日産自動車株式会社 (電子アーキテクチャ開発部)

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いま販売されている自動車には、数十ものECU (電子制御ユニット) が搭載されています。そうした様々なECUを、日産自動車ではどのように相互接続させているのか。更に、自動車が外部のネットワークと繋がるコネクテッドカーの時代を迎え、急速にクローズアップされているサイバーセキュリティ問題にどう取り組んでいるのか。電子アーキテクチャ開発部を率いる吉澤隆氏に伺いました。

電子アーキテクチャ開発部のミッションをご紹介下さい。


電子技術・システム技術開発本部 電子アーキテクチャ開発部 部長 吉澤 隆 氏

日産自動車に限ったことではありませんが、最近のクルマには数10個ものECUが搭載され、エンジンやトランスミッション、ブレーキ、サスペンション、空調、NAVI・オーディオ、エアバッグ、灯火類等のコントロールに至るまで、クルマの様々な機能が電子によって協調制御されています。そして、これら数々のECUを相互接続するデータ転送規格として、CANやLINといった幾つかの国際規格が、完成車メーカー間の垣根を越えて普及しています。これらは、車載される多くのノードを相互接続する “ネットワークの標準インフラ” と言えます。こうしたプラットフォームが存在するお蔭で、独自に通信規格を開発する投資を抑えられ、サプライヤーからの調達も比較的容易になるなど、メリットは沢山あります。

ただし、最も普及しているCANでも、標準規格として高い汎用性を持つ一方で、完成車メーカーごとに異なる自動車の設計思想の全てを吸収できるほど万能ではありません。新車の開発計画に沿って内製あるいは外部から採用した電子車載製品に十分なパフォーマンスを発揮させるためには、標準規格や関連デバイスをカスタマイズして仕様を最適化させなければならないのです。複数の規格を機能群ごとに使い分け、データの速度や容量をカバーできない場合には補完するルートを新たに設けることもあります。
実際に、パワートレイン系やシャシー系にCANを使用しても、大量のデータを使い高速データ通信が不可欠なマルチメディア系では、MOSTと呼ばれる高速データ転送規格が採用される場合もあります。このように、すべてのECUを所期通りに動かす統合システムとして最適なプラットフォームを作り上げていく……これが、電子アーキテクチャ開発部のミッションです。
近年のクルマは搭載されるECUの個数が急速に拡大し、データのトラフィックも増加の一途をたどっていますが、それぞれのECUの受け渡す信号が干渉やコンフリクト (衝突) しないようにまとめ上げるのは容易な事ではありません。

日産自動車は電子アーキテクチャ開発にどのように挑んでいますか。


電子アーキテクチャのイメージ図。各ボックスはECUを表しており、縦線は通信インフラの流れ (交通に例えるならば高速道路のようなもの) を表している。各導線は一番上のゲートウェイECUで連結されている。

“車載ECUの通信インフラ” とも言える電子アーキテクチャの開発目標として、まずは多彩な車種に少しのモデファイで対応できる 「フレキシビリティ」 が挙げられます。
次に、どんどん増加するデータ容量がもたらす負荷に耐えられる 「キャパシティ」 。
更に、高速の通信ニーズに対応しつつ、コネクテッドカーや自動運転などクルマの新しい機能をも支えていくロバスト性を持つような 「パフォーマンス」 を追求しています。

そこで、アップスケーラブル、あるいはアップコンパチブルな設計で、仕様に余裕を持たせることが有効になります。しかし、他方でコスト競争力も意識しなければなりませんから、搭載コストが嵩む贅沢な設計は、フーガのような高級車には問題なくとも、マーチのようなコンパクトカーには許されません。ここが、フルラインナップの車種構成を展開している日産自動車にとって落としどころの難しい点です。ボディ・シャシーのプラットフォームのように、車種の価格帯ごとに複数の仕様を用意し、コストとパフォーマンスの適正化を図りたいところなのですが、コンパクトカーだからといって機能や仕様をあまり落とせないのが電子のインフラ設計のチャレンジングな部分ですね。

もう一つ、日産の電子アーキテクチャ開発の特色として、ルノーとの密接な連携が挙げられます。密にコミュニケーションをとり、お互いに協調・協働しながら開発を進めています。そこに垣根の存在はほとんど感じません。

車載システムのセキュリティ対策をどのように進めていますか。


「自動車電子化の黎明期である1987年に入社して以来、一貫して電子系開発に携わってきました。」

先に申し上げておきますと、日産自動車ではクルマのサイバーセキュリティに関して、かねてから準備をしていました。クルマがインターネットにつながるコネクテッドカーや、自動運転の構想が立ち上がった際も、既に電子部品を扱う部門ではセキュリティ対策の必要性が十分に認識されていました。
それまでクローズドだった車内ネットワークがクルマの外のネットワークと接続されるのですから、新たに高いセキュリティ性能をクルマ側で確保しなければならないのは当然です。そして、その実装を、クルマのネットワークインフラ構築を進める電子アーキテクチャ開発部が担うのは自明です。

自動車におけるサイバーセキュリティへの取り組み甲斐はどこにありますか。


「車載システムのセキュリティは、経済的な損失を防ぐことが中心であるインターネットセキュリティとは少し毛色が異なります。」

安全対策にかけては万全を期す自動車の開発ですから、あらゆる事態を想定し、ネットワークセキュリティとクルマの自律的なフェールセーフ機能をマージして、クルマの安全性を確保します。自動車開発の場合、一般のネットワークの場合と比べ、セキュリティの設計範囲がグッと広がるのです。クルマのシステムそのものをデザインすると言っても過言ではないかもしれません。

ハッキングを恐れるあまり、クルマを走らせられない事態となっては社会が停滞しますし、外部ネットワークに繋がることを諦めては自動車テクノロジーがストップしてしまいます。
クルマのサイバーセキュリティを担当するエンジニアは、責任も重いですが、その分だけチャレンジングであり、使命の大きさも実感できるでしょう。

電子アーキテクチャ開発部には、今後どのような人材が必要ですか。


「セキュリティエンジニアの方は勿論、ファームウェアでECUのコントロールをされている方にも素養があると考えています。」

今後のクルマの電子アーキテクチャ開発においては、電子回路設計のエンジニアと共に、ソフトウェア設計を担うエンジニアの存在がますます重要になってきます。組込みソフトの開発エンジニアには、膨大かつ挑戦し甲斐のあるプログラム開発が待っています。

サイバーセキュリティ開発を担うエンジニアは、ネットワークセキュリティ関連企業での開発経験を持った方、あるいは脆弱性評価の得意なホワイトハッカーを歓迎するのですが、そこまでピンポイントのご経験でなくとも、組込みソフトの開発経験をお持ちの方であれば対象となります。セキュリティ技術の習得意欲の高いエンジニアであれば、知見を高めて第一線のスキルを獲得するチャンスがまだまだ多い領域です。

そうした人材が、日産自動車に活躍の場を移す魅力はどこにありますか。


「チャレンジ精神溢れる方とお会いできることを楽しみにしています。」

今後の自動車開発の基幹的な役割を担う電子アーキテクチャの開発、そして、クルマが次世代に向けて大きく飛躍するために不可欠な存在となるサイバーセキュリティ対策。日産自動車でこれらの領域で活躍していくエンジニアには様々な課題が待ち受け、それをクリアしていくたびにクルマを進化させたという手応えを得ることができるでしょう。

また、世界各国で自動車を開発、生産、販売している日産自動車では、全てのエンジニアにグローバルな視野で技術開発に取り組める環境を提供しています。実際に北米やヨーロッパ、中国等への拠点に出張し、各国のエンジニアたちと連携する機会が多くあります。その中で日本のエンジニアには主導的な役割も期待されます。国内においても海外のサプライヤーと密に接するなど、常にグローバルな技術動向を意識した業務があります。

ルノーのエンジニアとも、この分野で胸襟を開いて新しい技術に向かって協働していることは既に申し上げた通りです。日産・ルノーのどちらにもそれぞれストロングポイントや蓄積してきたノウハウがあり、彼らから度々受ける刺激は大きいですよ。そして、この理想的なアライアンスが、自動車の電子開発の最前線で大きなアドバンテージを生んでいます。

日産自動車の電子アーキテクチャ開発部では、世界に目を向けて挑戦していく人材の登場を心より、お待ちしています。

本日はお忙しい中、日産自動車の電子アーキテクチャ と サイバーセキュリティ対策についてご紹介頂き、誠にありがとうございました。

日産自動車株式会社 (NISSAN MOTOR CO.,LTD.)
設立
1933年 12月 26日
資本金
6058億 1300万円
上場証券取引所
東証一部
従業員数
23,085名(単独)、142,925名(連結)
本社所在地
神奈川県 横浜市 西区 高島 一丁目1番1号
日産テクニカルセンター (NTC) 所在地
神奈川県 厚木市 岡津古久 560-2
代表者
社長兼最高経営責任者(CEO)  Carlos Ghosn (カルロス ゴーン)
事業内容
自動車、船舶の製造、販売 及び 関連事業
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
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