企業インタビュー

株式会社プロシップ 企業インタビュー

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今回は、株式会社プロシップの代表取締役社長 今泉 智氏に、独立系会計ソフトベンダーとして高いシェアを誇る同社の強さの源や、求める人物像、組織風土などについてお話を伺いました。

2011年4月で設立43年目を迎えられましたが、会社の沿革と業界における立ち位置についてお聞かせ下さい

当社は、大手企業向けパッケージシステムの開発・販売を行っています。会計分野の一つである固定資産管理に特化した業務アプリケーション(※1)では、おかげさまで国内No.1のシェアを頂いております。

当社の元々の事業の柱は、企業の経理部門に対する業務コンサルティングでした。40年前というのは、会計業務や経営にコンピューターが使われ始めた時期です。ですから、顧客とのやりとりの中で、「コンピューターの導入によって業務の効率化を図りましょう」という提案に至ることが多く、当社でも独自にソフトウェア開発を行うことになりました。そのうちに、様々な企業で同じようなニーズがあるということが分かり、そのプログラムのひな型を作ったのが、パッケージビジネスの始まりです。

会計・資金管理・固定資産管理という3商品を作りましたが、特に一番需要があったのが固定資産管理システムでした。当時、日本企業の多くはシステムを自社で開発していましたが、固定資産管理業務は、会計基準や税制からの複雑な要求も多いことから、自社での運用・保守は負担も大きくなりがちです。その為、パッケージを採用して専門会社のサービスを受けることに大きなメリットを感じて頂けたと考えています。

※1:固定資産管理ソリューションProPlus Fixed Assets Suiteについてはこちら

ソフトウェア業界は競争が激しい印象がありますが、御社の製品が評価されている要因はどこにあるのでしょうか


(株)プロシップ 代表取締役社長 
今泉 智氏

機能の網羅性や使い勝手の良さではないでしょうか。実際にソフトウェアを触って頂いた際に、より実感して頂けると思います。また、市場ニーズの変化への即応性も評価を頂く理由の一つに挙げられると思います。

実務現場の本当のニーズは、会計基準や税法の教科書には載っていません。当社の製品は、多くの企業らのご要望を伺い、製品に反映させていくというサイクルを長年繰り返してきました。そのノウハウの蓄積がお客様からの評価に繋がっているのだと思っています。

また、企業独自のご要望に応えるための拡張性や、時代の変化に対応するための柔軟性など、表面に出ない部分の技術も熟成されていると自負しています。実際、30年以上にわたってバージョンアップを続けながら、当社の製品を使い続けて下さっているお客様もいらっしゃいます。

例えば、御社と外資系ERPパッケージ(※2)ベンダーとは競合にならないのでしょうか

真正面からの競合はしていないと考えています。
市場で高い評価を得ている外資系ERP(基幹業務の統合パッケージ)であっても、固定資産管理の部分は、日本のニーズに合わせた対応が追加的に必要になり、日本仕様にするためには、費用がどうしても高額となってしまいます。その上、毎年のように制度の変更があるとなると、さらに費用もかさみ、プログラムもパッチワーク的になってしまいます。
ですから、こういったERPを導入しつつ、固定資産管理の部分だけは当社のパッケージを採用しているという事例も沢山あります。

※2:ERPパッケージについての詳しい説明はこちら

IFRS(国際会計基準)導入という動きは、御社のビジネスにどう影響していますか


入居したての新オフィス外観

固定資産の分野というのは、IFRS導入の影響を大きく受ける領域の一つと言われています。
元々会計制度・税法・社内の管理会計の兼ね合いがあるところに、IFRSへの対応も求められますので、業務への影響は大きく、また、企業の実務担当者には非常に大きな負担となっています。
当然、固定資産管理システムにも、更に複雑な処理が要求されます。IFRS対応のニーズは確実に高まっており、多くの引き合いを頂いております。

少し前までは、お客様ご自身も自社のIFRS対応の方向性について模索されていたようですが、やるべきことが明確になるにつれて、ソフトウェアへの要求も明確になってきました。
日本の企業は厳密さを重んじる傾向にありますから、当社製品の強みをより発揮し易い状況になってきたと言えるでしょう。

今後の展望はいかがですか

10年スパンの長期戦略計画を策定しました。激化するグローバル競争を勝ち抜ける企業となるべく、規模の拡大と質の向上を目指していきます。
具体的には、固定資産分野で磨いた強みを更に強化するとともに、販売管理システムを第2の柱、そして、第3第4の柱となる新サービスの創出を狙っていきます。

また、中国子会社による中国市場の開拓も、より積極的に進めていきます。当社のシステムは多言語・多通貨対応しており、既に海外への進出も始まっています。
現在、グローバル展開する企業において、システムを共通のものに統一しようという動きが顕著です。日本における固定資産管理は諸外国と比べても緻密ですから、日本で作り上げた製品を世界に展開していくという流れは自然なものと言えるでしょう。

今泉社長は1994年に新卒で入社されていますが、どうして御社をお選びになったのですか


(株)プロシップ 代表取締役社長 
今泉 智氏

私は理系でコンピューターの分野を専攻していたので、自然な流れとしてIT業界を志望しました。企業は大小様々、幅広く受けましたが、当社を選んだ決め手は『自社製品を持っている』という点でした。

また、面接の際に、後の上司となる方に「この会社は普通の会社の3倍は厳しいぞ」と言われたことも、この決断を後押ししました。
当時は、自分に相応しい仕事が何なのか、どこに就職するのが自分にとっての成功なのか、どんなに考えても分かりませんでした。それで、ひとまず5年間頑張ってみて、世の中を見渡すことができ、自分なりの尺度ができた頃にもう一度自分のやりたい仕事を探そうと考えました。
(株)プロシップなら、とにかく一生懸命に取り組めば短期間で成長できそうだと感じられたのです。

その5年間は、どのようにお過ごしだったのですか

平日は帰宅後、毎日近所のファミリーレストランに行って勉強するという生活を続けていました。自宅の玄関のところに勉強カバンを置いておいて、靴も脱がずにカバンを持ち替え、そのまま勉強に行くのです。飲み会でかなり酔っぱらった日でも欠かしませんでした。土日は1日15~16時間居座り、店員さんに白い目で見られたり…。
こんな調子でしたが、とりあえず、全力を尽くせば後悔はない、また、会社はアウトプットの場なので、それ以外のところでインプットしなくては、という思いもありました。少なくとも学生時代のあまり勉強しなかった分は取り返せるだろうと思って頑張りました。

こうしてインプットを習慣化し、積み重ねていくと、知識と経験とが融合する瞬間が来るんですね。初めてのお客様・初めてのシチュエーションであっても、話が分かり、状況が掴め、いっぱしの専門家のように振る舞うことができて、お客様も納得して下さる。すると、段々仕事が楽しくなってきますから、もっと勉強してやろうと思うようになりました。

勉強の内容としては、情報処理や中小企業診断士などの資格関係から、会議で発言するための前準備、ハードウェア関連の技術についてまで、かなり幅広く取り組みました。すぐには役に立たないかもしれない分野も、敬遠せずに吸収しようと努めました。大手の社員に負けたくないという反骨精神もあったかもしれません。

そうして5年が経った訳ですね

はい、私が入社した当時は20数名の小さな会社に過ぎませんでしたが、5年が経過する頃には、製品のバリエーションも豊富になり、お客様も増えてきました。
そんな折、当時の社長が「上場を計画するぞ」というようなことをポソッと言ったんですね。私も、会社の将来を見通しているうちに、「これはちょっと面白そうだぞ。」と思いまして、結局、この会社に留まることに決めました。
なので、私の履歴書上の経験は1社ですが、自分の中では2回の就職活動を経て今がある訳です。

当時の印象的なエピソードがあれば教えて下さい


入社2年目のある日の午前中、上司の営業に同行していて、お客様から『このようなソフトがあったらいいのになぁ』ということを言われたんです。午後にも、別のお客様から全く同じことを言われました。それで、この要望に応えるソフトを作れば売れるかもしれないと思いまして、その日のうちに、上司と構想を練りました。そうして企画書の形に纏めたものを社内に提案したら、商品化することが決まったのです。
念願かなって、新商品の販売を開始してからも、お客様から得た情報を会社に持ち帰って改善し、翌週にはグレードアップした商品を持っていき、また……ということを繰り返していたら、上場企業を中心に、当初の計画の倍ほどの数を販売することができたんですね。このことが評価されて、社長賞を頂きました。
今から思うといかにも手作りといった感じの素朴なシステムでしたが、それでもやはり、お客様の声を具現化して製品として提供できたことは、とても良い経験になりました。

そのように努力されてきて、社長という立場にまでなられた今、どんなお気持ちですか

会社としての成長曲線を描いていくことに、責任の大きさを感じます。その為には、今までの経験や知識を更に超えていかなくてはならないと、常に身の引き締まる思いです。若手社員や幹部、そしてこれから入ってくる方々にも存分に活躍して頂けるような環境を作っていきたいと考えています。

御社の営業スタイルはどのようなものですか

いわゆる反響営業の形です。セミナー・展示会・広告メディアをきっかけとして当社にご連絡下さった企業にアポイントを取り、営業に伺うというスタイルがほとんどです。特に、セミナーの反響は大きいですね。緻密なマーケティングの下、営業活動を展開しています。

そうして反響のあった企業を訪問した際には、我々の製品ソリューションについてお伝えすると共に、課題を丁寧に伺います。ニーズを捉えた後は、その情報を自社に持ち帰って、システムとして具体化させるため方法をSEと摺りあわせます。 また、当社は既に3300社もの大手優良企業に実績を頂いておりますので、そのパイプも大切にしています。ユーザー会などを通して既存のお客様の声を丁寧に集めることも、営業の大きな仕事の一つです。

次に、求める人材についてお聞かせ下さい。IT業界では即戦力を求める企業が多い中、御社はポテンシャルを重視した人材の採用をなさっていますね


(株)プロシップ 代表取締役社長 
今泉 智氏

はい。当社は固定資産管理システムの分野では特に、どの会社にも引けをとらない知見を持っていると自負しております。ですから、例えばコンサルタント経験や固定資産モジュールの導入経験をお持ちの方であっても、「即」戦力になることは難しく、一通りのプロセスを経て頂く必要があると考えています。

従って、同業他社からの採用にはこだわらず、IT業界未経験であっても、5~10年後には中核メンバーになれる位の成長意欲を持ったポテンシャルの高い人材を歓迎しようという方針を打ち出しています。
後は、「自分でなんとかしないと」という、正しい環境認識に基づく健全な危機感・行動力・新しいことにチャレンジしたいという志向を備えた方であれば、より望ましいですね。

入社時点での経験が浅い方でも歓迎とのことですが、入社後の育成について教えて下さい

営業職に関しては、先輩社員と共にお客様先を訪問し、商談内容の議事録をまとめるところからスタートします。それと同時に、商品理解やプレゼンテーションのスキルを2~3か月かけて徹底して磨きます。みっちりと練習すると、かなり上達しますよ。背景となる業務知識や会計基準を理解した上で説明ができ、様々な機能も分かり易く解説できるようになります。

ただ、お客様からの質問に淀みなくお答えできるようになるまでには、さらに経験も必要ですから、最初の半年~1年くらいは先輩社員と一緒にお客様先を回って提案活動を行い、OJTの中で営業力をブラッシュアップしていくイメージですね。

SE職についてはいかがですか。一般的に、他職種から転身するには敷居が高いイメージがありますが。


本社受付にて

未経験でも意欲があれば、必ず一人前のSEになることができますよ。実際、数年経てば、その方が入社時に経験者だったのか未経験者だったのか、判別はつかなくなりますね。

開発業務の経験を全くお持ちでない方であれば、4月入社で、新卒と一緒に研修を受けて頂きます。3か月程度みっちり開発の基礎を学ぶと、現場に配属された時には基本的なことは分かるようになっています。
開発業務経験者の場合、1~2週間程度の基礎的なカリキュラムを受けてもらった後、比較的簡単な仕事から始めて頂きます。これに加えて、セミナーや勉強会などへの参加を並行して行うことで、徐々に業務への理解を深めて頂きます。

経験の浅い方々を受け入れる現場の雰囲気は如何ですか

当社における若手への教育に対する意識は、他社と比較しても高い方だと思いますね。もちろん、フォーマルな教育の枠組みもありますが、インフォーマルな教育を社員が自発的に行う風土があります。先輩社員達も苦労してきた経験があるため、仕事の勘所を的確にアドバイスできているようです。自分の教えた部下が育ち、お客様から褒められる姿を見るのは誰しも嬉しいものですからね。

最後に、候補者の方に対してメッセージをお願いします

よく「自分探し」という言葉が使われますが、自分自身というものは、あれこれと外を見て探すものではなく、一生懸命何かに打ち込む中で、半年後や1年後、自分の内側に見えてくるものではないかと思います。そこには、きっと、今までとは違う自分、新しい自分がいるはずです。それほど、物事に夢中になって取り組むということは、重要であると思います。そうすることで1日1日が充実したものになりますし、その結果としての成長も顕著です。

趣味でもスポーツでも子供の頃の遊びでも、何かに夢中になった経験をお持ちの方、次はぜひ、私たちと一緒に、仕事で夢中になってみませんか?

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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株式会社プロシップ
Pro-Ship Incorporated.
設立
1969年4月
資本金
431,899,800円
従業員数
178名
代表取締役社長
川久保 真由美
上場証券取引所
東証2部
事業内容
ソフトウエアパッケージ開発・販売
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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