本日現在1556
/ バックナンバーも全て読めます

アクチュアリー (保険計理) から、ベンチャーキャピタリストへの転職

アクチュアリー (保険計理) から、ベンチャーキャピタリストへの転職

No.794
  • 現職

    日系ベンチャーキャピタル ベンチャーキャピタリスト (投資・育成担当)

  • 前職

    大手生命保険会社  年金数理部門  保険計理専門職

尾上 壮介 氏 32歳 / 男性

学歴:国立大学 生命理工学部 卒
国立大学 大学院 生命理工学研究科 修了
アクチュアリー準会員
証券アナリスト

私は学生時代は将来性のある分野として遺伝子工学を学ぼうと思い、大学院修士課程まで進みましたが、就職活動を始めた当時はバイオ技術がビジネスとなる段階まで進んでいるものが少なく、研究職を目指すよりも広く世の中を見ることができる職業に就きたいと考えるようになりました。また個人的に数学が好きだったために、数理的な力の活かせる職種という点も考慮して就職活動をしました。

結果として、金融市場の中でも大きな機関投資家であり、また数理的な業務も多い大手の生命保険会社に内定を頂き、ここに入社することを決めました。
入社してからは、顧客企業の退職金制度の設計や債務の計算、自社の決算や保険の債務の計算といった計理的な仕事を主に経験し、他にも資金調達や資本政策といった事柄にも携わりました。これらの仕事はそれなりにやり甲斐もあり、忙しい日々を送っておりましたが、時々冷静に業界のことを考えると、一生をこの業界で過ごすべきか悩むことがありました。

各生命保険会社の経営方針や提供している商品は自分にはほとんど同じように見え、業界としても国内市場は少子高齢化で狭くなっていくのは明白だと感じました。また、資産運用機関という面でも、資金の性格上止むを得ない事ですが、リスクを取ることはできず運用戦略は日本国債を中心とした議論がほとんどで、社会の成長を支えるリスクマネーの供給ということはほぼ行われません。

また、働く場としても大企業ということもあり優秀な人からあまり仕事を与えられない人まで多くの人がおりましたが、待遇は年功序列が基本であり、仕事の量は違えど給料は同じという現象が多々見受けられるのもモチベーションの維持を困難とさせました。組織全体としてもバブル世代の層を中心とした人口構成のため若手が少なく、下働きや社内運動の幹事をやるべき期間が非常に長いとも感じておりました。

定年を迎えた時にこの会社、この業界で良かったと思えるかどうか、また自身のキャリアを考えて成長していけるかどうか、何度も考えましたが、毎回いい未来が想像できなかったため、年齢的にも転職するならぎりぎりだろうと考え、入社して7年半ほどたった頃退職をし、転職活動を始めました。
希望としては生命保険業界以外で、且つ今までの経験が活かせるようなところとして、資産運用業界や銀行、また他にもデータ分析を行うITや監査法人のコンサル部門などを考えておりました。

私が転職活動を始めるずっと前に退職した会社の後輩がおり、彼が(株)エリートネットワークさんのホームページに 『転職体験記』 を書いていたのをたまたま知っていたので、私も取りあえず(株)エリートネットワークさんに登録をしました。彼の 『転職体験記』 を読んで、とてもいい人材紹介会社であるように感じていたからです。
実際、登録してからすぐにカウンセリングをして頂き、私の思いや希望をしっかりと聞いて下さり、多くの求人情報をご紹介して頂きました。また、その業界の転職市場の状況や履歴書・職務経歴書作成のポイント、面接時の注意点等たくさんの具体的なアドバイスも頂きました。


転職活動の面接では、まずはそれまでの職務経歴と、その経験からなぜこの求人に応募したのか、その経験をどう活かせると考えているのかをしっかり論理的に説明することを求められました。少し難しいですが、私としては、事前準備をしっかりして回答を考えれば答えられる質問なので、新卒の時の 「学生時代頑張ったことは何ですか?」 というようなよく分からない曖昧な質問よりは、ずっとやり易いと思いました。また、私は退職してからの転職活動であり、ほとんどの面接で退職していること自体について聞かれましたが、転職活動に専念するためである旨をはっきりと答えれば特に問題ないように思いました。

アドバイスのお蔭もあり、応募した企業の多くで1次面接は突破することができましたが、やはり異業界からの転職ということが壁となり、なかなか2次面接を突破することができませんでした。応募する企業の立場になってみれば、例えば同時期に経験者と未経験者が応募してくれば、やはり経験者を採りたくなるのは当然だと思いますので、転職には結果的にタイミングが非常に重要な要素となるのだと思いました。これは新卒の就職活動には無い難しい点だろうと思います。

そんな中、並行して進んでいた人事コンサルタント会社から内定のご連絡を頂きました。企業の退職金関連の計算業務を行う職種ですので、今までのキャリアの延長となる会社でした。
私という人間を評価して下さり、内定を頂けたことは嬉しかったのですが、やはり異業種への希望があったため、やれるだけやろうと思い、転職活動を続けることにしました。

少し視野を広げて求人情報を見てみるとベンチャーキャピタルという業界が目に留まりました。なかでも特に科学的な分野に特化したベンチャー企業の支援をしている会社の求人に興味を惹かれました。もともと理系の大学院まで行った身として科学的な分野に何かしらの形で関わることは非常に好奇心が湧き嬉しく思えることです。自分は研究者の道を選びませんでしたが、科学技術を金融面でビジネス段階に持っていく支援をするということはできるのではないかということは時々考えていたことでもありました。

ベンチャーキャピタル業界はそもそもまだ規模が大きくなく、相対的に全体の雇用人数も少ないので未経験者が転職するのはなかなか難しいとお聞きし、自分でもそう思ってはおりましたが、ダメもとでここだけは応募しようと思いました。
幸いなことに書類選考は通過し実際面接にお呼び頂くことができ、一番自分の思いを熱意を持って伝えられた面接だったと思います。また、幸いにもちょうど未経験者でも採用を考えていらっしゃるタイミングだったとのことで、2次3次面接と進むことができ、めでたく内定を頂くに至りました。


転職活動を振り返ってみると成功するかどうかは、やはりタイミングという意味で 「縁」 が一番大切なのかなと思いました。特に異業界や異業種を目指している方にとっては、どんなに優秀な方でもタイミングの壁があるのではないかと思います。
こう言ってしまうと取り留めもないように思われるかもしれませんが、これは運ということではなく、「縁」 のある相手を自分で納得できるまで探せるかどうかということだと思います。うまく言い表せませんが、良い 「縁」 は降って来るものではなく探し当てるものであり、また探せば必ずあるものだろうということです。勿論そのために、うまくいかない時でも常に自信を持って活動を続けていくことが大前提です。

(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの横関様には常にメールで励ましのお言葉やアドバイスを頂き、最後まで私の相談に乗って頂き、大変感謝しております。正直申し上げて、はじめはここまでしっかりきめ細かく気に掛けて転職活動をサポートしてもらえるとは思っておりませんでしたので、非常に驚きもありました。どうもありがとうございました。

この転職者を担当したカウンセラーに
転職相談したい

この記事をご覧になったあなたに

転職情報

関連する転職体験記

転職体験記を絞り込み検索 全ての記事一覧は
こちら