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69期司法修習生、38歳で一部上場企業の企業内弁護士に

69期司法修習生、38歳で一部上場企業の企業内弁護士に

No.926
  • 現職

    一部上場 大手製造業   法務部 (インハウスローヤー)

  • 前職

    一部上場 住宅資材商社   仕入・営業・購買
    建材の製造・販売業   役員

土井 秀一 氏 38歳 / 男性

学歴:早稲田大学 理工学部 化学科 卒
私立大学 法科大学院 修了
弁護士 (第69期司法修習生)

転職に至る経緯

私は,大学卒業後,住宅資材商社に就職し,その後,住宅資材販売業を営む家業を継ぎました。しかし,同社はリーマンショック後の売上減少のため資金繰り難に陥り,同社は法的倒産手続を行うに至り,清算することとなりました。たいへん辛い経験でした。
当時私は31歳で,そのまま転職活動をすることも考えましたが,自身の経験を活かし弁護士として会社を法的側面から支えたいと考え,ロースクールに進学し,司法試験合格後に転職活動をすることにしました。

バックグラウンド

私は,大学では理工学部に所属し,新卒時には,漠然と理系の就職活動をする気でいました。しかし,私の兄と共に家業である住宅資材販売業を継いでほしいという父の説得により,住宅資材商社に就職しました。
同社では,国内外の製品メーカーからの仕入業務及び販売業務に従事し,仕入,販売,与信,回収業務など営業について一通りの業務を学びました。

同社に5年間勤務した後,家業に戻りました。家業では,まずは売上が減少傾向にあったため売上維持のための顧客の新規開拓が急務であり,前職での経験を活かして営業活動に従事しました。これと並行して,財務体質改善のため,遊休資産の売却等の資産整理,不良債権の回収業務,不採算部門の統廃合を検討して実行に移すなどしました。

しかし,家業に戻って3年目,リーマンショックが起こり,売上高が激減し,金融機関からの新規借入も困難となったため,資金繰りが急激に悪化し,民事再生手続の枠組みで再建を目指すことにしました。この過程では,同手続代理人弁護士らと連携し,手続に要求される資料作成,再生債権者対応,スポンサーからのデューデリジェンス対応や,再生計画を実現させるための資力確保など,倒産業務におけるすさまじい事務対応を経験しました。

インハウスローヤーを志望した理由

上記のとおり,家業は民事再生手続を通じた再建を目指しましたが,結局,適切なスポンサーを確保することができず,清算型民事再生に移行することになり,同時に,私も手続の進行に合わせて転職を考えざるを得ない状況となりました。
しかし,そのまま転職活動をしても,9年間の社会人キャリアの中で,営業職や総務・経理業務等幅広く業務に従事したものの,誰にも負けないと言える専門的な職務領域を持っていないと感じました。また,家業を倒産させてしまったことも自らのキャリアとしては有利には働かないと考えました。

そのような折,家業の経営の中で各種契約の締結,債権回収業務,登記関係業務,倒産手続など,それなりに様々な法務業務を経験したこと,また,申立代理人弁護士の方々の業務遂行の様子を間近で見て,会社における法務業務に興味を抱きました。
そこで,自らのキャリアを最大限活かすためには,上記の経験に加えて法律知識を得てから転職することが得策なのではないかと考えるようになり,法曹資格の取得を目指すことにしました。

ところで,法律の専門家として会社に関与する方法としては,企業法務を取扱う弁護士事務所に入所してクライアント企業の依頼を受けて関与する方法と,企業自体に就職をして法務部門でインハウスローヤーとして働く方法があると思います。
弁護士事務所に入所すれば,多くのクライアント企業に対し法的アドバイスをすることでその助けとなることができると思います。しかし,クライアントが相談に来ない限りその企業を助けることはできませんし,相談の際にクライアントが説明する現状の中での対症療法を採らざるを得ず,クライアントが抱える法的問題を抜本的に解決することはできないと考えました。

これに対し,インハウスローヤーであれば,限度はあるにせよ社内の様々な部署と連携して社内に潜む法的リスクを把握して事前に予防を講じることが可能であり,また,外部の法律事務所に依頼するまでもないと考えた法的問題についてもきちんとした対応をすることができると考えました。また,様々な部署で働いた私の経験は,インハウスローヤーとして働いた方がより役に立てると考えました。

転職活動

上記のような考えから,私は,インハウスローヤーとして転職をすることに決め,まずは,東京の弁護士会が主催する就職合同説明会や日本弁護士連合会が提供する求人情報をもとに就職活動を始めました。しかし,これらの就職活動では,求人自体が新卒採用を前提としたものであり,社会人経験を給与等の条件に反映した求人はありませんでした。

そこで,社会人経験を加味した条件での転職を目指し,転職エージェントを利用することにし,5月頃,いくつかの転職エージェントのサイトに求職登録をしました。
求職登録後,すぐに,数社のエージェントより連絡をいただきました。しかし,いずれのエージェントも,私の年齢が38歳と若くないこと,法曹資格は取得しているものの法務部での勤務経験がないこと,一般的に企業側は、内定後約3か月後の勤務開始可能者を目途に探していること,私が司法修習を終えて働き始めるまでに半年以上あることなどを理由に断られました。

これに対し,エリートネットワークの高橋様は,すぐに直接カウンセリングをしていただき,年齢や法務部門での勤務経験がないことなどの弱点をご指摘いただきつつ,倒産経験やその後の法曹資格取得についてはしっかりと評価していただき,じっくりと私の希望に沿う企業を探していきましょうと言ってくださいました。正直,他のエージェントに断られて就職そのものに不安を感じていた私は,高橋様のこの言葉に非常に励まされました。
そして,高橋様からは,面談後,すぐに複数の会社の求人案内をいただき,3社の1次面接をセッティングしていただきました。そして,最終的には2社の内定をいただくことができました。

転職活動を振り返って

今回,転職活動に当たり,エリートネットワーク様を通して面接のお話をいただいた会社様には,いずれも私のキャリアを積極的に評価していただけましたし,私としても体が複数あるならばいずれの会社でも働いてみたいと思える会社ばかりでした。
これは,最初のカウンセリングで,高橋様が,私のキャリアや志向などをきめ細かく聞き出してくださったことが大きかったのだと思います。また,エリートネットワークでは,求職者側の対応と求人企業側の対応を,担当者を分けずに行っていらっしゃっていたことから,高橋様自らが,私自身と会社様双方との相性をしっかりと考えていただけたことによるご縁だと思います。

家業の倒産から,やっと,社会に復帰することになりますが,これ以上ない最高の再スタートラインに立つことができたと思います。本当にありがとうございました。

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