポレートアイデンティティーを刷新していきました。

このように、業界の第一人者といわれるプロフェッショナルと協働することで、ヤンマーの揺るぎない品質にデザインという付加価値をプラスし、戦略的なマーケティングを展開しています。

2013年以降、各事業の業績がバランスよく伸張していますが、その要因についてどのようにご覧になっていますか。

ヤンマーグループは、2000年前後から組織再編に取り組み、社内の事業部門を分社独立させ、さらにグループ会社の機能も統合する形で新会社を設立しました。ガスヒートポンプエアコンや非常用電源システムを扱うヤンマーエネルギーシステム (株) や、建設機械を扱うヤンマー建機 (株) 等がこれにあたります。また、新会社だけでなく、既存の事業所や事業部においても独立採算制をとって経営情報を透明化し、経営判断のスピードも速めてきました。

そして2012年の創業100周年を機に、経営理念を刷新して事業領域を改めて明確化し、新たな成長に向けてグループが一丸となってチャレンジしてきました。また、ヤンマーが持っていない技術を取り入れるという観点で、戦略的なM&Aも行っており、グローバル市場でのシェア拡大も図っています。

このような取り組みの積み重ねが、ここ4年程の各事業のバランスの良い業績の伸張に繋がっていると見ています。

海外売上比率が高い貴社の事業において、今後のグローバル戦略の方向性について教えて下さい。


農業、酪農やレジャーなど幅広い用途で使用されているROV (レクリエーショナル・オフ・ハイウェイ・ビークル)。海外におけるシェア拡大を目指し、他社との事業提携により開発された。

産業用の小形エンジンは長年に亘って先進国市場で高いシェアを占めており、ヨーロッパやアメリカの建設機械メーカーや農業機械メーカーに製品を提供しています。今後は工業化の進展するインドを成長マーケットと位置付け、戦略的なマーケティングに着手しています。また、産業用の大形エンジンは、これまでと同様に造船国である日本、韓国、中国がメイン市場となります。

アグリ事業は、稲作が行われるタイ、インドネシア、ミャンマー、ベトナムといった東南アジアを中心に、中国やインドを含めた国々を主要マーケットとして捉えています。田植機を持つ日系の農業機械メーカーの強みを生かし、高機能かつ省エネルギー性能・環境性能に優れたヤンマー製品の特徴に合わせ、販売促進を推進します。また、畑作についてはアジア地域に多い中小規模の圃場 (作物を栽培する田畑) でも小回りのきく農業機械の豊富な商品ラインアップを強みに、大形機械が中心となる欧州メーカーとの差別化を図り、シェア拡大に向けて取り組んでいます。

上田様は、技術者としてご入社されたと伺っています。これまでどのような部門の仕事に取り組んでこられたのでしょうか。


「良いものを作っているだけでは売れない時代になってきている。どう工夫して売るかを考えるのも面白いな、と感じました。」

もともと大学では農業工学を専攻し、ロボットを使って野菜を収穫するような工学的な研究をしていました。人間が生活する上で絶対に無くなってはいけないものが食料とエネルギーだと考えていましたので、農業機械もエネルギーシステムも扱うヤンマーの事業の幅の広さに魅力を感じて入社しました。

1年目は滋賀県米原市の中央研究所に配属され、当時ブームとなっていた家庭用生ゴミ処理機の開発を担当することになりました。学生時代に勉強していたロボット工学から、一転して発酵や堆肥の作り方などを研究する役割には戸惑いましたが、環境に携わることができる仕事でしたので社会的な意義は大きく、自分なりに興味を拡げながら取り組むことができました。その後、環境施設部門に異動し、より大規模な水処理プラントの設備開発と導入に6年半程携わりました。

転機となったのは入社7年目です。若手社員を対象にした研修を受け、全国の事業所から集まった同世代の社員と一緒に様々な課題等に取り組む中で、大きく視野が広がりました。ちょうど仕事の中で、「良いものを作るだけではなかなか売れない」 と悩んでいた時期でした。その時、技術者として目の前の仕事に集中するだけではなく、どのように売るのか、即ちマーケティング手法に目を向けることが重要だと認識しました。また、物事をより高い視点で俯瞰して捉え、会社の目指すべき方向から逆算していく仕事の大切さにも気が付きました。

その後、キャリアを積み重ねてこられる過程で、上田様が注力された業務等について教えて下さい。

2007年に自ら手を挙げて、ブランドマネジメント部門へ異動しました。技術部門から本社部門へ、キャリアの大転換でした。ここでは、研究や開発とは異なる業務に初めて挑戦し、本当に数多くのことを学びました。
中でも冒頭でも触れました経営理念の刷新プロジェクトには、実は私も中心メンバーとして参加しました。この時に取り組んだことは、とても貴重な経験になったと感じています。新しい経営理念を自分たちで一言一句まで拘って作成した理由は、社員の皆さんが業務の様々な局面で迷った際に読み直してもらえるような、一人ひとりの判断基準となり得る経営理念にしたいと考えたからです。

そして次の段階では、策定した経営理念を社員の意識と行動に浸透させる業務に携わりました。ミッションステートメントの中で、『生命の根幹を担う食料生産とエネルギー変換の分野でお客様の課題を解決し』 と定めたからには、次はこれを一人ひとりの社員が日々の業務の中で実践できるようにサポートしていく必要があります。経営企画部門に異動し、生産、営業、経理といった各部門への 『課題解決ツール』 の導入支援や、メーカーとしての具体的な改善活動を支援する業務も担当しました。
初めは国内の事業部門からスタートし、タイ、インドネシア、シンガポール、中国、アメリカ、ブラジルなど海外の関係会社にも出張し、現場のテーマに応じてサポートを進めました。
並行して、『グローバル改善大会』 の開催にも取り組みました。開催当初 (2013年度) 680件だった国内外の社員からの応募数は、今や2000件に増え、改善意識の高まりを感じています。

これらの業務を通じて、事業部が違っても抱えている問題には共通点があり、また国民性の異なる海外でも同じような問題で悩んでいることを知りました。そこで、メーカーの改善活動の基本であるQCD (Quality:品質の向上、Cost:費用の削減、Delivery time:納期の短縮) に継続的に取り組みました。
一連の業務には苦労もありましたが、「コストをいくら削減できた」 「生産効率が何%上がった」 「製品のリードタイムを何日短縮した」 等、各部門のメンバーの努力の成果が具体的な数字となって現れる度に、感動したことを覚えています。
国や地域は違っても、ヤンマーグループの原点は 「ものづくり」 であり、今も 「品質はメーカーの良心である」 という 故 山岡淳男 名誉会長の言葉が生き続けている会社であると思っています。

技術部門と本社事務部門の両方を経験されている上田様は、貴社らしい仕事への取り組み方や社風について、どのようにお感じになられていますか。


2014年 (平成26年) 11月に竣工し、「第28回日経ニューオフィス賞」 の 「ニューオフィス推進賞」 及び、「近畿経済産業局長賞」 を受賞した、YANMAR FLYING-Y BUILDING (ヤンマー (株) 本社ビル) のオフィス受付にて。

部門や職種を問わず、大きな裁量権が与えられます。そのため、自分の役割を限定せずに 「これはやったほうが良い」 「これは自分でやってみたい」 と思うことには率先して挑戦する姿勢が重要であり、また周囲からもそれを求められる会社だと思っています。
スポーツに例えると、ポジションの決まった野球ではなく、ボールの動きに応じてプレーヤーの役割が柔軟に変化するサッカー型の業務スタイルです。技術者であっても自分の専門の枠を越えて意見を述べ、幅広い多面的な役割を果たすことが求められます。
開発寄りの仕事からブランドマネジメントという事務寄りの仕事に挑戦した私は、「人間、やれば何でもできる」 と感じることが何度もありました。

学閥や派閥といったものも全くありませんし、性別や国籍、生え抜きかキャリア入社かといったことにとらわれず、優秀な人材にはチャンスが与えられ、成果を上げれば公正に認められる会社です。
また、何かトラブルが発生した時にも個人の責任を追求するのではなく、問題の解決に向けてチームが一致協力して臨むカルチャーがあり、これは多くの中途入社者が共通して感じている “ヤンマーらしさ” でもあります。基本的に他者に対して親切で優しい社員が多い会社であると思います。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。

ロボティクスや機械の制御など自動化に関連する開発業務や、IoTの分野で経験を積まれている技術者の皆さんには、ロボットトラクターを始めとして多くのヤンマー製品に新たな価値を与えて頂く業務において、即戦力で活躍して頂くことが可能です。
食料生産やエネルギーマネジメントの分野におけるヤンマー製品は国内外でトップシェアを獲得しているものもあり、ロボット技術やICTで社会に貢献し、ビジネスや生活を変えるような手応えを実感して頂けるメーカーであると思っています。

また、弊社のエンジン事業は幅広い産業分野で重要な役割を果たしていますし、世界最高の環境性能を持つディーゼルエンジンの開発に携わることもできます。その上、弊社では立型水冷ディーゼルエンジンだけでおよそ2000種類もの製品を生産しており、お客様ごとに異なるニーズに合わせ、次々に新たな開発テーマと向き合いながら多数のエンジンを開発し、飽きることなく幅広い技術を蓄積していくことが可能です。

現在、私は人事部の採用グループ課長という新たな役割に取り組んでいます。これまで人事部門での業務経験はありませんが、現場の技術系社員の気持ちも、事務系社員の気持ちも自分の経歴から熟知しています。こうした経験を活かして、ヤンマーの経営理念を具現化して頂ける人材を1人でも多く採用していきたいと考えています。
弊社での新しいキャリアに関心を持って下さった皆さんと、面接でお会いするのを楽しみにしています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

ヤンマー株式会社
設立
1912年 (明治45年) 3月
資本金
63億円
従業員数
3618名
本社所在地
大阪府 大阪市 北区 茶屋町 1-32 YANMAR FLYING-Y BUILDING
東京支社
東京都 中央区 八重洲 2-1-1
代表取締役社長
山岡 健人
事業内容
●農業機械・農業施設 (トラクタ、コンバイン、田植機、管理機ほか) ●建設機械 (ミニショベル、ポータブル発電機、投光機) ●エネルギーシステム (マイクロコージェネ、ガスヒートポンプほか) ●小形エンジン (産業用小形ディーゼルエンジンほか) ●大形エンジン (船舶発電用/推進用ディーゼルエンジンほか) ●マリン (中小形マリンディーゼルエンジン、プレジャーボートほか) ●コンポーネント (油圧機器、トランスミッションほか) 上記の研究・開発、製造、販売
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
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